気になる方は是非どうぞ。
ブリッジでマチルダに返事をした後の俺の行動は早かった。
もし俺が普通の人間であれば、空中で移動中のホワイトベースからミデアに……それもお互いが入れ替わるかのように移動している今の状況で移動するのは難しかっただろう。
それこそ、今のホワイトベースには移動しているミデアに向かう手段として、使えるのはガンペリーかコアファイターくらいしかない。
それも、場合によってはそれらを使い捨てにする感じでの移動となっただろう。
しかし、幸いにも俺は混沌精霊だ。
それこそ大気圏突入時に、パイロットスーツも何もない素のままの状態でガンキャノンから脱出し、ホワイトベースに戻ってくるくらいは容易に出来る能力を持っている。
つまり、ホワイトベースからミデアまで移動するのは難しくはない。
あっさりとそっちに行くといった俺の言葉に、マチルダの方は少しだけ驚いた様子を見せる。
……ブライトはまたかといった様子で、既に半ば諦めムードだったが。
ミナトの方はホワイトベースを動かしながらも、口元に面白そうな笑みを浮かべている。
そして、リードはどこか憂鬱そうな表情を浮かべていた。
「取りあえず、今からミデアの方に向かうから、MSの準備を頼む。俺がそっちに乗り移った時、すぐにでも出撃出来るようになっていれば助かるな」
このミデア隊への襲撃が、ホワイトベースを……俺達を誘き寄せるのが目的であれば、襲撃部隊に遠距離攻撃が得意ではないイフリートを入れている理由も理解は出来る。
その辺の事情を考えると、最初はそうではないかという思いのこの襲撃が、今では完全にホワイトベースを誘き寄せるための餌のように思えた。
そしてホワイトベースが来た以上、餌の役割はもう終わりな訳で……
このままだと、ミデア隊が撃破される可能性は十分以上にあった。
『アクセル代表っ!? ……くっ、敵を近づけるな! 分かりました。では、すれ違った時に……』
最初は驚愕の声を発したマチルダだったが、それでも現状を考えるとそれも仕方がないと判断したのか、そう言ってくる。
だが……それは、当然のように、まだ俺という人物の事をあまり理解していないからこその言動でもあった。
「すれ違う? 違うな。今からすぐそっちに向かう。MSの準備、急げよ」
それだけを言い、ブライトに視線を向ける。
ブライトも、俺の言葉で言いたい事は分かったのか、何も言わずに頷く。
そんなブライトをその場に残し、ブリッジを出る。
そのまま非常口まで移動すると、戦闘中にも関わらずホワイトベースの外に出る。
マチルダが乗っているミデアは、真っ直ぐこっちに近づいてきていた。
このままだと、数分も掛からずにホワイトベースとすれ違うだろう。
だが、今はその数分が大きな価値を持つ。
そのような時間を待っている余裕はないので、俺はホワイトベースを蹴り、そのままミデアに向かって飛ぶ。
機械の助けも何もなしに空を飛ぶというのは、UC世界の人間にとっては驚くべき事ではあるのだろうが、俺にとっては普通の事だ。
……混沌精霊となって五感の全てが鋭くなった為に、一番先頭のミデアのコックピットにいる軍人達が、驚愕の視線を俺に向けているのが分かった。
その中に女は1人だけだったので、恐らくあの女がマチルダなのだろう。
凜々しい顔立ちと表現してもいい、そんなマチルダの顔を見つつ、俺はミデアのコックピット付近で一旦足を止め、驚愕で固まっている面々を正気に戻す為に軽くミデアの装甲を叩く。
その音で我に返ったらしいが、それでもまだ驚きで声を出せない様子のマチルダ。
今の状況でこのような状況になっているのは不味いので、出来れば早いうちに我を取り戻して欲しいんだが。
そう思いつつ、俺はミデアのコックピット付近から離れ、格納庫の方に向かう。
途中でドップがこっちに向かって来たが、ミデアのすぐ側を俺が飛んでいるのを見た瞬間に驚き、操作を誤ったのかあらぬ方向へと飛んでいった。
……うん、あのパイロットが事故って死ぬのかどうかは分からないけど、それは別に俺のせいじゃないよな。
一応、本当に一応悪いと思ってステータスの数値を確認はしてみたが、撃墜数は変わらないままだ。
そう考えると、恐らく操縦ミスで地面に激突とかはしなかったのだろう。
俺を見て驚いて操作ミスをした事により死んだ場合、それが俺の撃墜数には表記されないだけかもしれないが。
ともあれ、ドップの事は気にしないようにして格納庫に向かう。
だが、当然ながらこうして逃げている現状ではミデアの格納庫は閉じており、簡単に中に入る事は出来ない。
なので悪いが、格納庫からそう遠くない場所にある非常口を腕力で強引に開け、ミデアの中に入る。
本来ならこんな真似をしたらすぐにこのミデアに乗っている軍人達がやって来るのだろうが、不幸中の幸いと言うべきか、ジオン軍によって襲われている現在では、そのような状況にはない。
そんな訳で、俺は特に誰からも怪しまれず格納庫に向かう。
正確には格納庫ではなく、貨物室でもなく、荷物の入ったコンテナというのが正確なのだが、大まかには格納庫で間違っていないだろう。
「くそっ、おい、本当にどうするんだよ! この状況でMSを動かせるようにしておけって言われても、本当にこれが役に立つのか!?」
「知るか! マチルダ中尉からの命令なんだから、その辺はしっかりとやっておけば問題ない筈だろ! それに、このMSをジオン軍に渡す訳にはいかない!」
「だったら、ボルク大尉にこの機体を使わせた方がいいに決まってるだろ」
「それはちょっと困るな」
シートを被っているMSを見ながら言葉を交わすメカニック達に割り込み、そう告げる。
どうやらマチルダよりも階級が上の人間がこのミデア隊には乗ってるらしいが……その場合、その人物がこのミデア隊の隊長という扱いになるんじゃないか?
そう思っていると、メカニック達は俺の姿に驚き、警戒の視線を向けてくる。
「誰だ、お前は!」
かなり大型のペンチを手に、叫ぶメカニック。
まぁ、連邦軍の軍服を着ていないし今のやり取りから、このミデアに乗っている人物でないのも当然だ。
そんなメカニックを落ち着かせるようにしながら、口を開く。
「俺はアクセル。そのMSは俺に譲渡される為に運んできたという話だったが? ああ、疑うならマチルダに連絡をして聞いてみてもいい」
「……おい」
メカニックの1人が、俺に警戒の視線を向けたままで近くにいる別のメカニックに指示を出す。
その指示に、メカニックは近くにあった通信機へと向かう。
そうしている間にも、俺の周囲にいるメカニック達は警戒していたが……どんっ、と。そんな衝撃がミデアを揺らす。
ジオン軍の攻撃の至近弾だろう。
命中しなかったのは、ミデアのパイロットの技量か、それともホワイトベース隊の援護か、もしくは単純に運が良かったか。
そんな風に思いながら、俺は未だにシートが被ったままのMSに視線を向ける。
そのMSは、少なくてもガンキャノンやガンタンクが装備しているような低反動キャノンを装備していないのが、シートが被さっている状態のままでも理解出来る。
そうなると、ガンキャノンのような射撃型ではなく、ガンダムのような近接戦闘を得意としている機体か?
シートを見ながらそんな風に考えていると、やがて通信機で話をしていたメカニックが驚きの声を上げる。
「え? 本当にあの男がそうなんですか!? ……はい、分かりました。はい、はい。すぐに準備します!」
そう言い、メカニックは通信を切る。
「その男でやっぱり間違いないそうです! すぐにでもピクシーの起動準備に入れとの命令です!」
……ピクシー? また、随分と可愛らしい名前だな。
ピクシーというのは、言わば妖精だ。
恐らくはこのシートを被っているMSの名前なんだろうが、本当に大丈夫なんだろうな?
そんな風に思っていると、やがて俺を囲んでいたメカニック達が、半信半疑ながらも構えていた武器……整備道具を下ろしてそれぞれの仕事に戻っていく。
「シートを剥ぐぞ! すぐに起動準備を始める! おい、お前も早くパイロットスーツに着替えろ!」
メカニックにそう指示されるが、俺は問題ないと首を横に振る。
「俺はいつもパイロットスーツなしで、MSに乗っている。その辺は気にするな。それより、俺が乗るMSについて教えてくれ……ガンダムか」
最後にそう言ったのは、シートを剥がされたその機体が明らかにガンダムだったからだ。
考えてみれば、当然かもしれない。
俺が知ってる限りの連邦軍のMSというのは、ガンタンク、ガンキャノン、ガンダムの3機。
それでいながら、シートには両肩の低反動キャノンがないのが見て分かる。
であれば、当然のようにそのMSはガンダムをベースにしたものになるのは当然なのかもしれない。
だが、当然のようにガンダムとは色々と違う場所も多い。
「ガンダムを知ってるのか?」
「ああ。俺が乗ってきたホワイトベースで使われていたMSだからな」
「何? ……まぁ、いい。だが、このガンダムピクシーは非常に高い機動性を有した機体だ。パイロットスーツがあれば多少なりともGを軽減出来るが、それがないと厳しいぞ?」
俺がホワイトベースから来たという事に若干の疑問を抱いた様子のメカニックだったが、今はそれどころではないと判断したのか、パイロットスーツについて言ってくる。
一応俺が味方だと確定した事で、俺の身体を心配しているんだろうが……
「その辺は気にしなくてもいい。ガンダムピクシー? 機動力重視の機体か。それで、武器は?」
「……本当にいいんだな? そこまで言うなら、こっちもこれ以上は何も言わねえ。だが、このMSを下手に動かして壊すような真似をしたら、どうなるか覚えておけよ」
俺を睨み付けながらそう告げ、メカニックは改めて機体の説明を続ける。
「武器は頭部バルカン、それと手持ちで90mmサブマシンガン、後はビームダガーが2本だ」
「……また、随分と武器が少ないんだな。というか、ガンダムなのにビーム兵器はビームダガーだけなのか? ビームライフルは?」
「ない。正真正銘、その3つだけだ」
ガンダムなのにビームライフルを持っていないってのは、どういう事だ?
いやまぁ、90mmマシンガンも弾幕を張るって意味だと使いやすいだろうが、一撃の威力という点ではどうしてもビームライフルよりも劣る。
となると、もしかしてビームライフルを撃てる程に動力炉に余裕がないのか?
一瞬そうも思ったが、仮にもガンダムが動力炉の出力が足りないなどということはないだろう。
「ベースになっているガンダムに比べて、武装が貧弱すぎないか?」
「白兵戦を重視した機体だからな。動力炉そのものはビームダガー以外にビームライフルを使えるだけの出力はあるが、その余剰出力は機体の出力の方に回している」
「あー……なるほど」
この辺は、考え方の違いという奴だろう。
そうなると、調整次第ではあるがガンダムの方もビームライフルじゃなくて90mmサブマシンガンとかを使えば、より高い機動性になるのか?
とはいえ、個人的にはビームライフルがあった方が戦いやすいのは間違いない。
今でこそ射撃も近接戦闘も両方可能なオールラウンダーだが、どちらかと言えばやはり俺は射撃の方が得意なのだ。
だが、このピクシーという機体はどう考えても射撃は牽制用で、近接しての戦闘こそが本番だろう。
言ってみれば、ジオン軍のイフリートと似たような機体か。
イフリートは射撃武器がショットガンだったのに対して、こっちは90mmサブマシンガンだから、まだこっちの方が使いやすいのか?
「操縦方法そのものは、他の連邦系MS……具体的にはガンキャノンと変わらないと考えてもいいのか?」
「……ガンキャノン? お前、ガンダムのパイロットじゃなかったのか?」
意外そうな表情をこちらに向けるメカニック。
まぁ、ガンダムの派生機のこのピクシーだったか? この機体に乗るんだから、当然のように俺は以前ガンダムに乗っていたと思ってもおかしくはないだろう。
「ああ。ガンダムにはうちのエースが乗ってるよ。それこそ、赤い彗星と戦う事が出来るパイロットがな」
「……まぁ、いい。とにかく、お前がピクシーに乗るのは変わらないんだな? なら、操縦方法は基本的にガンキャノンとそう変わらない」
「それは助かる」
何気にジオン軍はザクとヅダ、グフ、ドムとかで操縦システムがそれなりに違っていたりするしな。
同じジオニック系でも、ザクとグフはともあれ、同じザク同士ですらF型とR型では結構違っていたりするし。
この機種転換訓練が、何気にジオン軍にとっては大きな問題だったりするんだよな。
統合整備計画とかいう計画で、ある程度はまともになってるらしいけど。
そんな風に考えながらメカニックからピクシーの説明を聞いていると、またミデアに対する至近弾があったのか、激しい振動によってコンテナが揺れる。
「取りあえず大体分かった。今は早く出撃しないと色々と不味いから、後はガンキャノンで慣れた感じで操縦してみる」
そう告げ、俺はピクシーのコックピットに向かうのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:345
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1456