転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2333話

「アクセル、お前も一緒に写真を撮ろうぜ」

 

 ミデア隊が帰還するというので見送りに来たのだが、カイにそう声を掛けられる。

 

「写真?」

「ああ。ほら、折角だし……な?」

 

 そう言うカイの視線は、写真を撮るべく並んでいる面々に向けられる。

 そこには、ミデア隊を率いてきたマチルダ……だけではなく、何故かミナトと綾子の姿まである。

 いやまぁ……うん。大体の事情は分かったけど。

 マチルダ達にしてみれば、これから再びジオン軍の防衛線を突破してジャブローに戻るのだ。

 補給物資の類を下ろしたりはして、こっちに来た時よりはミデアも大分軽くなっているが、それでもホワイトベースやMSの部品を持っていくので、そこまで軽くなっている訳ではない。

 消耗した部品も、連邦軍やMSを作っている者達にとっては宝の山なのだろう。

 ……ニーズヘッグとかをオーバーホールしている時に、交換した部品の扱いを巡って技術班が骨肉の争いをしていたりするのを見れば、そのくらいは予想出来る。

 ともあれ、そのような部品を持っていくので、こっちにやって来た時よりは大分軽いが、それでも身軽と言う程ではない。

 そもそもの話、ミデアは輸送量を重視して設計された機体であり、機動性や運動性といった事は殆ど考慮されていないのだから。

 その辺の事情を考えれば、来る時よりはマシでも、ジャブローに向かう為にジオン軍の防衛線を突破するのはかなり厳しいというのは間違いのない事実だった。

 であれば、少しくらい羽目を外してもおかしくはないか。

 写真を撮る為に並んでいる者達の中には、ミデア隊でやって来た面々の姿もあるのでそう判断する。

 

「分かった。けど、あまり時間を掛けるとブライトにも怒られるぞ」

「ブライトさん? ブライトさんなら、ほら」

 

 そうカイが示した先には、写真を撮る面子の中で中央近くに存在するブライトの姿。

 俺と目が合うと、居心地が悪そうに視線を逸らす。

 いやまぁ……うん。これからホワイトベース隊は色々と大変なんだから、ミデア隊と同じく多少は羽目を外すのも必要だよな、うん。

 半ば無理矢理自分をそう納得させると、取りあえずという事で俺も写真を撮る列の中に入った。

 ……が、やはり立場が立場だからだろう。何だかんだと最終的にはブライトの側、つまり列の中でも中央付近まで移動させられる事になる。

 最終的に俺の隣にはミナトと綾子の2人が並び、いつも通りのようになった。

 そんな訳で、カイがカメラを用意し……

 

「撮るぞぉっ!」

 

 そう言い、タイマーをセットして急いで走るカイ。

 だが、焦っていたからだろう。走っている途中で地面の石につまずき……その瞬間カメラのフラッシュが焚かれた。

 

「あー……これが最後だったのによぉ……」

 

 心底残念そうに呟くカイ。

 これが最後だったという事なら、それも当然だろう。

 

「まぁ、ミデア隊が来るのはこれが最後って訳でもないだろうし、次に期待するんだな。それこそ、補給物資でカメラを頼むとか」

「そうですね。ホワイトベースには南下するのではなく、太平洋に出てユーラシア大陸に向かって貰う予定ですので、北米大陸から脱出して太平洋に向かえばまた補給も出来るかと。もっとも、太平洋に出る事さえ出来れば、そのままジオン軍の追撃を振り切ってハワイに向かう事も出来るでしょうけど。そうなると、次にお会いするのはハワイで、という事になるんでしょうか?」

「どうだろうな。ただ、ハワイに寄るにしても、堂々とって訳にはいかないだろ」

 

 それこそ、SEED世界でオーブに入った時……とまでは言わないが、ある程度こっそりと移動する必要があるのは間違いない。

 とはいえ、別にルナ・ジオンはジオン公国との間に何らかの条約を結んでいる訳ではない以上、そこまで神経質になる必要はないのだろうが。

 

「ハワイまで行けば、ホワイトベースも今よりは良い状態になるんでしょうけど……」

 

 そう言ったのは、写真を撮る為に並んでいた人物の1人で、ミデアでやって来たメカニックの1人だ。

 そのメカニックが言う通り、最悪の状況から1歩……いや、数歩は前進したが、それでも結局のところホワイトベースはまだ完全とは言えない状況だ。

 ミデア隊が予想していたよりも、かなりの損傷を負っていたのが現在この状況になった原因だった。

 また、同時にいつまでもここにいられないという理由もある。

 岩山が大量にある場所で、ある程度はカモフラージュ出来ていたが、それでもいつまでもここにいるという訳にはいかない。

 何日か前には、ジオン軍の偵察機のルッグンがここからそう遠くない場所を飛行していたらしいし。

 つまり、現在もジオン軍はホワイトベースを探すのを諦めていないという事の証だろう。

 ……まぁ、ジオン軍が制圧している場所に、かなりの戦力を率いたシャアを撃退するという実績を残した部隊がいるのだから、向こうにしてみればとてもではないが安心出来るような状況ではないのだろうが。

 そんな訳で、修理を途中で切り上げる事になった訳だ。

 それでも、ホワイトベースの動力炉の出力は50%近くまで上がるようになったのだから、以前よりはマシだ。

 大気圏に突入してすぐの時は30%程度だったのが、ウルフ・ガー隊の罠に引っ掛かった事により、20%に届くかどうか……といったところまで、ホワイトベースの出力は下がっていたのだ。

 それを思えば、ミデア隊が連れて来てくれたメカニック達がどれだけ頑張ったのかという事が分かる。

 出来ればメカニック達全員に、ホワイトベースに来て欲しかったというのがブライトの……そしてホワイトベースに乗っている者の希望だろう。

 だが、実際には10人ちょっとだけがホワイトベースに移乗し、それ以外は全員がミデアでジャブローに帰る事になっていた。

 その10人だけでも十分役に立つのは間違いないんだが

 ただ、残念だったのはボルクやその部下達もミデアで引き上げる事か。

 MSの操縦訓練をしているらしいので、素人が操縦しているガンタンクのガンナーを変わって欲しかったのだが。

 連邦軍にしてみれば、ミデア隊の護衛をさせたのを見れば分かる通り、かなり期待している新人なのだろう。

 だからこそ、ホワイトベースに送るという真似はしない……といったところか?

 

「ホワイトベースもこれから大変でしょうが、頑張ってくださいね。それとここから暫く西に向かった先にある海岸付近にはジオン軍のいない場所もあるので、そこで気分転換をするのもいいでしょうね。海水浴とか」

「はぁ、海水浴……ですか」

 

 ブライトがそんな暢気なとでも言いたげな様子で呟く。

 まぁ、実際に現在の状況で海水浴と言われても、ブライトのような生真面目な性格をしている者であれば、素直に頷く事も出来ないのだろうが。

 

「張り詰めている糸は切れやすいわ。適度に気を抜く事も必要よ」

 

 そうマチルダが言い、最後にこちらに……ホワイトベースに残る者達に向かい、綺麗に敬礼する。

 

「では、私達はこれで出発します。……また会える日を楽しみにしているわ」

 

 マチルダが代表してそう言い、出発準備を整えたミデアに戻っていく。

 その途中で、ボルクが俺に視線を向けると小さく頭を下げて、ミデアに乗り込んでいく。

 他にも、ミデアで帰還する者達はそれぞれ自分のミデアに乗り込み……やがて、ミデア隊はその場から飛び去っていった。

 岩山や岩場が大量にあるこの場所では、滑走路を用意する事は出来ない。

 だが、ホワイトベースもそうだが、ミデアもVTOL機能……滑走路がない状態であっても、垂直に離着陸出来る機能を持っているので、滑走路云々というのは問題にならない。

 飛び去っていくミデアを眺めながら、ミデアの性能の高さに改めて感心する。

 コンテナを抱え込むような構成になっている為に、コストそのものもそこまで高くはない。

 VTOL機能があるので、着地する場所を選ばないというのも大きい。

 唯一の難点としては、武装だが……まぁ、その辺は輸送機だしな。

 護衛を付ければ、その辺りはカバー出来る。

 ルナ・ジオン軍としても、ミデアのような輸送機はあった方がいいのは間違いないだろうし、ディアナにその辺を開発するように言ってみるか?

 まぁ、同じような輸送機という事では、シャドウミラーにもミデアの上位互換とも言えるレイディバードというのがあるけど、どうせならUC世界で新しく専用の機体を開発してもらった方がいいのは間違いない。

 

「さて、ではマチルダ中尉達もいなくなってしまったし、我々もこの場から離れるとしようか」

 

 ブライトのその言葉に、皆がそれぞれ自分の仕事に戻っていく。

 ホワイトベースの現状は、必ずしも最適ではない。

 だが、だからこそ多くの者達がそれぞれに必死に自分の担当の部署で仕事をする事で、少しでもホワイトベースを最善の状況にしようとしているのだろう。

 まぁ、ぶっちゃけた話、MS組にはその辺はあまり関係ないのだが。

 いや、アムロとかなら機械とかにも詳しいので、ホワイトベースの修理とかも出来ると思うけど、俺、綾子、ミナトの3人は、あくまでもルナ・ジオン――正確にはシャドウミラーだが、表向きはルナ・ジオンという事になっている――の協力者である以上、そちらに手を出すような事はしない方がいい。

 MSの方の調整……特に現在ホワイトベース所属ではあっても、俺個人の所有物という扱いになっているピクシーに関しては、色々と弄る事も出来るのだが、ミデア隊が連れて来たメカニック達によって完璧に整備されてしまっているので、やるべき事はない。

 ……というか、ピクシーは貰ってもその予備部品とかそういうのはある程度しか貰ってないから、ピクシーを万全の状態で動かす為には、連邦軍との協力態勢が必須なんだよな。

 月に戻れば、ディアナの設備でそれらのパーツを作る事も出来るだろうけど。

 一応、連邦出身の技術者もいるんだし、何とかなる……とは、思う。

 いや、月に戻らなくても、ハワイにあるアプサラス計画の研究所でどうにかなったりもする、か?

 そんな風に思いつつ、俺は綾子と一緒に格納庫に向かう。

 ミナトは操舵士としてブリッジに行く必要があるので、残念ながらここからは別行動だ。

 

「そう言えば、ミデアで来たメカニックの人が言ってたんだけど……」

 

 修理した事によって、かなり歩きやすくなった通路を進みながら、ふと綾子がそんな風に言う。

 

「ほら、アクセルのMSは教育型コンピュータがないけど、それ以外の機体はそのままでしょ?」

「まぁ、そうだな」

 

 俺の操縦技術のデータを連邦軍に渡す訳にはいかないのだから、当然だろう。

 もっとも、そういう意味では綾子の操縦データも出来れば渡したくはないのだが……乗っている機体がガンタンクとなれば、話は別だった。

 恐らく……いや、ほぼ間違いなく、この先にガンタンクのようなMS……いや、半MSとでも呼ぶべき機体はなくなっていく筈だ。

 であれば、多少なりともガンタンクを操縦している綾子のデータが連邦軍に渡っても、使い道がないだろう。

 ……連邦軍が、ガンタンクのようなMSを量産する事になれば、話は別だが。

 遠距離攻撃用に多少量産する事になっても、MSのように主力になるという事は、まずない筈だ。

 そうなったらそうなったで、ちょっと面白いような気がしないでもないが。

 だからこそ、俺が乗っていたガンキャノンの方はともかく、綾子の乗っているガンタンクは教育型コンピュータがそのまま搭載されていた。

 

「それで聞いた話によると、教育型コンピュータのデータが十分に蓄積すれば、ガンタンクも2人じゃなくて1人で乗る事が出来るようになるみたいよ」

「へぇ……それは、いいな」

 

 ガンタンクは色々と問題のある機体ではあるが、両肩の低反動キャノンの威力は間違いなく最高峰――ビーム兵器を除く――だ。

 命中すれば、ザクを1撃で撃破するのも、難しい話ではない。

 特に自分で移動出来る程度の能力があるというのが、ホワイトベースの移動砲台として使うには十分な性能を持つ。

 出来れば、教育型コンピュータで1人1台ガンタンクを操縦出来るようになったら、6機のガンタンクがホワイトベースに補充されてくれれば助かるんだが……無理か。

 ガンタンクはともかく、教育型コンピュータとかを含めたコアファイター周辺のコストが高すぎる。

 だとすれば、1人で動かせるようになってホワイトベースの格納庫に余裕が出来ても、来るのはガンタンクの量産型とかそういうのの筈だ。……開発されてれば、の話だが。

 

「もっとも、データが蓄積するまではまだ結構掛かるみたいだから、実際に1人で操縦するようになるのには、まだもう少し掛かるんだろうけどね」

 

 そんな風に会話をしながら、俺と綾子は格納庫に向かうのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:425
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1469

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