転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2311話

 ホワイトベースに戻ってくると、最優先で俺のガンキャノンの補給をするようメカニックに頼む。

 暗礁宙域での戦闘に続いて、ホワイトベースを襲っていた敵との戦い。

 短い間に2連戦ともなれば、当然のように推進剤やビームライフルのエネルギーや低反動キャノンの残弾も心許なくなる。

 何をするにしても、とにかくMSが動かなければ意味はない。

 そんな訳で、俺は真っ先にメカニック達に補給を頼んだ。

 そうして格納庫の邪魔にならない隅で一休みしていると、カイがこちらにやってくる……いや、漂ってくる? のが見える。

 パイロットスーツのヘルメット越しに見るカイは、元々線が細いが今はもっとやつれているように見えた。

 それだけ、カイだけであれだけのザクを引き受ける――ガンタンク隊やホワイトベースの援護射撃があったとはいえ――のは厳しかったのだろう。

 

「お疲れさん」

「おう。……正直、アクセルがいなくなって、それから敵が襲撃してきた時には、どうしようかと思ったけどな。しかも、アムロもいなくなるし」

 

 まだ格納庫に……ホワイトベースに戻ってきていないアムロの事を心配しているのか、カイはいつもならガンダムが待機している場所に視線を向け、呟く。

 実際のところ、アムロがそう簡単にシャアにやられるとは思っていない。

 いないのだが、予想を上回るだけの力を持つのが、エースパイロットなのだ。

 それこそ、本気になればとんでもない実力を発揮するのは、ラルや黒い三連星といった異名持ちのエースパイロット達の様子を見ていれば誰にでも理解出来る。

 とはいえ、アムロもニュータイプであるし、何よりも俺がかなり鍛えた相手だ。

 そうである以上、そう簡単にやられるとは思ってもいない。

 

「アムロの事は心配するな。今、俺のガンキャノンが補給してるから、それが終わったら迎えに行く。そう時間は掛からない筈だ」

 

 問題なのは、アムロがどの辺にいるのかを調べる方法だろう。

 この周辺にはかなりの濃度でミノフスキー粒子が散布されている以上、通信をするのは難しい。

 ミノフスキー粒子が散布されていない場所までホワイトベースで移動してからという方法もないではないが、そうなると結構な距離を移動する必要がある。

 だとすれば、ミノフスキー粒子がない場所まで移動するのに、一体どれだけの時間が掛かるのかといった問題もあるんだよな。

 いっそガンキャノンでと思わないでもないが、そうなると推進剤の消耗が激しい。

 T-LINKシステムとかがあれば、念動力によってどこにアムロがいるのかというのを、大体の方向で分かったりもするのだが、ガンキャノンにそれを望める筈もない。

 いっそニーズヘッグを出すか?

 そう思わないでもなかったが、そうなればなったで俺がホワイトベースに乗っているのが知られるしな。

 グラナダ攻略の一件から、ニーズヘッグはUC世界においてももっとも名前と姿が知られている機体の1つとなっている。

 あの時は示威的な行為という意味でも必要な事だったのだが、今はそれが祟っている形だ。

 

「ああ、頼む」

 

 疲れ切っているカイだったが、俺がアムロを助けに行くと言うと、それだけは短く言ってくる。

 このまま放っておけば、精神的な疲れからカイは眠ってしまうんじゃないのか?

 いやまぁ、今日のカイがどれだけ働いたのかを考えれば、誰も文句は言えないのだろうが。

 

「アクセルさん」

 

 予想通りに眠ってしまったカイを横に置き――無重力だからこそ出来る事だ――補給をしているガンキャノンを眺めていると、ふとそんな声が聞こえてくる。

 声のした方に視線を向けると、そこには深刻そうな表情を浮かべたフラウの姿。

 もっとも、その気持ちは分かる。

 アムロに対して好意……それも恐らく男女としての好意を抱いているフラウにしてみれば、赤い彗星のシャアと一緒に行方不明になっており、そして恐らくは現在も戦っていると思われるアムロの事が心配なのだろう。

 寧ろ、そのような状況でよく騒ぎ出さないと、褒めてもいいくらいだ。

 

「アムロの件はもう少し待ってくれ。補給が終わったらすぐに出撃してアムロを迎えに行く。ブライトにも、そう言われたしな」

 

 ホワイトベースに戻ってきた時、既にブライトにはその辺をしっかりと報告し、許可を貰っている。

 休憩があるとはいえ、実質的に3連戦となる事に若干心配そうな様子を見せていたが。

 もっとも、その心配というのは俺の身の安全を心配して……じゃなく、シャドウミラーの代表たる俺をそのようにして使ってもいいのかどうかと、そんな心配からだが。

 ある意味では、俺の身を心配していると言ってもいいのか?

 

「ありがとうございます。……カイさん?」

 

 俺の言葉で安心したフラウが、そこでようやく眠りながら俺の横を漂っているカイに気が付いたのか、その名前を口にする。

 

「精神的な疲労で疲れたんだろ。ホワイトベースとガンタンクの援護があったとはいえ、実質的に1機だけでザクの群れと戦っていたんだしな」

 

 寧ろ、よくここまで保ったと、そう言っても間違いではない。

 シャアが戦力を補充するだろうとは思っていたが、まさかここまで集めるというのは、正直なところ予想外だった。

 ジオン軍の戦力は、独立戦争開始以前の水準にまで回復したと、そうギレンが演説で言っていたのは知っている。

 だが、地球上でも様々な場所で戦いをしており、宇宙でも地球の軌道上をジオン軍は封鎖している。

 せめてもの救いは、ルナツーをルナ・ジオン軍が抑えた事によってそちらに戦力を割く必要がなくなった事だが、月というサイド3のすぐ側にある場所に対して強い警戒を抱かなくなったのも事実。

 ……何を言いたいのかと言えば、正直なところ今のジオン軍にこれだけの戦力を抽出する余裕があるとは思えなかった、というのが正直なところだ。

 今回のジオン軍はシャアの要請に応えたという形であっても、かなり無理をしての行動だと思った方がいいだろう。

 月の周辺というサイド3から近い場所だから出来た無理と言えなくもないが、それでもこの戦力が消滅してしまえば、ジオン軍にとっても大きな被害となるのは間違いない。

 それこそ、恐らく今回の作戦を指揮しているシャアの責任問題に発展してもおかしくはないと、そう思うくらいには。

 

「とはいえ、シャアの……いや、ジオン軍の気持ちも分からない訳じゃないんだけどな」

「え? 何がです?」

 

 俺の言葉が聞こえたのか、フラウが不思議そうにこっちを見てくる。

 フラウはサイド7にいる時は本当に普通の学生だった。

 アムロのように機械に詳しい訳でもないし、カイのように大型車両の免許を持っている訳でもない。

 だからこそ、シャアやジオン軍が何故ここまで必死になってホワイトベースを襲っているのかという事が分からないのだろう。

 ……無理もない。

 ジオン公国が独立戦争を始めた時は、ジオン軍だけがMSを持っており、当然のようにその技術はジオン軍がこの世界でも最高峰だった。

 だが、シャドウミラーという存在がこの世界と接触し、セイラやジオン軍、更には兵器メーカーまで抱き込んでルナ・ジオンを建国し、その技術力はヅダを見れば分かるように、決してジオン公国に劣るものではない。

 いや、シャドウミラーという異世界の存在がある以上、自分達が全く知らない技術を入手出来ると考えれば、潜在的にジオン公国よりもルナ・ジオンの方が上だろう。

 そこで、更に今は連邦軍が新開発したMSやMS運用艦があり、更にそのMSはジオン軍でも完成に手間取っているビームライフルを実用化しているのだ。

 また、ビームライフル以外にもルナ・チタニウムの装甲やフィールドモーターといった具合に、部分的にジオン公国の技術を上回っているところがあるのも事実。

 それをシャアの報告やそれ以外にも連邦軍に潜ませているスパイや、他にも様々な手段を使って知ったジオン軍にしてみれば、何としても連邦軍のMSを入手したいと、そう思うのは当然だった。

 だからこそ、こうしてホワイトベースという1隻の軍艦に対するには過剰とも言える戦力を用意したのだろう。

 

「ジオン軍も俺達を逃がしたくないと考えて必死なんだろうと思ってな」

「……そうなんですか?」

「ああ。ジオン軍が連邦軍に対して有利なのは、あくまでもMSという兵器があるからだ。そのMSを連邦軍が用意し、更にジオン軍のMSよりも高い性能があるとなれば……ジオン軍が脅威を覚えても仕方がない」

 

 もっとも、ジオン軍が有利なのは、MSだけではなくコロニー落としとか、その辺の事情も関わってくるのだが。

 ああ、いや。でも、コロニー落としはアースノイドにとって、ジオン軍に対する憎悪を掻き立て、連邦軍の士気を上げたという意味では悪手に近いのか。

 目標通りジャブローに落ちていれば、また話は別だったのだろうが。

 とはいえ、ジャブローには連邦軍や連邦政府のトップが集まっている。

 もしコロニー落としでジャブローを壊滅させていれば、それこそ停戦や和平といったのはどうなったんだろうという疑問もあるが。

 連邦政府の上層部全員がジャブローにいる訳ではないだろうから、後を継ぐ者もいない訳ではない。

 だが、少なくても俺はそんな状況で連邦政府や連合軍を指揮するような真似をしたいとは思わないし、実際に連邦政府の政治家もそう思うだろう。

 

「じゃあ、ジオン軍は……これで終わり?」

「いやいや、まさかそんな事はないだろ」

 

 信じられないといった様子で呟いたフラウに答えたのは、俺……ではなく、眠っていると思っていたカイだった。

 

「起きたのか」

「そりゃそうでしょ。こんな場所で話をされてて、起きるなって方が無理だよ。それに、格納庫全体がかなりうるさいし」

 

 カイの視線の先にあるのは、戻ってきたガンタンク隊。

 ホワイトベースの甲板上から攻撃をしていたので、被害はないだろうが……低反動キャノンの砲弾を補給する必要はあった。

 もっとも、現状で最優先されるのは、補給が終わればすぐにでも再出撃する俺のガンキャノンだ。

 そうである以上、ガンタンクは後回しになるのは当然だろう。

 

「カイはもう十分に戦ったんだから、後は俺に任せて、自室……とまではいかないけど、パイロットの控え室で休んでいてもいいんじゃないか?」

「おや? アクセルにしては、随分と珍しく優しい事をいうねぇ」

 

 少しからかう様子で告げてくるカイだったが、実際に今回カイがやった事は、それだけの価値があると断言してもいい。

 MSに乗ったばかりの、それこそ新兵と呼ぶに相応しい……いや、パイロットとしての身体を作る為の訓練すらも受けていないのを考えると新兵未満のカイが、あれだけのザクを相手にして1機も後ろに通さなかったのだ。

 それは、下手をすればシャアを相手にしているアムロよりも立派な戦果だろう。

 ……もっとも、だからと言ってカイがシャアと戦って勝てるかと言われれば、勿論答えは否なのだが。

 

「取りあえず、今のカイに出来るのは身体を休めて体力を回復しておく事だけだ。なら、きちんとそっちに専念した方がいいのは間違いないと思うが?」

 

 そう言われても、カイがここから動く様子はない。

 いや、もしかして動く気力もないのか?

 

「フラウ、悪いけどカイをパイロットの控え室まで引っ張っていってくれ。中に放り込んでおいてくれれば、それでいいから」

「え? その……本当にいいんですか?」

「ちょっ、おい、アクセル!」

 

 俺の言葉に戸惑いの声を上げるフラウに、抗議の声を上げるカイ。

 その両方を聞き流しながら、フラウにカイを引っ張って移動させる。

 カイの方はまだ色々と何か言っていたが、それでもフラウの手を振り払う程ではない。

 あるいは、振り払う程の力がない……というだけかもしれないが。

 そうやって連れて行かれるカイを見送っていると、再び誰かがこちらに近づいてくる気配を感じる。

 いや、これは誰かというのではなく……

 

「アクセル」

「綾子、無事だったみたいだな。……まぁ、カイが頑張っていたようだから、ホワイトベースにまで敵がやって来る事はなかったみたいだけど」

「そうね。正直なところを言わせて貰えば、微妙な思いなんだけど。……ガンタンクじゃね」

「だろうな。まぁ、ガンタンクも決して悪い機体じゃない。今回のように後方から援護射撃をするって意味でなら、あの性能で十分……もしくは十分以上の性能を持ってるんだけどな」

「あはは、そうだね」

 

 そう笑う綾子だが、トールギスⅢを本来の乗機としている身では、やはりガンタンクは色々と使いにくいのだろう。

 せめて2人乗りではなく1人乗りなら、まだストレスも少ないと思うが。

 

「いっそ、俺のガンキャノンに乗るか?」

「なら、アクセルは何に乗るのよ」

「……待機とか」

 

 俺としても、ガンタンクの有用性は理解出来るが、だからといって進んで乗りたいとは思わない。

 そんな俺に対し、綾子が呆れの視線を向ける。

 2人で話を続け、10分程。

 ようやくメカニックから、ガンキャノンの補給が完了したと報告がされるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:305
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1449

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