夜の戦闘ではあるが、ピクシーの色は目立つ。
いっそ黒とかに色を塗り替えれば見つかりにくかったのかもしれないが……いや、今回はあくまでも囮で、ホワイトベースのいる場所まで連れていく必要がある。
そう考えれば、やはり見つかるように行動する必要があるのか。
そんな風に考えながら、飛んでくるザクマシンガンやザクバズーカを回避していく。
ピクシー最大の特徴たる高い運動性や機動性を活かして行動している為、ザクに接近されてヒートホークとかを使われるといった事はないし、射程の短いクラッカーの類も使われていない。
クラッカーの類は使おうと思えば使えるのかもしれないが、こういう廃墟になっている場所では隠れる場所も多く、見つかりにくいので、そこまで役には立たないのだ。
威力そのものも、そこまで高い訳じゃないし。
「ブライト、聞こえているか? こちらは現在ザクを3機引き連れてホワイトベースがいる方に向かっている。撃破の準備は出来ているか?」
『すまん、まだだ! アムロがシャアに狙われていて、他のザクを誘き寄せるのが上手くいっていない!』
焦った様子のブライトの言葉。
その気持ちは分かる。
本来なら、全てのザクを纏めて撃破するつもりだったのに、アムロの方は誘導に失敗しつつあるのだから。
とはいえ、それでアムロを責める者はいないだろう。
そもそもの話、アムロを追っているのがシャアの部隊なのだから。
寧ろ、シャアに狙われてそれでも撃破されたりしないでいるというのは、褒められてしかるべきだ。
……だからといって、現状が好転する訳でもないのは、事実なのだが。
「なら、どうする? 俺はもう少し廃墟の中を移動して、ザクを引きずり回せばいいのか?」
それが出来るかどうかと言われれば、出来る。
だが、延々と俺が逃げるだけとなってしまえば、俺を追っているザクもこちらを怪しむのは間違いないだろう。
そうなれば、隠れているホワイトベースが見つかってしまう可能性もあった。
であれば、いっそ俺を追ってきているザクを倒してしまうというのも、1つの手だ。
こちらの目的としてはザクを撃破出来ればそれで十分であり、どうしてもホワイトベースがザクを倒さなければならない訳でもないのだから。
『うーむ、どうするべきか。ここで下手にザクを倒してしまうと、それこそジオン軍にこちらの行動を読まれてしまう可能性もある。それを考えると、出来ればもう少し頑張って欲しいのだが』
ブライトのその言葉に、後ろから追ってきている3機のザクに90mmサブマシンガンで弾幕を張りながら、答える。
「分かった。こっちはもう少しなら問題なく行動出来ると思う。ただ、こっちから撃墜出来るのに攻撃をしないままでいると、怪しまれるのは間違いないぞ」
『……2分だ。もう2分頑張って現状を維持し、それでも無理なようなら撃破しても構わない』
ブライトの口から出た、いかにも渋々といった様子の言葉。
一撃で敵を撃破したいという、ブライトの狙いは分かる。
分かるんだが、現在の状況を考えた場合、その事に拘りすぎるのはどうかと思うのも、また事実だ。
であれば、やはりここは少しでも早く敵を撃破した方がいいと思うんだが。
とはいえ、シャアに狙われているアムロはともかく、俺の方にはまだかなりの余裕がある。
そうである以上、ブライトの言葉に従っておくか。
「分かった、2分だな。それくらいなら、特に問題なく出来ると思う」
そう答え、俺はピクシーを操縦しながら廃墟となっている街中を駆け抜けていく。
特に大きいのは、ビルとかがある事だろう。
おかげで身を隠す場所には全く困らない。
とはいえ、こちらが完全に身を隠すような事になってしまえば、それはそれで色々と不味い。
ザクがピクシーを見失ったと判断して、それこそシャアと戦っているアムロの方に行く可能性があるのだから。
しかも、アムロが戦っているのはシャアだけではない。
前もって得た情報によると、この廃墟に落下したザクの数は合計6機。
そして、俺を追っているのが3機という事は、アムロを追っているのもシャアを入れて3機いるという事になる。
……まぁ、もしかしたらシャアからの命令でホワイトベースを探しているという可能性もないではないのだが、その可能性はかなり低いだろう。
「後は、取りあえずアムロが無事にホワイトベースの方にシャア達を誘き寄せる事に成功するのを祈るだけだけど……さて、どうなんだろうな」
この場合のどうというのは、シャアを無事に引き連れていけるかという事だ。
シャアであれば、ホワイトベースが待ち受けているというくらいは見破るのも難しい話ではないだろうし、もし罠に嵌まっても抜け出すのはそう難しくはない筈だ。
……というか、もしここでシャアを殺すような真似をしたりしてしまえば、セイラに顔向けが出来なくなる。
そんな風に考えつつ、近くを通りすぎようとしたザクに対して頭部バルカンを撃つ。
廃墟の隙間からの射撃だったが、それでもザクには十分に命中したのは、ピクシーの性能が高いというのもあるが、やはりステータスで命中を育てた結果なのだろう。
ともあれ、バルカンによって致命傷を与える事は出来なかったが、それでもある程度の衝撃を与える事には成功したらしい。
ザクがその一撃に怒ったように、ザクマシンガンをこちらに向けてくる。
真っ直ぐに撃たれたその一撃は、容易に廃墟を貫いてピクシーに向かってくるが……その時、既に俺はピクシーを動かし、廃墟から飛び出ていた。
ルナ・チタニウムの装甲なのだから、ザクマシンガンは正面から受けても問題はないと思う。
だが、それでも万が一を考えると……そして何より、装甲に傷を付けるのを嫌がっての行動だった。
せっかくのピクシーなのだから、出来れば装甲とかは可能な限り傷を付けたくないと思うのは当然だろう。
頭部バルカンによる挑発を行いながら、ピクシーで廃墟の中を移動する。
この場合に厄介なのは、アムロの用意が調った時にはすぐ行動出来るように、目的の場所……ホワイトベースが隠れている場所から、そこまで遠くに移動は出来ないというのが難点か。
廃墟から廃墟に、次々と隠し場所を変えながらの移動。
そうして移動し続け……やがて、約束の2分が経過しようとした時……
『アクセル、アムロがシャアを撒く事に成功して、他のザクをホワイトベースの方に引き付けさせている! お前もすぐにこちらに来てくれ!』
……何?
ブライトの口から出た言葉に、違和感を抱く。
当然だろう。MSの性能差はともかくとして、純粋な操縦技術となれば、まだアムロよりもシャアの方が圧倒的に上なのだ。
にも関わらず、シャアがアムロを見失うという事が……いや、ガンダムの性能を考えれば、そこまでおかしな話ではないのか?
色々と思うところはあれど、ともあれシャアを撒いて残り2機のザクを引き連れてホワイトベースのいる方に向かっている、というのは間違いのない事実なのだろう。
であれば、こちらとしてもそんなアムロの行動に合わせる必要があるのは間違いなかった。
「分かった、すぐに俺も行く」
短く言い、隠れていた廃墟から飛び出ると、少し離れた場所でピクシーの居場所を探していたザクに対し、90mmサブマシンガンを発射し、注意を引く。
命中はするが、それでも撃破しないように。
そんな一撃を放ち、次々と命中させてザクの注意を引きながら、その場から移動する。
当然ながら、ザクとピクシーではその移動速度に大きな差がある。
その為、移動速度はある程度……いや、かなり手加減をしてのものとなる。
普通であれば、そんな動きをしていれば怪しんでもおかしくはないのだが……俺の挑発によって頭に血が上ってるのか、もしくは単純にまだ戦闘経験の少ない新兵なのか。
もしくは、単純にピクシーの性能を理解していないだけ、という可能性もあるか。
ともあれ、ザクは怪しむような様子もなくピクシーを追ってくる。
頭に血が上っているというのは、MSパイロットや軍人としてどうかと思わないでもないが……ともあれ、そのまま目標ポイントに向かって進む。
途中で少し――あくまでもMSでの認識だが――離れた場所を走っているガンダムを目にする。
どうやら、タイミングとしてはこれが最善の結果だったらしい。
そのガンダムを追う、2機のザク。
……報告にあった通り、シャアのザクの姿はない。
それが微妙に嫌な予感を抱かせるものの、とにかく今はMSを纏めて撃破するというブライトの作戦を実行するのみだ。
『アクセルさん!』
「分かってる。このまま向こうを牽制しつつ、目的の場所まで移動するぞ」
近くなった事で可能になった通信で、アムロと短く意思疎通をする。
そうして、2機のガンダムが揃ったところで、ホワイトベースが隠れている場所に向かって進む。
当然のように、逃げつつも敵がこっちを追うのを止めないように、適当に頭部バルカンや90mmサブマシンガンを撃ったりといった真似はして、挑発する事をやめはしない。
……アムロを追っていたザクの方が、何だか怪しげな動き、具体的に言えば自分達が誘き寄せられているのではないかといったような疑問を感じたのか、追ってくる動きが鈍くなったりもしたのだが……それでも挑発をすれば、すぐにまたこちらを追い始める。
それにしても、本当によくこっちの挑発に掛かるな。
新兵、もしくはそれに準じた存在がパイロットをやっているという俺の予想は当たっているのか?
ともあれ、そうやって移動していたのだが……
「え?」
ちょうどホワイトベースのいるドームが近づいてきた時、そのドームの向こう側、それこそちょうどホワイトベースの後ろから、ガウが飛んできたのが見えた。
おいおい、それってちょっと不味いんじゃないか?
いや、この場合の不味いってのは、俺やホワイトベースじゃなくて、あのガウが。
そしてこの時、俺の頭の中では複数のピースが嵌まり、1つの絵を形作る。
戦場にいたのに、急に姿を消したシャア。
ザビ家という名前にコンプレックスを持ち、明確な手柄を欲するガルマ。
大気圏突入に成功して北米に降下した時、自らドップに乗って攻撃してきたガルマ。
セイラのいる月に向かわず、父親のジオン・ズム・ダイクンをザビ家に殺されたシャア。……もっとも、この一件はザビ家が犯人というのが濃厚ではあるが、明確な証拠の類はない。
そして、見るからにホワイトベースに腹を晒し、自分から背後を晒すような真似をするガウ。
これらが組み合わされば、シャアが何を考えているのかというのを察するのは難しい話ではない。
だが、それは俺にとって最悪の結論をもたらす結末でもあった。
「アムロ、そろそろ散らばるぞ!」
『え? まだちょっと早い……』
そう言ってくるアムロだったが、既にホワイトベースが待ち構えているドームはそう遠くない。
そもそも、それ以前にガウの一件を考えれば、ホワイトべースがこっちに攻撃してくる可能性は非常に少ない。
そんな訳で、俺はここぞとばかりにピクシーの機動性を活かし、この場から離脱する。
これまでのように、追ってくるザクが見失わない程度の速度ではなく、機動性特化とも言えるピクシーの能力を全開にしての動きだ。
そのまま急速にガンダムやホワイトベースから離れ、見つからない場所に移動すると、そのままピクシーのコックピットから降りて空間倉庫に収納。
その後は、一応効果はないが、もしかしたら生身で見てる奴には何らかの目眩ましになるかもしれないと考え、気配遮断のスキルを使いついでにマスクを被って俺が誰かを分からないようにしてから、虚空瞬動を使い一気にガウに向かって飛ぶ。
幸いにもガウは既に背後からホワイトベースやガンキャノン、ガンタンクによって徹底的に攻撃されており、またガウとの距離が近いという事もあって、レーダーの類で俺を捕捉するのは難しいのは確実だった。
そんな訳で、俺はそのままガウに突っ込んでいき……ホワイトベースかMSかは分からないが、その攻撃によって穴の空いた場所からガウに突入し、そのままコックピットを目指す。
その最中、ガウが大きく空中で曲がったが……もしかして、ホワイトベースに特攻でもする気か?
ともあれ、特攻させてガルマを殺すというのは、俺にとってもルナ・ジオンにとってもマイナス要素が大きい。
気配遮断のスキルを使ったまま、通路を進み……やがてコックピットに到着すると、半ば強引にその壁を剥ぎ取る。
その行動によって、気配遮断の効果は解除されたが、それを気にせずにコックピットの中に押し入る。
『君はいい友人だったが、君の父上がいけないのだよ。はっはっはっは』
ガルマを見つけると、ガルマの付けている通信機からシャアのそんな声が聞こえてくる。
どうやら、俺が予想したようにシャアの狙いはガルマの暗殺だったらしい。
「シャア……謀ったな、シャア!」
叫ぶガルマだったが、次の瞬間には俺の一撃であっさりと意識を失い……その身体を、俺は受け止めるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:425
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1469