「は? それ、本気なのか?」
聞かされた話に、俺は半ば反射的にそう返す。
だが、ブライトは若干困った様子ながらも頷く。
「そうだ。向こうからの善意……とまでは言わないが、それでもホワイトベースがこれから挑むオデッサ攻略においては、戦力が多ければ多い方がいい。違うか?」
「それは否定しないし、シロー達なら相応に気心も知れてるからいいけど……でも、繰り返すようだけど本当に本気なのか?」
「ああ」
再度の問いに、ブライトは頷く。
ブライトが俺に言ってきたのは、この東南アジア戦線を発ってオデッサに行く際に、ここの連邦軍から援軍として部隊が派遣されるという事だった。
そして派遣されるのは、ホワイトベース隊とも馴染み深いシロー率いる第08MS小隊。
「イーサンが手柄を求めてか?」
ブライトに尋ね、それ以外にも理由はあるのだろうが、一番大きな理由はそれなのだろうと判断する。
イーサンにしてみれば、ラサ基地の攻略においてジオン軍の自爆を許してしまっている。
今でも基地の跡地で何か有用な情報や技術の類がないかといったように調べてはいるらしいが、それが報われる可能性は殆どない。
それでいて、ラサ基地攻略に関しても山の中に基地があるという事で攻めあぐねていたのを解決したのは、俺が用意したアプサラスⅡだった。
結果として、イーサンは手柄を挙げる事は出来たが、本人が期待していた程の……具体的には、ジャブローに栄転する程の手柄を挙げる事は出来ず、それどころかアプサラスⅡの一件でルナ・ジオン軍に借りを作ってしまってすらいる。
……あるいは、ラサ基地攻略作戦の時に俺達が遭遇したEXAMシステムを搭載したイフリート改を東南アジア戦線の連邦軍が倒していれば、かなりの手柄になったかもしれないが、実際にイフリート改と遭遇したのは俺達だったし、その俺達にしてもイフリート改を倒せずに逃がしてしまっている。
だからこそ、少しでも自分の手柄にしようと、オデッサの攻略に自分の部下を派遣するといった事を考えたのかもしれないが……
「こちらからは何とも言えん」
ブライトが俺の問いに、言葉を濁す。
そう思ってはいても、直接言葉には出せないのだろう。
それは分かるが……そうなると、また別の問題もある。
「そもそも、ホワイトベースに現状で殆ど空きはないだろ」
俺のピクシー、アムロのガンダム、カイのガンキャノン、綾子とフィリップ、サマナの陸戦型ジムで3機、ユウのブルーディスティニー、ヤザン、ダンケル、ラムサスでジムが3機。そしてガンタンク隊の3機。
現在、ホワイトベースには合計13機のMSがある。
そして、ホワイトベースが搭載出来るMSの総数は、かなり無理をして15機。
08MS小隊は3機のMSとホバートラックで構成されているのを考えると、明らかにキャパシティオーバーとなる。
「ああ、それはイーサン大佐に言った。派遣するのは08MS小隊全機という訳ではないらしい。実際に派遣されるのは、シロー少尉とサンダース軍曹、ミケル伍長の3人だけだ」
「……シローとサンダースはともかく、ミケルってのは、ホバートラック要員じゃなかったか? MSが2機しか搭載出来ない以上、そのミケルってのは何で来るんだ?」
「一応、向こうとしてはガンタンク隊の要員としてはどうかという話だ」
ブライトの言葉に、納得するような、納得出来ないような、そんな微妙な感じを覚える。
現在のガンタンク隊は、リュウ、ハヤト、ジョブや、それ以外にも3人いる。
綾子が抜けて陸戦型ジムのパイロットになった事もあり、その追加で入った人員も3人の中にはいるが……ぶっちゃけた話、それなりにやれている現状でわざわざミケルを使う必要があるのか? といった疑問もあった。
しっかりと確認した訳ではないが、少し話した程度でもミケルは軍の訓練をしっかりと受けた訳ではないように思えたし、実際に身体の動かし方は素人そのものといった感じがする。
その辺りの事情を考えると、ミケルをガンタンク隊にというのは疑問だろう。
人が足りない状況であれば話は別だったのだろうが、今は特に人員不足といった訳でもないし。
「ガンタンク隊は今のままで上手く回っているし、無理に交代する必要はないんじゃないか?」
「だが、イーサン大佐からの要望だ。軍に属する者としては……」
「銃座についてもらうとかでいいだろ?」
ホワイトベースの銃座……というか、UC世界における軍艦の銃座は、基本的に人が直接乗ってそこから敵を攻撃するといった感じだ。
SEED世界のアークエンジェルのように、ブリッジからの遠隔操作で自動的に敵を狙うといった真似は出来ない。
将来的にはそのような事も出来るようになるかもしれないが、取りあえずホワイトベースの銃座という場所なら、まだある程度空いている筈だった。
正確には敵が襲ってきた場合は、ある程度手の空いている者がそれぞれ銃座で攻撃するといった流れである以上、余裕は相応にあるのだが。
「その辺は検討しよう。ホワイトベースも人材が十分だという訳ではない。ミケル伍長にも、やれるべき仕事は多いのだろうし」
ブライトの言葉に、納得して頷く。
実際、ブライトが言うようにホワイトベースの人材は完璧かと言われれば、決してそんな事はない。
一応現在の状況ではある程度問題ないが、それで万全かと言われれば、答えは否なのだ。
「ミケルをどうするのかは、任せる。それで、シローとサンダースだが……どういう基準でそうなったのか分かるか? シローの部下には、他にカレンとかいう女もいた筈だけど」
「それはこちらにも分からない。ただ、可能性として考えるのであれば……やはり、そのパイロットが優秀だから手元に残しておきたいといったところか」
「優秀って意味なら、それこそシローだって同様じゃないか?」
MS小隊の隊長を務めており、ゲリラと交渉して自分達の味方に引き入れ、更には理由は不明だがジオン軍を強く憎んでいる。
連邦軍の軍人としては、間違いなく優秀な人材だろう。
だというのに、それでもカレンを手元に残してシローをホワイトベースに送ってくるのは……派遣したMSパイロットに手柄を挙げさせ、その上で自分の手柄にしたいと、そう思っている為か?
「その辺の判断は上の者がした事だ。そうである以上、こちらからは何も言えない。……彼がホワイトベースに何か不利益になるような事をするのであれば、話は別だが」
ブライトにとっても、今回のイーサンの行動には腑に落ちないところがあるのか、そう告げる。
正直なところ、シローを疑うような真似はしたくない。
キキとの一件を見れば、シローがそういうのに向いていないというのは明らかだし。
……あ。
「シローがホワイトベースに乗り込むのなら、キキも乗ってくるかもしれないな」
「何?」
俺の呟きに、ブライトは意味が分からないと言ったように首を傾げる。
あれ? ブライトもキキの事は知っていたと思うんだが。
「ほら、キキだ。ゲリラの。シローの事が好きで、現在は押して押して押しまくっている。検査入院していた時は、妻かってくらいに世話を焼いて外堀を埋めてた」
そこまで言われ、ようやくブライトもキキが誰なのかを理解したのだろう。納得したように頷く。
「なるほど、あの……だが、ホワイトベースに乗るのか?」
「シローの事が大好きなだけに、シローと一緒にいる為なら最悪密航くらいは平気でしそうだけどな」
うわぁ、と。
そんな表情を浮かべるブライト。
生真面目なブライトにしてみれば、ゲリラの女がホワイトベースに密航するというのは、絶対に避けたい事なのだろう。
だが、キキのシローへの入れ込み具合を見ている限りでは、そんな真似を普通にすると思う。
何よりも厄介なのは、そんなキキを応援している者が何気に多い事だろう。
それこそ、キキがシローと一緒にいたいから密航したいと希望すれば、それに心を動かされるような者は相応にいると思う。
キキには、どこか手伝ってやりたいと思うような、そんな不思議な雰囲気を持っているのだ。
この基地によく出入りし、シローに対する好意を隠さなかったというのも、この場合は大きい。
「……分かった。取りあえずそのキキについても考えておこう」
数秒の沈黙……いや、葛藤の末に、ブライトはそう告げる。
あの生真面目だったブライトが、よくもまぁ、こうして素直にキキの乗船を認めるようになったよな。
そのことは、素直に驚きでもある。
「そうしてくれると、余計な騒動もなくて助かるな。……ホワイトベースの戦力に話を戻すけど、取りあえずこれで最大搭載数までMSを積み込むことが出来るようになった訳だ」
「そうだな。これ以上の搭載は……まぁ、甲板とかに置いておくといったことをしないと、難しいだろう」
「それは、また……」
甲板の上に置かれるという事は、言ってみれば野晒しといった感じだ。
一応問題はないだろうが……それでも、MSに何か悪影響が出ないとも限らない。
これが宇宙なら、風とか砂とか埃とか雨とか……そういうのを全く気にしなくてもいいんだが。
その代わり、空気が存在しないのでどっちもどっちか?
「ああ、それと……ブルーディスティニーの件でアルフ大尉もホワイトベースで共に行動する事になる」
「は?」
ブライトの口から出たのは予想外の言葉だったが、考えてみれば当然の事でもあった。
アルフはブルーディスティニー……いや、正確にはEXAMシステムの開発者の1人だ。
もっとも、本当の意味での開発者という点では、未だに俺の前に姿を現してはいないのだが。
こうも徹底的に隠れているのを考えるに、俺の前に出て来ればその時点で殺されると、そう判断していてもおかしくはない。
……実際には、ルナ・ジオンと連邦の関係を考えると、それを実行した場合は難しい事になるのだが。
ただし、生きていれば非常に厄介な相手だけに、見つければ余程の事情がない限りは、この手で殺すだろうけど。
向こうも、それを理解してるからこそアルフを全面的に前に出しているのだろう。
「アルフか。……まぁ、EXAMシステムの事を考えれば必要な人材だし、技術者としても一流なのは間違いない。そういう意味では、いないよりはいた方がいいのは間違いないんだろうけど」
実際、ホワイトベースのメカニックも、アルフの技量には感心していた。
また、本職の軍人ではなく技術者や研究者といった一面が強いせいか、階級に関しては対して気にしていないらしい。
純粋な階級という点では、ホワイトベースのブライトが中尉で、アルフが大尉。
その辺の事情を考えると、アルフが階級を気にしない人物であるというのはブライトにとっても運が良かった。
大尉と言えば、真っ先に思い出すのはリードの事だ。
ホワイトベースにいる間は、散々手を焼かされた人物。
……とはいえ、本当の意味でリードに手を焼かされたのは、俺ではなくブライトを含めたブリッジの面々なのだろうが。
ともあれ、どこからともなく情報を仕入れたり、予想外に的確な意見を言う事もあったが、それでもやはりリードというのは階級を傘にブライトに理不尽な命令をする人物というイメージが強い。
だが、アルフは同じ大尉であってもリードのように出しゃばったりはしないだろう。
少なくても、ホワイトベースの行動については。
ブルーディスティニーに関係する何かがあった場合は、話は別だが。
その後も、ブライトと色々と打ち合わせをする。
……本来なら、こういう打ち合わせはリュウとかとした方がいいと思うんだが。
ただ、ブライトにとっては俺の方が色々と打ち合わせがしやすいという事なのだろう。
「そう言えば、アクセル。オデッサの攻略でも……あの、大福のような兵器は使うのか?」
大福? と一瞬何を言っているのか分からなかったが、それでもブライトの言いたい事はすぐに理解出来た。
大福というのは、つまりアプサラスⅡだろう。
「そのつもりでいる。オデッサには、近隣のジオン軍の戦力が大量に集まっている筈だ。そういう戦場でこそ、アプサラスの攻撃は有効だ。……混戦になれば、ちょっと使い道がないけど」
大出力のメガ粒子砲を発射する以上、混戦となった場合は当然そこに味方も含まれてしまう。
まさか、味方諸共に撃てなんて事は言えないだろうし。……これがイーサンなら、撃てと言ってもおかしくはないのだが。
「なるほど。ラサ基地攻略の時の戦いを考えれば、それは納得出来る」
ブライトも俺の言葉にしみじみと頷く。
あれだけの威力の攻撃が敵だけではなく味方にも放たれるかもしれないと考えれば、普通ならそれは許容出来ないのは当然だ。
「だろう? だから、撃ってもラサ基地の時と同じく、先制攻撃としての一撃か……まだ連邦軍が存在しなくて、ジオン軍が集まっている場所になってしまう」
その言葉に、ブライトは納得したように頷くのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:590
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1502