転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2355話

 サハラ砂漠。

 アフリカ北部にある砂漠で、世界的にも有名な砂漠の1つだと言ってもいいだろう。

 現在、俺はアプサラス開発計画の面々と共に、そのサハラ砂漠に来ていた。

 

「おい、アプサラスのメガ粒子砲のチェックはどうなってるか分かるか?」

「そっちは問題ありません。昨夜しっかりと確認しておきました。現在は、サハラ砂漠の環境データを入力中です!」

「ミノフスキークラフトのチェックは、何度でも行え! アイナ様の安全の為だから、やりすぎるといった事はないぞ!」

「一応護衛としてダラニを用意してきた筈だな? アプサラスと一緒に行動するんだから、護衛のパイロットも準備しておけよ!」

 

 現在、砂漠に立てられたテントの中では、十数人の研究者や技術者が、砂漠の暑さ……いや、熱さに汗を掻きながらも、必死にアプサラスのメガ粒子砲の発射試験の準備を整えていた。

 ちなみに、アプサラスのパイロットを務めるアイナは、既にアプサラスのコックピットの中にいる。

 

「アクセル代表」

 

 声のした方に振り向くと、そこにいたのはガトーとノリスの2人。

 片やアイナの恋人、片やアイナの親代わり。

 ある意味で、この2人が一緒にいるのはちょっと珍しい光景かもしれないな。

 

「ガトー、ノリスと一緒にいるのは珍しいな」

「そうですか? そんなつもりはないのですが……」

 

 少し戸惑ったようなガトー。

 これは本心で言っているのか、それともアイナの父親代わりのノリスに気を遣ったのか。

 その辺は分からないが、ノリスの様子を見ている限りでは恐らく本心だと思うんだが。

 

「そうですな」

 

 ノリスもガトーの言葉に同意する。

 さて、一体これはどうしたものだろうな。

 

「今日はアイナが乗るアプサラスの実験を色々とやる訳だが、お前達も護衛として参加するんだよな?」

 

 本来なら、今日はメガ粒子砲の発射試験だけをやるつもりだった。

 だが、サハラ砂漠にやって来たという事で、折角なのだからと色々な試験をやる事になったらしい。

 まぁ、その気持ちも分かる。

 ハワイでは研究所が見つからないような場所にあるが、アプサラスのようなMAが空を飛び回っていれば、当然のように目立つ。

 だからこそ、そのような心配を全くしなくてもいい今の状況で、今までは無理だった……それこそシミュレーションで済ませていた試験を色々とやろうと思ったのだろう。

 だからこそ、ギニアスの部下やMIP社から派遣されている技術者達は張り切っていた。

 何だかんだと、MIP社にとっても地球でのデータというのは重要なのだ。

 アプサラスもそうだが、地球用のMAを開発する場合、このような場所で得られたデータがあるのは大きい。

 もっとも、基本的にMAというのは重力とかの制約がない宇宙で使う機体というイメージがあるので、地球でのMAは色々と難しそうだが。

 寧ろ地球でMAを使うのなら、重力にそこまで影響を受けない水中用のMAとか、そっちの方がいいと思う。

 

「はい。シャドウミラーから借り受けたダラニは、地球上で使うには非常に便利な代物ですな」

「あー……うん。だろうな」

 

 ノリスが感心したように言うが、本来ならダラニはそこまで絶賛されるような代物ではない。

 何故なら、元々使い捨ての兵器として用意された代物なのだから。

 だが、UC世界に関しては、大きく違ってくる。

 何故なら、UC世界のMSというのは飛べない。

 噂では、ジオン軍でグフだかドムだかをベースとして自力で空を飛べるMSを開発しているという話を聞いた覚えはあるのだが、それだって言ってみれば眉唾ものでしかない。

 後でジオニック社かツィマッド出身の技術者に聞いてみるか。

 幸い……という表現が相応しいのかどうかは分からないが、ディアナはツィマッド社のヅダ改修チームが中心となって出来た会社だけに、ツィマッド社の情報は入手しやすい。

 もし本当にドムが空を飛べるのなら、ダラニのようにアプサラスの護衛として入手する方法を考えておいた方がいいだろうし。

 グフの方も、空を飛べるのなら少し興味深い。

 アプサラスは……少なくても、俺の視線の先にあるアプサラスは、接近されると一方的に攻撃されてしまう。

 出来るのは、あの巨体を活かした体当たりとかか?

 質量を考えると、体当たりの威力は相当なものになりそうではあるが。

 

「アクセル代表?」

「いや、何でもない。取りあえずダラニが役立ってるようで何よりだよ。何ならドップ……は色々と使いにくいから、連邦軍のセイバーフィッシュ辺りを入手しようか? と聞こうと思ったんだけどな」

 

 連邦軍は地球を拠点としているだけに、戦闘機については明らかにジオン軍よりも上だ。

 そしてルナ・ジオンは基本的にジオン出身者達が多いという事もある。

 

「いえ、心配はいりません。連邦軍の戦闘機の方が使いやすいのは事実ですが、いざ実戦となると、やはりダラニに乗ったMSの方が使いやすいので」

「そういうものか? まぁ、ノリスがそう言うのなら、俺はそれでもいいけど。……ガトーは?」

「自分もMSの方が慣れていますので」

 

 ノリスに続き、ガトーもMSの方が良いと希望する。

 うーん、MSの方が性能がいいのは間違いないけど、ルナ・ジオンの……いや、UC世界のMSの性能を考えると、まだ戦闘機とかを使い分けた方がいいと思うんだが。

 これがシャドウミラーの機体なら、テスラ・ドライブとかで普通に空を飛べるし、水中でも専用機には劣るものの、ある程度動けるから問題はない。

 言わば、汎用機……いや、万能機に近い存在だ。

 だが、UC世界のMSはまだ実戦投入されたばかりだという事もあって、そこまで高い性能ではない。

 であれば、MSの技術が熟成するまでは、きちんと使い分けをした方がいいと思う。

 とはいえ、MSに拘っているからこそ、ノリスやガトーのような腕利きのMSパイロットが生まれているのも事実。

 また、UC世界独自の技術発展の為にも、ここは無理に口は出さない方がいいか。

 

「そうか、分かった。まぁ、お前達がそう言うのなら、それでもいい。こっちとしても、寧ろその方が助かるしな」

「助かる、ですか?」

「この世界のMSが独自の技術で発展していくというのは、俺にとっても決して悪い話じゃないって意味だよ。……それより、今日の試験の方はどのくらい掛かるか分かるか? ギニアスや他の技術者の様子を見る限りだと、何だかんだで結構掛かりそうなんだけど」

 

 そんな俺の問いに、ノリスは頷く。

 

「恐らく、そうなるでしょう。ギニアス様にとって、アプサラスというのは我が子も同然の存在。それだけに、ハワイではシミュレーションのみで、実際に出来なかった試験を可能な限り行うかと」

 

 ノリスの口から出たのは、俺の予想通りの言葉だった。

 やはり、ギニアスにとってはハワイという場所には幾らか不満もあったのだろう。

 とはいえ、ハワイ以外の場所でとなると、ルナ・ジオンの領土でない以上、色々と問題がある。

 それこそ、例えばジオン軍がサイド6にフラガナン機関の研究所を作っていたように。

 安全を取るか、アプサラスの開発を取るか。

 この辺の天秤は、少し難しいんだよな。

 俺としても、安全を第一にして欲しいという思いがあると同時に、アプサラス開発の妨げになっているのは困るという点もあるし。

 

「取りあえず俺がハワイにいる間に、もう1回くらいは今日のような日を作ってもいいかもしれないな」

 

 その言葉に、ノリスとガト-が嬉しそうな表情を浮かべる。

 2人にしてみれば、娘代わりと恋人のアイナの乗る機体の完成度が高まるのだから、それも当然か。

 また、俺としてもアプサラス計画にはかなりの資金や資源を出しているし、何よりかなり気になっているMAである以上、その完成度が高まるというのは非常に嬉しい。

 とはいえ、視線の先に存在するアプサラスを見ると、運用上は色々と不都合があるのも間違いない。

 MAとして近接攻撃用の武装がないのは、ちょっとどうかと思う。

 勿論ビームサーベルを使えとか、そんな風には言わないが、せめてバルカン程度なら装備してもいいんじゃないだろうか。

 そこまでスペースを取るようなものでもないし。

 そういう意味で、MSが護衛としてつくというのはありかもしれないが。

 

「ありがとうございます。ギニアス様、アイナ様、双方共に喜ばれるでしょう」

「そう言って貰えると、こっちとしても嬉しいよ。とはいえ、あくまでも余裕があればの話だが」

 

 予定は未定とはよく言ったもので、ホワイトベースの修理が予想していたよりも早く終わるという可能性、決して皆無ではないのだから。

 とはいえ、逆の意味で予定は未定になって、ホワイトベースの修理に時間が掛かるという可能性は否定出来ないのだが。

 

「よし、アイナ。まずはその状態のままでメガ粒子砲を発射してくれ。皆、メガ粒子砲の光には注意するように」

 

 メガ粒子砲の準備が整ったのか、ギニアスが周囲にいる面々に聞こえるようにそう叫ぶ。

 その言葉に従うように、技術者や研究者達はそれぞれがサングラスやゴーグルのようなものを掛ける。

 もしかして? と思って視線を向けると、そこではガトーとノリスの2人もゴーグルを掛けていた。

 ガトーとノリスにゴーグルって……と、そう思わないでもなかったが、目をやられるよりはマシだという判断なのだろう。

 いざとなれば、ゲラートのようにホワイトスターで治療も可能ではあるが、そうならないに越した事はない。

 

「5、4、3、2,1……発射!」

 

 技術者の1人が叫ぶと同時に、俺達とは違う方を向いていたアプサラスの胴体から巨大なメガ粒子砲が発射される。

 それは、俺が知っているメガ粒子砲……ガンダムやガンキャノンのビームライフルは当然ながら、ホワイトベースのメガ粒子砲よりもかなり大きいように見える。

 ぶっちゃけ、このメガ粒子砲に反応して、ジオン軍や連邦軍がやってこないかどうか、心配になるくらいの一撃。

 人間なら、それこそサングラスやゴーグルといった物を使って目を保護しなければ、失明……とまではいかなくても、目にダメージを負いかねない、そんな光。

 だが……いや、だからこそと言うべきか、間近で見たアプサラスから放たれたメガ粒子砲の光は、美しいと口にしても決して間違ってはいないだろう輝きを持っていた。

 

「凄いな、これは」

 

 メガ粒子砲が放たれていたのは、10秒近く。

 その美しい輝きが終わった時には、砂漠の砂は熱によってガラス状に変化していた。

 軍艦ではなく、MAで放つこれだけの一撃。

 それは、見ている者の目を奪うには十分な光だ。

 

「はは……ははは……わははははははははははははっ!」

 

 突如聞こえてきた笑い声に視線を向けると、その笑い声を上げているのはギニアスだった。

 これでもかと言わんばかりに笑い声を上げているギニアスだったが、幸いだったのはその笑い声の中に狂的な色がなかった事か。

 自分の開発した物、もしくは何らかの理由で入手した力が強力極まりない時、その力に呑み込まれるという事は珍しくない。

 だが、幸いにして今のギニアスの笑い声は、自分が予想していた通りの代物が出来た事に喜びはしていても、その力に呑み込まれるといった様子はない。

 

「今のデータはしっかりと取ったか!?」

「はい、全てのデータは完璧に取っています」

「よし、アプサラスのシステムの方はどうだ? 見たところでは特に異常があるようには見えなかったが、メガ粒子砲の発射システムは正常に動作しているか? 問題は?」

「詳細は後でしっかりと確認してからでないと分かりませんが、こうして見る限りでは特に問題ありません。ただ、照準システムの方は今回使ってないので……」

「分かっている。その辺は次の試射の時にしっかりとデータを取る」

 

 多数の報告を聞きながら、ギニアスは次々に上がってくる情報に返事をしていく。

 こうして聞いている限りでは、幸いな事に今のところアプサラスのメガ粒子砲のシステムにおかしなところはないらしい。

 

『ふぅ』

 

 そんなギニアスの様子を見て、ガトーとノリスの2人は揃って安堵の息を吐く。

 2人にしてみれば、メガ粒子砲の発射が無事に終わった事もそうだが、アイナが無事だったという事の方が大きいのだろう。

 ……考えてみれば、別にメガ粒子砲の発射試験というだけなら、別にアイナがやらなくても……それこそ量産型Wとかにやらせてもよかったんじゃないのか?

 そんな風に思うも、すぐに思い直す。

 こうして実際にアプサラスでメガ粒子砲を撃つという機会は非常に貴重だ。

 シミュレータの類なら何度もやっているだろうが、やはり実機でとなると、どうしてもそう簡単にはいかない。

 であれば、今回のような折角の機会は、絶対に逃さない方がいいだろう。

 それこそ、この1度の機会によって、いざという時にアイナが生き残れるかどうかが決まるかもしれないのだから。

 アイナにミノフスキークラフトを使ってアプサラスを浮遊させるよう指示しているギニアスの声を聞きながら、俺はそう思うのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:425
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1469

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