転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2290話

「あら、アクセル。こんな場所にいたの」

 

 そう言いながら部屋に入ってきたのは、当然のようにこの政庁の主たるセイラだった。

 そんなセイラに軽く手を上げ、俺は缶紅茶とサイド7で購入したパウンドケーキを口に運ぶ。

 結構な高級店で買ったケーキだけに、それなりに美味い。

 もっとも、それでもそれなりといったところなのだが。

 この辺は、サイド7が結局はコロニーで新鮮な食材を入手しにくいというのが関係しているだろう。

 いや、寧ろその状況でこれだけの味に仕上げた技量を褒めるべきか。

 

「ここで待ってればセイラもそのうち来るだろうと思ってな。それで、どうだ? お前も食べないか? 結構美味いぞ」

「では、お言葉に甘えさせて貰うわ」

 

 そう言い、セイラはメイドに自分の分と、ついでに缶紅茶を飲んでいた俺の分の紅茶も用意するように言い、俺の向かいに座る。

 

「それで、アクセルの目から見て今回の一件はどうだったのかしら」

 

 今回の一件と纏めているが、実際には色々な件が混ざっているんだよな。

 サイド7の様子から、MS開発、ジオン軍の襲撃、ルナツー付近での戦闘、ルナツーでの会話、そして月への移動。

 そんな中でも、特にセイラが気にしてるのは、やはりシャアについてだろう。

 ホワイトベースが到着してからある程度時間が経っている事を考えると、やはりもうそれなりに情報を集めてはいるのだろう。

 メリル辺りからも、情報は届いているだろうし。

 

「結構大変だったな。……ただ、取りあえず連邦軍のMSはジオン軍よりも性能は高い。問題なのは、ハードじゃなくてソフト、MSパイロットだが……これだって、ある程度時間が経てば解決するようになると思う」

 

 連邦軍にとって大きいのは、やはりその国力だろう。

 ジオン公国の30倍という国力があってこそ、ルナ・チタニウムを装甲に使うといったようなMSを開発する事が出来たのだから。

 ルナ・ジオン軍としては、シャドウミラーの協力があっても、ヅダの関節部分の一部に使うといった真似しか出来ない。

 もっとも、ガンダム、ガンキャノン、ガンタンクの3機種は、あくまでも試作機だ。

 実際に量産されるMSにもルナ・チタニウムが使えるかと言われれば、正直どうだろうな。

 幾ら連邦の国力であっても、ルナ・チタニウムのコストを考えると……出来るとしても、エース用に設計されたMSとか、そういうのだけだと思う。

 それを実際に使いこなせるようになるのがいつになるのかは、俺にも分からないが。

 

「そう。……連邦軍のMSのデータはホワイトベースを調べて、こちらでも入手しているし、ルナツーでも量産機についてのデータは入手しているから、ヅダに活かせると思うわ。特に、報告によるとエネルギーCAPという技術によってMSでもビームライフルを使えるようになったのは、大きな利益でしょうね」

「ああ、これでヅダもビームライフルを堂々と使えるようになるのは、間違いないしな」

 

 一応シャドウミラー側にもビーム兵器の技術はあったし、ストライクダガーやリーオーといったMSも使っていたので、そちらでもビーム兵器の技術を流用しようと思えば可能だった。

 にも関わらずそれをしなかったのは、やはりこの世界独自の技術の発展の為だと言ってもいい。

 実際、ミノフスキー物理学を下地としたビームライフルが開発されたのだから、その判断は決して間違っていない筈だ。

 とはいえ、軍艦では既にミノフスキー物理学を使ったビーム、メガ粒子砲が存在していたのだから、問題だったのはその小型化だったのだろう。

 そういう意味では、時間の問題だったとも言える。

 

「ホワイトベースのMSや、ルナツーからのデータで入手したので、ヅダ用のビーム兵器は開発出来そうか?」

「どうかしら。その辺は私にも分からないわ。けど、ディアナの技術者は優秀だから、何とかなると思いたいわね」

「ディアナか。まさか、この短時間で兵器メーカーを1つに纏めるとは思わなかった」

 

 そう告げると、セイラの表情が普段の大人っぽいものではなく、どこか悪戯っぽいものに変わる。

 セイラにしてみれば、ディアナの一件は俺を驚かすという意味もあったのだろう。

 

「驚いて貰えて嬉しいわ。とはいえ、別にアクセルを驚かす為だけに作った訳じゃないのよ。前々から考えていたのが、偶然アクセルがいない時に出来たというだけで」

「そうなのか? まぁ、どちらにしろ多種多様だった技術者や研究者達が1つに纏まったってのは、ルナ・ジオンとして大きいだろ。……内部での対立とかは、まだあるかもしれないが」

 

 一番可能性が高いのは、やはりツィマッド社とジオニック社か。

 あるいは、連邦からやって来た技術者や研究者と、元ジオンという対立も考えられる。

 それでも、1つに纏まったというのは、この場合大きな意味を持っていてもおかしくはない。

 

「そうね。まずは外枠を作って、そこから少しずつ前進していく必要があるでしょう。そういう意味では、いずれ……そう、いずれどうにかなると、そう思いたいところだけど」

 

 そう告げ、セイラは紅茶を飲む。

 そして紅茶をテーブルの上に置くと、真剣な雰囲気になって俺に視線を向けてくる。

 

「アクセル。聞いた話によると、キャスバル兄さんと接触したとか」

「あー……そうだな」

 

 やっぱり、この話題は避けて通れないよな。

 というか、俺が真っ先にここに来たのは、この話題についてセイラと話す為だったというのが大きい。

 セイラにとってシャアという存在は現在唯一残された肉親であり、それだけに何故自分のいる場所、月に来てくれないのかといったように不満を……そして、不安を持っている。

 

「キャスバル兄さんは、何か言っていて?」

「俺がセイラを利用してるんじゃないかと、そう思っていたみたいだな。シャアの中にいるセイラというのは、優しい少女という事で時間が止まっているらしい」

「……そう」

 

 セイラも、こうまでシャアが月にやって来ない事から、大体の予想はしていたのだろう。

 小さく呟くその声には、残念という思いが非常に強かった。

 まぁ、セイラから聞いた話によると、セイラとシャアが最後に会った……正確には別れたのは、かなり前の事だったらしい。

 その辺を考えれば、シャアの中でセイラが優しい少女のままという風になっていてもおかしな話ではない。

 ……だからといって、セイラも自分だけの時間がすぎているのだ。

 シャアの思うような性格でなくても、それはおかしな話ではない。

 

「どうする? ジオン軍の方に話を通してみるか? そうすれば、シャアをクレイドルにやって来させるといった真似も出来ると思うぞ。幸い……って言い方はどうかと思うが、今はシャアも月からそう離れていない場所にいるだろうし」

 

 ホワイトベースが出てくるのを待ち受ける為にも、間違いなくシャアは補給をしており、待ち伏せをしているのは確実だった。

 だからこそ、今この状況でシャアを月に呼ぶというのは、ホワイトベースを援護する意味でも決して悪い話ではない。

 ……実際にジオン軍がこちらの要望に応じるかどうかは、また別の話だが。

 どうする? とセイラに視線を向けて尋ねると、やがて首を横に振る。

 

「いいえ、止めておくわ。今のキャスバル兄さんと会っても、間違いなくお互いに不幸な結果になるでしょうし」

 

 ポツリ、と残念そうに呟くセイラ。

 本音を言えば、間違いなくセイラはシャアと会いたいのだろう。

 だが、そのような真似をした場合、お互いに不幸になると分かっているからこそ、それを許容出来ない……といったところか。

 あるいは、セイラがルナ・ジオンの女王という立場にないのであれば、また話は別だっただろう。

 だが、生憎と今のセイラは月の女王という立場だ。

 そうである以上、迂闊な真似が出来ないというのも、俺には納得出来る。

 ……まぁ、シャドウミラーの代表という立場にあるにも関わらず、好き勝手に動き回っている俺が何を言っても、そこに説得力があるとも思えないが。

 

「そうか。まぁ、最後の手段としては、シャアの乗っているMSを鹵獲してくるって手段もあるんだが……」

 

 そう言うが、相手を撃破しないで鹵獲するというのは、かなり難しい。

 少なくても、今のホワイトベースで出来るようなことではないというのは確実だった。

 俺とセイラが初めて接触した瞬間に見た光景が事実であれば、アムロならシャアと互角の強さになるだけの素質を秘めているのは間違いないが、それはあくまでも素質でしかない。

 今のアムロにそのような力を期待するのは、明らかに間違っていた。

 

「そうね。でも、何かの手段は考えてみるわ。周囲に……特にジオン公国に知られないようにして、キャスバル兄さんと会う手段を」

「どこかにいると分かれば、俺が潜入して気絶させて連れてくる真似も出来ない訳じゃないんだろうが……その辺は、ちょっと難しそうだな」

 

 ソロモンやア・バオア・クー、サイド3といった場所のどこにいるのかが分かれば、こちらとしても対処しやすいのは間違いない。

 だが、シャアは基本的にどこにいるのかというのが分からない以上、こちらとしては誘拐するといった真似は出来ないのだ。

 ……ジオン軍の中でもトップエースとして有名なシャアだが、だからこそ連邦軍から多くの恨みを買っているという事もあり、その動向の類は……終わった作戦であればニュースやら何やらで公開される事もあるが、大抵が秘密のままだ。

 だからこそ、現在シャアがどこにいるのかというのを調べるのは難しい。

 最悪、ルリやラピスにハッキングしてもらうという方法がない訳でもないが。

 

「ええ、無理はしないで。元々シャドウミラーには借りが……それこそ、返すのが難しくなる程に借りがあるんですもの。これ以上無理はさせられないわ」

 

 俺に向かってそう告げたセイラは、少し無理をしていると分かる笑みを浮かべ、話題を変える。

 

「そう言えば、私のMS操縦訓練だけど少し上達したわ。この前、綾子との模擬戦でようやく勝つ事が出来たわ。……もっとも、まだ1勝しかしてないんだけど」

 

 それは、俺にとってもかなり驚くべきことだった。

 勿論セイラがMSの操縦訓練をしているというのは知っているし、非常に高いニュータイプ能力に覚醒しているというのも知っている。

 だがそれでも、まさかこんな短時間で綾子に勝つ事が出来るとは思わなかった。

 もっとも、綾子も自分の操縦技術を全開にして戦っていた訳ではないだろう。

 そもそもの話、そんな真似をすれば訓練にも何にもならない。

 だからこそ、ある程度……それこそ、セイラの力の少し上といった程度まで力をセーブして模擬戦を行っていたのだろうが……それでも、模擬戦でセイラが勝ったというのは、俺にとっては驚くべき事だったのは間違いない。

 

「よく勝てたな」

「ニュータイプとしての力なのでしょうね。相手が攻撃をしてくるのが何となく分かったのよ。……もっとも、それが分かってもすぐに対抗出来るかどうかというのは、また別の話でしょうけど」

 

 ニュータイプとしての能力か。

 てっきり殺気とか本気の攻撃とか、そんな攻撃でなければ察知出来ないのかとも思ったのだが、どうやら違うらしい。

 いやまぁ、アムロとかなら殺気の類がなければ無理なのかもしれないが、セイラの場合は高レベルのニュータイプ能力を持ってるしな。

 その辺の事情を考えれば、やはり実力の差といったところなのだろう。

 実際、今のセイラとアムロのどちらがMSパイロットとして相応しいのかと言われれば、間違いなくセイラだ。

 ……ああ、でもアムロは3度の実戦をくぐり抜けているのを考えれば、純粋に実戦経験という点ではセイラよりもアムロの方が上なのか。

 とはいえ、純粋に操縦技術という点では、セイラの方が上なのだろうが。

 また、生身での戦いという事になれば、こちらもまたセイラの方が上だろう。

 アムロの場合、基本的に機械いじりが好きなインドア派の性格をしてるし。

 もっとも、アムロがこのまま連邦軍に入隊するという事になれば、当然のように身体を鍛えるのだから、将来的には……ああ、でも普通に連邦軍で身体を鍛えるのと、凛に実戦形式で身体を鍛えるののどっちが大変かと言えば、やはり後者だろう。

 そんな風に思いつつ、俺はセイラとの話を続ける。

 

「ルナツー占拠の知らせとかはどうなってる?」

 

 既に、ルナ・ジオン軍がルナツーを占拠するというのは、出撃前に大々的に発表されていた。

 そして実際にルナツーの占拠を完了したのだから、その辺が大きな話題になっていない筈もなかった。

 事実、俺の言葉にセイラは若干照れたような表情を浮かべ……それからセイラの休憩が終わるまでの間、お茶の時間を楽しむのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:240
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1436

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