転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2418話

 ワルシャワ基地からの回収部隊が来たので、2機のドムはそのまま渡した。

 ブライトの交渉が上手くいくかどうかは、俺にも分からないが。

 連邦軍としても、ジオン軍の最新鋭MSのドムの情報は少しでも欲しいだろうし。

 MSの技術的蓄積が少ない連邦軍にしてみれば、ドムのように連邦軍とは全く違う方向に進化したMSというのは、少しでも多く欲しい代物だろう。

 ワルシャワ基地周辺だけではなく、地球上にある基地でドムを撃破出来れば機体を集めている筈だ。

 とはいえ、そもそも連邦軍でドムを撃破するというのが、そもそも難しい。

 連邦軍でもMSの運用は始めているが、どうしてもまだ数はそれ程ではないし、何よりもパイロットの操縦技術が大きく影響してくる。

 もっとも、だからこそ連邦軍はドムを欲しているのかもしれないが。

 ドムは重装甲、高機動、高火力と、操縦技術がそこまで高くなくても相応に戦果を挙げる事が出来るMSだ。

 ……相手がビーム兵器を持っていれば重装甲も意味はなく、高機動ではあるがホバー移動なので平原を移動するのならともかく、森や林といった場所を移動するにはかなりの技量を必要とし、高火力ではあってもジャイアントバズは砲弾の速度がかなり遅くなってしまうという風に欠点の類も多いのだが。

 それでも、多少の欠点に目を瞑っても連邦軍にとって魅力的なのは間違いない。

 

「俺は自分の分を貰えれば、それでいいんだけどな」

 

 呟き、俺の取り分たるドムを空間倉庫に収納する。

 回収したドムが置かれている倉庫には他に何人もの技術者やパイロットと思しき者達がいたが、いきなりドムが消えたのを見て驚きの声を上げていた。

 それに特に構う様子を見せず、倉庫を出る。

 何人かがかなり興味津々といった様子で俺の方を見ていたが、今はそれはどうでもいい。

 今の状況で下手にああいう連中にちょっかいを出す方が、色々と面倒な事になりかねないし。

 MSという人型機動兵器が使われているこの世界であっても、やはり魔法というのは興味深いと思う者がいるのだろう。

 実際にクレイドルに移住してきた者の中には、魔法を習いたいと希望する者も多いし。

 だが、魔法というのはこの世界においては非常に大きな力となる。

 俺がその気になれば、ジャブローに侵入したりすることが出来るように。

 銃の類を持っていなくても、杖で相手を殺せるように。

 それ以外にも様々な理由から、このUC世界において魔法というのはまだ広めるには早い。

 ルナ・ジオンの中でも信頼出来る相手なら、まだ話は別なのだろうが。

 そう言えば、時の指輪の受信機を渡す相手も選ぶ必要があるよな。

 受信機そのものは、量産するのはそう難しい話ではない。

 だが、不老不死ではなくても不老の効果を与える受信機というのは、それこそ多くの者にとっては喉から手が出る程に欲しいものだろう。

 人間の究極の夢の1つたる、不老不死。

 それを中途半端な形ではあるが、達成する事が出来るのだから。

 とはいえ、だからこそ迂闊な相手に渡す訳にはいかない。

 以前のまだ人が少なかった頃のルナ・ジオンなら幹部に渡してもよかったのだろうが……今は多くの者がルナ・ジオンにいる。

 その中には、表にだしていなくても実は連邦やジオンの手の者だったり、そうでなくてもいずれはルナ・ジオンを乗っ取ろうと考えているような者がいないとも限らない。

 コバッタや量産型Wのおかげで、そう簡単に反乱の類は起きないようになっているが、それでも絶対ではない。

 それこそ、場合によっては何らかの行動に出る者がいるという可能性は十分にあるのだ。

 だからこそ、受信機を渡す相手はしっかりと選ぶ必要がある。

 アンリはともかく、アンリが連れてきた面々の中には後ろ暗い事を考えている者も多いし、実際にそれが露見して裁かれた者もいた。

 

「あ、いた。……全く、どこに行ってたんだよ?」

 

 ホワイトベースに戻ってきた俺を目にして、カイが若干の呆れと共にそう言ってくる。

 皮肉な態度が基本のカイだったが、それでも何気に仲間思いだったり、面倒見が良かったりするんだよな。

 この前も、カツ達と一緒に遊んでいるのを見たし。

 

「ドムを取りにな」

「ああ、あの魔法。……羨ましいねぇ」

 

 魔法という言葉を何の躊躇もなく口にする辺り、カイも俺という存在に慣れてきたよな。

 もっとも、それを口にしてもカイは絶対に認めないだろうが。

 

「魔法を習ってみる気があるなら、この戦争が終わったら月まで来い。お前なら魔法を教えてもいい。……俺が直接教える訳じゃないけどな」

「へぇ? まぁ、それはいいや。それよりもアクセルをご指名の模擬戦相手がいるぜ」

「……ほう」

 

 どうやらカイが俺を探していたのは、それが理由だったらしい。

 基本的には難易度インフィニティでの模擬戦にしか参加していない俺だったが、中には俺を名指しで模擬戦を希望してくる者もいる。

 カイの様子を見ると、恐らく今回もそのタイプなのだろう。

 そういう奴は、基本的に腕が立つか……もしくは、プライドだけが高いような奴なんだよな。

 果たして、今回はどちらなのやら。

 

「それで、模擬戦はいつだ? 俺のピクシーは、現在整備中の筈だけど」

 

 ドムとの戦いはそこまで時間が掛かりはしなかったし、部品の損耗とかもそこまでない筈だ。

 それでもこうして頻繁に整備を繰り返しているのは、ピクシーの運用データが欲しいからだろう。

 いや、運用データというよりは、どれくらいの動きで部品がどの程度損耗するのかといったような感じが正しいか。

 MSの技術的な蓄積が少ないというのは、何気に連邦軍にとっては大きい。

 ましてや、連邦軍のジムとジオン軍のザクでは、どうしても違う場所も多い。

 一番大きなのは、やはり駆動系だろうが、それ以外にも色々と細かい違いはあるのだ。

 だからこそ、連邦軍製のMSたるピクシーで、どのくらい動けばどのくらい部品が損耗するのかといった事を知りたくなる。

 ……ピクシーが連邦軍の開発した地上用MSの中では最高性能を持つ機体だというのも、大きいだろう。

 とはいえ、最高性能というのはその理由付けによって大きく変わってくる。

 運動性や機動性という意味では、ピクシーが最高性能であるというのは間違いないが、その最高性能というのが攻撃力を意味するのなら、ピクシーは強力ではあっても最高性能と言われる程ではない。

 ビームダガーは強力だが間合いが狭いし、射撃武器のビームスプレーガンはビーム兵器ではあるが、ガンダムやガンキャノンが使っているビームライフルに比べると、取り回しでは上でも威力という点では大きく劣るし。

 

「明日だってさ。今日は出撃したんだし、無理は言えないだろ。……プライドの高い負けず嫌いが相手なら、分からないでもないけど」

 

 いつもの皮肉屋な様子はどこにいったのかといったカイだったが、俺はそうなった理由を知っている。

 模擬戦で戦った相手が、それこそカイの言っていたようなプライドの高い負けず嫌いな相手で、一度勝ったカイに対して何度となく……それこそ、昼夜関係なく模擬戦を挑んでくるらしい。

 ……何でも代々軍人の家の出らしく、軍人でも何でもないカイに負けたままなのが許せないとか何とか。

 不幸中の幸いなのは、挑んでくる相手が正々堂々と正面から挑んでくるという事か。

 プライドが高いからこそ、下らない妨害工作のような事はしないのだろう。

 もっとも、カイにしてみれば暇さえあれば模擬戦を求めてくる相手というのは、決して好意的に思えはしないのだろうが。

 

「明日か。……ならMSの整備は問題ないな」

「アクセルは、随分と簡単に言うから羨ましいよ」

 

 羨ましかったら、お前もこれくらい言えるだけの実力を身につけろと言いたいところだが、実際にカイの実力は連邦軍の中でもトップクラスなのは間違いなく、それこそ俺が言ったような事を言ってもおかしくはない。

 本人の性格的に、そういうのは難しいだろうが。

 

「俺達と戦う事で、連邦軍のMS部隊の実力が上がるのなら、こちらとしては喜ぶべき事だけどな」

「アクセルの実力を相手にするってのは、そういうの関係ないような気がするんだが」

 

 皮肉と呆れを混ぜて告げてくるカイの言葉に、俺はそうか? と首を傾げる。

 ともあれ、こっちとしては連邦軍が有利になるに越した事はない以上、模擬戦を断るといった真似はしない。

 ……ただ、賭けがなぁ。

 キキが行っている賭けは、他の連中……それこそカイ、フィリップ、サマナ、ヤザン達といった面々が戦う場合は、それなりに盛況なのだが、俺が模擬戦をやるとなると賭けが成立しないらしい。

 これは、俺だけが戦う場合でも、難易度インフィニティで戦っても、同様だ。

 全戦全勝である以上、それはしょうがないのかもしれないが。

 ただ、中には結構考えている相手もいる。

 ピクシーは高機動型のMSだけに、推進剤の消耗が激しい。

 燃費が悪いと言ってもいいだろう。

 それだけに、模擬戦をやった中にはそこを突いて、持久戦を仕掛けてこようとした相手もいた。

 ……とはいえ、ピクシーに乗ってる俺が、一番燃費の悪さを知っている以上、持久戦を仕掛けられれば、短期決戦に持ち込んで勝っているのだが。

 

「じゃあ、俺はそろそろ行くぞ。今日はそれなりに疲れたから、ちょっと食堂で甘いものでも食べたいし」

「おう、分かった。あ、でも今は食堂に行かない方がいいと思うぞ。チビ達が集まって騒いでいたしな」

 

 この場合のチビ達というのは、カツ、レツ、キッカだろう。

 場合によってはキキも入るのか?

 いや、けどキキは年齢的にカイとそう変わらない筈だし、チビ達の中に入れるのは、正直どうかと思う。

 背丈という意味では比較的小さいが、それを言うならハヤトだってチビ達の仲間に入るだろうし。

 

「そうなると、自分の部屋で何か食べた方がいいか」

 

 食堂で甘味を食べるような真似は出来ないが、空間倉庫の中には色々な甘味がある。

 有名店のシュークリームや、ケーキ、クレープ、アイスクリーム等々。

 ちょっと変わり種としては、ラベンダーのソフトクリームもあったりする。

 どこで買ったのかは忘れたけど。

 実際に味としては、普通のソフトクリームとそう変わらない。

 色は紫でラベンダーっぽさを出しているが。

 

「ほら、これ」

 

 そう言い、何となくそういう気分だった事もあり、カイに空間倉庫から取り出したラベンダーのソフトクリームを渡す。

 

「え? これ……いいのか?」

「ああ。食堂で騒がしいのに巻き込まれなかった感謝の気持ちだよ。異世界のソフトクリームだから、カイにとっては珍しいんじゃないか?」

 

 異世界のソフトクリームと聞いて、カイは恐る恐るといった様子で受け取る。

 カイにしてみれば、異世界の食べ物というのは想像も出来ないのだろう。

 ……いやまぁ、普通なら異世界の食べ物を食べる……それもソフトクリームなんて食べる機会がないだろうから、慎重になってもおかしくはないのだが。

 ここで慎重になるか、好奇心に突き動かされて食べるかというのは、人によってそれぞれだろう。

 そういう意味では、カイは前者だったという事か。

 ともあれ、ソフトクリームを渡した以上はここで特に何かをするような事はない。

 ソフトクリームを持ったカイと別れ、自分の部屋に向かう。

 ミナトや綾子が来ているか? とも思ったが、残念ながら今日は2人共いなかった。

 自分の仕事で忙しいのか、それとも食堂にでも行って子供達と遊んでいるのか。

 そのどちらかは分からないが、ともあれ部屋にいないのは間違いのない事実だった。

 そんな訳で、俺はベッドに座ると空間倉庫の中からカイに渡したのと同じラベンダーのソフトクリームを取り出す。

 

「うん、美味い」

 

 呟き、じっくりと味わってから一口、二口、三口といったように食べていく。

 ソフトクリームを食べるのが随分と久しぶりだという事もあり、数分も経たないうちにソフトクリームはコーン諸共俺の手の中から消えた。

 残っているのは、コーンの下の方についてる紙だけ。

 正直なところ、この紙って一体何の為にあるんだろうな?

 手が汚れてても、ソフトクリームを食べられるように、とか?

 恐らく、その辺りが理由なのだろう。

 そんな風に思いながら、ベッドの上で横になる。

 今日は、特に何か忙しかった訳ではない。

 ミデアを襲っていたドムとの戦いはあったが、それにしたって実際には正面から戦うのではなく、逃げるドムを追撃しただけだし。

 だからこそ、今回の一件ではそこまで疲れるといった事はなかったのだ。

 もっとも、俺の場合は元々そこまで疲れるといった事にはならないのだが。

 ただし、あくまでもそれは肉体的な疲れだ。

 混沌精霊であっても、精神的な疲れは普通に存在する。

 そんな疲れを癒やす為に……俺は、ベッドで横になったまま眠るのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:640
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1512

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