転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2413話

 モンシアと……正確にはモンシアが所属する小隊との模擬戦は、翌日にはすぐに行われる事になった。

 連邦軍としては精鋭中の精鋭と呼ぶべきホワイトベース隊との模擬戦を行う事を希望していた為、多少の問題はあっても俺が模擬戦を引き受けたというのは非常にありがたい話だったらしい。

 ブライトとしても、今でこそ独立部隊的な存在になっているとはいえ、連邦軍に対する帰属意識は決して低くはない。

 ましてや。ブライト本人の性格もホワイトベースの艦長を任された時に比べると大分柔軟になってきてはいるが、それでも基本的に生真面目なのは変わらない。

 そんなブライトにしてみれば、俺が模擬戦をやって連邦軍のMS部隊の練度が上がるのなら、どこにも文句はない……といった感じなのだろう。

 元々連邦軍との模擬戦についてはブライトから話を持ってきた以上、今回の件は渡りに船といったところだったらしい。

 そんな訳で、ワルシャワから少し離れた場所に俺はミデアでやって来ていた。

 最初はホワイトベースで移動するという案もあったのだが、ホワイトベースは現在各種調査中だ。

 東南アジア戦線の基地から出てからは、そこまで大きな戦いを経験した訳ではないのだが、それでも相応にホワイトベースは運用されている。

 だからこそ、オデッサ作戦まで時間のある今のうちに、連邦軍としてはホワイトベースを万全の状態にしておきたかったのだろう。

 そんな訳で、用意されたのがミデア。

 ワルシャワからある程度の距離を取れればいいので、別にMS輸送用トレーラーとかでも構わなかったんだが。

 ミデアはその輸送量から、オデッサ作戦の為に現在集結中の今、幾らでも需要はあるだろうし。

 それでもミデアが用意されたのは、連邦軍なりに気を遣ったという事か。

 一緒に来たメカニック達がMSの用意をしているのを眺めていると、ヤザン、ダンケル、ラムサスの3人と、モンシア、ベイト、アデルの3人が話している様子が見える。

 ヤザン達がついてきたのは、モンシア達と顔見知りだったからというのが大きい。

 昨日、デートが終わってホワイトベースに戻ってから聞いたところ、予想通りヤザンはモンシア達を知っていた。

 知っていたどころか、7月からジャブローでMSの操縦訓練を受けていたのだが、そこで同期だったらしい。

 そんな訳で、今回の模擬戦にも顔を出しに来た訳だ。

 ……何故かピクシーと一緒にヤザンのジムも運ばれてきてるのを見れば、何が目的なのかは考えるまでもなく明らかだが。

 ヤザン達とモンシア達はそれなりに仲が良いらしく、笑みを浮かべてやり取りをしている。

 多分、問題児仲間だったとか、そういう感じなんだろう。

 そんな風に眺めていると、こちらに1人の男が近づいてくる。

 年齢的には、モンシア達よりも明らかに上で、30代半ばくらいか?

 MSパイロットになるにしては、少し年をとっているように見えるが……それでもここにいるという事は、それだけの実力を持っているのだろう。

 

「失礼します、アクセル・アルマー代表。自分は第二連合艦隊第4MS小隊隊長、サウス・バニング中尉です」

 

 そう言い、敬礼するバニング。

 昨日モンシア達の会話の中で、バニング隊長云々といったのがあったのを思えば、この男がその隊長か。

 

「へぇ、モンシア達は俺の事を知らなかったみたいだが、小隊長ともなれば知ってるんだな。……アクセル・アルマーだ。ホワイトベースの傭兵的な立場だから階級はないが、よろしくな」

「は。……自分も上司から教えられて、それで知った事です。あの馬鹿共はアクセル代表については、何も知りません」

「教えなかったのか? まぁ、教えても教えなくても、模擬戦で戦う事になるというのは変わらないし、そういう意味では教えなくても構わなかったんだろうが」

 

 モンシアの性格を考えると、俺がシャドウミラーの代表であるというのを知っても知らなくても、こちらへの態度が変わらないと思われる。

 そうである以上、バニングが俺の正体を話したりしなくても、おかしくはない。

 

「今日は、アクセル代表の胸を借りさせて貰います」

「俺と戦うのは、モンシアだけなのか? それとも……」

「私達全員で戦わせて貰います。1人の実力では勝ち目がないと分かっているので」

 

 お互いの実力差をしっかりと理解している辺り、有能だな。

 モンシアについては若干思うところがない訳でもないが、バニングの様子は好感を抱くのに十分だった。

 

「そうか。安心しろ。この模擬戦で俺が勝っても、裸踊りをするのはモンシアだけにしておくよ」

「ははは。ありがとうございます」

 

 ん? てっきり裸踊りはさせないで欲しいと、そんな風に言われるのかと思ったんだが、まさか認めるとは思わなかった。

 この反応は俺にとっても予想外だ。

 そうして笑みを浮かべたバニングは再度敬礼すると、俺の前から立ち去る。

 そうしてヤザン達と話しているモンシア達の下に向かうバニングの後ろ姿を見ていると、再び別の人物がやってくる。

 

「アクセル代表、ピクシーの準備は完了しました、模擬戦のシステムも万全です」

 

 それは、ホワイトベースから一緒にやって来たメカニックの女だ。

 ピクシーの状況が万全となったらしく、その顔には笑みが浮かんでいる。

 余程模擬戦のシステムに自信があるのだろう。

 

「分かった。後はあっちの方か。……向こうのMSの様子は、聞いても分からないよな?」

「ええ。向こうは向こうで専門のメカニック達を連れてきてますから。……ただ、アクセル代表が戦うとなれば、幾ら頑張っても無駄だと思うんですけどね」

 

 そう言ってくるのは、ホワイトベースのメカニックとして、俺が今までどんな戦いを潜り抜けてきたのかを知っているからだろう。

 MSのパイロットとして、実戦経験が少ない相手となれば、そのように思ってもおかしくはない。

 とはいえ、さっき話していたバニングは有能な軍人に見えた。

 油断をすれば、こちらに被害が出て来るという可能性も十分以上にあるだろう。

 

「どんな相手と戦うにしても、油断だけはしない方がいい。相手も技量が優れていると判断されて、MSパイロットになってるんだし」

 

 ……自分の技量が優れていると思っているからこそ、モンシアも模擬戦を俺に挑んできたのだろうが。

 自信があるのはいい事だが、自信過剰はちょっとな。

 その辺の鼻は今日へし折るとしよう。

 もっとも、本人がそれを望むかどうかと言われれば、また別の話だったが。

 ともあれ、そうして時間が経過し……やがて、時間となる。

 モンシアはジムに乗る前に俺を睨み付け、ベイトは特に何も反応はせず、アデルは小さく頭を下げる。

 こうして見ると、アデルだけが善良な性格をしてるんだよな。

 というか、アデルはモンシアとベイトのブレーキ役といったところか。

 そんなアデルに小さく手を振ってから、俺はピクシーに乗り込む。

 機体性能という点では、ピクシーとジムでは圧倒的にピクシーの方が上だ。

 これが陸戦型ジムなら、装甲がルナ・チタニウム製で高い防御力を誇ったりもするのだが、モンシア達が乗っているのはヤザン達と同じジャブローで製造された正式な量産機だ。

 決して性能が悪い訳ではない機体ではある。

 それこそ、ビーム兵器を持ってる点でザクに対しては圧倒的に有利ですらあった。

 だが……それでも、あらゆる面でピクシーに劣るのは間違いない。

 だからこそ、今回の戦いではモンシア達4機を相手にする事になったのだが。

 

『双方、準備はよろしいですね? 今回の模擬戦は、私が見届けさせて貰います』

 

 映像モニタに、見た事がない人物が映し出される。

 50代程の男。

 階級章を見ると、中佐らしい。

 

「問題ない」

 

 俺がそう告げると、モンシア達……いや、バニング達か。そのバニング達の方でも、同様に返事をする声が聞こえてくる。

 

『双方共に問題ないようですので、ルールの説明を。まずは、双方共に送られた地形データを見て下さい。この地形データから外に出た場合、逃亡したとして負けとなります。そして、模擬戦開始は今から20分後。それまでは、双方が好きな位置に移動する事を許可します。人数が少ないという事で、まずはアクセル代表が最初に移動して下さい』

 

 アクセル代表? といったような戸惑ったモンシアの声が聞こえてくるが、判定員はそれに構わず話を進める。

 

『では、アクセル代表お願いします。アクセル代表が移動して10分後にはバニング小隊も移動を開始します。その後。今から20分経ったところで、こちらから合図をして模擬戦の開始となりますので』

 

 その言葉に促されるように、俺はピクシーを移動させる。

 とはいえ、送られてきたデータによると、模擬戦の戦場となっているのは隠れるような場所はあまり多くはない。

 これは、恐らく正面からの戦いとなる可能性が高いだろう。

 大きな岩の類もあるにはあるが、MSを隠せるようなものではない。

 しゃがんだりすれば、話は別かもしれないが……今回の模擬戦は、相手に俺の力を見せる必要がある。それと、ついでにモンシアの鼻をへし折るというのも。

 その結果としてモンシアは裸踊りをする事になるだろうが、それは自業自得と思って貰おう。

 何しろ、向こうは自分達が勝ったらミナトと綾子から手を引けと、そう言ってきたのだから。

 そんな訳で……今回は、正面から戦わせて貰おう。

 俺はピクシーを歩かせ……そのままミデアが停泊している場所から、そう離れていない場所で足を止め、機体を振り向かせる。

 バニング達から見れば、折角最初に動けるようにとアドバンテージを貰ったのに、それをあっさりと捨て去ったようにしか見えないんだろう。

 まだ4機のジムは動いていないが、それでも戸惑い、苛立ちを覚えているのだろうというくらいは容易に予想出来た。

 それでも今回の一件においては、それで問題はない。

 そして時間がすぎていき……やがて10分が経過し、バニング小隊が動ける時間になる。

 当然のようにバニング小隊はすぐ近くで自分達を待ち受けている俺に向かい、歩き出す。

 そして、3機が俺を囲むようにし、1機が後方で援護するべく待機する。

 そのまま時間が流れ……

 

『模擬戦、開始!』

 

 通信から流れてきた声と共に、俺を含めて全員が動き出す。

 3機のジムは、ビームライフルやビームスプレーガンではなく、全員がビームサーベルを構えて俺に向かって突撃してきた。

 実弾のマシンガンを考慮に入れなかったのは、ピクシーの装甲がルナ・チタニウム製で、ビーム兵器ではない実弾の射撃武器は効果がない為だ。

 バニング小隊がそのような射撃武器ではなくビームサーベルを選んだのは、まだMSについて完全に操縦には慣れていないからだろう。

 俺を囲んだ状態で攻撃をした場合、下手をすれば仲間に被害を与える可能性が高い。

 だからこそ、その可能性が少ないビームサーベルを選んだのだ。

 ……こうして見ると、間違いなくバニング小隊は実戦経験がないか、あっても少ないと考えた俺の予想は間違っていなかったな。

 もしこれがホワイトベース隊のMSパイロットなら、ビームライフルの類で攻撃をしてくるのは間違いない。

 ともあれ、近接戦闘を行ってくれるというのなら、こちらにとってもやりやすい。

 片手にビームダガー、片手にビームスプレーガンを装備したピクシーは、真っ先に敵の中でも一番動きのいい……バニングの機体と思われるジムに向かって突っ込む。

 MSにしてみれば、それこそ手を伸ばせば触れるような位置でのスラスターを全開にするという行為。

 普通ならそんな状態で完全にMSをコントロールするのは難しいのだが……俺にしてみれば、この程度の操縦はそこまで難しい事ではない。

 真っ直ぐにバニングのジムとの間合いを詰めると、それに反応してバニングのジムがビームサーベルを振り下ろす。

 だが、スラスターを使いながらその一撃を回避して相手の間合いに入り込むと、ビームスプレーガンの銃口をコックピットに突きつけ、トリガーを引く。

 模擬戦のシステムが、バニング機を撃破したと判断し、これで残りは3機。

 まさか、真っ先に指揮官を撃破されるとは思っていなかったのか、残り2機のジム……恐らくはモンシアとベイトのジムが一瞬動きを止めたのを見て、そちらにビームスプレーガンの銃口を向けて引く。

 狙ってトリガーを引くのではなく、ビームスプレーガンを動かしながら、照準が合ったところでトリガーを引くのだ。

 普通ならそう簡単に出来る事ではないのだが、この辺りは長年戦場にいた慣れもあるし、ピクシーを使って相応に戦いを重ねてきたという点もあって、問題なく撃破した。

 残り2機。

 ビームダガーを片手に近づいてきた1機に向かおうとするも、離れた場所にいた1機から牽制のビームライフルが撃たれる。

 それを急制動して回避するという、Gに喧嘩を売ったような行動で回避し、近づいてきた1機のビームサーベルの一撃を回避しつつ、ビームダガーでコックピットを斬り裂いて撃破判定。

 そのままの動きでビームダガーを投擲し、最後の1機のジムのコックピットを貫き……模擬戦は、開始1分と経たずに終わるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:640
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1512

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