転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2294話

「……本気か?」

 

 俺の提案に、ブライトはその言葉通り、本気かといった視線をこちらに向けてくる。

 まぁ、その気持ちは分からないでもない。

 クレイドルで下りると思っていた俺が、再びホワイトベースに乗ると言っているのだから。

 

「ああ。ただ、別に俺達はジャブローまで一緒に行く訳じゃない。ちょっとハワイに用があってな。折角だから、ホワイトベースの戦力として一緒に行ってもいいと、そう思ってるだけだ。戦力としては助かるだろ?」

「それは勿論だが……」

 

 俺を優秀な戦力として認めつつ、それでもすぐに頷く事が出来ないのは、やはりブライトにとっても色々と思うところがあるからなのだろう。

 とはいえ、その気持ちも分からないではない。

 ブライトにしてみれば、タクシーやバス、もしくはHLV代わりに使われているといった印象を抱いてしまうのだろうから。

 

「なら、構わないだろう? こっちを待ち伏せしているシャアと戦うのを考えると、少しでも戦力は充実させた方がいいだろうし」

 

 その言葉が決定打となったのだろう。

 ブライトは完全に不満を消し去ったという様子ではなかったが、それでも俺達の戦力は惜しいと思ったのか、それ以上文句を言う様子はなかった。

 

「それと、俺以外にも2人乗る事になった」

「イザーク以外にも?」

「ああ。1人はMSの運用も出来るから、ブライトにとってみれば、願ったり叶ったりといったところだと思うが?」

「それは……それで、もう1人は?」

「もう1人は、操舵士だ。それも凄腕のな。今はミライがいるけど……」

 

 そう言い、ブリッジの中を見回すが、現在ここにいるのは俺とブライトだけだ。

 それ以外の面々は、自分の部屋やホワイトベースのどこか、もしくは宇宙港を見学したりといった事をしている。

 昨日のうちに避難民はホワイトベースを下りて、そちらは既に市街地に連れて行かれたが、ホワイトベースを運用している連邦軍の面々はそんな訳にはいかない。

 市街地は勿論、移動出来るのはホワイトベースと宇宙港くらいのもので、街中で買い物や食事、遊んだりしてストレス発散って事は出来ない。

 それでも色々と歩き回ったり、ホワイトベースの中を改めて眺めたりといった風に、それぞれに気分転換をしている筈だ。

 ……ホワイトベースはサイド7から出航した時には、大量に避難民が乗っていた。

 それを考えると、ホワイトベースで避難民が乗っていない今の状況は、ホワイトベースの乗員にしても珍しい筈だ。

 ああ、でもサイド7からホワイトベースに乗っていた面々にしてみれば、そこまで珍しい話でもないのか?

 

「いや、その前に聞いておくべきか。ミライはどうしたんだ? 月に残るのか、ホワイトベースに乗るのか」

 

 ミライの立場を考えると、どっちもどっちといった感じなので、一応といった風にブライトに尋ねる。

 

「ありがたい事に、ホワイトベースに残ってくれるそうだ」

「そうか。……ともあれ、ミライがいてもずっと1人だけで操舵士をやるというのは、体力的にも厳しいだろ。そういう時に、交代で操舵士が出来る人員がいれば便利だろ?」

 

 実際、ナデシコではエリナとミナトの2人で交代して操舵士をしていたしな。

 それが軍艦の運用で有効だというのは、ナデシコが示している。

 ……別にナデシコの活躍の全てがそこにあるとは言わないが、それでも幾らか関わっていたのは、間違いない事実だと思う。

 それはブライトにとっても否定出来る事実ではなく、頷きを返す。

 ミライが軍人ではなく一般人であるという事も、この辺は関係しているのだろう。

 

「ちなみに、他にホワイトベースに残ると言ってる奴はどのくらいいる?」

「ふむ、その辺はまだしっかりと確認をした訳ではないが、アムロやカイ、ハヤトといった面々は残ってくれるらしい」

「……カイやハヤトも残る事にしたのか? 少し意外だな」

 

 カイやハヤトといった面々は、決して好戦的といった訳ではない。

 いやまぁ、カイは皮肉屋なところがあるが。

 ハヤトの方は……アムロへの対抗心からか?

 アムロがホワイトベースに残るというのは、俺にとって予想通りではあっても、非常に嬉しい内容ではある。

 アムロには多くの戦闘を経験して貰い、より成長して貰う必要があるのだから。

 ああ、でもアムロが月に残らないと考えたのは、やはり俺がいるからという可能性もあるか。

 最初の頃に比べれば大分マシになったとはいえ、それでもアムロは俺に苦手意識を抱いているのは間違いない。

 そして月が俺の本拠地である以上、当然のようにアムロにしてみれば月に残りたいとは思わないだろうし。

 

「うむ。それはこちらも少々意外だった。だが、残ってくれるというのであれば、こちらとしても歓迎はしても拒否をするつもりはない」

 

 若干嬉しそうな様子を見せるブライト。

 現状について、色々と思うところがあるのは、間違いないんだろうが……そんな中で残ってくれるというのは、やはり嬉しいのだろう。

 

「じゃあ、まぁ、そういう訳で。最終確認だけど、ホワイトベース側に問題はないな?」

 

 俺のその言葉に、ブライトは頷きを返す。

 正直なところを言えば、ブライトとしては俺達を受け入れたくはないのだろう。

 ホワイトベースやMSの重要性を思えば、それは当然の事だった。

 だが、ここで俺達を受け入れるのと受け入れないのとでは、ホワイトベースの戦力に大きな差が出る。

 だからこそ、渋々……本当に渋々であっても、ブライトは俺の提案を受け入れたのだろう。

 こうして受け入れて貰えた以上、こちらとしても十分な戦力として働かせて貰うつもりだが。

 

「そうか。じゃあ、俺はちょっと格納庫の方を見てくるよ」

 

 ブライトにそう言い、俺はブリッジを出る。

 ブライトの方はまだ俺に何かを言いたそうにしていたが、結局俺に声が掛けられるといった事はなかった。

 

 

 

 

 

 影のゲートを使うのではなく、普通に歩いてホワイトベースの格納庫に向かった俺は、途中で何人かの軍人に遭遇するも、以前ホワイトベースに乗っていた時に比べると、その数は大分少ない。

 避難民がいなくなったというのは、俺が予想していた以上にホワイトベースを広いと感じさせる要因となっているのだろう。

 顔見知り……本当に顔を知っているといった程度の軍人達と軽く挨拶をしながら通路を進み、やがて格納庫に出る。

 そこでは、ディアナの技術者達がガンダム、ガンキャノン、ガンタンクのデータ取りをしており、その周囲ではホワイトベースに乗っていたメカニック達がそれぞれその質問に答えたりといった事をしていた。

 ……何だかディアナの技術者達が妙に真面目な顔をしてるな。

 何か問題でもあったのか?

 とはいえ、こうして見ている限りではホワイトベースのメカニック達と対立しているといった様子でもない。

 そうなると……何があった?

 そんな疑問を抱き、俺は技術者達の方に近づいていく。

 当然俺が近づけば向こうもそれに気が付き、技術者の1人が俺を見て驚き、口を開く。

 

「アクセル代表、こっちに来てたんですね」

「ああ。それで、一体何があったんだ? 深刻そうな表情を浮かべてるみたいだけど」

 

 俺に声を掛けてきた技術者にそう返事をした瞬間、自分が今した事に、しまったといった表情を浮かべる。

 実際周囲を見てみると、俺に声を掛けてきた技術者と話していたメカニックが……そして今の技術者の声が聞こえていた、周囲のメカニック達の視線が、俺に向けられていたのだから。

 ……そう、俺はアクセルと呼び掛けられて、返事をしてしまったのだ。

 このホワイトベース内では、イザークという名前で通していたにも関わらず。

 とはいえ、それでも俺をシャドウミラー代表のアクセル・アルマーだとすぐに思いつかないのは、その外見が関係しているからだろう。

 セイラが行った、ルナ・ジオンの建国宣言の際に映像に映っていたのは、大人の……20代の俺だった。

 だが、今の俺は10代半ば。

 明らかに、映像に表示されていたのと今の俺では年齢が違う。

 だからこそ、皆も戸惑っているのだろう。

 あー……一応ディアナの面々にも俺の事はイザークと言うように指示があった筈だが、それだけ連邦軍のMSについて興奮していたという事だろう。

 自分の言葉に顔を青くしている技術者の肩を叩く。

 

「あまり気にするな。それに、そろそろ俺もイザークという名前を使うのは難しくなってきたと思っていたしな。それを考えれば、お前だけが悪いって訳じゃない」

 

 そもそも、俺がイザークという偽名を使ったのは、あくまでもサイド7から月に向かう短い間だったからというのが大きい。

 そういう意味では、イザークの名前を使うのは潮時だったと言っても決して間違ってはいないだろう。

 であれば、地球に向かう以上はイザークではなく、アクセルという俺の名前を使った方が色々と便利なのは間違いない。

 ……もっとも、アクセルという名前は、それはそれで面倒を引き寄せるのは間違いのない事実だが。

 

「その……本当に構わないのですか?」

 

 俺をアクセルと呼んだ技術者の上司らしい男……この男も見覚えがあったが、その男の言葉に頷きを返す。

 

「ああ、問題ない。寧ろ、これが良い機会だったと言ってもいい。そういう意味では、良い切っ掛けを作って貰ったようなものだな」

「……ありがとうございます。ほら、お前も礼を言え!」

「あ、あ、あ、ありがとうございます!」

 

 上司に無理矢理頭を下げられるような形で俺に頭を下げる技術者。

 どうやら向こうは俺が気を遣ってそんな風に言ってる……という風に考えてるみたいだが、別にそういうつもりじゃなくて、本当にこれが良い機会だからそう言ってるだけだなんだが。

 

「ああ、気にするな。それで、さっきはなんであんな風に真剣な表情をしていたんだ?」

「え? あ……あー……そう、そうです! 連邦軍のMSはコックピットがコアファイターという戦闘機になってるのは、アクセル代表も知ってますよね?」

「俺は直接乗ってるしな」

「なら、そのコアファイターに教育型コンピュータがあるというのは?」

「それも一応知っている」

「なら、俺が驚いた理由が分かってもいいと思うんですけど……つまり、このホワイトベースには、アクセル代表の戦闘データが残っているという事です。もしこれが連邦軍のMSに流用されるような事があったら……」

 

 なるほど。連邦軍の量産型MS……セイラから聞いた話によると、ジムというMSらしいが、そのジムが俺の戦闘データを使う可能性があるのか。

 そう思うも、少し考え……すぐに否定する。

 そもそも、セイラから聞いた話によるとジムというのはガンダムの量産型MSであって、俺が使っているのはガンキャノンだ。

 そうなると、当然のようにジムとでは運用の仕方が大きく変わってくる。

 ……その辺りは、ガンダムに対するガンキャノンのように、ジムに対するジムキャノンとでも呼ぶべき機体を開発すればいいのかもしれないが、それでも俺の操縦データを流用すると……ぶっちゃけ、戦闘ではなく操縦によって死人が出てもおかしくはない。

 そもそも今の俺の操縦技術は、俺が物理現象を受け付けない混沌精霊であるという利点を最大限に活かして操縦している。

 もしその操縦データをそのまま利用した場合、とてもではないがパイロットが無事だとは思えない。

 とはいえ、その辺を弱めるような形で調整をしてジムに流用しても、俺の操縦データを十分に発揮は出来ない……が、それでもある程度は連邦軍にとって有利になってしまうのは間違いないか。

 

「俺の操縦データが流れるのは、色々と不味いな。削除しておいてくれ」

「……分かりました」

 

 俺に話し掛けて来た方ではなく、その上司がそう言って頷く。

 ホワイトベースのメカニック達が不満そうな表情を浮かべていたが、これは呑んで貰う必要がある。

 向こうもここで不満を口にすれば、補給の関係で色々と問題になるというのは分かっているのか、不満そうにしていても直接口に出してくるような事はしない。

 

「その、他のパイロットのデータは……」

 

 作業をしていたディアナの技術者の1人が、そう尋ねてくる。

 

「そっちはそのままでいい。ただし、俺のデータだけは完全に、それこそ復旧が不可能なようにしておいてくれ」

 

 アムロの操縦データについては、恐らく原作でも使われていたのだろうから、わざわざ消去したりといった事はする必要はないだろう。

 メリルのデータは悩みどころだが、乗っているMSがガンタンクである以上、発展性という点では乏しいし、何よりメリルはザクの操縦訓練はしているものの、結局のところ素人でしかない。

 そう考えると、メリルのデータが残っていても問題はないと、そう判断して、そちらのデータも残しておくように言うのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:240
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1436

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