転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2340話

 ガルマが落ち着いたところで、俺は改めて口を開く。

 

「まずは、だ。お前がシャアに嵌められて殺されそうになった。それは覚えているか?」

 

 そう尋ねると、ガルマは顔を顰めながらも頷きを返す。

 集めた情報によれば、ガルマとシャアは士官学校時代は親友と言ってもいいような間柄だったらしいからな。

 その親友に殺されそうになった事は、ガルマの精神に強い衝撃を与えたのは間違いない。

 

「それで、だ。お前がこれからどうするかというのもそうだが……やっぱり、何故シャアがお前を殺そうとしたのか。その理由を知りたくないか?」

「っ!?」

 

 シャアが自分を殺そうとした理由。

 そう聞かされたガルマは、必死にこちらに視線を向けてくる。

 ガルマにしてみれば、何故俺がその辺の情報を知っているのかというのもあるだろうが、同時にどうしてもそれを知りたいという思いもあったのだろう。

 親友だと思っていた相手に裏切られれば、それも当然だが。

 

「そうだな。少し話は変わるが……ルナ・ジオンを建国したセイラ……いや、アルテイシアは、当然ガルマも知ってるな?」

 

 突然話が変わったことを不思議そうにしつつも、ガルマは俺の言葉に頷く。

 セイラの事は建国宣言の映像とかでも見ているだろうし、ガルマの記憶に残ってるのかどうかは分からないが、まだセイラがアルテイシアだった頃にも会った事がある筈だ。

 

「で、そんなアルテイシアには兄がいた。まさに、ジオン・ズム・ダイクンの正当な後継者だな。だが、そんな兄は父親をザビ家に暗殺された事に、そして自分達家族を離れ離れにした事に復讐心を抱いても、そこまでおかしくはない。……違うか?」

 

 ここまで言えば、ガルマも俺が何を言いたいのか理解したのか、驚愕をその整った顔に浮かべていた。

 

「もう分かったと思うが、ジオン軍のエースパイロットとして有名なシャア・アズナブル。本名は、キャスバル・レム・ダイクン。アルテイシアの兄にして、ジオン・ズム・ダイクンの息子だよ。ここまで聞けば、お前が殺されそうになった理由も分かるだろ。お前の父親が悪いと、そう言われていたみたいだしな」

「むぐぅっ!」

 

 父親……デギンが悪いと言われたガルマは、何かを言い返そうとする。

 とはいえ、猿轡をしている以上、声は出せないのだが。

 そもそもの話、デギンが……あるいはザビ家がジオン・ズム・ダイクンを殺したというのは、明確な証拠がなく、状況証拠でしかない。

 逆に言えば、明確な証拠がない以外は、明らかにデギンやザビ家の仕業だと示しているようなものなのだが。

 

「真実がどうであるのかというのは、この際問題じゃない。あくまでも、キャスバルが……シャアがどう思っているのかというのが、この場合は一番重要な事だ。そしてシャアにとってお前は、あくまでもザビ家の一員だったという事なんだろう」

「んぐっ!」

 

 俺の言葉に不満そうに叫ぶガルマ。

 一度に与えられた情報が多すぎたか?

 

「ともあれ、現状は理解したな? お前はシャアに殺されそうになったところで、俺によって助けられた。……とはいえ、お前がまだ生きてるというのはジオン軍では知られていない。何しろ、乗っていたガウが爆発して四散したからな。そんな状況で死体を見つけるなんて真似は、かなり難しい。ましてや、ロングビーチは廃墟だったし。そして、連邦軍は……少なくても、このホワイトベースの艦長たる人物は、そもそもガウにガルマ・ザビが乗っているとは、全く思ってもいない」

「むぐぅ」

 

 俺の言葉に、少しだけ落ち着いた……いや、落ち込んだか? ともあれ、そんな表情を浮かべるガルマ。

 ガルマの立場のような者が最前線に出るという事に、今更ながら反省をしたのだろうか。

 

「そんな訳で、取りあえずホワイトベースは現在ロングビーチから太平洋に向かって移動中だ」

「んぐ」

 

 その言葉に納得したように頷くガルマ。

 ジオン軍の勢力圏内である北米大陸から脱出するのに、大西洋や太平洋に出るというのは、決して間違っていない……いや、ある意味で最善の選択ではあるのだから当然だろう。

 少なくても、ジオン軍の防衛線を突破して南米に向かうよりは明らかに正しい行動だと。

 ……とはいえ、実際には俺達が向かうのは南米ではなくユーラシア大陸なのだが。

 だが、今の状況でガルマにその辺を説明する必要はないだろう。

 いや、このまま逃がすつもりはないので、言ってもいいのかもしれないが。

 

「それで、お前のこれからだけど……一体どうしたらいいんだろうな」

「もが!?」

 

 ガルマの口から出る、驚きの声。

 殆ど行き当たりばったりで助けられたとは、思いもしないだろうしな。

 

「一応お前が死ぬと、連邦軍に対するジオン軍……いや、ジオン公国の戦意が高まるし、月にいる元ジオンの人間も連邦軍に対して強い恨みを抱くかもしれないから助けた訳だが、だからといって助けてどうこうするって考えはなかったんだよな」

 

 このままジオン公国に返す……のは、悪手だろう。

 それこそ、元気一杯に復活したガルマが再び……いや、シャアの事情を説明したし、実際にシャアに命を狙われた以上、もしガルマをジオン公国に返した場合は、シャアがジオン軍に追われるのか。

 そう考えると結構……いや、駄目だな。

 ジオン軍を追われたシャアが大人しく月に来るのなら、ガルマをジオン公国に返すのは妙手かもしれない。

 だが、何度かシャアと話した限り、シャアが月に来る可能性は驚く程に少なかった。

 シャアはジオン軍ではエースパイロットとしてカリスマ的な存在である以上、庇おうとする者もいるのかもしれないが、所詮個人で出来る事は限られている。

 もしくはキャスバル・レム・ダイクンであるというのを表に出して、ジオン・ズム・ダイクンの後継者として活動する可能性はあるが……今のサイド3に、ダイクン派はもう殆ど残ってないんだよな。

 何しろ、現在の月はジオン・ズム・ダイクンの1人娘であるセイラが治めているのだから。

 そうである以上、やはりここでガルマをジオン公国に返すのは駄目だな。

 せめて、この戦争が一段落ついた後でなら、その辺も考えていいのだが。

 

「少し考えてみたが、まずお前をジオン公国に返すという選択肢は存在しない。そうなるくらいなら、悪いがこのまま命を奪わせて貰う」

「むぐぅ」

 

 俺の言葉に納得したのか、納得出来ないのか、ともあれそんな風に短く呻く。

 

「さて、そうなると……考えられる可能性として一番有効なのは、シャドウミラーの領土たるハワイ、それも人目につかない場所で暮らして貰うといったころか」

 

 幸い、本当に幸いにも、俺はハワイに寄ったらアプサラス計画の進捗を確かめる為に、ギニアスのいる研究所に行く予定になっている。

 アプサラス計画を進めている研究所は、そう簡単に見つかるような場所には存在しない。

 であれば、ガルマを一時期……ジオンの独立戦争が終わるまで匿う程度は、問題ないだろう。

 独立戦争が終わった後、ジオン公国が残っているのかどうかというのは、正直微妙だが。

 ルナ・ジオン的には、ジオン・ズム・ダイクンの後継者が自分達だという自認がある為に、ジオン公国が滅んでも問題はないと判断するだろう。

 もっとも、ガルマの一件でも分かる通り、個人に対して思うところがあったりはするみたいだが。

 

「むぐ……むぐぅっ! むぐ、むぐぐぐぐぐ!」

 

 俺の言葉に最初は納得したような……いや、自分が捕虜になってしまった以上はしょうがないといった様子を見せたガルマだったが、ふと何かに気が付いたかのように強く呻き声を漏らす。

 何だ? 明らかに俺に対して何を言いたいように見えるが……当然ながら、猿轡がされている状況でガルマと意思疎通する事は出来ない。

 そうなると、ガルマが何か言いたいのを理解するには、猿轡を外す必要があるのだが……ここで迂闊に猿轡を外して騒ぎになっても困るんだよな。

 とはいえ、今の状況を考えるとしょうがないか。

 

「お前が何を言いたいのか分からない。だからそれを聞く為に猿轡を外すが、もし騒いだ場合は……そうだな、目玉の1つ2つ、耳の1つ2つ、指の1本2本がなくなるかもしれないという事は覚悟しておけ。それでいいのなら猿轡を外すが、どうする?」

「ふぐぅっ!」

 

 脅しの言葉にも、全く恐怖した様子がなく、ガルマは即座に頷く。

 そこまでして、何か俺に伝えたい事でもあるのか?

 まぁ、取りあえずそこまでの覚悟を持っているのなら、と猿轡を外す。

 何気に猿轡をしていたのは苦しかったのか、ぷはぁっ、と大きく息を吐くガルマ。

 そんなガルマを眺めつつ、尋ねる。

 

「それで? 俺に何か言いたいことがあったんだろう? それを聞かせてくれないか? ああ、言っておくが自分を解放しろとか、そういうのは当然無理だぞ。ここは、あくまでも連邦軍の新造艦、ホワイトベースの中なんだからな」

 

 こういう時に有効なのは、何らかの報酬を与えて自分の要望を聞かせる事だ。

 ガルマの場合であれば、ジオン軍の地位とかそういうのか。

 だが、ぶっちゃけジオン軍とは公式的に敵対している月に協力する身としては、ジオン軍の地位なんてものは厄介な存在でしかない。

 ジオン軍のMSとかそういうのなら多少興味がない訳でもないが、それだってジオニック社、ツィマッド社、MIP社という兵器メーカーがこちらと接触する為に色々と渡して来てはいる。

 そもそも、ガルマの身とMS数機ではとてもではないが釣り合わないし。

 ガルマと釣り合う……か。

 ぶっちゃけ、ジオン公国の公王たるデギンはガルマを猫可愛がりしているらしいし、ドズルの方もかなりガルマに期待しているらしい。

 その辺を考えると、ガルマの身柄があればかなり思い切った事を要求出来るのは間違いなかった。

 

「分かっている。ただ……私が無事で、まだ生きていると1人の女性に伝えて欲しい」

「……女に? それは、どういう関係の女だ? まぁ、自分の無事を伝えて欲しいというのなら、大体予想出来るけど」

 

 普通なら、何の関係もない相手に自分の無事を伝えて欲しい、などとは到底思えないだろう。

 だとすれば、ガルマの恋人……もしくは片思いの相手か。

 

「私の婚約者だよ。……もっとも、私がジオンの人間という事で、向こうの親に結婚を反対されているが」

「へぇ……」

 

 婚約者がいる身で、最前線に出て来るってのは正直どうよ? と思わないでもない。

 ああ、でもジオンの人間という事で結婚が認められなかったのなら、ここでホワイトベースを撃墜するなり鹵獲するなりといった手柄を立てて認められたかった、と。そういう事なのか?

 

「そんな訳で、私が生きているという事を知らせたい。お前がアクセル・アルマーだというのであれば、そのくらいは出来るのではないか?」

 

 お前、ね。

 まぁ、呼ばれ方をそこまで気にしている訳でもないが、ガルマは自分が捕虜になってるってのを忘れてるんじゃないか?

 それとも、その婚約者に対する思いで一杯一杯なのか。

 その辺は、ホワイトベースで暮らしているうちに色々と慣れてくるだろ。

 それに、恐らく……本当に恐らくではあるが、ガルマとはハワイで別れる事になるんだから、その辺はあまり気にしなくてもいい。

 ハワイではコバッタか量産型Wを付けておけば問題ないだろうし。

 そうなると、戦後の事も考えるとガルマに恩を売っておいた方がいいのは事実か。

 個人的には好きではないが、その恋人とやらを連れて来て恩を売っておけば、いざという時には人質としても使えるだろうし。

 

「分かった。俺には魔法があるから、お前が手紙を書けばその人物に届けてやってもいい。ただし、言うまでもないがその手紙は出す前にしっかりと確認させて貰うぞ。獅子身中の虫とか、冗談じゃないしな」

「それで構わない。イセリナに私の無事を伝える事さえ出来れば、それでいい」

 

 そのイセリナって奴が、どうやらガルマの恋人の名前なのだろう。

 にしても、ガルマがそこまで好意を抱く相手というのは、ちょっと気になるな。

 そういう意味では、イセリナという女をちょっと見てみたい気がするので、手紙を持っていくのは構わない。

 とはいえ、俺がいない間にガルマが妙な行動をしないようにするには……炎獣か? いや、綾子に頼んだ方が確実か。

 ガルマが何をしようとも、半サーヴァントである綾子の隙を突けるとは、到底思えないし。

 

「なら、これから拘束を解く。繰り返すようだが、ここは連邦軍の最新鋭艦の中だ。お前がここから逃げる事は出来ないし、そんな真似をしたらお前が手紙を出すイセリナとかいう女も悲しむ事になるというのを覚えておけ」

「……ああ」

 

 若干の躊躇の後でガルマが頷き、俺はそれを確認してからガルマの拘束を解き、紙とペンを渡す。

 ガルマはすぐに机に向かうと、イセリナに対する手紙を書き始めるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:425
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1469

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