最初の模擬戦が終わった後、まだ時間があった事もあり、最終的には5度の模擬戦を行う事が出来た。
本来なら1度、もしくは2度といった事を想定していたのだが、予想以上に一度の模擬戦が早く終わったのがその原因だった。
もっとも、まだガンダムを完全に乗りこなしている訳ではないアムロとしては、頑張ったのだろう。MSの操縦そのものは、かなり上昇してきている。
そうなると、やはりこの状況で必要になるのは慣れか。
そんな訳で模擬戦を繰り返したのだが……当然のように、模擬戦を行えば、補給をする必要がある。
特にヅダの肩と足のミサイルポッドは使い捨てである以上、1度の模擬戦が終わればパプア級に戻り、そこで再度ミサイルポッドを装着する必要があった。
そうなれば当然ガンダムも一旦パプア級に戻る事になり、アムロが俺を見る視線は模擬戦の回数を重ねる度に厳しくなっていった。
もっとも、それは俺を憎んでいるとかそういうのではなく、負けたくないという視線だったのがせめてもの救いか。
アムロって、何気に結構負けん気が強いんだよな。
MSパイロットには必要な資質だろうから、それは歓迎すべきなんだろうが。
「アクセル代表、ありがとうございました」
模擬戦が全て終わった後でそう言って俺に頭を下げてきたのは、本来なら格納庫にいるのに相応しくない人物……ブライトだ。
とはいえ、実際ブライトは俺に感謝をしてもおかしくはない。
何しろ、ホワイトベースのエース……あるいは生命線とすら言えるアムロを鍛え、まだ完全に使いこなしているとは言えないガンダムを少しでも慣れるようにし、その上で仮想敵としてシャアと似た動きをした俺と戦ってアムロに経験を積ませ、更にはヅダの性能をはっきりと数値では知らなくても、目で見て感じる事は出来たのだ。
連邦軍に所属するブライトにとっては、これ以上ない程にありがたく、俺に感謝するのも当然だろう。
「まぁ、ホワイトベースが沈められたり、アムロのガンダムが撃破されたり鹵獲されたりといった事になったら俺も困るし。そう考えれば、そこまでブライトに感謝される事じゃないけど……貸し1つ、だな」
「うっ……わ、分かりました」
貸し1つという言葉に一瞬動きを止めたブライトだったが、それでもすぐに頷く。
さて、この貸しが一体どれくらい大きな存在となるのか……少し、楽しみではあるな。
「そうか。取りあえず持ってきたペイント弾もほぼ使い果たしたし、そろそろクレイドルに戻るけど、構わないな? 一応ここにいれば安全だから、急ぐ必要もないと思うが」
ここは月の近くにある宙域……つまり、リーブラ、バルジ、ニヴルヘイムといった機動要塞群の勢力範囲内だ。
もしシャア……に限らず、ジオン軍が侵入してくるような事があれば、即座にメギロートやバッタ、シャドウといった戦力が大量に出撃する。
俺達を待ち構えているだろうシャアが、一体どれくらいの戦力を用意したのかは俺にも分からない。
だが、それでも機動要塞群から出撃してくる大量の戦力を相手にどうにか出来るかと言われれば、まず難しいだろう。
そして、シャアならそのような馬鹿な真似をするとは思えない。
セイラの一件で月に突入してくるという可能性は……多分ないと思う。
……うん、一応そうなった場合の為に、準備をしておいた方がいいか。
クレイドルに戻ったら、シャアが突っ込んで来たら撃破せずに鹵獲するようにと命令を出しておこう。
そう考え、ブライトとの話をそこそこにして、俺は艦橋に連絡をすると、クレイドルに戻るように指示を出す。
するとパプア級は動き出し、格納庫の中にいたホワイトベースの面々は、それぞれが残念そうな表情を浮かべる。
当然だろう。これでクレイドルに戻れば、また宇宙港から出られないような、そんな生活が待っているのだから。
だからこそ、そのような面々は少しでも長くパプア級に乗って宇宙にいたいと、そう思っているのだろう。
「……すいません」
どこか恥ずかしそうに、そして申し訳なさそうに、ブライトが俺に謝ってくる。
ホワイトベースの艦長としては、この様子に色々と思うところがあるのだろう。
それは分かるが、だからといってブライトが謝るような真似はしなくてもいいと思うが。
この辺、責任感が強いって事なんだろうな。
そんな風にブライトと話していると、ふと1人の人物が俺の方に向かって歩いてくるのが見える。
それが誰なのかというのは、それこそ考えるまでもなく明らかだろう。
「アムロ、どうした?」
俺の視線でブライトもアムロの存在に気が付いたのか、少し驚いた様子でそう尋ねる。
驚いたのは、まさかアムロが自分から俺に向かって近づいてくるとは思っていなかった……といったところか。
いや、でも模擬戦が始まる前は、俺に挑むような視線を向けていた。
それを思えば、そう不思議な事ではない……のか?
ともあれ、ブライトの視線を向けられたアムロは、少しだけ戸惑いつつ……次に、俺に視線を向けてくる。
「アクセルさん、今回はありがとうございました。僕の完敗です。でも……次は負けません」
それだけを言うと、アムロは俺とブライトの前から立ち去る。
なるほど。どうやら今の一言を……それこそ、宣戦布告をする為にやってきたらしいな。
思ったよりも負けん気が強いと思っていたが、そんな俺の予想よりも更に負けん気が強かったらしい。
いやまぁ、それはそれで問題ないのだが。
それこそウジウジとして悩んでいるよりは、明確に目標を持って行動してくれた方がいいのは間違いないのだから。
「すみません、アクセル代表」
「いや、気にするな」
アムロの行動が不躾だと思ったのか、頭を下げてくるブライトに、気にするなと首を横に振る。
実際、俺はアムロの態度を見ても特に不愉快になっている訳ではないのだから、それで謝られても困る。
ブライトは俺の様子を見て、本当にアムロの態度を不愉快に思っていないと判断したのだろう。安堵した様子で言葉を続ける。
「全く、アクセル代表のおかげで、無事にここまで来る事が出来たというのに……後で一応言っておく必要があるな」
「軍人ならその辺はやらないといけないのかもしれないけど、アムロは元々軍人じゃなくて一般人……それも、内向的な性格だったってのを忘れるなよ。相手が軍人のつもりでいると、拗れるぞ」
「それは……ですが、以前は一般人だったかもしれませんが、今のアムロは立派な軍人です。連邦軍のMSパイロット、それも腕利きと言ってもいい存在である以上、甘えは許されません。アムロの甘えが、下手をすればホワイトベース全体に被害を及ぼす可能性もあるのですから」
ブライトの言いたい事も分かる。
だが、生真面目な性格のブライトがアムロに何かを言った場合、ほぼ間違いなく言い争いになるだろう。
……実際、アムロだけではない、カイやハヤト、フラウ……それに、カツ、レツ、キッカといった子供達にしても、サイド7で連邦軍がMSの開発なんてことをやっていなければ、シャアの部隊がサイド7にやって来る事もなく、今でも平和に暮らしている事が出来た筈なのだ。
幸い、今はまだ誰もそれを問題にしている奴はいないらしいが。
もしくは、話題くらいにはしているのかもしれないが、それを俺やブライトの前で口にしない分別は持っている、といったところか。
ともあれ、ホワイトベースはただでさえ人手が少ないのだから、人間関係が拗れたりした場合、戦闘の中で致命的な隙になりかねない。
そうである以上、やはりブライトには年上の余裕、もしくは上官の余裕といったものを見せて貰いたい。
「その辺は俺が何か考えるような事でもないだろうから、ブライトに任せるよ」
そう言い、俺はブライトとの会話を切り上げると、ヅダの様子を見ているメカニック達の方に向かう。
ディアナから出向してきたメカニックだけに、当然腕利きの者達が揃っている。
ブライト含めたホワイトベースの面々が、ヅダの性能を知りたいと思うのは分かる。
だが、同時にディアナに所属する者達もまた、ヅダを俺が……人間ではなく、Gを気にする必要がない俺が操縦した時のデータは持っていない。
俺が混沌精霊であるというのは、知られてはいないのだが。
ディアナの技術者やメカニックマン達にしてみれば、俺は魔法を使うだけに、何らかの理由でこの世界の人間よりも耐G能力が高いと、そう思われているのだろうが。
ともあれ、ディアナの者達にとって俺が乗ったMSの操縦データや部品の消耗度というのは、非常に興味深いデータだったのだろう。
俺が近づいてきたのにも気が付いた様子はなく、ヅダのデータに目を通したり、手足を分解したりして部品の損耗具合を調べていた。
「どんな具合だ?」
「アクセル代表! いや、素晴らしいですよ。このヅダをここまで損耗させるなんて……」
普通なら、損耗したというのはあまり面白い顔をされない事実だ。
だが、俺の姿を見掛けたメカニックは、非常に嬉しそうな表情を浮かべてこっちに近づいてくる。
いや、これは嬉しそうというよりは興奮してると表現した方が相応しいのか?
そんな風に考えていると、メカニックは更に興奮した様子でまくし立てていく。
「ルナ・チタニウム製の関節部分が、当初予想していたよりもかなり消耗しています。これは、普通なら到底考えられないことですよ。一体、どんな無茶な操縦をすればこんな事が出来るんですか!?」
「どんなと言われてもな。それこそ、ヅダに入っているデータを見て貰えれば、その辺は分かると思うんだが。……違うか?」
別に、操縦データを消したりとかいった真似をした訳ではない。
だからこそ、ヅダのコンピュータのログを見れば、その辺ははっきりと分かるだろうに。
そんな俺の言葉に、メカニックは興奮が治まらない様子で話し続ける。
「分かってます。分かってるんですけど、やっぱりこういうのは本人から意見を聞くというのも大事なんです! それで、関節がここまで疲労するような動きというのは、やっぱりガンダムを中心にしてアサルトブースターやスラスター、それにAMBACまでも使って急激に機体の行動を変えた時の動きが原因なんですか?」
「あー……まぁ、そうだな。あれが原因の1つだというのは間違いない」
それこそ、あの動きは普通ならまず出来ない。
出来ないからこそ、やられた方はまさかといった感じで反応出来ないというタイプの技術だったりする。
もっとも、この技術が効果的なのは、ある程度MSの操縦技術に慣れている者。
それこそ、ベテランやそれに少し及ばない者だったり、もしくはベテランから1歩先を行ってる者といったところだ。
新兵どころか、ろくにMS操縦訓練を受けた事もなく、殆ど独学でガンダムに乗っているアムロにとっては、あまり効果的ではないのは間違いない。
また、同様にベテラン以上の……それこそエースと呼ばれるような者達であっても、対応はしてくるだろう。
そういう意味では、アムロ相手に使ってもあまり効果がない技術ではあったのだが……それでも、こういう技術もあるというのをアムロに教えられたのは、良かったのだろう。
ちなみに、本当にちなみにの話だが、この技術はシャドウミラーの実働班に所属するような相手には、これ単独で使っても即座に対応されてしまう。
また、シャドウミラーの実働班の者達であれば、同じような行動をするのも難しくはない。
何しろ、シャドウミラーの実働班という事は、当然のように魔力や気で身体能力を強化出来るし、綾子のように半サーヴァントなんて存在までいる。
また、フォールドクォーツを使ったISCでGを一時的に無効化出来るというのも大きい。
そういう意味では、この技術はそこまで大袈裟なものではない。
……もっとも、ISCとか気や魔力といった事を知らない以上、この世界では大きな意味を持つというのは、間違いのない事実なのだが。
「この動きをプログラムで出来るようにする……というのはどうでしょう?」
「いやいや、それは駄目だろ。普通のパイロットがアクセル代表のような動きをしたら、それこそ戦闘中に意識を失うとか、そういう事になりかねないし」
少し離れた場所で俺とメカニックの話を聞いていた他の連中がそんな風に話しているのが聞こえてくる。
機体の制御をプログラムで強引に動かすというのは、そう悪くない選択肢だ。
TC-OSとかも、ある意味でその延長上にあるOSだしな。
とはいえ、TC-OS程の技術にまで発展させるのは、まだUC世界の技術では難しい。
その辺の事情も考えると、やっぱり色々と検討させる必要があるのだろうなと思うのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:240
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1436