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『総員、第一種戦闘配置。繰り返します。総員、第一種戦闘配置』
地球が近づいてきた頃、不意に格納庫の中にそんな通信の声が聞こえてくる。
総員と言ってるとなると、恐らくこの通信は格納庫だけではなく他の場所にもされているのだろう。
「戦闘配置ですかっ!?」
叫びつつ、アムロはシミュレータから出て来る。
そのアムロと戦っていたカイもまた、頭を掻きながらシミュレータから出て来た。
アムロはともかく、カイの表情が微妙に曇っているのは、やはりシミュレータでアムロに勝つのが難しかったからだろう。
それなりにアムロと戦えるようになってきたのは間違いないが、それでもカイの勝率は限りなく低い。
この辺は、ガンダムとガンキャノンというMSの性能差も大きいのだろうが。
ガンキャノンはガンダムよりも装甲が厚いものの、運動性や機動性という点では勝ち目がない。
そして、双方共にビームライフルを持っている以上、装甲の厚さというのは何のアドバンテージにもならないのだ。
ガンキャノンよりも威力の低いガンダムのビームライフルであっても、ガンキャノンの厚い装甲は意味をなさない。
結果として、MSの性能差でもガンダムの方が有利になる訳だ。
まぁ、シミュレータの件はそれでいいとして、俺達はそれぞれがパイロットスーツに着替え、MSに向かう。
俺は別にパイロットスーツを着なくてもいいのだが、取りあえずその辺は他の面々と合わせる事にしておく。
『地球軌道上にもう少しで到着する。アクセルからの意見が正しければ、シャアか……もしくはそれ以外かは分からないが、攻撃を仕掛けてくる敵がいる可能性がある。何かあった時の為に、それぞれ準備をしておいて欲しい』
映像モニタに映ったブライトがそう言う。
その表情が引き締まっているのは、やはりこれから起きる事は出来れば起きて欲しくないと思っているからか。
「いよいよ、か」
地球に降下するこのタイミング。
普通であれば、間違いなく攻撃を仕掛けてくるという事はない。
それこそ、下手をすれば自分達が死ぬ可能性があるのだから、当然だろう。
だが、普通ではやらない事をやるからこそ、エースと呼ばれるのだ。
それに、ハイリスクではあるが、ハイリターンであるのも事実。
地球の衛星軌道上にいるジオン軍がこっちに手を出してくるのかどうかというのも、気になるところだ。
ジオン軍の……そして、恐らくシャア的には、出来れば戦力として欲しいと思うのは間違いない。
だが、この場合問題なのは、それだけの戦力を割くかどうかといったところか。
ジオン軍が衛星軌道上を占拠しているのは、連邦軍対策であっても、それは宇宙にいるホワイトベースとかではなく地球上にいる連邦軍を警戒してのものだ。
もっと言えば、ジャブローとかから宇宙に軍艦を上げるのを警戒している、とかそんな感じで。
その封鎖が完璧に機能している訳ではないのは、ホワイトベースが宇宙に上がってきたのが証明しているのだが。
『地球降下前にジオン軍が攻撃を仕掛けてきたら、MS隊にはすぐにでも出撃して貰う。ただし、ガンタンク隊は今までと同じくホワイトベースの甲板からの遠距離射撃に徹する事。敵を直接倒すのは、あくまでもガンダムとガンキャノン……特に機動性や運動性の高いガンダムに任せる事になるだろう。だが、敵への攻撃だけに集中するような事はなく、いつでもこちらからの指示があったらホワイトベースに戻ってこられるように準備をしておけ。もしMS単体で大気圏突入をするような事になったりしたら、命の保証は出来ないぞ』
ブライトが作戦――と言ってもいいのかどうか分からないが――を説明しているのを聞く。
MSでの大気圏突入か。
……そうなる可能性が一番高いのは、当然ながらガンダムに乗っているアムロだ。
だが、MSで大気圏突入をして平気なのは誰かと言われれば、それは当然のように俺となる。
いっそ、俺がガンダムに乗るのが最善なのかもしれないな。
本当に今更の話ではあったが、ふとそんな風に思う。
出来れば、ここでアムロを危険な目に遭わせるような真似はしたくない。
そう思っていると……
『ムサイ級接近! 数、3隻! 仰角プラス30度。9時の方向です!』
『シャアだ、シャアが来た!』
ブライトではない、誰かの声が通信を通して聞こえてくる。
そして続いての悲鳴は……うん。まぁ、誰のものなのかというのは、考えるまでもなく明らかだった。
リード以外にこの状況で悲鳴を上げるような奴はいないだろうし。
「ブライト、ホワイトベースが大気圏に突入するまでの時間は?」
『は? あ、ああ。出来るだけ早く突入するとしても、20……いや、15分は掛かる』
「15分か。……厄介だな」
15分。
それだけの時間があれば、十分MSでの戦いは出来る。
つまり、俺が心配していたように大気圏突入前の戦いがこれから行われるという事になるのだ。
それにしても、ムサイ級が3隻か。
1隻につき、MSを4機。大気圏突入カプセルのコムサイも入れると合計6機。
そうなると、最大でMSが合計18機は存在する事になる。
勿論、前回の戦いでジオン軍は大きな被害を受けたし、その後で連邦軍との戦いでも負けている。
それによって消耗した戦力を完全に補充出来たとは限らないが……シャアであればホワイトベースを相手にする以上、可能な限り戦力を補充してもおかしくはない。
それに比べると、ホワイトベース側のMSは合計6機。
それも、ガンタンクは前線に出ないで、ホワイトベースの甲板上からの援護射撃がメインとなる。
つまり、俺達はガンダム1機とガンキャノン2機で、最大18機のMSと、それを援護するムサイ級3隻を相手にしなければならない訳だ。
……さて、正直どうしたものやら。
普通に考えれば、一旦大気圏突入を諦めて、この場から離脱するというのが最善だろう。
だが、既にシャアに見つかってしまった以上、ここを一度離脱しても、延々と3隻のムサイ級に追われるだけだ。
暗礁宙域に逃げ込むか?
そう思ったが、暗礁宙域での戦いとなると、俺はともかく他の面々が厳しい。
アムロなら、シャアとの戦いで一応暗礁宙域での戦いを経験しているのだが……それでもあの時の様子を考えると、自由自在に暗礁宙域の中を移動出来るといった訳ではないだろう。
また、何よりの問題はホワイトベースだ。
避難民が降りて一応軍人が動かしてはいるのだが、その軍人も別にホワイトベースに生粋のクルーという訳ではなく、練度はそこまで高くはない。
ましてや、ミライを見れば分かるように、中には全くの素人も混ざっている。
……そんな面々がいる中でホワイトベースを暗礁宙域の中に入れるなどといった真似をした場合、それこそ最悪の結果をもたらす可能性が高い。
ホワイトベースの装甲は、ガンダムやガンキャノンとは違ってルナ・チタニウムではないのだから。
『ムサイ級、それぞれMSを4機ずつ、合計12機発進!』
ちっ、やっぱりこの状況で攻めてくるか。
予想はしていたが、また厄介な真似をしてくれる。
けど、18機ではなく12機なのはこの状況でのせめてもの救いか。
『MS部隊、出撃大丈夫か!?』
焦ったようなブライトの声。
この状況で攻撃をしてくるかもしれないと、そう俺に言われていても、やっぱり実際にそんな状況になると焦ってしまうのは当然だった。
元々ブライトは成り行きで艦長になった訳であり、その上でこのUC世界において大気圏降下時の襲撃というのは、恐らく初めての事だろう。
ブライトが動揺するのも、理解は出来ない訳ではない。
「俺のガンキャノンは問題ない」
『こ、こっちも、大丈夫です!』
『同じく、大丈夫だけどよぉ……』
アムロとカイの2人も、この状況ではいつものように強気のままという訳にはいかないのだろう。
「心配するな。いざとなったら敵は俺が引き付ける。お前達はホワイトベースの側で敵の迎撃に集中していてくれればいい」
取りあえず、そう言っておく。
実際に戦いの中でホワイトベースから離れて大気圏に突入されるような真似をすれば、ちょっと洒落にならない。
特にアムロはシャアとの関係を考えると危険には合わせたくないという思いの方が強い。
カイは……MSパイロットとしても優秀なのは間違いないのだから、ここで死んで欲しくはない。
『いいんですか?』
映像モニタに表示されたアムロは、恐る恐るといったように尋ねてくる。
まぁ、普通なら自分から死地に向かってるように見えるのだから当然だろう。
「心配するな。俺にとってはそう珍しい事じゃないしな。何とでもなるさ。それに、俺の操縦技術は知ってるだろ?」
『そうそう、アクセルに任せておけばいいんだよ、こういう時は』
カイがそんな風に言ってくる。
……それでも緊張しているのは見て分かるのだが。
『分かった。なら、基本的に敵の迎撃はアクセルに。そして他の面子はなるべくホワイトベースから離れないように戦ってくれ』
ブライトが俺の言葉にそう頷いてくる。
元々こういう時での戦い方は知られていないだけに、こういう状況に慣れている俺の言う事を聞いておいた方がいいと、そう判断したのだろう。
実際、それは間違っていない。
特に俺の能力を考えれば、生身で大気圏に突入しても平気なのだから……いや、ブライトはその辺を知ってる訳でもないのか。
「よし、じゃあブライトからの許可も貰ったし、戦闘はそんな感じで。一応念の為に……そうだな、ホワイトベースから出撃してから、5分。5分経ったら全機格納庫に戻るように。それくらいの間なら、ホワイトベースを守るのも問題なく出来るだろ」
アムロとカイの……そしてガンタンク隊や、何よりもこの通信を聞いてるブリッジの面々の緊張を解すべく、敢えて軽く告げる。
そんな俺の言葉に何か気が付いたのか、映像モニタに表示されていたブライトは少しだけ嬉しそうな笑みを浮かべた。
戦闘時間が5分と限定された、というのも大きいのだろうが。
とはいえ、実際には本当に5分でホワイトベースに戻ってこられるかどうかは、はっきりと分からないのだが。
そもそもの話、その時間でホワイトベースに戻ってくると言ったって、それはあくまでもこっちの都合だ。
ジオン軍が、こっちの都合通りに動いてくれるとは、限らない。
それこそ、自分の命を使ってでもホワイトベースを沈める……何て事を考えるような相手がいないとも限らない。
ジオン軍の中には、ギレンに対して盲目的な忠誠心を抱いていたり、信仰していたりといった者達がいるのだから。
そのような者達にとって、自分が死ぬ事によって連邦軍に大きな被害を与えられるのであれば、容易にその特攻してくるだろう。
……まぁ、だからこそその辺が問題となり、俺が最前線で戦うという事になるのだが。
「くれぐれも、5分が経過したらホワイトベースに戻るようにしろよ。……ガンタンク部隊、そっちもだ。ホワイトベースの甲板上を移動しているとはいえ、ガンタンクで大気圏突入なんぞしようものなら、それこそ間違いなく死んでもおかしくはない。そんな事にならない為にも、絶対に時間は守れよ」
ホワイトベースを大気圏突入の際の遮蔽物として使うのであれば、もしかしたらガンタンクも無事であるという可能性はあった。
だが、それはあくまでも恐らく無事であるというだけで、普通の人間には厳しい。
半サーヴァントの綾子なら、ある程度問題ないとは思うのだが。
『悪いな、アクセル。本来なら、そういう指示は俺が出さなきゃいけないのに』
リュウが、申し訳なさそうにそう言ってくる。
俺を名指しでこう言ってきたという事は、この通信は他の面々には聞かれないよう、俺だけに送ってきた代物なのだろう。
もっとも、リュウの気持ちも分からないではない。
リュウの立場は、いわゆる下士官という奴であって、特に今のホワイトベースのように素人が多い場合は、現場で指揮を執るべき人物の筈だ。
だというのに、そのリュウはMSでの戦闘経験が殆どない為に、その役割を実質的に俺に任せてしまっている。
一応軍人という事ではジョブもいるのだが、ジョブはジョブで下士官という訳ではなく、まだ軍人になったばかりの人物だ。
だからこそ、リュウは現在の自分が許せなかったのだろう。
「気にするな。この辺は慣れてる奴が行動した方がいいだろ。リュウが指揮を執るのは、それこそ地球に降下して俺達がいなくなってからでもいい筈だ。今は、こういう時にどういう風に対応すればいいのか、それを覚えておけばいい」
とはいえ、俺の指揮の場合は基本的に俺自身が前線に出る事を前提としており、その上で俺が最大戦力という形になっているのだから、その指揮がリュウの役に立つのかどうかは、正直微妙なところだが。
そんな風に思いつつ、俺はガンキャノンで出撃するのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:305
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1449