グフの改修の話を聞いた翌日、まるで俺が昨日ホワイトベースに行ったというタイミングを図ったかのように、マチルダ率いるミデア隊がハワイにやって来た。
これは、喜んでいいような気もするが……微妙なところだろう。
とはいえ、ホワイトベースやMSのデータは既にかなり取っているという話なので、その辺りはそこまで気にする必要はないのかもしれないが。
「お久しぶりです、アクセル代表」
そう言って、敬礼ではなく握手を求めてくるマチルダの手を握り返しつつ、口を開く。
「久しぶりって程に時間が経ってる訳じゃないと思うけどな」
実際、ロングビーチの戦いが終わってから、まだそれ程時間は経っていない。
ガルマの件、アプサラスの件、グフの件、それ以外にもミナトや綾子とのデートの計画を練ったりといったことで、かなり忙しい……言い換えれば充実した毎日を送っていたのは、間違いのない事実なのだが。
「ふふっ、そうですか? それより、今日は少しだけですが良いお話を持ってくる事が出来ました」
「……マチルダの良い話か。また面倒事じゃないよな?」
そう告げると、マチルダは握っていた手に力を込める。
さすが軍人だけあって、普通の女よりは明らかに強い握力だ。
だが、それでもあくまでも人間の範囲内での握力でしかない。
力一杯握っても全く堪えた様子のない俺に、マチルダは若干責めるような視線を向けつつ、手を離す。
「取りあえず、アクセル代表に……いえ、ホワイトベースにとっても良い事になるかと」
「だと、いいんだけどな。……で? 具体的には?」
「ここで話すような事ではないので、ブリッジまで一緒に来てくれますか? ブライト艦長と一緒に話したいので」
その言葉には俺も特に異論はなく、そのままマチルダと共にブリッジに向かう。
……その途中で、何人もの男達から嫉妬の視線を向けられる。
その気持ちも分からないではなかった。
ホワイトベースにも女はいるが、それだって全体的に見れば圧倒的に男の方が多い。
そんな中で、美人と評しても間違いないマチルダと一緒に俺が歩いているのだ。
おまけに、ミナトと綾子の2人と恋人関係であるという事も、当然のようにホワイトベースでは知られている。
何人か事情を知らない奴が2人を口説こうとして、あえなく玉砕したというのは有名な話らしいし。
そんな俺がマチルダと一緒にいる。
男連中にしてみれば、独り占めするな! というところだろう。
とはいえ、以前マチルダからは婚約者がいるという話を聞いてるし、それなりに広がっているので、本気で自分がマチルダとどうにかなると思っている者はいないだろうが。
ああ、でも一晩のアバンチュールに、と思っている奴はいるかもしれないな。
ここは常夏の島、ハワイだし。
「アクセル代表?」
「いや、何でもない」
俺が考えている事を悟った訳ではないだろうが、声を掛けてきたマチルダに何でもないと首を横に振り、そのままブリッジに向かうが……ブリッジに到着するよりも前に、向こうから歩いて来たブライトと遭遇する。
「マチルダ中尉? アクセルも……何か問題でも?」
「いえ、アクセル代表とブライト中尉に話しておくことがあるの。ブリッジ……いえ、艦長室に行ってもいいかしら?」
「それは構いませんけど……」
そう言いながら、ブライトは俺に視線を向けてくる。
その視線が、お前が何かやったのかといったものだったのは、一体どういう意味なんだろうな。
後でゆっくりと聞かせて貰うとしよう。
3人で通路を歩き、やがて艦長室に到着する。
「どうぞ」
ブライトに言われ艦長室に入る。
もっとも、艦長室とは言ってもそこまで豪華なものではない。
俺が使っている士官用の部屋に比べると広いが。
そんな中にあるソファに座るよう促され、俺とマチルダがソファに腰を下ろす。
俺とマチルダが隣り合い、その正面にブライトがいるという形だ。
「よろしければ、お茶でも出しますが……」
「ありがとう」
ブライトの言葉にマチルダがそう言い、部屋にある冷蔵庫から冷たいお茶を取り出す。
紙パックに入ってるお茶……今のホワイトベースの状況を考えれば、そこまでおかしな話でもないのか?
マチルダもそこまで気にした様子はなく。紙パックのお茶にストローを刺して飲む。
うーん、ペットボトルや缶のお茶というのは珍しくないけど、紙パックのお茶ってのは、ちょっと珍しいな。
ともあれ、そのお茶を飲んで一段落したところで、ブライトが口を開く。
「それで、お話というのは?」
「単刀直入に言えば、ホワイトベースがユーラシア大陸に渡った後で、連邦軍の部隊が援軍として合流します」
「それは……」
ブライトの顔には嬉しそうな色が浮かぶ。
当然だろう。ロングビーチの作戦の件もあるが、ホワイトベースは恐らくユーラシア大陸に渡れば、間違いなく何らかの大きな騒動……作戦に巻き込まれる。
であれば、少しでも戦力が多い方がいいのは間違いのない事実なのだから。
そういう意味では、やはり援軍が合流するというのは助かる。それは分かるが……
「今のホワイトベースに、戦闘機とか戦車とかが来ても、上手く扱えないんじゃないか? いや、パイロットが一緒に来るんだから、ある程度は何とかなるんだろうが」
今のホワイトベースの主力は、当然のようにMSだ。
戦闘機や戦車も、使えない訳ではない。
特に戦闘機は、空を飛ぶ事が出来るという一点において有用だ。
具体的には、偵察役としてだろうか。
戦車も遠距離からの援護射撃という点では大きいのだろうが……それでも効率的に使うには、数が多い方がいい。
だが、ホワイトベースにもMSが6機いるとなれば、格納庫にそこまで余裕はない。
少なくても、戦闘機と戦車を十機単位で使うというのは難しい筈だ。
だが、マチルダは俺の言葉に笑みを浮かべてから口を開く。
「安心して下さい。派遣されるのは、連邦軍製のMS部隊です」
「……何?」
マチルダの口から出て来た言葉に、思わず驚きの声を漏らす。
ブライトもまた、声には出していないが驚きの表情を浮かべていた。
いやまぁ、連邦軍でも量産型MSが開発されていたのは知っているし、そうなれば当然のようにMSで部隊を編成するだろう。
だが、それでも……虎の子とも呼ぶべきMS部隊を、俺達と一緒に運用するというのは、完全に予想外だった。
「本気か?」
「ええ。これは、連邦軍の上層部が決してホワイトベースを見捨てていないという事の証です」
きっぱりとそう告げるマチルダ。
実際、もしホワイトベースを捨て駒にするというのであれば、わざわざMS部隊を派遣したりはしないだろうから、説得力はある。
「俺としては問題ないと思うけど、ブライトとしてはどうなんだ?」
「こちらとしても、戦力が増えるのは助かるが……」
少し戸惑った様子を見せるブライト。
ここに来て、何故急にこのように厚遇されるようになったのかが不安といったところか。
マチルダもそんなブライトの様子を見て取ったのか、その疑念を解くように口を開く。
「実は、ブライト中尉の懸念はそこまで間違っていないわ。この部隊は少し……いえ、訳ありの部隊なの」
「……やっぱり……」
マチルダの言葉に、ブライトは小さく呟いて何故か俺の方を見る。
おい、一体それはどういう意味だ?
「ブライト?」
「いや、何でもない」
俺の言葉に、ブライトはそっと視線を逸らせてそう告げる。
それは、何かあると言ってるような態度なんだがな。
ともあれ、その辺の追求は後にするとして、まずは援軍として合流する部隊についての話を聞く方を優先する。
「それで? 訳ありってのはどういう部隊なんだ?」
「そうですね。まず合流するのは第11独立機械化混成部隊。通称モルモット隊です」
「……また、嫌な名前の部隊だな」
モルモットというのは、それこそ悪意すら感じられる。
それはマチルダも同じなのか、その整った顔に若干の嫌悪を表しながら、それでも言葉を止めることなく、説明を続ける。
「名前はちょっと不謹慎ですが、この部隊が設立された理由としては、MSの運用データの収集です。その結果として、今までにも何度かMSを使った戦闘を経験しています」
「なるほど。それがモルモットの理由か」
「……はい」
少し暗い様子のマチルダ。
MSの運用データを集めるためのモルモット、か。
名前はともかくとして、MSを初めて使う連邦軍としては、その運用データの類は重要だろう。
ホワイトベース隊以外にも、そういう部隊が多数あってもおかしくはない。
いや、寧ろ連邦軍にとって最重要のMSの運用データの収集というのを考えれば、ホワイトベースだけであるという考えが、間違っている。
そもそも、ホワイトベースに搭載されているMSはガンダム、ガンキャノン、ガンタンクの3種類だ。……今は、俺のピクシーもあるが、それは取りあえず置いておいて。
その3種類のMSは、あくまでも試作機でしかない。
本来の意味で連邦軍が採用する量産型MSではないのだ。
であれば、当然のようにその量産型MSの運用データとかを欲しても、おかしくはない。
そういう意味で、ホワイトベース以外にもMS部隊があるのは当然だったのだろう。
「連邦軍も、MSを運用出来るようになってきた訳か」
「そうなります。それと、ハワイを出た後でユーラシア大陸に渡ったら、連邦軍の基地に寄って、そこで補給をして貰う予定なのですが……そこでは、少し面白いMSが運用されてますよ?」
興味がおありでしょう?
そんな視線が、マチルダから俺に向けられる。
実際にその面白いMSというのには興味がある以上、俺はその言葉に頷き、視線で先を促す。
「実はホワイトベースで運用されている、ガンダム。……アクセル代表のピクシーではなく、アムロ曹長が乗っているガンダムですが、そのガンダムの余剰部品で規定の性能に達していない部品を使って作った、陸戦型ガンダムという機体が運用されています」
「へぇ。それはまた……」
マチルダからの情報は、実際に俺の興味を惹くには十分なものだった。
恐らく、ゴップ辺りから、それとなく流すようにとでも言われたのか?
ともあれ、新型MSを開発したり、ガンダムのような試作機をベースとして廉価版を作る……具体例で言えば、SEED世界のストライクをベースにしたストライクダガーや、W世界でトールギスをベースにしたリーオーとか。
だが、今マチルダが口にしたように、規定の性能に達していなかった部品を使ってMSを作るというのは、初めて知った。
俺が知らないだけで、他にもそういうMSがあるのかもしれないけど。
「けど、それだと、そこまで多くのMSを作れないんじゃないか?」
「そうですね。ただ、ガンダムは本当に厳しい基準でパーツを選定したので、結構な数の規格外品があったらしいです。そして、現地で戦っている者達からは少しでも早くMSをという事で……」
「半ば押し切られた形な訳だ」
とはいえ、連邦軍もモルモット隊の事を考えれば分かる通り、少しでも多くのMSの運用データを欲していた筈だ。
であれば、その陸戦型ガンダムとかいうMS部隊も、連邦軍のMS運用データ収集に役立つのは間違いない。
「そうなります。ともあれ、アクセル代表の興味を惹くようであれば、見せても構わないと。……ピクシーのように、譲渡するという訳にはいきませんが」
「分かった。見るだけでも十分だ。……ゴップもこっちの弱点を的確に突いてくるな」
小さく呟くと、マチルダはそれに関しては何も言わず、笑みだけを浮かべる。
実際、俺がUC世界のMSには興味を抱いているのは間違いのない事実だ。
ジオン系のMSは、俺がジオン軍にいた時や、兵器メーカーと付き合いが出来た事によって、ある程度入手できるようになっている。
だが、連邦軍との付き合いはジオン軍程に深い訳ではないので、どうしてもこれからに期待といったところだ。……ルナツーの件もあったし。
もっとも、ガンダム、ガンキャノン、ガンタンクのデータは十分に取ってるし、プロトタイプガンダムは実機があり、ピクシーも入手した。
そう考えれば、十分成果は出ているのだ。
それでも、出来ればより多くのMSを欲するというのは、シャドウミラーの者として当然の事だった。
「興味を持って貰えたようで何よりです。それで、次は……ホワイトベースの部品についてですが、今後の件を考えてかなり多く持ってきました」
「助かります」
急に話題が変わったが、ブライトはあまり動揺することもなく、しみじみとした様子でそう答える。
実際にホワイトベースの現状を考えると、予備パーツの類はあればあっただけ欲しいというのが正直なところなのだろう。
今までのホワイトベースの状況を思えば、余計に。
そんな風に会話をしながら、俺とマチルダ、ブライトの3人は色々と打ち合わせをするのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:425
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1469