転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2400話

 目の前の光景に若干驚きはしたが、とにかくギニアス達の状況を確認するべく、外部スピーカーを使って声を掛ける。

 

「無事か? 一体、何があった? いや、こうして見れば大体は分かるけど」

『アクセル代表!』

 

 そこでようやく俺の……正確には近づいてくるピクシーの存在に気が付いたのだろう。

 天幕の1つからギニアスや他の技術者達が飛び出してくる。

 こうして見る限りでは、ギニアスを含めて全員に怪我の類は見られない。

 その事に、まずは安堵する。

 他の技術者や研究者達なら怪我をしてもいいという訳ではないのだが、それでもやはりアプサラス計画というのは、ギニアスという1人の天才……鬼才か? ともあれ、ギニアスの力が非常に大きいのは間違いのない事実だ。

 サハリン家に仕えている者や、MIP社から派遣された者も、相応に貴重なのは間違いないが。

 このままだと話しにくいと判断し、周囲に他の敵がいないのを確認してから、ピクシーのコックピットを展開し、そのまま乗降ワイヤーで降りる。

 俺が空を飛べるというのを知らせるくらいなら、別に構わないのだが……何となく今はそっちの方がいいだろうと判断した為の行動だ。

 

「どうやら敵に襲われたみたいだけど、無事だったみたいだな」

「はい。ダイル准尉が協力してくれたのも大きいです」

 

 そう言いながら陸戦型ジムの方を見るギニアスの表情には、若干複雑な色がある。

 ギニアスはジオン公国からルナ・ジオンにやって来て、その後はハワイにいたしな。

 ホワイトベースがハワイにいる時は、ドッグから出る事を許可されていなかった。

 そう考えれば、実際に連邦軍と接したのはこれが初めてなんだろう。

 俺が知らないところで接触している可能性も、ない訳ではないが。

 連邦軍の陸戦型ジムと協力して、ジオン軍のザクをグフカスタムで倒す。

 みるからに異様なというか、混沌としているというか、そんな感じだな。

 

「そうか。……ダイルは予想外に誠実な軍人だったらしいな」

 

 ザクが襲ってきたら、そのどさくさに紛れてアプサラスのデータを盗む……くらいのことは、やってもおかしくはないと思っていたのだが。

 だが、ダイルはしっかりとギニアス達を守ったのだ。

 結果として、陸戦型ジムは右足を破壊されており、グフカスタムに支えられていなければ立つことは出来ない状態になっている。

 

「ダイルの怪我は? MSは損傷を受けたみたいだが……」

「問題ありません」

 

 俺の言葉に答えたのは、ギニアスではなく陸戦型ジムのコックピットから降りてきたダイル本人だった。

 その言葉通り、特に怪我をした様子は見えない。

 

「そうか、うちの部隊を守ってくれて感謝する」

「いえ、これが仕事ですから」

 

 そう告げるダイルの様子を見ると、イーサンの部下にも有能な奴はいるものだなとしみじみ思う。

 シローも有能なのは間違いないが、ダイルと同じような仕事が出来るかと言えば、難しいだろう。

 シローの中には、ジオン軍に対する強烈な憎しみが存在している。

 それだけに、この場所……元ジオン公国の人間を守れと言われれば、最悪暴発する可能性もあるだろう。

 それを考えれば、ダイルのように命令に忠実に従う人物というのは、得がたい。

 それこそ、出来ればルナ・ジオンに引き抜きたいくらいには。

 ……問題なのは、連邦軍からそう簡単に引き抜く事は難しいし、場合によっては引き抜く事が出来ても、実は連邦軍に情報を流す……という可能性がある事か。

 

「後でイーサンの方にもダイルはしっかりと仕事を果たしたと言っておく。それで、お前はこれからどうする? MSがその状態だと、固定砲台くらいしか出来ないと思うが」

 

 とはいえ、MSの固定砲台というのは決して侮る事は出来ない。

 特にビームライフルだったり、陸戦型ガンダムやジムが使う180mmキャノンは強力だ。

 その辺は、ガンタンクがホワイトベースの移動砲台として成果を挙げていることを見れば、明らかだろう。

 

「そう、ですね。……出来れば、一度本隊に戻って修理をしたいのですが」

 

 そう言うダイルだったが、少し困った様子で周囲を見回す。

 ここにあるMSは、グフカスタムが3機。

 もしくは、空中にいるアプサラスと、グフ・フライトタイプが2機のみだ。

 まさか、グフが陸戦型ジムを連れて一緒に連邦軍の本隊に向かう訳にもいかないし、そのような真似をすれば、この拠点の防衛が薄くなるという可能性もある。

 

「こっちから戦力を派遣する訳にはいかないな。グフカスタムはともかく、俺のピクシーも他の敵を探す必要があるし」

 

 遊軍という扱いである以上、こちらとしても出来るだけ周囲を見ておきたい。

 ここで下手に手を抜いたような真似をした場合、それは連邦軍に対する大きな被害となりかねない。

 ぶっちゃけ、イーサンが被害を受けるのならそこまで気にはしないのだが、ホワイトベースにまで被害が及ぶような事になれば、ちょっと洒落にならない。

 一応、俺以外のホワイトベース隊の面々が動いてはいるから、ピクシー1機がいなくても、もしかしたら……と、そう思わない訳でもないのだが。

 

「大丈夫です。通信でこちらに戦力を寄越して貰いますので。トレーラーがあれば、運ぶ事は出来ますし」

 

 俺の様子を見て、ダイルがそう告げる。

 ダイルとしても、ピクシーに連れられて移動するというのは、戦力の低下を考えると避けたいのだろう。

 正直なところ、こちらとしてもダイルの提案は非常に助かるのだが。

 

「そうか? なら、俺はこの辺でそろそろ失礼するよ。他の場所も見て回る必要があるし。……ここを守ってくれて助かった」

 

 去り際に、短く礼を言っておく。

 ダイルが少し驚いた様子を見せていたのが若干気になったが……俺は、そんなに謝らないようにみえるのか?

 微妙な思いを抱えつつ、ピクシーに乗り込む。

 そして周囲の様子を確認するが……幸いにして、先程と同様にまだ周囲に敵の姿はない。

 ジオン軍がここに来た理由は、正直なところ分からないでもない。

 アプサラスⅡのメガ粒子砲でラサ基地が大きな被害を受けた以上、それをやったのがどのような存在なのかを確認し、可能なら破壊するなり、奪うなりしたかったのだろう。

 アプサラスⅡのメガ粒子砲を直接食らった身としては、当然のことなのだろうが。

 行動に移すのが早い辺り、ラサ基地の司令部にいるのは相応に有能なのだろう。

 

「じゃあ、俺は行くから気をつけてくれ。アプサラスⅡは地上に戻して、ガトーとノリスもこっちの護衛に回した方がいいかもしれないな」

 

 そう告げ、その場を後にする。

 ギニアスが頭を下げ、他の技術者や研究者、メカニック達が俺に向かって大きく手を振っているのが、映像モニタに映し出された。

 俺もそれにピクシーの手を軽く振って応え、その場を後にする。

 さて、ここの安全は取りあえず確保したし、次に俺が向かうのは……当然のように、他の敵のいる場所だ。

 とはいえ、ラサ基地も戦力的に余裕がある訳ではない以上、そう多くのMSを派遣したりは出来ないだろうが。

 そうなると、MSではなく歩兵とかか? ……歩兵も、ワッパの類を使えば十分に高い機動力を持てるし。

 周囲の様子を眺めつつ、激戦地区となっているラサ基地のある山に視線を向ける。

 映像モニタで表示されているそこでは、ピクシーの性能でも距離がありすぎてしっかりと確認する事は出来ない。

 だが、それでも激戦区となっているのは十分に理解出来るし、その激戦区にいる連中には出来るだけ頑張って欲しいものだ。

 シロー達の08MS小隊も、当然のようにあの激戦区にいるんだろうし。

 

『うっ、うわあああぁぁあっ!』

 

 と、不意に聞こえてきた通信。……いや、それは通信というよりは、悲鳴だろう。

 それも、聞き覚えのある声だった。

 ヤザンの部下として配属された、ラムサスの声。

 つまり、ヤザンの小隊のいる場所に敵が出たのだろう。

 ちっ、よりにもよって、一番練度の低いヤザン達の小隊が強敵と出くわすとはな。

 とはいえ、ヤザン達は必死にシミュレータで訓練をして、それなりに技量を上げている。

 フィリップやカイに勝つのはまだ難しいが、それは単純に比べる相手が間違っていると言ってもいい。

 フィリップやカイは、ホワイトベース隊ではそこまで強くは思えないが、それは綾子やアムロ、ユウといったように、この世界でもトップクラスの強さを持つ者達がいるからこそだ。

 一般的に……ジオン軍の基準で見れば、フィリップもカイもエース……とまではいかないが、それでも準エースとでも呼ぶべき能力の持ち主であるのは間違いない。

 サマナは……まぁ、うん。取りあえず置いておくとして。

 ともあれ、悲鳴のような通信が聞こえてきた以上、放っておく訳にもいかない。

 俺以外のホワイトベース隊のMSが今の通信を聞いていれば、もしかしたら助けに向かう可能性もあるかもしれないが……残念ながら、それは確実ではない。

 ならば、俺が向かうのが一番手っ取り早いし確実だろう。

 

「ヤザン、聞こえているか、ヤザン! これから俺がそっちに向かうから、敵を倒すんじゃなくて、生き残る事を最優先に考えろ。いいな!」

 

 通信で叫ぶと、レーダーに表示されているヤザン達の方に向かってピクシーのスラスターを全開にする。

 こっちの通信が聞こえたのかどうかは、俺にも分からない。

 だが、今はその声が聞こえていると信じて、移動するしかない。

 生きていろよ。

 そう思いながらピクシーを移動し。時には精神コマンドの加速を使いながら進み……やがて見えてきた光景は、頭部や手足がなくなったり、胴体にもダメージを負った2機のジムを、ヤザンのジムが何とか庇っているという光景だった。

 とはいえ、ヤザン達が一方的にやられている訳ではない。

 2機存在するドムのうちの1機が胴体から切断されて地面に崩れ落ちているし、残り1機のドムも左腕が切断されてる。

 ヤザン達も、敵に一矢報いた……いや、半ば以上は互角に戦っていたのだろう。

 だが、ドム2機を従えている蒼いMS、イフリート改は、全く無傷のままで、手にしたヒートサーベルを構えていた。

 EXAMシステムを持つイフリートを相手にして、撃破はされたものの、まだ1人も死んでおらず、それどころかイフリートと小隊を組んでいるドムを2機撃破するとは……正直なところ、驚いた。

 以前まで……俺が知っているヤザンの技量ではまず不可能だったという事を考えると、この戦いの中でヤザンの操縦技術が開花したといったところだろう。

 とはいえ、その事そのものにはそこまで驚きはない。

 元々ヤザンは自分が強くなる事には熱心で、アムロ、ユウ、綾子、カイ、フィリップ、サマナ……といったように、様々な相手と模擬戦を重ねていた。

 俺も、何度となく模擬戦を挑まれた経験があった。

 ストイック……という言葉はヤザンには合わないが、それでもあの時のヤザンの様子を考えれば、そう表現してもいいかもしれない。

 それ以上に、野性的というかそんな印象が相応しかったが。

 

『アクセル……間に合ったのか』

 

 ピクシーの姿を見たヤザンが、安堵したように呟く。

 普段のヤザンからは、到底想像も出来ないような様子だ。

 それだけ、EXAMシステムを持つイフリート改との戦いは厳しかったのだろう。

 とはいえ、EXAMシステム搭載機は基本的にアムロのようなニュータイプを最優先に狙う筈だ。

 それをせずにこうしてヤザンと戦っていたという事は……単純に、この戦場でアムロをまだ見つけられなかった、という事か。

 

「こいつ相手によくここまで持ち堪えたな。取りあえず後は俺に任せて、少し下がってろ。仲間の安全を確保する方が先だろ」

『分かった』

 

 悔しさを滲ませながらも、ヤザンは頷く。

 戦闘狂的な一面があると同時に、仲間思いのところもあるのがヤザンらしいよな。

 だからこそ、ダンケルやラムサスといった部下もヤザンの下にいるんだろうし。

 ジムが後ろに下がっていくのと入れ替わるように、ピクシーを前に出す。

 本来なら、イフリート改はそんなヤザンを見逃すような事をしなくてもよかった筈なのだが、何故かイフリート改は特に動く事もなく、俺が前に来るのを待ち構えていた。

 向こうにしてみれば、倒せる時にヤザンのジムを倒してしまった方がいいと思うんだが……それとも、以前見た俺のピクシーを強敵として認識してるのか。

 ともあれ、こっちにとっては寧ろ好都合なので、その件については特に何も言わない。

 そうしてヤザンが完全に後ろに下がったところで、イフリート改はヒートサーベルの切っ先をこちらに向け、オープンチャンネルで語り掛けてくる。

 

『待っていたぞ、アクセル・アルマー。今日こそは、ジオンの騎士たるこのニムバス・シュターゼンが貴様を討つ!』

 

 そう言い終わると同時に、イフリート改は一気に前に出て来るのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:590
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1502

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