「アクセルさん、リュウさん。そちらの人達は?」
ホワイトベースの格納庫に、俺とリュウ、それとモルモット隊の面々がやってくると、アムロがそう声を掛けてくる。
ちなみに、ブライトも本来ならこっちに顔を出したかったらしいのだが、急な仕事が舞い込んだとかでこっちに来る事は出来なくなってしまった。
ブライトも、別に興味本位でシミュレータでの模擬戦を見ようとした訳ではない。
ホワイトベースのMS隊とモルモット隊の双方を率いる事になる以上、早いうちにモルモット隊がどれだけの強さを持つのかを知って起きたかったのだろう。
それも仕事……ここの基地から何らかの連絡が入って、それどころではなくなったが。
「こっちの連中は、今度俺達と合流する事になったモルモット隊だ」
リュウの言葉に、周囲にいたホワイトベースのMS隊の面々が興味深そうにモルモット隊に向けられる。
その中には、友好的なものもあれば、ライバル視しているものもある。
初めて遭遇する、自分達以外の連邦軍のMS部隊なんだから、それもおかしくはないのか。
「モーリン、頼む」
「分かりました」
俺の言葉に頷き、モーリンがシミュレータに向かう。
「アクセル、何をやるんだ?」
興味深そうにモルモット隊の面々を見ていたカイだったが、モーリンがシミュレータに近づいていくとなると放っておけないのか、俺に尋ねてくる。
その気持ちは分からないではない。
ホワイトベースのMS隊は、基本的にはシミュレータでの訓練を多くやっている。
実機での訓練が最善なのは間違いないが、実機で訓練をすれば当然のように補充部品等が必要になってくる。
今まで、何だかんだと補給もままならない状況だったホワイトベースにしてみれば、シミュレータでMSの訓練を行い、その成果を実戦……ジオン軍との戦いの中で発揮する、という形になっていた。
だからこそ、今回の一件……見ず知らずのモーリンがシミュレータを弄るというのを黙って見ている訳にはいかなかったのだろう。
「モルモット隊とシミュレータで模擬戦をやる事になったんだが、ホワイトベースのシミュレータには、モルモット隊の機体データが入ってないだろ。だから、それを入れて貰ってるんだよ」
ホワイトベースのシミュレータに入っている機体データは、現在のところはガンダム、ガンキャノン、ガンタンク、そしてピクシー。
モルモット隊が使っている陸戦型ジムは、当然のようにその中には入っていない。
であれば、モルモット隊と模擬戦をやる為には、当然のように機体データを入力する必要がある。
「へぇ、模擬戦をやるのか。……で、誰がやるんだ? アムロか? それとも、俺?」
「いや、俺だ」
『え!?』
俺がやると言った瞬間、カイだけではなく近くで話を聞いていた他の面々までもが、一斉に驚きの声を上げる。
驚きの声を上げなかったのは……
「お、凄え美人だな。姉ちゃんもホワイトベースのMS隊なのか?」
「ガンタンクを使ってるわ」
綾子の美貌に目を付け、早速フィリップにナンパされている綾子だけだ。
ああ、それとモルモット隊の面々も驚きの声を上げてはいない。
「ガンタンク……うわ、かなり使いにくそうな機体だな。よければ、俺が陸戦型ジムの使い方を教えるけど、どうする?」
「結構よ。……言っておくけど、私は恋人持ちだから口説いても無駄よ」
きっぱりと断る綾子。
普段であれば、ここまできっぱりとは言わないのだが、フィリップの強引さを考えると、はっきり言わなければ駄目だと、そう判断したのだろう。
「まぁ、あんたみたいな美人なら恋人がいてもおかしくないと思うけど……で、そんな幸せ者は誰だ?」
「アクセル」
「……え?」
綾子の言葉を一瞬理解出来なかったのか、フィリップの口から若干間の抜けた声が上がる。
まぁ、その気持ちも分からない訳ではないが。
「私はアクセルと同じく、シャドウミラーの所属よ。言っておくけど、ブリッジにも美人が1人いるけど、そっちもシャドウミラー所属でアクセルの恋人だから」
「はぁっ!? ちょっ、ちょっと待ってくれよ。それって、一体……あんたもアクセルの恋人なんだろ?」
「そうよ」
「そうよって……何でそれで平気なんだ?」
「シャドウミラーでは、一夫多妻制が認められているからだろうね」
「はぁっ!?」
再びフィリップの口から出る叫び。
ただし、その叫びは先程のものよりも明らかに大きい。
一夫多妻制が認められているというのが、フィリップにとってはそれだけ驚きだったのだろう。
格納庫に来て即座に綾子を口説きに行ったのを見れば分かるように、フィリップが女好きなのは明白だ。
そんなフィリップにとって、一夫多妻制というのは非常に興味深いものなのだろう。
もっとも、わざわざホワイトスターに来なくても、UC世界の地球で一夫多妻制が認められている地域とかはあると思うんだが。
「アクセル、アクセル、アクセル!」
綾子の前から、ダッシュで俺の前まで移動してきたフィリップが、興奮して血走った目つきで俺に話し掛けてくる。
何だか、身の危険を感じるんだが……倒さなくても大丈夫か、これ?
そんな疑問を抱いているというのを知らずに、フィリップは俺の前に来ると即座に頭を下げる。
「頼む、アクセル! 俺をシャドウミラーに入れてくれ!」
綾子との話が聞こえていたのは、鋭い聴覚を持っている俺だからこそであって、他の面々はフィリップがいきなり何を言い出したのかと、驚きの視線を向けている。
「あー……お前が何を思ってそんな風に言ったのかは想像出来るが、連邦軍の軍人がそういう事を言うのは不味いんじゃないか?」
普通の軍人であっても問題になるだろうが、フィリップはモルモット隊……名前はちょっと問題があるが、実際には連邦軍でMSを運用する為に非常に重要な役割を持っている人物だ。
そのような人物は、連邦軍にとっても貴重であり……気軽にシャドウミラーに所属したいと言われれば、連邦軍としても黙っている訳にはいかないだろう。
とはいえ、幸いにも……本当に幸いにも、現在格納庫にいる者達の中でフィリップの言葉を本気にした者はいない。
綾子との会話を聞いていなくても、綾子と何かを話していたのは当然のように見られていた。
そして綾子がシャドウミラー所属である事は、ホワイトベースに所属している者なら誰でも知ってる内容だ。
……まして、綾子が俺の恋人だと知っていても、それでも綾子に惹かれてる者がいる以上、フィリップの気持ちも分かるといったところか。
「う、そ、それは……」
フィリップも俺の言葉で我に返ったのか、困ったように頭を掻く。
フィリップにとって、一夫多妻制というのはそれだけ衝撃が強かったのだろう。
「終わりました。シミュレータ、使えますよ。……そこのフィリップ少尉はともかくとして、早速始めませんか?」
モーリンの言葉に、フィリップは微妙な表情を浮かべる。
モーリンは、美人ではなく可愛いと表現するのが相応しい女だ。
それだけに、フィリップとしてもモーリンにそのように言われるのはショックだったのだろう。
「よし、俺の実力で見直させてみせる! アクセル、まずは俺と一騎打ちだ!」
「え? 本気で言ってるのか? 止めた方がいいぜ?」
フィリップの宣言に、カイがそう声を掛ける。
カイは同じガンキャノンに乗っていたということもあって、俺との模擬戦回数はかなりのものだ。
だからこそ、フィリップが1人で俺と模擬戦をすると言っても、それは止めた方がいいと、そう思ったのだろう。
だが、フィリップはそんなカイの言葉に鼻を鳴らす。
「まぁ、見てろって。モルモット隊のエースの力を、見せつけてやるから」
「フィリップ少尉、うちのエースはユウ少尉なんですけど」
サマナの突っ込みが入るが、言われた本人は特に気にした様子もなく、その言葉をスルーした。
「ほら、アクセル。さっさとやろうぜ。お前はそっち。俺はこっちな」
そう告げ、シミュレータの筐体に入っていくフィリップ。
「あー……取りあえず頑張ってくれ。俺達がいつもアクセルを相手にどんな風に四苦八苦しているのかを、モルモット隊の面々にも見て貰おう」
リュウのその言葉に背中を押され、シミュレータの筐体に入る。
実機じゃないから、ただでさえ反応速度の調整をしないといけないから、俺にとってシミュレータは何気に使いにくいんだよな。
シミュレータは所詮シミュレータ。
実機ではない以上、本物の機体とは違ったやりにくさというのは、俺だけではなくシミュレータを使う者全員が感じているものの筈だった。
シミュレータに入って起動し、ピクシーを選択する。
陸戦型ガンダムよりも高い性能を持つピクシーを相手にするという事は、フィリップにも相応の自信があるのは間違いない。
まぁ、ピクシーはピクシーで近接戦闘向きの機体だから、そこを突けば何とかなるかもしれないが。
ともあれ、模擬戦が開始する。
戦場となったのは、岩場か。
大小様々な岩が周囲には転がっており、巨大な岩ともなればMSを隠すだけの大きさがある。
この岩を盾にして射撃をしてくるような事になれば、結構面倒だな。
とはいえ、この岩場は向こうにとってだけ有利な代物という訳ではない。
ピクシーの機動力を活かして一気に接近する際には、この岩は目眩ましとしては丁度いい。
そんな風に考えていると、岩の奥の方から数発のミサイルが飛んでくる。
特に狙いを付けた訳ではなく、こちらがどう動くのかを見る為の、牽制の一撃といったところか。
「けど、ミノフスキー粒子下じゃな」
スラスターを全開にして、岩場の中に突っ込む。
ミノフスキー粒子が散布されている以上、ホーミング機能はほぼ無力化されている。
その為、ミサイルはあっさりと周辺の岩に命中し、爆発を巻き起こす。
ミサイルによって破壊された岩の欠片であっても、ぶつかればシステム上は幾らか被害を受ける。
……もっとも、ルナ・チタニウムの装甲である以上、そのダメージは基本的に0なのだが。
陸戦型ジムもルナ・チタニウムの装甲であり、お互いが防御に関しては非常に高い能力を持つ。
そうなると、ビーム兵器が重要になってくる訳だ。
だが、陸戦型ジムはビームサーベルの他にビームライフルも装備しているらしい。
ビームダガーしか装備していないピクシーと比べると、かなり優遇されているな。
いつもなら、90mmサブマシンガンを撃ちながら敵に接近するのだが、ルナ・チタニウムの装甲である以上、90mmサブマシンガンでは命中してもダメージにならない。
有効な手段としては、地面や岩を撃って目眩ましとするというのもあるが……90mmサブマシンガンを撃ちながら移動するとなると、ピクシーがどこにいるのか、あっさりと見破られてしまう。
そうならない為には、90mmサブマシンガンを撃たず、隠密行動をした方がいい。
幸いな事に……本当に幸いな事に、ピクシーはビームライフルを持たない代わりに、動力炉から得られる出力を機体性能の方に回している。
その為、陸戦型ジムに比べても明らかに高い機動性を有していた。
岩の間をすり抜けるように移動していくと、やがて向こうもこちらの位置を見失ったのだろう。
放たれた陸戦型ジムの攻撃は、ピクシーが全くいない方に向かって放たれていく。
そして当然の話だが、こうして攻撃をしているという事は、その攻撃をしている相手がどこにいるのかを見つけやすくなる。
敵に見つからないように、それでいて素早く岩と岩の隙間を縫うように移動していくピクシー。
機体の反応速度の影響から、かなり力を抑えての操縦となっているが、それでも今まで俺が乗ってきたMSの中では、イフリートよりも高い機動性と運動性を持つ。
90mmサブマシンガンではなく、ビームダガーを持ち――ただし、まだビームを発生させずに――移動していくと、やがて戸惑ったように周囲を見回している陸戦型ジムの姿が映像モニタに表示された。
どうやら、向こうは完全に俺の姿を見失ったらしい。
それでも怪しいと思われる場所にミサイルを撃っているのは、絨毯爆撃的な意味もあるのだろう。
その攻撃によって、俺の機体が追い出されてくるのを期待しての、そんな行動。
それは、決して間違っている訳ではない。
実際に普通の機体を相手にした場合は、それなりに効果もあるだろう。
だが……残念ながら、ピクシーという機体に対して行うには、悪手。
爆発によって、ピクシーが接近する音に気が付く事が出来ないのだ。
もしミサイルを発射しまくっていなければ、あるいはピクシーが近づくのに気が付いたかもしれないが……ともあれ、フィリップが俺に気が付かなかったのは事実であり……背後からスラスターを全開にして一気に近づいて振るわれたビームダガーにより、コックピットを貫かれるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:425
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1469