ガンダムの被害は、俺が思っていたよりも軽いものだった。
まぁ、それでも大気圏内での戦闘からの連戦でかなり疲労しているので、出来れば大々的に機体のメンテナンスをしたいというのがメカニック達の総意だったが。
とはいえ、消耗しているのはガンダムだけではない。
地球に降りてきていきなり戦闘したガンタンク……特に綾子が乗っていたガンタンクは、マゼラアタックの群れの中に突っ込んでいくといった真似をしたのだ。
幾ら綾子の操縦技術が確かであっても、乗っている機体がキャタピラで移動するガンタンクである以上、当然のように敵の攻撃を全て回避するといった訳にはいかない。
他の2機のガンタンクも、地球に降下してから初めて動きながらの戦闘を行った以上、どこが消耗しているのか分かったものではない。
また、カイのガンキャノンも大気圏突入前の戦いから、地上でのガウやドップ、マゼラアタックという敵との戦いを経験し、かなり部品が損耗しているらしい。
そして……ホワイトベースもまた、マゼラアタックやドップ、ガウといった敵の攻撃により少なくない損傷を負っている。
総合的に見て、現在のホワイトベースはその戦力が極端に落ちている。
今の状況で、また先程のような規模の敵に襲撃されれば、撃墜されるか、鹵獲されるか……取りあえず勝つのは難しいと思うから、逃げるのがいいのか?
その上、問題なのはそれだけではない。
「ふざけるなっ! ジャブローは何を考えている!」
そう叫んだのは、リード。
普段であれば、ブリッジのメンバーがそんなリードに面倒臭そうな視線を向けたりするのだろうが、今は……今だけは違う。
ブリッジのメンバー……地球に降りたらハワイに行く為にホワイトベースから降りると決まっていたミナト以外、全員がリードの言葉に同意するように苛立ちを露わにするか、あるいは信じられないといった表情を浮かべていた。
まぁ、その気持ちも分からないではない。
何しろ、ジャブローからようやく届いた暗号通信による命令には、海を渡って南米までやって来るようにと、そう書かれていたのだから。
現在ホワイトベースがいるのは、分かりやすく言うとジオン軍の勢力圏内たるメキシコの近辺。
その状況で、海を渡って南米に来るように……つまり、ジオン軍が連邦軍との間に敷いている防衛線を突破して南米に来るようにと言われたのだ。
普通に考えれば、その命令は自殺行為でしかない。
いや、あるいはホワイトベースが万全の状態であればどうにかなったかもしれないが、大気圏突入の戦いから、連続してガルマ率いる部隊との戦いを繰り広げた事により、今のホワイトベースはとてもではないがベストコンディションとは言えない状態だ。
特に主力であるガンダムはオーバーホール……とまではいかないが、それでも出来るだけ大規模に整備をする必要がある。
俺のガンキャノンも現在は半壊どころかほぼ完全に破壊された状態で空間倉庫に入っている以上、まさに現在のホワイトベースは主力が使えないのだ。
今の状況で一番戦力となるのは、カイのガンキャノン。
そのカイにしたところで、高い才能の持ち主なのは間違いないが、アムロとは比べられない。
そうなると、リードが言う通りジャブローが何を考えているのかという事になる。
そもそも、俺がホワイトベースに乗っているのも……
「あ」
思わずといった様子で、俺の口からそんな声が出る。
ブリッジにいた面々の視線が俺に向けられるが、俺はそれを気にせずに自分の考え……より正確には思いついた考えに集中する。
連邦軍……特にゴップは、俺がホワイトベースに乗っているのを知っている。
直接ゴップから許可を貰って乗り込んでいるのだから、それを考えれば当然の話だろう。
そして、ジャブローからそのような命令がされるという事は、つまり……ゴップは俺がホワイトベースに乗っている以上、何とか出来ると考えているのか?
いや、だがそれはかなり厳しいような……
そもそも、ここで無意味に俺に借りを作ってしまえば、連邦軍としては今後色々とやりにくくなるのは間違いない。
そう考えると、可能性としてはちょっと考えにくい、か?
「ブライト艦長、機関部から報告です。機関の出力は30パーセントにも届かないそうです。高度をとることも、速度を出すことも難しいかと」
「そう……か」
その報告に、ブライトは深刻そうな表情を浮かべて、リードは苛立ちと絶望の交じったような表情を浮かべる。
まぁ、その気持ちは分からないでもない。
ただでさえジャブローから無茶な命令が来てるのに、その難易度が今の報告で更に上がったのは間違いないのだ。
もしホワイトベースが万全の状態であれば、あるいは……本当にもしかしたらだが、そのまま敵の防衛線を突っ切るといった真似も出来たかもしれない。
だが、機関の出力が30パーセント以下しか出ない状況となると、ジャブローの命令をこなすのは絶望的と呼ぶに相応しいのは事実だ。
……奥の手を出すか?
奥の手。
そう、俺はそう呼ばれるものを持っている。
俺の専用機にして、この世界でグラナダ攻略の映像もあって、シャドウミラーの機体として有名なニーズヘッグ。
システムXNを使えるこの機体は、それこそその気になれば今この瞬間にでもホワイトベースをジャブローに連れていくといった真似が出来る。
だが、転移の能力は今のところ、この世界では最重要機密となっている。
この戦争が終わった後でなら、ある程度公開して木星船団の代わりにヘリウム3を採掘してくるとかしてもいいんだが。
ともあれ、ゴップがまさか転移技術について知っているとは思えない。
そうなると、やっぱりこれは別の意図があってのものなのか?
「分かった。だが、ジオン軍にこの場所を知られている以上は、いつまでもここにいる訳にはいかない。まずは、機関出力が上がらない状況であっても、一旦ここから離れた方がいい」
そのブライトの言葉に反対する者は、誰もいなかった。
あのリードですらブライトの言葉に頷いていたのだから、ここにホワイトベースが停泊したままというのが不味いというのは、誰もが理解している。
「無茶をしないようにしながら、何とか騙し騙し機関を使って移動する、といったところね」
ミライのその言葉に、ブライトが頷く。
「ああ。まずはここから離れて、どこかに隠れる。艦の修理はその後だな。……とにかく、何をするにしても今の状況のままでは厳しい。この状況でジャブローに向かうなどというのは、問題外だ」
そのブライトの言葉は、馬鹿な命令を出してきた連邦軍の上層部に対する批判のようにも思える。
だが、そんなブライトの言葉を聞いても、誰も不満そうな表情を浮かべなかったのは、やはりこの場にいる全員がジャブローからの命令に対して思うところがあるという事の証拠なのだろう。
「……アクセルも、悪いが……」
「分かってる。この状況でホワイトベースから降りるというのは、色々と不味いだろうしな」
自慢ではないが、現在のホワイトベースで俺という存在は戦力的な意味でも心の支えとなっている点があるのは間違いない。
ガンキャノンでシャアと互角に戦った……というのが大きいのだろう。
後は、大気圏に落ちそうになったガンダムを助けたというのも。
とはいえ、その結果として俺のガンキャノンは使えなくなってしまったのだが。
そんな風に話していると、不意にホワイトベースが浮かぶのが分かった。
どうやら機関部の方でどうにか動かす事に成功したのだろう。
30パーセントの出力というのは、色々と厳しそうではあるが……ホワイトベースとしては、何とかこの場から離れる事を優先したといったところか。
「ふぅ」
ブリッジの面々も、ようやくこの場から脱出出来るというのを喜んでいるのか、安堵している様子が分かる。
「で、問題なのは……ホワイトベースやMSを修理するにしても、その部品があるかって事だろうな。特にガンダムは、かなり本格的に修理する必要があるだろうし」
「……そうだな。幸いにもMSのパーツはルナツーと月である程度手に入れたからどうにかなるかもしれないが、厳しい状況なのは間違いない」
大きな溜息と共に、ブライトが告げる。
「そうなると、問題なのはホワイトベースの部品か。どこかの連邦軍のドックにでも入って、本格的に整備をする必要があるだろうし」
月を出発した時はほぼ万全の状況と言ってもよかった。
そして、最初にシャア率いるジオン軍の待ち伏せを受けた時も、殆ど被害がないままでどうにか出来た。
だが、大気圏に突入する際の戦いで受けた被害に、ガンダムを救う為に半ば無理矢理大気圏で動いた事、そして何より一番大きかったのは、ガルマ率いる部隊との戦いだろう。
あの戦いで、マゼラアタック隊は自分達が被害を受けてもいいから、とにかくホワイトベースに攻撃を集中してきた。
ドップ隊やガウの攻撃も、大半がアムロに向けられたが、隙を見てはホワイトベースに攻撃してきた。
その結果が、現在の出力30パーセント未満という現状な訳だ。
MSであれば、補充部品もある。
だが、ホワイトベースの方の補充部品は……皆無という訳ではないだろうが、MSの部品に比べれば極めて少ない。
この辺は、ホワイトベースの主戦力がMSであるという事を考えれば、そうおかしな話ではない。
だが、今はそれが非常に問題になっているのも、また事実だった。
「だが、連邦軍のドックに向かうには、まずジオン軍の防衛線を突破する必要がある。そして今の状況では、とてもではないが突破する事は出来ない。それこそ、今の状況で無理にそのような真似をすれば、ジオン軍に撃墜されるか……最悪、鹵獲されるか」
憂鬱そうな様子のブライト。
まぁ、連邦軍の軍人である以上、敵対しているジオン軍にホワイトベースやガンダム、ガンキャノンのデータや現物を渡したくはないだろう。
特にガンダムは、現在このUC世界に存在するどんなMSよりも高い性能を持つ。
ニュータイプで、MSの操縦に対して大きな才能を持つとはいえ、まだ新米パイロットにしかすぎないアムロであっても、あれだけの性能を発揮するのだ。
それこそ、もしホワイトベースがジオン軍に鹵獲され、シャアがガンダムに乗る……なんて展開は、連邦軍にとって悪夢でしかないだろう。
「そうなると、やっぱり騙し騙しにホワイトベースを動かして、とにかくどうにかして連邦軍の勢力圏内に行く必要がある訳か」
若干俺の言葉が気軽に聞こえたかもしれないが、それは決して間違いではない。
そもそもの話、俺、ミナト、綾子の3人はホワイトベースに乗っているが、別に連邦軍の人間ではない。
もしジオン軍にホワイトベースが鹵獲されたとしても、ルナ・ジオンの人間……いや、シャドウミラーの人間として遇されるのは確実だし、それこそいざとなれば影のゲートで転移して逃げたりといったことも出来る。
とはいえ、それはあくまでも最後の手段だ。
そんな事になれば、シャアに対抗するMSパイロットとしてアムロの実力が伸びる機会を逃してしまう。
それこそ、下手をすれば捕虜になったアムロが殺されてしまう可能性もあった。
……あるいは、もしかしたら原作でもアムロはジオン軍の捕虜になっていたという可能性が、ないでもないが……それでも、恐らく違うだろうというのが、俺の予想だった。
「その為には、結局ここから離れてどこかジオン軍に見つからない場所で、可能な限り修理をする必要があるだろうな」
ブライトが渋々といった様子で俺の言葉に頷く。
ホワイトベースの艦長をしているブライトにしてみれば、今回の一件は非常に頭が痛いといったところか。
それこそ、頭が頭痛だと言いたくなるくらいに。
「まぁ、ジオン軍が占領しているとは言っても、少し前までは連邦軍の勢力圏内だったんだ。レジスタンスとかそういうのがいる可能性はあるだろうから、そっちに接触してみたらどうだ? そうすれば部品もある程度は入手出来るかもしれないし」
SEED世界での事を思い出しながらそう告げるが、実際にそれは難しいだろうというのも十分に理解出来た。
何故なら、ホワイトベースはあの時のアークエンジェルとは違うのだ。
あの時のアークエンジェルは、弾薬とかそっち方面が足りなくて、それを横流し品でどうにかしていたという形だったが、ホワイトベースは弾薬ではなく艦そのもののダメージが大きいのだから。
まぁ、ホワイトベースで使われている部品が全て独自規格という事はないだろうから、ある程度の部品は手に入るかもしれないが……独自規格の部品については、どうしようもないのは間違いない。
それでも、何もしないよりはマシである以上、レジスタンスと接触するというのは有効な手段であるのは間違いなく、俺の言葉にブライトは難しい表情をして考え込むのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:345
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1456