ラサ基地攻略作戦の終盤に起こった爆発。
それは、やはり俺が予想した通り……いや、ある意味では予想以上に酷い理由だったらしい。
ラサ基地を守り切る事は不可能と判断した敵の司令官は、連邦軍に各種情報を渡さない為に各種データを全て消去し、その上でコンピュータを破壊した。
もし連邦軍がどうにか破壊したコンピュータを回収して修復出来たとしても、そこから情報を取り出す事は非常に難しいだろうと思えるくらい、徹底的に。
その上で敵は情報をこちらに渡さないだけではなく、可能な限り連邦軍の戦力を削り取るという手段に打って出た。
総合的に得られた情報によると、ラサ基地からはかなりの戦力が既に脱出しており、オデッサに向かっている可能性が高いらしい。
向こうにしてみれば、あの戦いは元から負けの決まっていた戦いで、その上で連邦軍にダメージを与えるというのが目的だったとか何とか。
考えてみれば、東南アジア戦線のジオン軍最大の基地だというのに、戦力的には予想していた程ではなかったしな。
ある意味で当然の結果だった……と、言えなくもないのか?
ともあれ、そんな訳で東南アジア戦線の連邦軍はラサ基地攻略戦で大きな被害を受けてしまった。
シローのいる08MS小隊はラサ基地の中にはいなかったものの、すぐ近くにはいたらしく、何だかんだと被害は大きい。
特にシローの陸戦型ガンダムは咄嗟に仲間を庇った為に機体は大破に近い扱いになっているらしく、パーツ的な問題で完全な修復は無理らしい。
なので、現在はホワイトベースのメカニック達も協力して、全面的に改修している。
カレンだったか。シローの部下の女が使っていた陸戦型ガンダムは、頭部が致命的に損傷した事もあって、現在は陸戦型ジムの頭を使っているとか何とか。
ぶっちゃけ、ブルーディスティニーの蒼くないバージョン的な感じか?
当然だが、カレンの機体にEXAMシステムは搭載されてはいない。
08MS小隊はそんな感じで、MSは相応の被害を受けたが、パイロットの方も幸い無事だった。
シローは検査入院をしており、そこに連日のようにキキが見舞いに押しかけているらしいが。
最近では病院の人間からもシローの恋人として扱われているとかなんとか。
うーん……この場合、キキの周到さを褒めるべきか?
それとも、着々と地盤を固めているキキを褒めるべきなのか。
このままだとシローはなし崩し的にキキに戴かれる事になりかねないな。
……シロー的には、若い恋人を得られるんだし、幸運なのかもしれないが。
ともあれ、今回のラサ基地攻略作戦は主導したイーサンにとって、完全な失敗という訳ではなかったが、成功という訳でもなかった。
東南アジア戦線からジオン軍を叩き出したという意味では大きいものの、言ってみればそれだけでしかない。
もしラサ基地を上手い具合に占領する事が出来ていれば、ジオン軍の重要なデータの類を知る事も出来ただろうし、MSを接収するような事も出来ただろう。
だが、それらは全てがパーとなってしまった。
俺達もイーサンの事を笑っていられるような余裕はないが。
具体的にはダンケルとラムサスが乗っていたジムが撃破され、本人達も多少の負傷をして現在入院中だ。
そして、2人が乗っていたジムもジオン軍に奪われたのか行方不明。……いや、俺の空間倉庫の中に入ってるんだが。
取りあえず、ジオン軍に奪われるよりは俺が持っていた方がいいだろう。
そんな風に思いつつ、俺はブライトから渡された報告書に目を通す。
あ。07MS小隊……俺が初めてこの基地に来た時にサンダースに絡んでいた連中だが、その連中はあの爆発があった時にラサ基地の中にいたらしく、死亡が確認されている。
決して愉快な相手ではなかったが、それでもあの爆発に巻き込まれて死んだというのは、哀れだな。
せめてもの救いは、爆発に巻き込まれた事によって死んだので、苦しんだりしなかったらしい事か。
「東南アジア戦線はこれからどうなるか、知ってるか?」
書類を返しながら、ブライトに尋ねる。
ちなみにここは、ホワイトベースの艦長室。
あのラサ基地攻略戦から数日、現在はようやく落ち着いてきたといった感じか。
ちなみに、現在もラサ基地……いや、ラサ基地の跡地では、連邦軍の兵士達が何か有益な物が残っていないかと探してはいるらしい。
あれだけの爆発があった事を考えると、何かが残っているとはとても思えないのだが……イーサンにしてみれば、少しでも何かがあって欲しいと思っているのだろう。
「そうだな。取りあえずジオン軍を追い出す事は出来た。後はイーサン大佐がこの地域を守る事になると思う」
「だろうな。ただ、そうなるとイーサンとしては面白くはない」
「ああ。イーサン大佐としては、ここで手柄を挙げてジャブローに戻る事を希望していたらしい。だが、思った程の手柄ではなかった。それどころか、連邦軍が受けた被害を思えば、マイナスの方が大きいだろう」
「そうなると……こっちにちょっかいを出してくる可能性があるか?」
ラサ基地の一件で手柄を挙げる事が出来なかった以上、イーサンがジャブローに戻る為には、何か別の手柄を挙げる必要がある。
そうなるとアプサラスⅡも危なかったが、既にギニアス達はハワイに戻っている。
アプサラスⅢの最終調整を行うらしい。
今回の一件で取ったアプサラスⅡのデータは、ギニアス達にとって非常に大きなものだったのだろう。
「ホワイトベースにちょっかいを出すような真似はしないと思うが……それでも完全にそうだとは言い切れないな」
ブライトが難しい表情でそう告げる。
追い詰められた――という表現が正しいのかどうかは分からないが――イーサンにしてみれば、ホワイトベースというのは自分の手柄にする為のネタには困らないといったところだろう。
だからこそ、ホワイトベースにちょっかいを出してくる可能性は十分にあった。
普通ならそんな真似はしないのだろうが、これだけの大きな失態を見せてしまったイーサンにしてみれば、とてもではないが普通と呼ぶべき状況ではない。
「そうなると、出来るだけここを早く出た方がいいんだが……どうする?」
「マチルダ中尉の補給物資が来るまでは、ここにいる必要があるな。入院しているダンケルとラムサスの件もあるし」
「分かった。なら、イーサンが余計な事をしないように、祈っておくとしよう」
実際に何かしてきたら、実力行使で対処することになると思うが。
ブライトとの打ち合わせを終えると、艦長室から出る。
特に何かやる事もないし、格納庫にでも顔を出すか。
イフリート改に負けたのが悔しかったのか、最近はヤザンが今まで以上にシミュレータを使った訓練を頑張っているし。
もっとも、それでもまだ実力はそこまで高くはない。
ホワイトベース以外の場所でなら、相応に実力を発揮出来るのだろうが……良くも悪くも、ホワイトベースに乗っているパイロットにはエース級と呼ぶべき能力を持っている者も多い。
ホワイトベースの中では準エースといった感じのカイやフィリップも、ホワイトベース以外の場所では、エースとして活躍出来るだけの実力を持っているのだから。
本人達が、それに気が付いているかどうかは、また別の話だが。
そして、案の定……
「アクセル! 暇なら、ちょっとシミュレータに付き合ってくれ!」
格納庫に入ってきた俺を見つけ、ヤザンが叫ぶ声が聞こえてきた。
ヤザンの側には、ヘトヘトになっているアムロの姿もある。
あー……まぁ、アムロは操縦技術そのものは高いが、別に軍人という訳ではない。
ある程度の基礎訓練は受けているようだが、どうしても軍人と比べると、体力的には落ちてしまう。
そんなアムロにとって、ヤザンとぶっ続けて何時間も模擬戦をやるというのは、体力的に厳しいだろう。
実機ではなくシミュレータである分、体力の消耗はそこまで多くはない。
だが、塵も積もれば山となると言われるように、小さな消耗であっても重ねれば、その消耗は侮れなくなる。
「分かった。俺が付き合ってやるから、アムロは解放してやれ。見るからに疲れ切ってるぞ」
「ああん? ……ったく、あれだけの操縦技術を持ってるくせに、何だってこんなに体力ないんだよ。お前、軍人としてやっていくのなら、もう少し鍛えた方がいいぞ?」
ヤザンの言葉に、アムロは何かを言いたそうな様子を見せる。
アムロにしてみれば、この戦争には半ば巻き込まれて参加したようなものだ。
当然のように軍人である事を求められるのは、あまり面白くはないのだろう。
もっとも、それでも軍人として活動しているのは事実である以上、それに不満の声を出す事はなかったが。
「じゃあ、後はアクセルさんに任せますね。僕はこれで失礼します」
そう言い、アムロは若干足をふらつかせながら格納庫を立ち去る。
……格納庫の入り口で偶然フラウやカツ、レツ、キッカ、そしてハロに遭遇し、色々と言葉を交わしているのが見えるが……フラウとアムロの関係は、一体どこまで進んでるんだろうな。
それがちょっと気になるが、ともあれ今はそれよりもヤザンの相手をするのが先だろう。
「じゃあ、模擬戦をやるか。……その前に、ダンケルとラムサスの具合はどうなんだ?」
「そこまで重傷って訳じゃなかったからな。その辺は心配いらないだろ。それに、病院にはMSのパイロットも入院してるから、そっちで話を聞いたりして意見交換をしてるみたいだな」
へぇ、予想よりもヤザンはしっかりとダンケルとラムサスの事を気にしていたらしい。
何だかんだと、面倒見はいいって事か。
そういうヤザンだからこそ、ダンケルやラムサスも慕っているんだろうけど。
「それで、MSの補給の方は出来そうか?」
「ミデアで持ってきてくれるらしいから、それ待ちだな。この基地に所属するMS隊は、どれも陸戦型で俺達が使っているMSとは違うし」
若干の不満と共に、ヤザンが呟く。
まぁ、その気持ちは分かる。
名前は同じジムであっても、通常のジムと陸戦型ジムとでは、かなり違う場所が多かった。
性能的にも、ルナ・チタニウム製の装甲を使っていたり、それ以外の部分でも陸戦型ジムの方が上だ。
もっとも、ヤザン達が使っているジムは、地上だけではなく宇宙でも使えるようになっているのだが、陸戦型ジムはその名の通り地球でしか使えず、宇宙で使う事は出来ないのだが。
共通する部品も、ない訳ではないだろうが……それでも、そこまで多くはない。
「結局ミデアが来るまではここにいる事になりそうだな」
「そうなる。もっとも、俺にとってここは満足出来る場所だけどな」
そう告げるヤザンは、言葉通り満足そうに笑っている。
ヤザンにしてみれば、シミュレータがホワイトベース以外にも多く存在し、それを使う事で多くのMSと模擬戦が出来るという今の状況は、望むところなのだろう。
ましてや、今のヤザンはイフリート改に負けてからまだ時間はあまり経っておらず、結果としてより強力な相手との戦いを希望しているのだから。
とはいえ、この基地とホワイトベースにいるMSパイロット全員で誰が強いのかをやれば、ほぼ間違いなく上位はホワイトベース隊が独占する事になると思うが。
それでも同じ相手とばかり戦っていれば、どうしても慣れのようなものが出て来てしまう。
そういう意味では、多くの相手と戦えるというこの基地はヤザンにとって最適なのは間違いなかった。
「そうか。なら、そろそろ模擬戦を始めるか? ヤザンも、早く戦いたいだろうし」
話を変えてそう告げる俺の言葉に、ヤザンはニヤリとした笑みを浮かべるのだった。
こちらに向けて放たれたビームを、俺の操縦するピクシーは回避しながら進む。
基本的に、ビームというのは撃った次の瞬間には命中しているので、撃ったのを見てから回避するといった真似は出来ない。……UC世界のMSでは出来ない、と表現した方が正確か。
T-LINKシステムを使っているニーズヘッグと、混沌精霊である俺の身体能力が組み合わされば、ビームを見てから回避するといった事も不可能ではないのだが。
だが、元からこのUC世界のMSは俺の反応速度には対応出来ないし、その上で更に現在使っているのはMSの実機ではなくシミュレータだ。
だからこそ、そのようなシミュレータでビームの一撃を回避する場合、必要なのは反射で回避するのではなく、先読みで……相手が攻撃する前に、既に回避行動を取っておく事だ。
そうしてビームを回避しながら、ヤザンのジムに近づいていき……そんなピクシーを待ち受けるように、ヤザンのジムもビームサーベルを構える。
だが、その時は既にピクシーはビームダガーを振り切っており……コックピットを貫通されたジムは、撃破扱いとなるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:590
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1502