転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2416話

 ワルシャワに集まってくる連邦軍の部隊を、ジオン軍が各個撃破している。

 俺が聞いたその話は、自分達に関わることだからだろう。すぐに広まった。

 もっとも、これはジオン軍としては当然の行動でもある。

 元々連邦軍とジオン軍の間には圧倒的な国力差があった。

 61式戦車や戦闘機では、1機でザクを撃破するのは難しいだろう。

 だが、1機でも無理なら2機、3機……10機、20機ならどうか。

 かなり無茶ではあるが、連邦軍にはそれが出来るだけの物量がある。

 その上で、現在の連邦軍にはホワイトベース隊のようなMS隊も増えており、その上連邦軍で量産されているMSはビーム兵器を所有し、ザクを撃破出来る攻撃力を持っている。

 陸戦型ジムであればルナ・チタニウム製の装甲すら装備しており、ザクで倒すのは非常に難しくなっていた。

 その辺の事情を考えると、ジオン軍としては1つの集団として纏まった連邦軍と戦うよりも、1つの手段として纏まる前の……まだ小さな集団を各個撃破するという考えになるのは、当然だろう。

 何より小さな集団であれば、MSを物量で倒すといった真似は出来ない。

 1対10というのは難しいが、1対1を10回繰り返すのであれば、勝率も上がる。

 それでも10回戦うとなると、相当厳しいのは事実だが。

 ジオン軍にはMSの操縦技術が優れたパイロットが多くいる以上、そのような事が出来る者がいてもおかしくはない。

 また、その戦いでも別に正面から戦う必要は存在しないので、難易度は余計に下がるだろう。

 基本的に連邦軍が移動する時はミデアで移動する時が多いので、護衛となるのは戦闘機だけだ。

 MSを相手にミデアを守るのが戦闘機だけとなれば、それは明らかに防衛力不足なのは間違いない。

 そんな連邦軍とは裏腹に、ジオン軍側はミデアを撃破すれば運んでいるMSが破壊され、パイロットも死ぬのだ。

 これ程ジオン軍にとって有利な行動はないだろう。

 かといってミデアの護衛にMSをつけるというのは、これもまた難しい。

 グフ・フライトタイプのように空を飛べるのならまだしも、基本的にMSは空を飛べない。

 ジオン軍ではドダイという爆撃機の上にMSを乗せるといった方法もあるが、連邦軍ではまだMSを本格的に量産し始めたばかりであって、そこまでは手が回っていないのだ。

 ジオン軍と連邦軍では技術力という点では同等くらいだと考えていたが、MS運用のノウハウとかそういう点ではジオン軍の方が上だという事だろう。

 連邦軍も寝返らせたり捕虜にしたジオン軍のMSパイロットからその辺のノウハウとかについては調べているのだろうが……それでもやはり吸収はしきれないらしい。

 連邦軍とジオン軍では、MSの運用方法が違う以上はしょうがないのかもしれないが。

 ともあれ、連邦軍としては圧倒的な物量でオデッサ作戦を行おうとしているのに、その物量を集める為の戦力を各個撃破されるとたまったものではない。

 それは分かる。分かるんだが……

 

「それで、何で俺達が出撃する事になるんだ?」

 

 ホワイトベースの艦長室で空間倉庫から取り出した紅茶を飲みながら、書類整理をしているブライトにそう尋ねる。

 ホワイトベース……連邦軍では最強の部隊と言ってもいいような、そんな部隊の母艦の艦長だけに、ブライトにはかなりの書類が回ってくる。 

 それこそ士官候補生から中尉に任命されたばかりのブライトには捌ききれないんじゃないかと思う程の。

 ……それを苦労しながらも捌いている辺り、何気にブライトって能力高いよな。

 それに精鋭部隊だからというだけじゃなくて、模擬戦を希望する者達からの申請書とか、そういうのもある。

 シミュレータを使った模擬戦ならともかく、実機を使った模擬戦ともなれば当然のように上に申請書を出す必要があり……ブライトの方にも、それは回ってくる訳だ。

 俺なら途中で嫌になって政治班に丸投げしてるだろうな。

 とはいえ、現在ホワイトベース隊は神出鬼没のジオン軍を倒す為にこうして行動しているので、模擬戦の申し込みは……少なくなってはいるが、それでも後日の奴がそれなりに届いているのだろう。

 

「ジオン軍のMSを相手にする以上、こちらも相応の戦力を出す必要がある。そして現在、間違いなくそれだけの戦力を持っているのはこのホワイトベース隊だけだ」

「それは否定しない。けど、模擬戦を続けた方が、結果的には連邦軍の戦力が上がって有利になると思うんだけどな」

「そうかもしれないが、士気が下がるのは間違いないだろう。ジオン軍に一方的に攻撃を続けられてるんだからな」

「……なるほど」

 

 普通に考えれば、一方的に攻撃されているのに士気を高く保てってのは無理があるか。

 とはいえ……

 

「相手は神出鬼没だ。それを考えれば、ホワイトベースで当てもなく動き回ってても、あまり意味があるとは思えないんだけどな」

 

 ミデアを護衛するという意味では、ヤザン達が俺達と合流する時に襲われた時のように、ミデアのコンテナから襲ってきた相手を迎撃するという方法も、ない訳ではない。

 とはいえ、それは所詮コンテナの開く部分からしか攻撃出来ないので、攻撃出来る範囲はどうしても決まってしまうのだが。

 それでも、やらないよりはマシか。

 

「MSが相手だからな。だが、ホワイトベース隊が動き見回っているという情報だけで、ジオン軍の行動を縮小させるだけの効果はあると上は判断したらしい」

「そう言われると、その可能性は否定出来ないな。というか、寧ろホワイトベースを狙って敵の襲撃が増えそうな気もするけど」

 

 ホワイトベース隊は、宇宙ではジオン軍のトップエースたる赤い彗星のシャアと互角に戦った……戦い続け、最終的に生き延びた経験を持つ。

 それだけなら、ジオン軍がこちらの行動を恐れて襲撃を控えるかもしれないが……その後、ジオン軍の王族とも言える地位にあるザビ家の人間、それもカリスマ性は非常に高く、民衆からも高い人気を持っていたガルマを殺している。

 実際にはガルマは現在ハワイで婚約者のイセリナと同棲しているのだが、そんなのは本当に限られた人員しか知らない事だ。

 そうである以上、ホワイトベース隊が他に味方も引き連れず単独で動き回っていると知られれば、ガルマの仇討ちをしようと狙ってくる奴が多いのは間違いない。

 ……もしかして、この命令を出した連邦軍の目的はそれか?

 大々的にホワイトベースが出撃したというのを知らされれば、ジオン軍としてはガルマの仇討ちを狙ってもおかしくはない。

 そしてホワイトベースに攻撃が集中すれば、現在ワルシャワに移動中の戦力は安全に移動出来る。

 

「レビルやゴップなら、そのくらいは考えてもおかしくはないな」

「何がだ?」

 

 俺の呟きに、書類を見ていたブライトが尋ねてくる。

 だが、これをブライトに言っても意味はない……どころか悩ませるだけ、もしくはブライトも知っているのであれば、わざわざ言う必要もないしな。

 

「何でもない。それより、問題なのはどうやって敵を見つけるかだな。どうするつもりなんだ? 本気で、ただ適当に周囲を動き回っているだけなのか?」

「……他に手段がない以上、それしかないだろうな。勿論、襲われていると救援の信号がくれば、話は別だが」

 

 救難信号か。

 近ければいいが、遠い場所からの救難信号だと、こっちが駆けつける前に被害が大きくなってしまう。

 それこそ、ジオン軍が使っているドダイとかがあれば、もっと早く移動出来るのだろうが。

 もしくはルナ・ジオン軍でも採用されているダラニとか。

 ただ、ダラニはミノフスキー物理学ではない、このUC世界とは別のビーム兵器を搭載しているので、それを連邦軍に売るのはちょっとな。

 いっそ、ビーム兵器を排除した輸出用の簡易型ダラニでも開発するか?

 色々とコストダウンして、コピーされても全く問題ない技術でダラニを作れば、それなりに結構売れそうな気がしないでもない。

 少なくても、MSを乗せて空を飛ぶというのは連邦軍にとって喉から手が出る程に欲しいだろう。

 ただ、そうなると儲けるのはシャドウミラーになるんだよな。

 一応ルナ・ジオンを通して売る以上、多少のマージンはルナ・ジオンにも入るだろうが。

 

「なぁ、ブライト。MSを乗せて空を飛べる飛行機の類があれば、欲しいと思うか?」

「欲しい」

 

 書類の処理をしながらではあったが、ブライトは即座にそう答えた。

 それこそ、一瞬の躊躇もなく。

 ブライトにしてみれば、それだけMS運搬用のSFSは欲しいのだろう。

 となると……いっそシャドウミラーがどうこうするのではなく、ディアナにドダイを解析させて簡易的にコストを下げたのを開発して、それを連邦軍に売るという手段はあり……か?

 

「そうか。なら、ディアナに要望してみるか」

「……ディアナというのは、ルナ・ジオンの兵器メーカーだったか?」

「ああ。ジオン公国から月に移住してきた技術者がメインだが、それ以外にも連邦から移住してきた技術者とかもそれなりの数がいる。その連中が協力しているから、技術力という点ではジオン公国よりも上かもしれないな」

 

 もっとも、中にはどうしてもどこそこの連中が駄目だというような者もいるのだが。

 ヅダの開発班の中にも、ジオニック社は未だに許せないと主張する奴もいるし。

 それでも、実際に仕事をする時はきちんと協力しているので、特にそれをどうこうとは言わないのだが。

 最近ではジオン公国の三大兵器メーカーから月に移住する者の数も多くなっている。

 ガルマの死だったりして、ジオン公国が不利になっているのを感じているのだろう。

 ……それ以外にも、月に来ればシャドウミラーの技術を多少なりとも見る事が出来たり、連邦軍が開発したプロトタイプガンダムを解析出来たりといったように、技術的な興味からという者も多いが。

 技術者や科学者といった者達は、優れた技術を得る為なら全てを投げ捨てても構わないという奴もいる。

 そういう連中にとって、月というのは現在のUC世界においてはもっとも熱い場所だろう。

 

「レビル将軍に陳情してみるか? ただ、今それを陳情しても、すぐに売って貰える訳ではないんだろう?」

「そうだな。これから開発するように指示を出すんだし。1日2日程度では、どうしようもないと思う」

「だとすれば、ちょっと難しいかもしれないな」

 

 魔法球を使ってもいいのなら、それこそ明日にでも開発は終わりそうではある。

 だが、魔法球の存在はシャドウミラーとしても機密事項の1つだ。

 だとすれば、普通に開発して貰う必要があるのだが……

 

「そうか? 1日2日では無理でも、10日程度でどうにかなるかもしれないと言ったらどうだ?」

「それは……無理だろう?」

 

 何もない状態からSFSを作るのは無理でも、既にあるドダイを改良……というか、シンプルにした感じで作るのなら、ある程度はどうにかなる……かもしれない。

 ただ、ジオン軍には飛行機とかのノウハウが足りないから、ドダイの形を変えるのは少し大変そうなのは事実だ。

 まさか、ドダイそのままの姿で連邦軍に売りに出す訳にはいかない以上、外見を変えるのは必須なのだから。

 ただ、外見を変えれば当然のように空を飛ぶ際のバランスとか速度とかも影響してくるのは間違いない。

 

「そうだな。難しいかもしれない。ただ、それでもある程度はどうにかなる可能性があるのは間違いない。……ディアナには連邦出身の技術者とかもいるし」

 

 取りあえずドダイなら、連邦軍でも既に入手しているだろうし、技術を奪われるといったような事の心配はいらない。

 そうなると、輸出出来る商品は多いので、ディアナに連絡して至急開発するように頼むとしよう。

 というか、ジムだったりピクシーだったり、オデッサ作戦終了後に報酬として貰う予定のMSだったりを解析して貰う為にも、この作戦が終わったら月に戻った方がいいよな。

 元々、ここまで連邦軍に協力するつもりとかはなかったんだし。

 

「ともあれ、今日基地に戻ったら上の方に確認してみてくれ。もし欲しいのなら、ある程度急がせる。……それでも、オデッサ作戦開始時に間に合うとは、到底思えないが」

「分かった。その辺は任せてくれ。上も連邦軍にとって有利になるのなら、反対はしないと思う」

 

 ブライトが俺の言葉に頷き……そのタイミングで、艦長室に通信が入る。

 

「何だ?」

『艦長、救援を求める通信をキャッチしました。場所はホワイトベースからはそう遠くありません』

 

 モーリンからの声は、俺にも聞こえてきた。

 しかし、なるほど。ホワイトベースが近くにいるにも関わらず、こっちではなくて他の部隊を襲うか。

 どうやら、厄介な相手なのは間違いないらしい。

 

「アクセル、すぐに出撃の準備を頼む」

 

 ブライトの言葉に、俺は頷いて格納庫に急ぐのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:640
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1512

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