転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2330話

 ヘンリー率いるウルフ・ガー隊が戦場から去ると、ホワイトベースからの通信が入る。

 

『アクセル、敵は撤退したのか?』

 

 若干憔悴した様子のブライトの言葉に、頷きを返す。

 

「ああ。向こうもこのままだと被害が大きくなると判断したんだろうな」

 

 実際……と、周囲を見回せば、コックピットを貫かれてパイロットが死んだザクやグフ……何よりもドムがその場に倒れている。

 あのまま戦闘を続けていれば、ウルフ・ガー隊だったか? その部隊も間違いなく壊滅に近い被害を受けていただろう。

 それを思えば、ヘンリーの撤退するという判断は素早かった。

 機を見るに敏って奴だな。

 こういう風に、撤退するべき時に素早く撤退するという判断が冷静に出来るのは非常に厄介な相手だ。

 俺の名前を忘れないとか言ってたが、出来ればもう現れないで欲しいものだ。

 ……もしくは、現れても月に亡命するとか、そんな風にして欲しい。

 

『そうか。……ふぅ』

 

 俺の言葉でしみじみと安堵した様子で息を吐くブライト。

 まぁ、元々ホワイトベースは戦闘が出来るような状況ではなかったのに、そこで無理に戦闘に参加し、その上で今回の戦いでも結構な被害を受けたようだから、安堵する気持ちは分かる。

 とはいえ、あのままミデア隊を見捨てていれば、一時の無事ではあったかもしれないが、ホワイトベースやMSの補充部品の類はどうしようもなく、結果的には最悪の結末を迎えていただろう。

 それを思えば、ウルフ・ガー隊がホワイトベース隊を誘き出す為のこの作戦に乗るという選択肢しか存在せず、その賭けに無事勝利したという事なのだろう。

 

「取りあえず、カイのガンキャノンの件もあるし、この戦域を離脱したミデア隊と早いところ合流した方がいいだろうな。このままここにいれば、またジオン軍がやって来ないとも限らないし」

 

 敵の第一波は防いだが、それでもこちらが小さくない被害を受けたのは事実だ。

 もしガルマがこの事を知れば、当然のように追撃の戦力を送ってくるだろう。

 ウルフ・ガー隊も、攻撃を失敗したという報告はするだろうし。

 何より、ミノフスキー粒子が散布されているここに留まるのは、敵が近づいてきた時に見つけにくいという事も意味している。

 ミノフスキー粒子は時間が経過すれば自然と消滅するが、それだって数十分、数時間といった短時間で消滅するようなものではない。

 

『分かった。取りあえずアクセルが乗っている機体や他の機体もホワイトベースに収容する』

 

 そうして、ホワイトベースが地上に一旦降りて……結構な損害を受けたカイのガンキャノンやガンタンク隊、そして俺のピクシーを積み込み、その場から移動するのだった。

 撃破したMSについては、なるべく早く移動するということになり、諦める事になったのは残念だったが。

 いっそ今夜にでもここに戻ってきて、空間倉庫に収納するべきか。

 

 

 

 

 

「地球連邦軍第136連隊所属の、マチルダ・アジャン中尉です」

 

 そうマチルダが敬礼をすると、ブライトとリードの2人も同様に敬礼する。

 現在俺達がいるのは、ウルフ・ガー隊との戦闘があった場所からそれなりに離れた場所。

 ……出来ればもっと離れたかったところなのだが、ホワイトベースの状態を考えるとそんなに遠くまで移動する事が出来なかったのだ。

 そんな訳で、場所的には……どこなんだろうな。やっぱりメキシコ近辺なのは変わらないと思うが、岩山とかが結構あって、ホワイトベースが見つかりにくい場所なのは間違いない。

 そんな場所なのに、何故かホワイトベースのブリッジではなく、外でこうしてミデア隊の面々を顔合わせをしてるんだよな。

 

「ホワイトベースの艦長をしているブライト・ノア中尉です」

 

 そうしてブライトが挨拶をすると、リードもまた自己紹介をする。

 若干……本当に若干ではあったが、マチルダがリードの存在に驚いた様子を見せたのは、やはりリードの存在に色々と思うところがあったのだろう。

 リードについて、どのくらい知ってるのかは分からないが。

 

「それで、まず最優先でやるのはホワイトベースの修理ですね。今回の物資輸送では技術者達も連れてきているので、そちらが良ければすぐに掛からせますが」

「お願いします」

 

 マチルダの言葉に、ブライトは即座に答える。

 いつもはブライトの判断にネチネチと言うリードも、現状のホワイトベースが極めて不味い状況になっているのは理解しているのか、特に口出しをする様子がない。

 

「それと、MSの方も……教育型コンピュータのデータをコピーして回収していきます。勿論、MSの補充部品も積んできているので、ガンダムとガンキャノンの修理も至急に。……アクセル代表のガンキャノンを失ってしまったのは、大きな痛手でしたね」

 

 本当に心の底から言うマチルダだったが、俺の乗っていたガンキャノンはディアナの技術者によって教育型コンピュータの機能が殺されていた事を言った方がいいんだろうか。

 教育型コンピュータが機能していなかったので、OSが俺の行動を最適化するといった事は出来なかったが、俺の操縦データが連邦軍に渡るよりはマシだろう。

 ……それこそ、もし渡っていれば連邦軍のパイロットにGの問題で死人とかが出てもおかしくはなかっただろうし。

 

「その辺はしょうがない。あのままだと、ガンダムが消滅していた可能性があるしな」

 

 そして、アムロが死んでいた可能性も高かった。

 アムロが死ぬというのは、将来的な事を考えると絶対に許容出来ない事だ。

 そういう意味では、俺のガンキャノンが消滅する程度で助ける事が出来たのは良かった。……ガンキャノンの残骸は、空間倉庫の中に入っているが。

 

「そうですね。ガンダムは連邦軍にとっても大きな戦力となるのは間違いありません。……今回の戦いでも、アクセル代表がそれをしっかりと証明してくれましたし」

 

 ピクシーでの戦闘の事を言ってるのは、明らかだった。

 ……ただ、マチルダが俺をアクセル代表と呼んでるのは……正直どうなんだろうな。

 いや、普通なら俺がアクセル・アルマーだと言っても、それを素直に認めるような事は出来ない筈だ。

 そうなると、マチルダは中尉という階級にも見合わずゴップやレビルと繋がっているという事か。

 まぁ、ゴップからの手紙を持ってきて、更にピクシーを俺への報酬として渡すといった事を任されるくらいなんだから、当然のようにその辺の繋がりはあるのだろうが。

 そう思いつつ、マチルダとブライトの会話を眺める。

 ブライトにとっては、若干不満の残る結果になったらしい。

 特に大きいのが、補充物資は結構な数持ってきたが、軍人の補充人員がいなかったという事だ。

 現在のホワイトベースには、避難民を月で降ろした事もあり、一般人は乗っていない。

 アムロを始めとしてMSパイロットは仮とはいえ階級が与えられているし、フラウは軍属という扱いになっている。……カツ、レツ、キッカの3人がどういう扱いになっているのかは、ちょっと気になるが。

 ともあれ、そんな訳で全く何の関係もない一般人はいないのだが、それでも本職の軍人の数が少ないのは事実だ。

 そうである以上、ブライトとしては補給物資もそうだが、補充の人員も欲しかったといったところだろう。

 そして、リードがマチルダのミデアに乗ってホワイトベースから退去する事が決まる。

 ……もっとも、こちらは特に驚く者はいないし、残念がる者もいない。

 一応ホワイトベース隊で一番階級の高い人物なのだが、リードの我が儘というか、自己中心的な言動にはうんざりしていた者も多かったのだろう。

 とはいえ、時々……本当に時々ではあったが、鋭い一面も見せていたので、それがなくなるのは若干惜しいと思わないでもない。

 もっとも俺がそう思うのは、あくまでも俺がリードと絡む場面が少なかったというのも、大きいだろう。

 リードの方が、俺とどう接すればいいのか、そしてルナツーでの経験から俺と接するのを可能な限り避けていたということもあり、俺がリードと顔を合わせるのはブリッジに行った時や、これからどうするのかといったブリーフィングをする時だけだった。

 何しろ、食事ですら食堂ではなく自分の部屋で食べるといった行動をしていたのだから。

 

「リード大尉については、ジャブローに戻った後でどうなるかが決まるかと。残念ながら、私には判断出来ません」

「分かった、それでいい」

 

 リードも、それ以上は何も言わない。

 自分のこれからがどうなるのか、といった事を心配しているのだろう。

 実際、リードがこれまで見せてきた醜態を考えると、将来はあまり明るくないだろうが。

 そもそも、強硬派の一員だったんだし。

 まぁ、ホワイトベース隊にはかなり迷惑を掛けたが、リードは何だかんだと大尉として相応に知識を示したりもしたし、ホワイトベースの現状を知っている人間としてそう悪い事にはならないと思うんだが。

 ゴップやレビルといったホワイトベースについて知りたいと思っている連中にしてみれば、リードからの情報はありがたいだろう。

 とはいえ、リードはホワイトベースの中では自分の部屋とブリッジを行き来していた程度なので、どこまで詳しい事情が分かるのかは疑問だが。

 

「それで、アクセル代表。こちらがゴップ提督からの手紙となります」

 

 リードとの話が終わったのか、マチルダは俺に一通の手紙を渡してくる。

 ピクシーのような高性能なMSを報酬としてこちらに渡してくるという事は、間違いなく何らかの難しい依頼があるのは確実だろう。

 とはいえ、よっぽどの事でなければ俺としては今回の依頼を引き受ける気でいる。

 ピクシーの能力はイフリートと同等……もしくはそれ以上のものがあり、現状のUC世界では間違いなくトップクラスの性能を持ってるしな。

 それだけの性能のMSを渡してくるという事は、相応に難しい依頼が理由となっている筈だ。

 もしくは、ルナツーの一件を含めて強硬派に関しての謝罪の意味も込めての賄賂とか。

 そんな風に思いながら手紙を受け取ると、マチルダはブライトともっと話をするという事で、一旦この場は解散となる。

 ブライトとの話というのは、恐らく今のホワイトベースの件でもっと詳しい事を話すと、そういう事なのだろう。

 早速ミデアで一緒に来たメカニック達がホワイトベースや損傷したガンダム、ガンキャノン、損傷していないものの、色々と消耗しているガンタンク。そして実戦を経験したピクシーの整備……といったように大々的な仕事を始めるのを見ながら、俺も手紙を見る為にその場を後にしようとし……

 

「失礼します。アクセル代表でしょうか?」

 

 そんな俺の前に、1人の男が姿を現す。

 金に近い髪の、精悍といった様子の20代から30代程の軍人の男。

 若干目つきが鋭いが、特筆すべき程ではない。

 

「ああ、俺がアクセルだが……お前は?」

 

 男の様子を見る限りでは、特に俺に喧嘩を売ろうという様子ではないらしい。

 いや、寧ろその鋭い目には、こちらに対する感謝の色さえあった。

 今の俺の姿は10代半ばなんだが、それでもアクセル・アルマーと認識しているというのは、俺の正体を知っているからこそだろう。

 まぁ、ホワイトベースに来る部隊の一員なんだから、その辺は知っていてもおかしくはないのかもしれないが。

 

「は! 失礼しました。自分はボルク・クライ大尉であります」

 

 そう言い、敬礼する男……いや、ボルク。

 にしても、ボルク? どこかで聞いた覚えが……ああ、俺がピクシーに乗ろうとした時、メカニックが俺を乗せるよりもボルク大尉を乗せた方が、とか言ってたな。

 つまり、ボルクはメカニック達には信頼されるだけの技量を持った人物といったところか。

 ピクシーに乗せる云々という事は、恐らくMSパイロットとしての訓練も受けているんだろうし。

 とはいえ、そのような人物が一緒に乗ってるのに、ミデアに積んできたMSがピクシーだけってのは……いや、考えてみれば当然か。

 ここはジオン軍の勢力圏内であり、そこを無理に突破してホワイトベースに補給物資を運んできたんだ。

 その時、ガンダム、ガンキャノン、ガンタンクといったような空を飛ぶ方法がないMSを護衛として連れてきても、それはジオン軍にMSを渡すだけという結果になりかねない。

 そんな状況でも連れて来たのは、やはりピクシーがあったからこそだろう。

 いざという時……本当にいざという時の為のピクシー用のパイロットといったところか。

 実際、あの状況では俺でなければミデアまで移動するのはかなり難しかっただろうから、本来ならピクシーにはボルクが乗っていたのだろう。

 そうなると、原作でもボルクがピクシーに乗ってホワイトベースに補給を届けに来たのか?

 それとも、ピクシーは地上でアムロがガンダムの代わりに乗る機体だったのか。

 大気圏突入の時は俺が助けたが、原作だと当然俺がいない訳で……大気圏突入時にガンダムが損傷して、ピクシーに乗り換えた。

 そう考えれば、理解出来ない訳ではない。

 そうなると、もしかして俺はアムロが乗るべき機体を奪ったとか、そういう事になったりするのか?

 いや、けどこのピクシーはゴップが俺に渡す為に用意したらしいから、違うのか?

 ともあれ、その辺の事を考えるのは後回しにし……ボルクに視線を向ける。

 

「ありがとうございました!」

 

 と、何故かボルクは敬礼を止めると、俺にそう言って頭を下げるのだった。

 ……え? 何?




アクセル・アルマー
LV:43
PP:425
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1469

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