ホワイトベースの修理が始まってから数日……俺がピクシーを手に入れてから数日と言ってもいいが、そんな時間の中でホワイトベースは未だに修理の途中だった。
あそこまで被害を受けた軍艦が、数日で何の問題もなくなるまで修理が完了するというのは常識的に考えてまず不可能だろうし、そこまでおかしくはないのだが。
とはいえ、MSの方もガンキャノンはまだ少し掛かるが、ガンダムの方はオーバーホールが完了し、万全の状態となっている。
その後は、ガンダムのオーバーホールをやっていたメカニック達がガンキャノンやホワイトベースの修理に回り、そしてもう少しでガンキャノンの修理が終われば、メカニックの全てがホワイトベースの修理に全力を出す事になる。
ああ、ちなみに基本的に後方からしか援護射撃をしていなかったガンタンク隊はそこまで被害を受けておらず、ガルマ隊との戦いの時に敵に突っ込んでいった綾子のガンタンクが幾らか損傷してるだけだったので、そこまで修理に時間は掛からなかった。
寧ろ、ガンタンクよりも時間が掛かったのはピクシーだろう。
折角大勢のメカニックがいるという事でピクシーを俺用にしっかりと調整して貰ったのだが、機体の反応速度や追従速度といったものはガンキャノンよりはマシではあるが、それでも俺がストレスを感じさせないように……というのは無理だった。
この辺は、やっぱりまだMSという兵器が登場したばかりのUC世界においては技術力不足なのだろう。
これは時間が経てば技術が進歩するのだろうから、その辺は将来に期待といったところか。
そんな訳で、ピクシーはかなりシビアな設定にしたが、それらの設定も既に終わっており、ホワイトベースの修理の方に回っている。
そうしてホワイトベースが修理されている間に俺達が何をしているのかといえば……
「違う! 敵がザクの場合は、基本的には3機で1小隊だ。つまり……」
「いや、でも今まで実戦で経験してきた感じだと……」
視線の先では、アムロやボルク、リュウ、ジョブ、カイ、ハヤト……それ以外にも、MS部隊の面々が色々と話をしているのが見えた。
この中で一番軍歴が長いのはボルクだ。
それだけに、MSやら何やらを連邦軍の目から見て、色々と話し合っているのだ。
何度か意見を聞かれる事もあったが、俺はシャドウミラーに所属しており、ルナ・ジオンに協力している身である以上、最低限のアドバイスしかしていない。
もし俺がここで何かを言えば、それが理由でルナ・ジオン軍の動きを予想とかされるかもしれないし。
……まぁ、ルナ・ジオン軍とシャドウミラーでは機体の運用方法とかもかなり違っているので、そこまで参考になるとは思えないのだが。
とはいえ、そういう可能性は少ない方がいい。
また、ホワイトベースのMS隊の面々も大気圏突入の時からウルフ・ガー隊との一連の戦闘で色々と思うところがあったのか、普段はそういうのにあまり参加しないカイまでもが、この話し合いに参加していた。
「まぁ、頑張ってくれ」
いつまでもそのやり取りを見ているのもどうかと思ったので、俺は熱心に会話をしている面々の前から立ち去る。
とはいえ、今の状況では俺にも特にやるべき事はないんだよな。
ちなみに、ミデアと合流したその夜のうちに、俺は戦いのあった場所まで影のゲートで戻り、そこに残っていたMSの残骸……コックピットを潰されたザク、グフ、ドムを空間倉庫に収納しておいた。
ピクシーの取説とかについては、既に見終わっているし。
勿論、詳細な場所までを全て読んでいる訳ではない。
あくまでも、ピクシーの操縦に関しての部分だけを読んだだけだ。
だが、元々俺はガンキャノンを操縦しており、言ってみれば連邦軍のMSの操縦の基礎は、そこで既に習得している。
ガンキャノンとガンダムでは色々と違うところも多いが、それでも基本は一緒だ。
そして違う場所も、ピクシーを使っての戦闘でウルフ・ガー隊との戦闘をした結果、ほぼ理解している。
この辺は、数多くの機動兵器に乗ってきたからこその、勘の良さや慣れというのも影響しているんだろう。
勿論、実際にピクシーを動かしてもっと機体に慣れるといった事が出来るのなら、した方がいいのだが。
だが、ミデアが色々と運んできてはくれたが、推進剤や武器弾薬の余裕もそこまである訳ではない為、模擬戦とかは出来ない。
いや、余裕は結構あるんだが、ハワイに到着するまでの間にどれだけの戦闘が起きるか分からず、ミデア隊もそう簡単にここまで来る事は出来ない。
今回は、ピクシーを運んだり、こちらの状況が最悪に近い感じだったので、かなり無理をしたのだ。
……まぁ、ミデア隊だけでジオン軍の防衛線を突破してきたんだから、無謀と言われてもしょうがないよな。
まぁ、途中までは護衛がいたらしいが。
その辺に関しては詳しい事は聞いていない。……が、恐らくMS部隊なんだろうというのは、予想が出来る。
ジャブローが連邦軍の本拠地である以上、当然のようにMSの量産は最優先で行われている筈だった。
そうなれば、先行量産型とかそういうのが存在してもおかしくはない。
となると……その護衛達は、相当の技量を持った、それこそ連邦軍のエース候補といったところか。
そんな事を考えながら、適当に歩き回る。
現在、俺達がいるのはメキシコの辺り。
周囲には岩山が幾つも存在しており、ホワイトベース程の大きさであっても隠れられるような場所は多い。
とはいえ、ガルマ隊が偵察機とかを飛ばしてこちらを探すといった真似をしたりすれば、当然のように見つかりかねないが。
一応ミデア隊が持ってきたカモフラージュ用のシートとかを使ってはいるのだが、それもどこまで役に立つのやら。
「あら、アクセル代表。こんなところでどうしました?」
岩山を適当に歩いて回っていると、不意にそう声を掛けられる。
それが誰の声なのかというのは、ここ数日何度も顔を合わせているだけに、すぐに分かった。
「ちょっと周囲の様子を見ておこうと思ってな。そういうマチルダは? ここはミデアやホワイトベースがいる場所からも離れてるし、1人で動き回るのは危険だぞ」
そう告げると、なら貴方はどうなんです? といった視線を向けられる。
とはいえ、俺の場合はこの世界の人間とは色々と……それこそ、種族からして違うからな。
「それを言えば、アクセル代表も同じだと思いますが」
「俺は魔法があるし……いざとなったら、護衛もいるしな」
「……護衛?」
マチルダが不思議そうに周囲を見るが、その護衛は現在俺の影の中にいる。
合図をすればすぐにでも出て来るが、その外見は色々と特徴的である以上、マチルダを脅かす必要もないだろう。
それに、護衛という意味でなら半サーヴァントたる綾子も十分護衛になるし、シャドウミラーに来てからエヴァとかに鍛えられているミナトも、その辺の軍人を相手にする程度であれば容易に勝つ事が出来る。
……基本的に、シャドウミラーのメンバーに護衛ってのはいらないんだよな。
技術班の面々は……いや、お仕置きする連中から逃げ延びる為に何だかんだと虚空瞬動まで覚えた連中だし、技術班にも護衛はいらないと考えてもいいのか。
「気にするな、魔法的な事だから。それで、わざわざここにいる俺に接触してきたって事は、何か用事があったんじゃないのか?」
ある意味でホワイトベースの部外者である俺はともかく、マチルダは恐らく現在この場にいる者の中ではトップクラスに忙しい人物なのは間違いない。
ミデア隊が持ってきた補給物資の積み卸しや、ホワイトベースへの積み込み、それぞれに問題がないかどうかのチェック。それにブライトとの間ではこれからホワイトベースをどうするべきかといった相談……という風に、様々にやるべき事が多い。
そんな状況で、わざわざ俺がいる場所に来るというのは、幾ら何でも分かりやすすぎた。
「少し気分転換でも……と言おうと思ったんですが、どうやらその必要はないみたいですね」
「そうだな」
マチルダは、話を誤魔化そうとしても通じないと判断したのだろう。
俺が頷くのを見ると、小さく息を吐いて空を見上げる。
「気分転換をしたいという気持ちがあったのは、別に間違いではありません。ただ、可能であればアクセル代表と少しお話出来れば、と。そう思ったのも事実ですが」
「……話、ね。どういう話にもよるかだな。ちなみに……言っておくけど、ハニートラップは無駄だぞ。こう見えて、恋人が何人もいるからな」
「あら。残念。……ですけど、恋人が多いという事は、ハニートラップに引っ掛かりやすいと思ってもいいんじゃないですか?」
一般的に見た場合、そうかもしれないな。
恋人が10人以上もいて、ホワイトスターにいる時は毎晩のようにその全員――ペルソナ世界に住んでいるゆかりや美鶴は別だが――と熱い夜をすごしているのだ。
極度の女好きだから、ハニートラップを仕掛ければ間違いなく成功すると、そう思われても不思議ではない。
それが実際に成功するのかどうかは、また別の話として。
「そうだな。なら、マチルダが俺にハニートラップを仕掛けてみるか?」
マチルダは、かなり短い髪型……こういうのがベリーショートという髪型なのかどうかは分からないが、ともあれそういう髪型をしているが、その髪型が活動的な様子のマチルダによく似合っている。
顔立ちも整っており、それこそマチルダがその気になればハニートラップを仕掛けるのに十分な素養を持っていると言えるだろう。
だが、そんなマチルダは俺の言葉に考える様子もなく即座に首を横に振る。
「いえ、私は遠慮しておきます。こう見えて、結婚を控えている身なので」
「あー……まぁ、だろうな。マチルダみたいな美人を放っておく男はいないか」
「あら、お上手ですね」
笑みを浮かべつつ、そう言ってくるマチルダだったが、その表情は特に不愉快そうな色はない。
だからといって、俺に好意を持っているとは思わないが。
いや、好意は持っているかもしれないが、それは男女の好意ではなくブライト達を助けてくれた事に対する好意だろう。
「けど、結婚を控えた身で、よくこんな危険な任務を引き受けたな」
「そうですね。最初は別の人物がこのミデア隊を率いる予定だったのですが……その人物に色々とあって、急に私に出番が回ってきた、といったところでしょうか」
別の人物というのは、ボルクが言っていたノクトとかいう奴だろう。
俺が、そしてルナ・ジオン軍が起こしたゴタゴタで色々とあって、結果として悪事の証拠が見つかってしまい、現在拘留中だという。
ボルクから聞いた話では、間違いなくろくでもない奴だったんだろうから、マチルダが代わりに来てくれたのは幸運だったと思う。
もしボルクがノクトとかいう奴の性格やら何やらを大袈裟に言っていたりしていない場合、そんな人物がここに来たら間違いなく騒動の種になっていた筈だ。
それこそ、戦場では前からだけではなく後ろからも弾丸が飛んでくるといった事を実行する必要があったかもしれないな。
「そうか。マチルダが来てくれて良かったと思うぞ。ホワイトベース達の面々の士気が、見るからに上がったし」
ジオン軍の防衛線を突破して、自分達の為に補給物資を持ってきてくれた年上の美人。
男が多いホワイトベース隊にとっては、それだけで士気を上げるのに十分だった。
少なくても、マチルダのおかげでホワイトベースの修理やMSの修理といった効率が上がったのは、間違いないだろう。
マチルダ本人も、その辺はしっかりと理解している筈だ。
……もっとも、周囲の者達がマチルダを見る目が、欲望よりも憧れの色の方が強い。
その為、マチルダも幾らか気は楽だろうが。
「そう言って貰えると、嬉しいですね。……それにしても、正直なところアクセル代表がゴップ提督の依頼を引き受けるとは思いませんでした」
話題を変えるマチルダ。
いや、寧ろこれが今回の本題といったところか。
「そうか? シャドウミラーとしても、ルナ・ジオンとしても、連邦軍との関係は良好にしておきたい。それに今回は報酬も十分満足出来るものだ。そうである以上、依頼を引き受けないという選択肢はないと思うが?」
それは建前といったものではなく、間違いのない事実だ。
……いや、報酬としてピクシーは寧ろ過大であるとすら言えるだろう。
連邦軍の最重要機密たるガンダムの、地上戦闘特化型の機体。
教育型コンピュータこそ外されているが、それ以外はそのままらしい。
まぁ、ゴップがこっちを騙している可能性はあるが……ゴップにしても、ルナ・ジオンやシャドウミラーの恨みを買いたいという訳ではないのだから、その心配はほぼないと言ってもいい。
寧ろ、これはルナツーに存在した強硬派の連中に対する一件の謝罪の意味も込められていると考えた方がいいだろう。
ゴップからの手紙にもその辺を臭わせるような事が書かれていたし。
「そう、ですか。……アクセル代表にそう言って貰えて、嬉しく思います」
恐らく、マチルダはゴップやレビルといった面々に俺が今回の一件をどう受け取っているのかを報告するように言われている……といったところか。
「まぁ、連邦軍の方から無茶な真似をしない限り、こっちも相応に付き合う用意はあるよ」
そう言い、俺はマチルダの前から立ち去るのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:425
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1469