転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2310話

 2隻のムサイ級を撃破した俺は、その場でゆっくりと休憩をしたり……などといった真似はせず、急いでホワイトベースの方に戻る。

 ミノフスキー粒子が戦闘濃度になっている事や先程の信号弾を思えば、ほぼ確実に敵の攻撃がホワイトベースに行われている筈だった。

 それも、囮にムサイ級2隻を用意したという事は、本命の方の戦力はもっと多くても決して不思議ではない。

 だからこそ、こうして急いで帰還しているのだ。

 ちっ、少し無理を言ってでもダラニをホワイトベースに乗せるべきだったか?

 基本的に枯れた技術だけで開発されたダラニだが、それでもビーム砲を装備しているだけにUC世界においてはまだ出すのは早い――ルナ・ジオン軍はビームを封印して使っているが――と判断して、ホワイトベースに乗せるといったことはしなかった。

 だが、移動速度という点を考えれば、やはりガンキャノン単独よりもダラニに乗って移動した方が速いのだ。

 いざとなったら、敵にぶつけて自爆させるという手段も取れるし。

 そんな事を考えつつ移動していると、やがて映像モニタに戦闘の光が幾つも見える。

 ……こうして見る限り、まだ戦闘が続いているという事はホワイトベースは撃沈されていないらしいと知り、少しだけ安堵した。

 推進剤は……若干心許ないが、幸いな事に戦場となっているのはあくまでもホワイトベースの周辺だ。

 推進剤切れの心配は殆どしなくてもいいし、ある程度戦場が落ち着いたら、改めて推進剤を補給してもいい。

 ともあれ、今は少しでも早くホワイトベースに到着する必要がある以上、推進剤の消耗を気にしていられるような状況ではない。

 真っ直ぐ戦場となっている場所に向かい……一瞬、いっそニーズヘッグを出して転移してしまおうか、もしくはサラマンダーやミロンガ改の高い機動力を活かして一気に近づこうとかとも思ったが、ジオン軍に俺が、シャドウミラーの人間がホワイトベースに乗っているというのを知られる訳にはいかない。

 いやまぁ、シャアは既に知っているが、月に寄った以上は既に俺がクレイドルに下りたと考えているかもしれないし、もしくはまだホワイトベースにいると知っていても、セイラとの関係を考えると上に報告していない可能性は高い。

 ……ムサイ級のメカニックが、俺と戦った後にシャアが使っていたザクを整備した時、会話データとかを聞いていれば、どうなっているのかは分からないが。

 そんな風に考えつつも、とにかく今はガンキャノンに乗って移動するのが最善の選択だと思い直し……そして、戦場に突入する。

 すると予想通りホワイトベースがおり、そこから大分離れた前衛とでも呼ぶべき位置でガンキャノンが戦っている。

 ホワイトベースの上には移動砲台としてガンタンクが乗っている筈で、そういう意味ではザクも迂闊にホワイトベースに近づけないというのもあるのだろう。

 ガンタンクは機動力こそ普通のMS……ガンダムやガンキャノン、そしてザクといった機体より圧倒的に低いが、その代わりに低反動キャノンの威力は凄い。

 それこそ、上手く命中すればザク程度なら一撃で撃破してもおかしくないだけの威力がある。……勿論、命中した場所によっては、撃破出来なかったりもするのだが。

 

「まぁ、取りあえず……間に合ったって事で、結果オーライって奴だな」

 

 呟き、ホワイトベースとの距離が近くなったところで、通信を送る。

 

「ホワイトベース、聞こえているか? こちらアクセルだ。暗礁宙域に存在したムサイ級2隻、それと搭載MSの方は撃破してきた。取りあえず、後ろから攻撃されるというのは考えなくてもいい。……もっとも、俺が倒したムサイ級以外が別の場所にいたりすれば、話は別だけど」

『アクセル代表!? ……ブライト、アクセル代表が戻ってきたわ。戦力的には、これで逆転よ!』

 

 通信に出たのは、ミライ。

 となると、恐らく現在はミナトがホワイトベースの操舵を任されているのだろう。

 これだけ大勢のMS、それにその後方にいるムサイ級を相手にして、それでもホワイトベースがまだ撃沈されていなかったのは、ミナトの操舵のおかげも大きいのだろう。

 

『アクセル、損傷は!?』

 

 ミライの言葉に、叫ぶブライト。

 切羽詰まっている為か、あるいは単純に俺がいつも通りの言葉でいいと言ったからなのかは分からないが、俺の名前を呼び捨てにしていた。

 

「損傷はない。無傷だ。ただ、推進剤を結構消費したから、戦場が落ち着いたら一旦格納庫に戻って補給したい。今は、取りあえず敵の数を減らす方が先だろ」

 

 そう告げた瞬間、俺の操縦するガンキャノンは丁度ホワイトベースの横を通りすぎる。

 

『分かった。なら、無理をしない範囲で頼む!』

 

 ブライトのその言葉と共に、通信が切れる。

 そう言えばリードの声は聞こえなかったけど、その辺は一体どうなってるんだろうな。

 リードの性格を考えれば、それこそ自分の地位を使ってブライトの代わりに命令を出したりとかしそうだけど。

 ……とはいえ、純粋に戦場の軍人としての能力という点で考えれば、リードよりもブライトの方に軍配が上がる。

 そうである以上、リードも自分がここで口を出せばホワイトベースが撃沈、もしくは拿捕されかねないと判断し、大人しくしているという可能性も……ある、かもしれない。

 そんな風に考えている間にも、ホワイトベースからは敵のザクに向けて次々と攻撃が行われる。

 いや、正確にはホワイトベースではなく、その甲板で移動砲台をしているガンタンクの攻撃なのだろうが。

 そんな援護を受けながら、真っ直ぐに俺は戦場となっている場所を進み……

 

「げ、マジか」

 

 映像モニタに表示された光景を見て、咄嗟にビームライフルを撃つ。

 真っ直ぐに放たれたビームは、カイのガンキャノンに接近し、今にもヒートホークを振り下ろそうとしていたザクの頭部を粉砕する。

 カイのガンキャノンの身体が邪魔でコックピットを狙う事は出来なかったが、それでも頭部を破壊されたそのザクは、戦力として数えるのは難しい。

 

「カイ、無事だな!」

『アクセルかよ! 助かった』

 

 カイの声が切羽詰まった様子なのは、これだけのザクを相手にして前線を支えていたというのが大きいのだろう。

 実際問題、この状況は半ば絶望的と言ってもいいのは間違いない。

 ……それでも持ち堪えられたのは、やはりホワイトベースやガンタンク隊からの後方支援があったからだろう。

 カイのガンキャノンが頭部を失ったザクの胴体を撃ち、爆発するのを見ながら、周囲に視線を向ける。

 この戦場にやってきて最初にやったのはカイを助ける事だったが、次に思ったのはアムロとシャアがいないという事だ。

 ジオン軍のトップエースと、将来そのシャアと互角に戦えるだけの才能を持つ人物。

 普通に考えれば、才能だけでアムロがシャアに勝てるとは思えない。

 それこそ、俺との模擬戦やらシミュレータでの訓練やら、そういうのがあったとしてもだ。

 だが、現状の差を覆すのは、ザクとガンダムの性能差だろう。

 S型という、ザクの中でも最高クラスの機体ではあっても、ガンダムの性能差は非常に大きい。

 MSの性能差が、そのままアムロが生き残れる理由となっていた。

 そんな2人の姿がないというのは、この現状だと非常に嫌な予感しかしない。

 そう思うのは、念動力とか何とかといった話ではなく、純粋に現在の状況に違和感があるからだろう。

 

「アムロとシャアはどうした?」

『アムロはシャアがいると危ないからって、戦場を移したんだよ! 後は俺だけでここを守れって言ってよぉ』

 

 カイのガンキャノンに手を伸ばし、接触回線で尋ねる。

 シャアがいないこの状況で、ホワイトベースやガンタンク隊からの援護があったとはいえ、カイのガンキャノンだけで持ち堪えていたって事か。

 正直なところ、かなり驚いた。

 カイの能力は、もしかしたら俺が思っていた以上に強いのか?

 メリルや綾子にいいところを見せようとしてシミュレータとかも結構頑張っていたから、それが実を結んだのかもしれないが。

 

「分かった。取り合えずシャアはアムロに任せて、俺とお前で……ちっ!」

 

 カイと話していると、すぐ近くにいたザクが持っていたザクバズーカをこちらに向け、トリガーを引く。

 当然そうなればバズーカが発射される訳で、俺は咄嗟にビームライフルを撃つ。

 一瞬にして発射されたビームは、バズーカの砲弾を貫き爆発を引き起こし……それだけではなく、バズーカを撃ったザクの右腕と頭部を破壊してあらぬ方向に向かって飛んでいく。

 

「とにかく、話している暇はない。今は俺とお前で、このザク達をどうにかするぞ!」

『分かってるよ!』

 

 そう叫びつつ、カイのガンキャノンが低反動キャノンを連射し、ザクを近づけないように弾幕を張る。

 本来なら俺がシャアと戦って、アムロとカイでこのザクをどうにかする……ってのが最善の選択だったのは間違いない。

 だというのに、今はこのような状況になっている以上、こちらとしては現状に対応するしかない。

 それに、シャアと戦うには推進剤が減りすぎていて不安が残るという問題もある。

 高機動戦闘を得意としているシャアだけに、ただでさえガンダムよりも機動力の劣るガンキャノンで、更に推進剤が少ない状況で戦うとなると、こちらがかなり不利だ。

 

「っと、そっちに行かせると思うか!?」

 

 こちらを放ってホワイトベースに向かおうとしたザクにビームライフルを撃ち、コックピットを貫通して撃破する。

 同時に低反動キャノンを使い、ザクマシンガンで牽制しながらヒートホークで攻撃をしようとしていた敵を2機、撃破した。

 

『うっそだろ……この数秒で一気に3機撃破とか……』

 

 接触回線ではなく通常の回線で、カイが驚愕の声を向けてくるが、元々ザクとガンキャノンでは機体性能はこっちが上だ。

 ましてや、ガンキャノンのビームライフルは命中すれば一撃でザクを撃破出来るのに対して、ザクの方では主力武器たるザクマシンガンではガンダムより厚いルナ・チタニウムの装甲を持つガンキャノンにダメージを与える事は出来ない。

 ザクバズーカやヒートホークならダメージを与えられるが、ザクバズーカは元々軍艦やコロニーといった巨大な相手に用いる武器である以上、先程俺がやったように砲弾を迎撃するのも難しくはないし、今回は後ろにホワイトベースがいるからやらなかったが、最悪回避すればいい。

 ヒートホークはその間合いがかなり狭く、そう簡単に使える武器でもない。

 その上ガンキャノンの低反動キャノンの威力も、ビームライフルには負けるが、それでもザクを撃破出来る威力は持つ。

 そして何より、パイロットの能力差が大きい。

 シャアが集めただろうMSパイロットなだけに、その辺の素人よりはよっぽど技量は高いのだろうが、俺は幾多もの戦場を戦い抜き、勝ち抜いてきたのだ。

 俺とジオン軍のパイロットの間には、どうしても埋めようのない差がある。

 

「カイ、ぼけっとしてるな。お前もきちんと攻撃しろ!」

 

 驚きの様子を見せているカイにそう叫び、再びビームライフルでザクを1機撃破する。

 俺が来るまではカイだけでこの場を守っていたのだが、俺が来た瞬間に気が休まったのか、その動きは鈍くなっている。

 いやまぁ、それだけプレッシャーがあったのは間違いないのだろうが……だからといって、こっちもそれを許していられる余裕がある訳じゃない。

 あ、ガンタンクの低反動キャノンが2機のザクをほぼ同時に倒した。

 偶然なのか、それとも狙って命中させたのか。

 その辺りの理由は分からなかったが、ガンタンク隊が敵を撃破したのは間違いない事実だ。

 正直なところ、ガンタンク隊がやるのは援護射撃だけで、敵の注意を引いてくれればいいとだけ思っていただけに、これは予想外の戦果だった。

 綾子やリュウといった面々のおかげか?

 いや、あの2人はガンナーじゃなくてタンク部分の操縦をしているのだから違うか。

 ともあれ、アムロ抜きでも何とか持ち堪える事が出来ていた以上、俺が加わった事により、火力は更に増した。

 そして気が抜けていたカイもまた、攻撃を再開する。

 カイ1機で押され気味とはいえ、かろうじて均衡を保っていたのだから、こうなってしまえばもうジオン軍にはどうしようもない。

 戦場にいるザクは次々と撃破されていき……ジオン軍にとって最悪の結末に向かって一直線に向かっていく。

 特にザクが一定数を下回ってしまえば、もうその動きはどうやっても止められることはなく……残り数機となった時、ようやくムサイ級から信号弾が上がると、撤退していく。

 その背に向かって追撃に攻撃を放とうとするも……ビームライフルのエネルギー切れで、しょうがなく低反動キャノンを撃つ。

 

「お、当たった」

 

 幸いにして、撤退していくザクの胴体に命中し、宇宙に爆発の華が生み出され……俺も推進剤の補給やら何やらの為に、ホワイトベースに戻る事にしたのだった。

 補給が終わったら、アムロを探しに行く必要もあるし。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:305
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1449

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