転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2302話

 模擬戦の用意は、俺が予想していたよりもあっさりと終わった。

 現在ルナ・ジオン軍の戦力はその殆どがルナツーに向かっているのだから、そんな状況で模擬戦をすると言った場合、嫌な顔をされるんじゃないかと思ったのだが……

 まさか、アンリにまであっさりと許可されるとは思わなかった。

 てっきりもっと渋るかと思ったから、先にセイラから許可を貰ったんだが。

 全ての準備を終えると、ブライトとの約束の時間まではまだ結構な余裕があった。

 それはパプア級がちょうどクレイドルに戻ってきたところだったから、というのも大きな理由なのだが。

 本来なら、完全に停止している状態の軍艦を動かすには色々と手間暇が掛かる。

 だが、今回に限っては運良くすぐに動けるパプア級がいたのだ。

 もしいなくても、時間まではギリギリ間に合ったと思うのだが。ともあれ、パプア級はホワイトベースが停泊していた、クレイドルの中でも端にある宇宙港に到着する。

 すると当然のように、ホワイトベースの周辺にいた者達がこっちを……パプア級の方を見てくる。

 ホワイトベースに乗っている軍人、もしくは残ると決断した者達は、宇宙港から出る事が出来ない。

 それでもホワイトベースから出て宇宙港の中を歩き回る事は許可されているので、そのような者達だろう。

 クレイドルの端にある宇宙港だけに、当然まだクレイドルの住人達でこの辺に住んでいる者はいない。

 つまり、ホワイトベースの面々がこの辺を歩き回っても、当然のように店の類はないのだ。

 ……これが、政庁とかそういう場所に比較的近い場所にある宇宙港なら、何らかの店とかがあってもおかしくはないのだが。

 もっとも、人がいないからといって見張りがいない訳ではない。

 ホワイトベースの面々が何か連絡を取りたい相手がいた場合の為に、コバッタや量産型Wは結構な数がこの宇宙港に配置されている。

 実際にはホワイトベースの面々が妙な真似、それこそ宇宙港から出てクレイドルの様子を偵察したり、それこそ脱走兵としてクレイドルに残りたいとか、そんな風にならない為の見張りという意味も強いのだが。

 ともあれ、ホワイトベースの面々は下りてくるのがパプア級だと知っても、特に騒ぐ様子はない。

 いや、はしゃぐという意味で騒いでいる奴は何人かいるが、ジオン軍が攻めて来たといった風に考え、MSで迎撃をするといった風な行動を起こす者はいない。

 ブライトが前もって模擬戦をやるというのを話しておいたのだろう。

 実際、パプア級を見てホワイトベースからガンダムとかが運び出されているし。

 こうして見ると、もうシャアによって壊された場所は完全に修復完了したんだな。

 そうなるとホワイトベースもそろそろ出発する以上、これはある意味で見送りのイベントとなるのか。……いや、俺とミナトと綾子の3人はホワイトベースに乗るので、ちょっと違うかもしれないが。

 そんな風に思っている間にもパプア級は無事にホワイトベースの隣に停泊する。

 

「……まさか、こんなに早かったとは……」

 

 パプア級から出てきた俺を見て、こちらも外で待っていたブライトが驚愕の声を漏らす。

 

「約束の時間にはまだちょっと早かったな。……そっちの準備は? こうして見る限りでは、もうガンダムが出てるようだけど」

 

 MS運搬用のトレーラーに乗っているガンダムの姿を見ながら、そうブライトに尋ねる。

 そのブライトは、俺の言葉で驚きから我に返ったのか、軽く咳払いをしてから口を開く。

 

「そうですね。こちらでもしっかりと準備はしておきました。アムロ曹長、準備は?」

 

 へぇ。どうやら、いつの間にかアムロは曹長という階級になっていたらしい。

 いや、もしかしてルナツーとか、クレイドルにやって来てから連邦軍の連絡が来たのかもしれないな。

 とはいえ、連邦軍の機密たるガンダムのパイロットをやってるんだから、いつまでも民間人のままという風にもいかないのだろう。

 

「大丈夫です。それで、これからフォン・ブラウンの方まで行くんですよね?」

「ああ、そうだ。アクセル代表のMS操縦技術が高いのは、アムロも知ってるだろう。また、アクセル代表の厚意により、シャアの乗るザクと同じような高機動型の機体を用意してくれるとの事だ。アクセル代表がシャアを仮想敵として戦ってくれることに感謝するように」

「ありがとうございます」

 

 ブライトに言われて、嫌々頭を下げたって感じだが……まぁ、その辺は別にいい。

 トラウマの件やメリルの件から、俺がアムロに好意を抱かれていないというのは、当然のように知っている。

 また、アムロは曲がりなりにもシャアを撃退したという事で、自信過剰になっているというのもあるのだろう。

 それを思えば、やっぱりここで一度叩いておくのは、これから続くだろう激戦の中でアムロを生き延びさせる為には、必須の出来事と言ってもよかった。

 ちなみに、アムロを曹長ではなく呼び捨てにしたのは、最初の曹長呼ばわりは俺にアムロの階級を自然と教える為か?

 

「じゃあ、早速行くか。模擬戦に参加するメンバーは、パプア級に乗り込んでくれ」

 

 俺がそう言うと、大勢が……それこそ、ブライトも含めてその場にいた殆どの者がパプア級に乗り込んでいく。

 おい、いいのかこれ?

 この様子を見る限り、ホワイトベースに残るような人物は殆どいないんじゃないか?

 というか、艦長のブライトまで乗り込んでいる時点で、色々とおかしい。

 勿論、その理由は分かる。

 ホワイトベースに乗っている者達がこの宇宙港の中しか出歩けない以上、当然のように今回の模擬戦は宇宙港の外に出る絶好の機会となる。

 だからこそ、この機会を逃したくないといったところなのだろう。

 ……同時に、少しでもシャアと戦う時の参考になればという思いがあるのも間違いない。

 それに、ここはクレイドルだ。

 月の近くにあるジオン軍であっても、そう簡単に手出し出来るような場所ではない。

 だからこそ、この宇宙港にホワイトベースを置いていっても、破壊工作や奪取されるといった事を心配しなくてもいいのだろう。

 勿論、本当に誰も残さないという訳でもないのだろうが。

 ともあれ、こうしてホワイトベースの人員の多くがパプア級に乗り込み……フォン・ブラウン、正確には月の地球側とでも呼ぶべき場所に向かって、出発するのだった。

 

 

 

 

 

「アクセル代表、準備は整っているので、いつでも出撃可能です」

 

 月の表側に到着すると、早速模擬戦を始める事となる。

 元々そんなに余裕がある訳でもないのだから、細かい打ち合わせの類よりも、出来るだけ多く模擬戦をこなすことを考えた方がいいという、言ってみれば実戦重視というところか。

 

「分かった。機体の調子は……言うまでもなく、万全だな?」

「勿論ですよ。アクセル代表が乗る機体に整備不良とかあったら、洒落になりませんし」

 

 ディアナ所属のメカニックが、俺の言葉に満面の笑みを浮かべて、そう言ってくる。

 その言葉を聞きながら、俺はヅダに視線を向ける。

 俺の視線の先にあるヅダは、ノーマルのヅダではなくA型、強襲型だ。

 プロペラントタンクとブースターが一緒になったアサルトブースター、肩や足に装備されている使い捨てのミサイルポッドが、ノーマルのヅダとの差異だろう。

 他にも手持ちの武器がショットガンに変わっていたりもするのだが。

 もっとも、今回は模擬戦だという事で使われる弾やミサイルは模擬戦仕様のペイント弾になっているのだが。

 取りあえずヅダを見て満足すると、次に格納庫の離れた場所に向ける。

 そこでは、ガンダムがホワイトベースのメカニック達によってチェックを受けていた。

 本来ならそこまで厳重にチェックをしなくてもいいのでは? と思わないでもなかったが、ガンダムというのは連邦軍にとっては非常に重要な機密だ。

 であれば、当然ながらチェックの類が色々と厳しくなってもおかしくはないのか。

 特に、教育型コンピュータは俺のデータを使えなくなったし、そうなればより一層アムロのデータが重要になるのだろう。

 そんなガンダムの方を眺めながら、俺は自分の機体たるヅダA型に乗り込む。

 何度かヅダに乗った事はあるが、それはあくまでも標準の……ノーマルのヅダだ。

 強襲型のA型は、残念ながら乗った事はない。

 そうである以上、アムロとの模擬戦が始まる前に機体の癖とかそういうのはきちんと把握しておく必要がある。

 もっとも、結局のところヅダはヅダだ。

 初めて乗る機体と比べれば、ノーマル……いや、標準のヅダに乗っている分、このA型も乗りこなすのにそこまで苦労はない。

 そもそも、ピーキーな機体性能という意味では、それこそイフリートとかで十分体験しているのだから。

 

「ヅダA型、アクセル、出るぞ!」

 

 その言葉と共に、ヅダはパプア級から宇宙空間に出る。

 模擬戦を行う以上、当然の話だがパプア級からある程度離れる必要があった。

 いやまぁ、母艦を守りながら戦うという状況設定だったり、逆に敵の母艦を撃破するという状況設定だったりすれば、話は別だろうが。

 ともあれ、使うのがペイント弾であってもパプア級を不必要に汚したりといった真似は避けたい。

 それに、パプア級は……少なくても俺達が乗ってきたこのパプア級は、建造されてから結構な年数が経っている。

 それこそ、下手をすればペイント弾等でも十分すぎる程に故障する原因となりかねない。

 いやまぁ、こうして普通に使っている以上そんな事はないと思うんだが、それでも心配になってしまうのはしょうがない。

 そんな風に思いつつ、機体を動かす。

 とはいえ、これからアムロとの模擬戦を行う以上、当然の話だがここで推進剤を大量に使う訳にはいかない。

 ここでそのような真似をした結果、模擬戦の中で推進剤がなくなり、動けなくなって撃破……なんて事は、絶対に避けたいし。

 なので、今やるのはあくまでも操縦する際の感覚についての調整だ。

 つい先日までは連邦軍のフィールドモーターを採用した機体に乗っていた為か、久しぶりに流体パルスシステムを使ったMSに乗ると、やっぱり若干だが違和感があるな。

 機体の反応速度とかそういうのは、気にするだけ無駄である以上、今は考えない。

 綾子がガンタンクに乗っている時に感じている反応の鈍さは、今の俺が感じているよりも数段上なような気もするが。

 AMBACを使って機体を動かす。

 手足は勿論、アサルトブースターもAMBAC肢として使えるので、その点ではガンダムより有利と言えるだろう。

 ……純粋な性能でガンダムに勝つのは、それこそ機動力くらいか?

 そうなると、やっぱりシャアがやるような高機動を使っての戦闘がベストなのだろう。

 元々この模擬戦の理由はアムロがシャアと戦う事を前提しての模擬戦である以上、それはある意味で当然の結果なのかもしれないが。

 そうして機体の様子を見ながら待っていると、やがて10分程経ってからガンダムがパプア級から出撃してくる。

 多分、格納庫にいるホワイトベースのメカニックは、ヅダの性能を少しでも確認しようとしてるんだろうな。

 いや、それをやってるのはメカニックだけではなく、ブライトを始めとした軍人の面々も同様か。

 現在月と連邦軍の関係は、悪いとは言わないが決して良いとも言えない。

 それでもルナツーの一件が終わった後でこんな感じなのを考えると……取りあえずジオンよりはマシだという事で納得して貰えばいいか。

 ともあれそんな関係だけに、連邦軍の軍人たるブライト達にしてみれば、ルナ・ジオン軍の主力MSたるヅダの性能は気になっていてもおかしくはない。

 あるいは、もしかしたら……本当にもしかしたらの話だが、ヅダというのが実はザクとのコンペで負けた……どころか、そのコンペの最中に空中分解――宇宙での空中分解という表現はどうかと思うが――したというのすら、知ってるかもしれない。

 ああ、でも連邦軍がその辺を知っていても、ホワイトベースにいるブライト達までその辺の情報が流れてきているとは限らないか。

 ともあれ、ブライト達にしてみれば、ヅダというのは出来れば少しでも情報を集めたいと考えているのは間違いない。

 そういう意味では、今回の一件はブライト達にとっての利益が大きい訳か。

 まぁ、MSというのは使っていれば当然のようにその性能は知られていく。

 そもそも、ルナツー攻略戦でもルナ・ジオン軍は大々的にヅダを使ったのだ。

 そうである以上、当然ルナツーにいた者達なら、ある程度ヅダの性能を理解していてもおかしくはない。

 ルナツーには強硬派が多かったが、それ以外の……それこそレビルやゴップの命令をきちんと聞く奴もいた筈だ。

 そのような連中なら、ヅダのデータをしっかりと把握し、それを連邦軍に教える筈だった。

 

『アクセルさん、そろそろいいですか?』

 

 アムロからの通信に頷く。

 

「ああ、こっちは問題ない。じゃあ……始めるか!」

 

 そう告げ、俺とアムロの模擬戦が始まるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:240
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1436

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