ガルマの一件があってから、数日。
現在のところ、上手い具合にまだ俺が部屋にガルマを匿っているというのは、見つかる様子がない。
……ミナトが俺の部屋に来た時にガルマが俺に冷たい視線を向けてきたが、UC世界とシャドウミラーの違いだろう。
シャドウミラーにおいては、基本的に一夫多妻制は問題ではないという事になっているのだから。
ガルマはイセリナという愛すべき女がおり、一途な愛を実践しているからこそ、俺の様子が気になったといったところか。
ともあれ、そんな数日がすぎ……北米大陸からもう少しで脱出出来るかもしれないというところで、再びホワイトベースはミデアとの接触に成功した。
そんな訳で、現在ホワイトベースは山間の場所に隠れながら、ミデアからの補給を受けている。
今回は2度目の補給という事で……ついでにピクシーのようなMSを持ってくるという事もなかった関係で、ミデアの数はかなり少ない。
いやまぁ、単純に前回のミデアの数が多すぎただけ、という事もあるのだろうが。
「言っておくが、これまでよりも更に慎重に行動しろよ。くれぐれも輸送隊の連中に見つからないようにしろ」
「分かっている」
俺の忠告に、ガルマは頷く。
本来なら、輸送隊に対してそこまで警戒する必要はない。
だが、ミデア隊を率いてるのはマチルダだ。
階級こそ中尉とそこまで高い訳ではないが、マチルダはゴップやレビルといった、現在の連邦軍のトップから直接命令を受けている形だ。
ましてや、武装もろくに存在しないミデアでジオン軍の形成する防衛線を突破して、北米まで来るという度胸と実力の双方を備えている。
そうである以上、階級が中尉だからといって甘くみるような真似は自殺行為でしかない。
「それにしても、一応南米との間の防衛線は厳重にしていたつもりだったのだがな。まさか、こうも容易く破られているとは……正直なところ、複雑な気分だよ」
地球方面軍司令という要職にあったガルマにしてみれば、ミデアのような輸送機が……それも何隻も防衛線を突破してきているというのは、許容出来ないのだろう。
その気持ちは、俺にも分からないではない。
自分が必死になって構築した防衛線が、役に立っていないのだから。
「まぁ、その辺は連邦軍の優秀さを認めたらどうだ? 取りあえず俺はブリッジに行くから、静かにしてろよ」
「……分かってる」
そう言いながら、ガルマは雑誌を手にする。
ハワイについての特集と、クレイドルについての特集が書かれている雑誌。
……戦争中でも、この手の雑誌が普通に売られている事に驚く。
ちなみにこの雑誌は、今回の補給でミデア隊が持ってきた物資の中に入っていた物だ。
本来なら、こういう雑誌を持ってきているような余裕はないのだが、ホワイトベースに乗っている者達の精神的な安定を考えてのことのなのだろう。
軍人が殆どだとはいえ、志願した民間人もそれなりにいる。
そのような状況で、大気圏突入から今日まで、それこそ様々な出来事があった。
その為、精神的に疲弊しないようにという事で、取りあえずこういう雑誌も補給物資の中に入ったのだろう。
俺の空間倉庫の中にも色々な雑誌の類は入っているが、それは基本的にネギま世界やペルソナ世界のような場所で買った奴が大半だしな。
他の世界の料理店巡りとかそういうのを読んでも、ガルマには面白くも何ともないだろう。
ああ、でも漫画雑誌やコミックスといったものは、基本的にこの部屋から出られないガルマにとっては、貴重な暇潰し要素と化している。
ペットロボって訳じゃないが、アムロが作ってカツ、レツ、キッカ達が連れているハロとかがいれば、ガルマの退屈とかも紛れるんだろうが。
だが、ハロがガルマの事を知れば、当然のようにそのデータを見る事が出来るアムロとかもガルマの存在に気が付く可能性が高い。
まぁ、アムロはマチルダや綾子、ミナトといった年上の女に色惚けしてるので、そんな余裕はないのかもしれないが。
何気にアムロってムッツリスケベだよな。
年上好きとも言う。
フラウの恋が叶うのは、結構大変そうだが……それはまぁ、フラウに頑張って貰うとしよう。
もっとも、アムロの場合は最終的に何だかんだとフラウに戻ってくるような気がしないでもないが。
ともあれ、ブリッジに呼ばれている以上は、いつまでもここで時間を潰している訳にもいかない。
雑誌を読み始めたガルマをその場に残し、ブリッジに向かう。
ガルマがハワイについての雑誌を読んでいるのは、やっぱり自分がこれから暮らす場所だから、だろうな。
イセリナと一緒に暮らす事になる以上、言ってみれば新婚や同棲に近い感じになるのだから。
それだけに、少しでもハワイについての情報を欲しているのだろうが……ガルマにしろ、イセリナにしろ、基本的には隠れて暮らす事になるので、とてもではないが観光とかは出来ないんだが、その辺は理解しているのだろうか。
変装の類をすれば、その点も多少は安全かもしれないが。
とはいえ、もしガルマだと知られる可能性を考えると、変装して出歩くような真似は可能な限り避けて欲しいというのは、正直なところだったが。
そんな風に考えつつ、ブリッジに向かって歩いていると、向こう側から見覚えのある人物がやってくる。
「アムロ?」
「アクセルさん?」
そのアムロは、何だか幸せそうな、それでいて不満そうな、何とも微妙な表情を浮かべていた。
何があった? と気にはなるが、それを尋ねてもアムロが正直に答えるとは思えない。
「ブライトはブリッジにいるのか?」
「ええ。……ブリッジに行くんですか?」
「呼ばれたからな」
そう告げると、アムロの表情に多少の不満が浮かぶ。
自分が呼ばれないのに、俺は呼ばれたという事に対する不満か?
とはいえ、正直にそれを告げた場合は不満を口にするだけなのだろうから、取り合えずスルーしておく。
アムロとすれ違って通路を進むと、その背中にアムロの視線を感じる。
うーん……アムロがこうなるという事は、多分ブリッジにはマチルダがいるんだろうな。
そもそも、ブライトが俺を呼んだのもその件が原因だろうし。
背中にアムロの視線を感じながら、やがてブリッジに到着する。
ブリッジの扉を開くと、そこにいたのはブライトとマチルダの2人だけ。
ホワイトベースが動いている時であれば、こんな事はないだろう。
だが、ホワイトベースは現在動いておらず、ミデアで運んできた部品によって修理されている状況だ。
そんな訳で、ブリッジの面々も今は休息という事で、それぞれ自由にしているのだろう。
ジャブローや北米軍からの通信を考えると、いざという時の為にブリッジに何人かいる方がいいのは間違いないが、現在はブライトがいるし。問題ないのだろう。
「アクセル、来てくれたか」
「ああ。それで、俺を呼んだのは一体何の為だ? もう少しゆっくりとしていたかったんだけどな」
「すまないな。実は……マチルダ中尉」
許可を求めるように、ブライトがマチルダに視線を向ける。
その視線を向けられたマチルダは、小さく頷いてから口を開く。
「この件は、アクセル代表も知っておいた方がいいだろうという事でお知らせしますが、今はまだ他の者達には黙っていて下さい。それでも構いませんか?」
「ああ、それは構わないが……そこまで厳重にして知らせるってのは、よっぽどの事か? てっきり、ユーラシア大陸に到着した後での事を聞かれるのかと思ってたんだが、どうやらこの様子だと違うみたいだな」
「はい。……実は、数日前に起こった、ロス奪還作戦でホワイトベースが戦った敵の中に、ガルマ・ザビがいたらしいのです。それも、ホワイトベースが撃墜したガウの中に」
そんなマチルダの説明に、一瞬どう答えればいいのか迷う。
そもそもの話、ガルマは現在このホワイトベースに乗っているのだが、まさかそれを口にする訳にもいかない。
そんな訳で、自分でも少しわざとらしいか? と思うような驚きを浮かべて、口を開く。
「そうなのか? けど、ガルマ・ザビというのは地球方面軍の司令官だろ? だとすれば、そんな重要人物が最前線に出て来るような事があるのか?」
「そうですね。普通ならそう考えてもおかしくはありません。ですが、それでもジャブローの方では、ジオン軍の動きからガルマ・ザビは戦死したと、そう認識しています」
「具体的な証拠……というのはどうかと思うけど、そういうのはあるのか?」
「いえ。これといったものは。……ロングビーチまで戻れば、ガルマ・ザビの死体を見つける事ができるかもしれませんが……」
「無理だろうな」
あっさりとそう告げる。
実際、敵が待ち構えている中にホワイトベースで突っ込むような真似をすれば、まず間違いなく撃墜される。
「ホワイトベースの修理状況は?」
「7割、といったところかと。ただし。応急修理に近いので無理は出来ません。ハワイにまで行けば……かなりの修理が出来ると思いますが」
マチルダの言葉の意味を理解し、頷く。
「そうだな。ただ、その場合は俺達にホワイトベースの詳しいデータやら何やらが知られると思ってくれ」
「それは、月の修理の時にもう済んでいるのでは?」
どうやらその辺についても知っているらしく、マチルダはそう告げてくる。
実際、その言葉が間違っている訳ではない。
だが、同時に月で得たデータと、激戦をくぐり抜けた末のデータでは、重要性がまた違う。
……もっとも、ホワイトベースの修理で取り外した部品とかは、その都度ミデアが持って帰っているが。
「何だかんだで、月ではそこまで時間的な余裕がなかったからな。ホワイトベース以外にも、調べる事は幾らでもあったし。そういう意味では、今回の一件はいい機会なのは間違いない」
MSの方については、月で大体調べる事が出来た。
また、プロトタイプガンダムを入手したので、そちらを調べて連邦軍製のMSの特徴を大まかに調べられたし、ビームライフルやビームサーベルのようなビーム兵器についても調べる事が出来ている。
勿論、ハワイでは多少ホワイトベースに搭載しているMSも調べるだろうが、それでもやはり一番の大物はホワイトベース本体だろう。
月では完全に調べられなかった場所まで、修理という名目でしっかりと調べられるのだ。
ハワイにいるメカニック達が調べた内容は、すぐにでも月のディアナに送られる事だろう。
グワジン級、ザンジバル級、ムサイ級、パプア級……それに追加して、ホワイトベースのデータとかもあれば、さて一体ルナ・ジオン独自の軍艦はどんな風になるのやら。
その辺は非常に楽しみなのは間違いない。
「……分かりました」
俺の態度から考えている事を大体予想したのか、マチルダは若干不満そうな表情を浮かべつつも、こちらからの言葉に頷く。
もしハワイでの修理を断った場合、ホワイトベースの修理に時間がかかりすぎるというのが、大きな問題だろう。
今ですら、7割。それもきちんとした修理ではなく、あくまでも応急修理での7割だ。
ゴップからの手紙によれば、ユーラシア大陸で俺に改めて何らかの依頼をしたいという事だったが、その時にホワイトベースがろくに使えませんなんて事になったら、洒落にならないといったところか。
言ってみれば、ハワイでホワイトベースを修理させる為の報酬のようなものか。
「分かってくれたようで何よりだ。……ちなみに、このまま北米から脱出してハワイに向かえば、ミデアでの補給も今よりは簡単になると考えてもいいんだよな?」
ホワイトベースの修理をするにしても、当然の話だが部品がないとどうにもならない。
また、ホワイトベースはサラミス級やマゼラン級といった、現在の連邦軍の主力艦と比べても独自構造が大きい。
勿論、ある程度の部品の共用はされているだろうが、独自の部品も当然のように多くなる。
そうなると、やはり修理には時間が掛かる訳で……いやまぁ、アプサラス計画の施設を流用すれば、ある程度はどうとでもなるだろうけど、出来れば純正品が欲しいと思うのは当然だろう。
そんな訳で、ミデアが持ってきてくれる補給物資というのは、非常にありがたかったりする。
「そうですね。北米から遠ざかる形ですし、その辺は問題ないかと。現に、今回の補給も前回よりは楽でしたし」
「いや、前回はな」
ウルフ・ガー隊とかいう部隊が、ホワイトベースを誘き寄せる為の餌としてミデア隊を使ったのだ。
だからこそ、ミデア隊はMS隊やドップ、ガウといった戦力に集中攻撃される事になった。
もっとも、ウルフ・ガー隊の方でもホワイトベースを呼び寄せる前にミデアを撃墜しては意味がないと判断したのか、もしくは単純にミデア隊を率いるマチルダの指揮が優れていたのかは分からなかったが、ミデアもある程度被害は受けたものの、撃墜されたものは1隻もなかったが。
ともあれ、これでハワイに向けて出発は出来るのだが……問題なのは、やはりジオン軍の防衛線に引っ掛かる事がないように注意するべきだろう。
そんな風に考えながら、俺とブライト、マチルダの3人はこれからのホワイトベースの進行について話し合うのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:425
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1469