ハワイを出てから半日程。
最初こそ、海の上を移動するという事で緊張していた――北米からハワイに移動したので、別に初めてって訳でもないんだが――ものの、半日も経てばある程度緊張は解れてくる。
俺もまた、現在はホワイトベースの食堂でロコモコバーガーを食べていた。
何気にこのロコモコバーガー、ハワイにいる間は人気のメニューだったらしい。
機密保持の為にドックから出る事を禁じられていたホワイトベースのクルーにとって、ハワイのルナ・ジオン軍から提供された食料で作った料理というのは、ハワイらしさを唯一感じられたとか。
……うん、ハワイらしい食料を提供するようゲラートに言っておいてよかったな。
ちなみにこの食料に関しては、別に無償供与という訳ではなく、しっかりと連邦軍から料金は貰っている。
そんな訳で、現在のホワイトベースの食料庫には新鮮な食料が大量に眠っていた。
その食料を使って出されたのが、ロコモコバーガー。
まぁ、ロコモコバーガーと言っても、普通のハンバーガーにパイナップルと目玉焼き、それとグレービーソースを使っただけのものなのだが。
「ふーん。これ、ハワイで食べたのより美味しいわね」
ミナトが俺と一緒にロコモコバーガーを食べながら、そう告げる。
実際、その言葉は決して間違ってはいない。
ハワイにある店で買ったロコモコバーガーと比べても、こっちの方が断然美味い。
この辺は料理人の腕だろう。
「綾子も、食べに来ればよかったのにな」
「まぁ、綾子の場合は訓練を頼まれていたし」
綾子の機体は、今もガンタンクのままだ。
本来ならハワイのルナ・ジオン軍から何らかのMSを……それこそ、グフカスタムの1機でも譲ってもいいとゲラートには言われたのだが、連邦軍にルナ・ジオン軍の技術を奪われるのは面白くはない。
もっとも、ザクで十分にジオン軍の技術を奪ってるんだろうし、何よりグフカスタムは基本的にジオニック社で考案された改修プランなのだが。
その辺の事情を考えると、渡してもいいような気もするけど……まぁ、念には念をといったところか。
ともあれ、その綾子は現在アムロやカイ、リュウ、ハヤトといった面々と共にシミュレータで訓練中だ。
綾子もハワイにいる間は何だかんだと俺と一緒に行動していた事もあり、その間にアムロ達がどれだけ強くなったのかを示すらしい。
それなら、俺に来てもいいと思うんだが。
「アクセルとシミュレータで訓練したら、自信を喪失するだけじゃない」
「……そこまで言われるような事か?」
折角マチルダが持ってきたデータで、シミュレータでもピクシーを使えるようになったのだが……にも関わらず、俺とシミュレータで訓練をしたりといった事をする者はあまりいない。
自主的にはという意味だと、アムロが時々挑んでくるくらいか。
「そこまで言われるような事よ。大体……」
ミナトが何かを言おうとしたその時、艦内にヴィー、ヴィーという警報が鳴り響く。
『敵、接近。敵、接近。各員、至急戦闘配備について下さい。繰り返します……』
警報の後に聞こえてきたフラウの通信が食堂に響く。
これは別に食堂だけに流れているのではなく、恐らく……いや、確実にホワイトベース全体に流れているのだろう。
残り少しになっていたロコモコバーガーを急いで口の中に入れると、座っていた椅子から立ち上がる。
ミナトの方はまだ半分以上ロコモコバーガーが残っていた為か、食べきるような事は出来ず、そのままテーブルの上に残していた。
「急ぐぞ」
「ええ」
今はミライが操艦をしているが、やはり戦闘となれば腕が上のミナトが操艦するべきだろう。
ともあれ、食堂を飛び出た俺はミナトと分かれて格納庫に向かう。
MSパイロット達が格納庫のシミュレータで訓練をしているのは、不幸中の幸いだったのだろう。
格納庫の中に入ると、当然のようにシミュレータは既に停止し、MSパイロット達はすぐにでも出撃出来るように自分のMSに向かって走っていた。
俺もまた、ピクシーに向かい、コックピットに乗り込む。
「敵は?」
『海の下だ。潜水艦部隊だと思われる。……ハワイを出る時にアクセルが言ってた水陸両用MSが敵だろうな』
その言葉に、もしかして俺の言動がフラグになったのか? と思わないでもなかったが、そもそもジオン軍は大量の水陸両用MSを開発して、連邦軍に攻撃を仕掛けていたのだ。
であれば、当然のように海を移動しており、その途中でホワイトベースを見掛けて攻撃してきてもおかしくはない。
何しろ、ホワイトベースはガルマ・ザビを殺した怨敵なのだから。
……そう考えれば、寧ろハワイを出てから今まで敵に襲われなかったのは、運が良かったのだろう。
「ガルマの仇討ちか」
『あ』
俺の言葉に、ブライトが意外といった表情を浮かべる。
どうやら、ハワイで骨休め――正確にはホワイトベースの修理――をしている間に、その辺はすっかり忘れてしまっていたらしい。
いやまぁ、俺もその辺をすっかり忘れてしまっていたが。
あ、でも俺の場合はガルマが生きていると知っていたというのが大きいんだが。
「こうなると、これからはジオン軍の攻撃が厳しくなると思った方がいいかもしれないな」
その言葉にブライトの表情が見るからに厳しくなるが、それは決して悪い事だけではない。
ジオン軍の攻撃がホワイトベースに集中するという事は、それ以外の連邦軍に対する攻撃は薄くなるという事なのだから。
「取りあえず、それはそれとして……どう迎撃する? 水中から攻撃されると、ホワイトベースとしても厄介だろ。水中に入れるのは、ガンダムとガンキャノンだけだし」
とはいえ、ガンキャノンは近接武装が格闘しかない以上、海の中に入っても攻撃手段が少ない。
……低反動キャノンは実弾だから、一応海の中でも使えるのか?
いや、あれだけでかい砲身だと、海水が入って発射前に誘爆したりしそうだな。
もし撃てても、砲弾が海の中で真っ直ぐ敵に向かうのかといった事もあるし。
また、元々装甲がガンダムよりも厚いので、防御力はともかくとして、運動性という点ではガンダムより劣る。
それは水中でも同じ事の筈だ。
であれば、やはりガンキャノンはホワイトベースの甲板上から海中に向かって攻撃をするのが最善だろう。
ガンタンクに限っては、それこそ言うまでもない。
「ガンダムだけで海中に突入させるか?」
『難しいな。可能かどうかで言えば、恐らく可能だろうとは思うが……ただ、海の中に行けば、当然のように戦闘終了後に機体を洗う必要がある。かなり分解する必要があるから、ユーラシア大陸に渡った後でジオン軍に襲われた場合、戦力的に不利になる』
「俺がいてもか?」
自慢ではないが、俺がピクシーを使えば今のUC世界で互角に戦える機体はそう多くはない。
……もっとも、地球上でという条件でだが。
水中だったり、宇宙だったりすると、ピクシーは使い物にならないし。
『アクセルがいれば、まず安心だとは思うが……それでも、何があるか分からない以上、戦力というのはいつでも準備しておくに越した事はない』
違うか? と視線を向けてくるブライト。
艦長として、間違いなく成長している。
ハワイにいる間も、骨休みをしつつ艦長としての勉強をしていた成果が出ているという事か。
「とはいえ、戦力を出し惜しみしたら……」
『海中より敵MS、来ます!』
俺が何かを言うよりも前に、映像モニタの向こう側からレーダーを見ていたブリッジクルーの声が響く。
どうやら、時間はないらしい。
『ガンダムは甲板上から敵を攻撃。武器はビームライフルではなくバズーカを使え! ただし、どうしようもなくなったら海中に突入することを許可する!』
今のは俺との通信ではなく、MSで待機をしていた者達全員に対しての通信だろう。
……UC世界のビーム兵器は、海の中では使えないんだよな。
いや、全く使えないという事はないんだろうが、今の状況で武器として計算するのは難しい。
そうなると、やっぱり実弾兵器が一番という訳か。
W世界のビーム兵器なら、海でも普通に使えたりするのだが。
それと、シャドウミラーの機体の多くも。
UC世界においては、ビーム兵器もまだ開発されたばかりだから、将来に期待といったところか。
ともあれ、90mmサブマシンガンを手に、俺はピクシーを格納庫から出撃させる。
他のMSもブライトの指示通り、それぞれが甲板上で待機していた。
さて、襲ってきたジオン軍の水陸両用MSというのは、一体どんなMSなんだろうな。
その事に興味を抱きつつ、ホワイトベースの甲板上から海を眺める。
すると、真っ直ぐにこっちに向かってくる白い線を発見した。
一瞬魚雷か? とも思ったが、ホワイトベースはミノフスキークラフトで空を飛んでいる。
そんな状況で魚雷を撃ったところで、命中する筈もない。
……空中に飛び出し、普通のミサイルのように敵を狙うというのであれば、話は別だが。そうなると……
「来るぞ、MSだ!」
そんな俺の言葉が発せられるのと同時に、水中から飛び上がるようにして1機のMSが姿を現す。
そのMSを、俺は知っていた。
一種怪獣にも思えるような外見のMSは、ツィマッド社が開発した水陸両用MSの1機、ゴッグ。
ズゴックと名前が似ているが、運動性が高く、地上でもJ型のザクと同程度の能力を発揮するズゴックとは裏腹に、ゴッグはその厚い装甲から高い防御力を持っている。
言ってみれば、ズゴックがガンダムでゴッグがガンキャノンといったところか?
……色々と細かいところは違うが、ニュアンス的にはそう間違っていないと思う。
ともあれ、その分厚い装甲は敵とした場合は非常に厄介な存在なのは間違いない。
ビームライフルの類であれば、装甲も意味をなさないので、こちらに攻撃手段がない訳ではないのだが……ガンダムとガンキャノンに任せる形になってしまうんだよな。
そんなゴッグが数機。
にしても……ゴッグなのは厄介だが、そのゴッグはどうやってこっちを攻撃するつもりなんだ?
ゴッグの武器は、魚雷とアイアンネイル、そして腹部のメガ粒子砲、頭部のフォノンメーザー。
魚雷は言うまでもなく水中の敵に対する武器であり、アイアンネイルは接近しなければ使えない。
腹部のメガ粒子砲は……技術的な問題で収束する事が出来ず、拡散メガ粒子砲となっており、射程が短い。
フォノンメーザーは、言ってみれば水中用のメガ粒子砲とでも呼ぶべき代物だ。
……可能性としては、ジャンプして腹部のメガ粒子砲か?
だが、ゴッグが跳躍してくれば、それはこちらの攻撃のチャンスでもある。
ゴッグのメガ粒子砲はビームライフルの類ではなく、腹部に内蔵されている武器という事で、取り回しもかなり悪い。
そうなると、ゴッグは……いや、待て。もしかしてゴッグそのものが囮という可能性もあるのか。
「ブリッジ、ゴッグ以外……今こっちにいるMS以外に、敵の潜水艦から出撃したMSはないか?」
俺が警戒しているのは、ズゴック。
手にメガ粒子砲が内蔵されている為に、ゴッグのように全身を現すような真似をしなくても腕を出すだけでメガ粒子砲を発射出来るし、頭部には対空用のミサイルもある。
そして、俺が知っているジオン軍の水陸両用MSの中では最高の性能を持つ機体だ。
それこそ、ズゴックがあれば他の水陸両用MSはいらないのではないかと思うくらいに。
ああ、いや。アッガイはズゴックより低コストで、それでいて性能もそこそこという、なかなかの代物だから、どっちかはいるか。
ともあれ、そんなズゴックが出て来ると厄介なのは間違いない。
『今のところ、その様子はありません』
ブリッジから返ってきたのは、フラウではなくミライの声。
食堂で聞いた時はフラウの声だったんだが……いや、子供達の様子でも見に行ったのか。
そもそも、戦闘になればホワイトベースの操舵はミナトがやる事になる訳で、そうなるとミライは暇になる。
だとすれば、そのミライが通信に回ってもおかしなところはないか。
「そうか。だが、ゴッグだけで空を飛ぶホワイトベースに攻撃してくるとは思えない。ジオン軍が何かを企んでいる可能性はあるから、それに注意してくれ」
ミライに通信を送り終えると、再び海上に視線を向ける。
最初のように海中から飛び出る……いや、跳び出るか? 様子はなかったが、それでも上半身の一部を僅かに海上から出すような真似を繰り返す数機のゴッグ。
ホワイトベースの甲板にいるMSがそんなゴッグを狙って撃つが、ゴッグはその度に海中に身を沈める。
たまに当たっても、それが実弾であればゴッグの重装甲には効果がない。
これは……何だ? 囮?
ゴッグの様子から考えて、そう判断するのと……離れた場所の海中からミサイルが何発も発射されるのは、殆ど同時だった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:425
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1469