「え? これがガンダム?」
ホワイトベースの格納庫に運び込まれたEz8を見てそう言ったのは、アムロ。
その気持ちも、分からないではない。
俺も最初にEz8のデータを見た時はこれがガンダム? と、アムロと全く同じ事を思ったし。
Ez8は、ベースとなった機体の陸戦型ガンダムの面影を殆ど残していなかったからだ。
ガンダムというのは、細かい意匠は違っても基本的には似ている顔立ちの事が多い。
プロトタイプガンダムやアムロの乗っているガンダム、俺のピクシー、東南アジア戦線で多く使われている陸戦型ガンダムといったMSを見れば、それは明らかだろう。
だが、Ez8にその面影はない。
元々Ez8は、ラサ基地攻略戦において敵の自爆に巻き込まれ、その上で味方を庇った事によって大きなダメージを受けたシローの陸戦型ガンダムを、陸戦型ジムやそれ以外にも各種ジャンクパーツ……中には、ザクやグフ、場合によってはドムの部品を使ってまで改修された機体だ。
元々陸戦型ガンダムは、アムロのガンダムを製造する時に厳しいチェックに弾かれた部品を使って作られたMSだけに、どうしても補充部品が少ない。
それが、如実に表れた形と言ってもいいだろう。
……正確には、ジャブローとかにはまだ陸戦型ガンダムや陸戦型ジムのパーツはあるらしいのだが、シローの機体に使うのは勿体ないと判断されたか……もしくは、パーツを運んでくるよりもさっさと改修した方が早いと、この基地や、それに協力したホワイトベースのメカニックが判断したのか。
ともあれ、そうして完成したのがEz8となる。
正式名称はExtra-Zero-8で、08MS小隊の特別機という意味らしい。
ガンダムではないガンダム。
……何だか、そういう意味ではW世界のガンダムを思い出すな。
あの世界のガンダムも、ガンダムではあるのだが、その外見はガンダムっぽくないものが多かったし。
「これは、シローの特別機だな。専用機と言ってもいい。実際に性能は多少なりとも上がっているらしいし。これから厳しい戦いが待ってるから、それもあって改修したんだろうな」
「へぇ。……けど、それにしちゃあ、もう1機の方は特に改良も何もされていない、普通の陸戦型ガンダムに見えるけど?」
俺とアムロの会話を聞いていたカイが、若干疑問を感じさせるように尋ねてくる。
その言葉は決して間違いではなく、Ez8の次に運ばれてきたのはサンダースの乗る陸戦型ガンダムだった。
「シローの機体は、あくまでも壊れたから改修したんだろ。改修するにも人手や時間が掛かるし、操縦の感覚も違ってくるしな。……それでも本人が希望すれば、改修出来たかもしれないが」
だが、サンダースはそれを望まなかったのだろう。
操縦感覚が変わるのを嫌ったのか、それとも自分の機体を改修するよりはシローのEz8をもっと完璧にするべきだと判断したのか、あるいはそれ以外の別の理由か。
その辺りは、サンダース本人にしか理解出来ない。
「ふーん。まぁ、戦力が増えるのなら、別にどうこう言うつもりはないけどね」
カイも俺の言葉に納得したのか、そんな風に言ってくる。
ともあれ、Ez8と陸戦型ガンダムの搭載が完了するのを見ていると、やがてMSと一緒に3人の人影がホワイトベースの格納庫に入ってくるのが見えた。
それが誰なのかは、MSと一緒に入ってきたのだから、言うまでもないだろう。
シロー、サンダース、ミケル。
その3人も、自分達のMSを見ている俺達に気が付いたのか、こっちにやって来る。
「アクセル、明日からよろしく頼むよ。……まぁ、俺達は今日からホワイトベースに住むから、今日からよろしく頼むって言った方がいいのかもしれないけど」
笑みを浮かべてそう告げてくるシローは、かなり元気そうだ。
入院してたのも念の為の検査入院だったし、その最中にもキキがお見舞いに来て世話を焼いていたのだから、当然かもしれないが。
「こっちも、戦力が増えるのは助かるよ。それと、指揮が出来る奴も」
ぶっちゃけ、俺がシローを歓迎する最大の理由は、Ez8の性能の問題云々よりも、MSの指揮が可能という点が一番大きい。
今までホワイトベースにおいて、指揮を執れる者は多くはなかった。
階級的にはユウだが、ユウは基本的には無口な性格をしており、何よりもEXAMシステム搭載機のブルーディスティニーを操縦するので、そちらに集中する必要がある。
ヤザンは何だかんだとまだMSに乗ったばかりだし、アムロは操縦技術で言えばホワイトベースでもトップクラスだが、軍人としての教育は受けていない。
リュウは場慣れをしているという意味では相応しいが、階級的な問題だったり、ガンタンクというMSである以上、後方からの援護射撃が主だ。
……ミノフスキー粒子がなければ、リュウでも問題はなかったと思うんだが。
俺や綾子は、ホワイトベースにしてみれば傭兵的な存在である以上、指揮を任せるような事は出来ない。
そうなると、残っているのはフィリップやサマナだが……そもそも小隊員としての行動はともかく、指揮官としては未知数だ。
そういう意味で、実際に08MS小隊を指揮してきた経験を持つシローという人材は、ホワイトベースとしては非常にありがたい。
もっとも、シローとしても指揮するのがフルスペックのガンダムだったり、EXAMシステム搭載機のブルーディスティニーだったり、地上での戦いに限定すればアムロのガンダムよりも性能が上のピクシーだったり、MSなのに下半身はタンクのガンタンクだったりと、とてもではないが今までと同様に指揮が出来るとは思えないのだが。
その辺は、残念ながら慣れて貰う必要があるだろう。
幸いにして、サンダースというシローの指揮を実際に知っているMSパイロットも一緒にホワイトベースに配属される事だし。
ミケルは……ガンタンクのパイロットになるのか、ブライトと話していた時のように銃座の担当になるのか、その辺は分からないが。
「指揮?」
シローが若干戸惑ったような表情で俺に視線を向けてくる。
「ああ。生憎と今までホワイトベースには指揮を執るのが上手い奴がいなかったんだよ。そういう訳で、シローがやって来てくれたのは助かる」
「思っていたのとは別の理由で歓迎されるような感じがするな」
俺の言葉が意外だったのか、シローは複雑な表情でそう告げてくる。
シローにしてみれば、今の自分の状況は決して納得出来るものではないのだろう。
……とはいえ、その辺りは実際に納得して貰う必要があるのは間違いないのだが。
「勿論、MSパイロットとしても期待してない訳じゃないが……単純に腕の立つパイロットなら、ホワイトベース隊には多いしな」
「う」
少しだけショックを受けた様子のシロー。
シローにしてみれば、MS小隊を率いていただけに操縦技術には多少なりとも自信があったのだろう。
だがぶっちゃけた話、ホワイトベースにはシローよりも操縦技術が上の者は大勢いる。
あくまでもシミュレータを使った模擬戦での予想だが、カイやフィリップよりも下で、ヤザンと同じくらいか、少し劣るくらい……というのが、俺のシローの評価だ。
あくまでも操縦技術だけでの話だが。
というか、純粋な操縦技術ならシローよりもサンダースの方が上だったような気がする。
「取りあえず、MSの操縦技術じゃなくて指揮となれば、シローにしか出来ない事なのは間違いなから、頑張ってくれ。……色々と癖の強い奴も多いけど」
操縦技術の高い者が揃っているホワイトベースだが、同時に癖のある性格をしている者が多いのも、また事実なのだ。
それを纏めるのは、シローであっても難しいと思う。
「その辺はおいおい何とかしていくとして、まずはブライトに着任の挨拶をしに行った方がいいんじゃないか?」
「え? ああ、そうだな。じゃあ、そうさせて貰うよ。皆、今日からよろしく頼む。俺が指揮を任される事になるのかどうかは、まだ分からない。けど、皆が死なないように精一杯頑張らせて貰うよ」
そう言い、サンダースとミケルを連れて格納庫を出ていった。
皆を死なせない、ね。
これが表向きな発言ならよくある事だけど、シローの場合は本気で言ってるからな。
それは、シローがラサ基地の自爆で仲間を庇ってMSが大破に近いくらいの損傷を受けた事が証明している。
だからこそ、信頼出来る相手だと判断するようになったのも、間違いのない事実なのだが。
「……あ」
シローについて考えていると、不意に近くからそんな声が聞こえてきた。
一体何があった? と思って声を発した人物……ハヤトの視線を追うと、そこでは見覚えのある女……キキが顔を出していた。
ご丁寧な事に、色々と荷物が入ってるらしいズタ袋を持って。
「げ」
キキの口から、そんな声が漏れたのが聞こえてくる。
混沌精霊だからこそ聞こえてきた、そんな声。
キキにしてみれば、まさか密航しようとしていきなり見つかるとは思ってもいなかったのだろう。
密航? うーん、こういう場合も密航って表現が正しいのかどうかは、ちょっと分からなかったが。
ともあれ、俺達に見つかったと判断したキキは、覚悟を決めたのか荷物の入ったズタ袋を手に、こっちに近づいてくる。
「今日からあたしも世話になるから、よろしく」
堂々としたその様子は、事情を知らない者であれば、もしかしたら正式にホワイトベースの一員として配属になった人物であると考えても、おかしくはない。
だが、生憎とここにいるのはMSパイロットで、シローの事をそれなりに知っているし、キキがシローにどのような想いを抱いているのかというのも知っている者は多かった。
「あー……リュウ、任せた」
「え? 俺かよ? しょうがねえな。……キキだったか。お前が来るってのは、分かっていた。シローがこのホワイトベースに配属になるって知った時から、予想するのは難しくなかったしな」
リュウの言葉に、キキは愛想笑いを浮かべて誤魔化そうとする。
その表情の中に若干の照れが入っているように見えたのは、まさか自分がシローを好きだというのを、俺達が知っているとは思わなかったのだろう。
もしくは、本人は上手く隠しているつもりで、誰にも自分の気持ちを悟られていないと思っていたか。
「えっと、その……じゃあ?」
「ああ、そのまま乗っても構わない。ただし、ホワイトベースに乗るという事は連邦軍の軍人になるとまではいかないが、軍属という扱いになる。それは構わないか?」
「軍属? それって軍人とは違うの?」
リュウの言葉に、キキは首を傾げて尋ねる。
一応ゲリラではあっても、連邦軍の構成とかそういうのには詳しくないのか。それとも、キキ個人が詳しくないだけなのか。
……アムロ、カイ、ハヤトといった面々も軍属? と首を傾げているのには、若干思うところがない訳でもないが。
アムロ達も、ホワイトベースに乗った当初は軍属という扱いだった。
その後、MSのパイロットとして正式にホワイトベースに協力する事になり、その結果として正式に軍人になったのだ。
もっとも、当然のようにしっかりと軍人としての教育を受けた訳ではない以上、ある意味誤魔化しに近いというのは事実だが。
「軍人以外で軍に協力している者の通称だ。言ってみれば、民間協力員といったところか?」
「ふーん。で、あたしはこのホワイトベースだっけ? それに乗って何をすればいいの?」
連邦軍に所属する訳ではなく、あくまでも民間協力員という状況だからなのか、それとも単純にシローと一緒にいられるのを楽しみにしているからなのかは分からないが、キキは意欲満々といった様子でリュウに尋ねていた。
この辺、上手く説明したリュウの手柄と言ってもいい。
「お前さんにやって欲しい事は、言ってみれば雑用だな。ホワイトベースにはちょっとした事情で子供も乗ってるんだが、今はフラウってお前さんと同じ軍属の娘が面倒を見ている」
「はぁ? 子供? 何だって子供が軍艦に……」
「だから、ちょっとした事情だ」
驚きの声を上げるキキに、リュウがそう誤魔化す。
……まぁ、普通なら軍艦に子供が乗ってるってのは、明らかに異常だしな。
キキが驚いてそんな風に言いたくなるのは、理解出来る。
「ふーん。……まぁ、子守は村にいる時もやってたから、別にいいけど。やるのはそれだけ?」
「いや、それ以外にも色々とある。それこそ、雑用ってくらいだから、掃除だったり食堂の手伝いだったり、それ以外にも色々とな。……どうだ? それでもホワイトベースに乗るのなら、乗艦を許可する。ただ、仕事を真面目にやらなかったりした場合は、最悪強制的にホワイトベースを下ろされる場合もある。それでもいいか?」
「勿論! 雑用くらい、何だってのさ。そのくらいなら、問題ないよ」
自信満々の表情で、キキはそう告げるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:590
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1502