転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2285話

 ヴィー、ヴィーという音がホワイトベースの中に響き渡ったのは、夕食の時間だった。

 勿論太陽とかそういうのはないので、あくまでも船内時間における夕食の時間といった感じだったが。

 ルナツーから食料の類はたっぷりと補給させて貰ったので、避難民も全員が腹一杯食べる事が出来る、そんな時間。

 ……もっとも、幾ら食料の補給が多くても、それを調理するメンバーはどうしても限られる。

 結果として、元々の食堂の面子だけでは手が回らず、避難民の中からも何人かが食堂の手伝いに入る事になった。

 避難民であろうとも、出来る事はやる。

 良い心掛けなのは間違いない。

 そんな訳で、ハンバーグとパン、シチュー、サイドメニューとしてポテトサラダや塩胡椒で味付けしたパスタといった具合の食事を楽しんでいる中で、その警報がホワイトベースに響き渡ったのだ。

 

「来たか」

「そうですね」

 

 俺の言葉に、食事は軽くサンドイッチだけで終わらせ、紅茶を飲んでいたメリルが呟く。

 ちなみに、本来ならホワイトベースに紅茶の類は存在しなかった。

 それがあるのは、当然のようにルナツーから補給された物資の中に紅茶があったからだ。

 誰を想定して紅茶が補給物資の中に入っていたのかは、考えるまでもなく明らかだろう。

 シーマを始めとしたルナ・ジオン軍の面々は、俺が紅茶派である事を知っているのだから。

 そして、軍艦の中で多く飲まれているのは、大抵がコーヒーだ。

 その辺りを考えて、紅茶を補給物資の中に入れてくれたのだろう。

 ……実際には空間倉庫の中に大量に紅茶や紅茶風飲料が入っているので、そこまで気にする必要はないのだが。

 ともあれ、そのおかげでメリルのように他の者達も紅茶を楽しめるようになった。

 

『前方に敵を発見しました。本艦は、これから戦闘になります。避難民の方々は、前もって指示された場所に移動して下さい』

 

 ミライの言葉が通信で流れる。

 食堂の中にいた避難民は、若干不安そうにしていたものの、それでもすぐに行動を開始する。

 食事に困っていないというのは、こういう時にも相応の効果を発揮する……といったところか。

 

『また、戦闘要員はいつでも出撃出来るように戦闘配備をお願いします。繰り返しま……』

 

 ミライのその言葉に、俺も残っていたハンバーグとパンを口の中に押し込み、水で流し込むと立ち上がる。

 食器の類の片付けは……悪いが、食堂の者達にやって貰った方がいいだろう。

 料理はほぼ全て食い終わったが、その片付けまでしているような余裕はない。

 実際、既に食堂から出て行った者達も、テーブルの上に食器は置いたままだ。

 実際に戦闘に出る俺達ならともかく、避難民の面々は片付けていった方がいいと思うんだが。

 

「イザークさん、メリルさん。食器は私達が片付けますから、格納庫に行って下さい」

 

 そう俺とメリルに声を掛けてきたのは、カツ、レツ、キッカという子供3人を従えた――という表現は相応しくないかもしれないが――フラウだった。

 何でここに? と思わないでもなかったが、食器を片付けてくれるのなら、それに甘えるとしよう。

 

「お片付け、する!」

 

 フラウが連れていた子供のうちの1人、キッカだったか? そのキッカがそう言うのを見て、俺は頷く。

 

「分かった、頼む。だが、食器を片付けたら、すぐにお前達も避難するんだ。……いやまぁ、避難って言い方はどうかと思うけどな」

 

 このホワイトベースの中で避難をするという表現は、あまり相応しくはないだろう。

 とはいえ、他に相応しい言葉が見当たらないのも事実である以上、それはしょうがなかった。

 

「はい、分かりました」

 

 そう言ってフラウが頷くが……その表情には、当然のように不安の色がある。

 もっとも、その不安は自分達がシャアに狙われているといった不安もあるが、それだけではなく、アムロがMSで戦いに出るという不安もあるのだろう。

 寧ろ、そちらの不安の方が強い可能性もある。

 もしかして、今回の戦いではアムロがシャアと戦うというのを知っているのか?

 その一件は別に機密という訳ではないので、知っていてもおかしくはないのだが。

 それに、ホワイトベースのこれから……そしてアムロのこれからを考えると、アムロにはMSの操縦技術を磨いて貰う必要があるのは間違いなかった。

 ……何とかルナ・ジオンに勧誘が成功すれば、その辺を心配する必要もなくなるのだが。

 

「取りあえず、心配するな。アムロは無事に帰ってくるからな」

 

 それは、決してお世辞でも何でもない。

 シミュレータとはいえ、俺が訓練した事によって、アムロは以前に比べれば間違いなく腕を上げている。

 恐らく、本当に恐らくの話ではあるが、原作のアムロよりも間違いなく腕は上がっているだろう。

 そもそも、原作だとアムロ以外にMSを操縦出来る人物はホワイトベースにもリュウやジョブくらい、それもシミュレータのみという有様だったのだから。

 それを考えると間違いなく純粋な技量という意味では、原作より上でもおかしくはない筈だった。

 

「あ、その……ありがとうございます!」

 

 頭を下げて感謝の言葉を口にするフラウ。

 フラウにしてみれば、そんな一言であっても十分に嬉しかったのだろう。

 ともあれ、そんなフラウや3人の子供を残し、俺とメリルは格納庫に向かうのだった。

 

 

 

 

 

「で、まだ向こうは仕掛けてこない、と」

 

 ガンキャノンのコックピットで待機しながら、呟く。

 ちなみに、当然の話ではあるが、現在の俺は連邦軍のパイロットスーツを着ている。

 今の俺は、別に何も着ない素のままで宇宙空間に出ても問題ないのだが、まさかそれを言える筈もなく、大人しくパイロットスーツを着ていたのだ。

 まぁ、ヘルメットを被らなければ、視界を遮られたりといった事はしないので、問題はないのだが。

 

『今は様子見でもしてるんだろう。恐らく、そう遠くないうちに仕掛けてくる筈だ』

 

 俺の呟きが聞こえたのか、リュウがガンタンクからそう言ってくる。

 とはいえ、他の面々も何とも言えないこの状況に戸惑っているのが分かる。

 出撃するのではなく、ただ待っているというのは厳しいのだろう。

 これが、きちんと軍人として訓練をした者であれば、話はまた別だったのだろうが……生憎と、ここにいる者の多くは素人同然だ。

 いやまぁ、そんな状況にも関わらずしっかりとMSを運用出来ている事が、寧ろ驚きなんだろうが。

 ちなみに、俺はこうしてガンキャノンに乗ってはいるが、本当にホワイトベースが危機に陥らない限りは出撃する予定がない。

 この辺は、前もってブライトとかにも言ってある事だ。

 アムロの成長を考えれば、ブライトとしても苦渋の決断だろう。

 ……何気に、話が決まった後でリードがグチグチと言っていたらしいが、シーマから俺が月の人間であるという話は聞いている為か、俺に直接文句を言ってくるような事はなかった。

 代わりに、ブライトがその愚痴を受けたらしいが。

 

『本当に来るんですか? もしかして、向こうがこっちを見失ったまま、月の勢力圏内に入るという事も……』

 

 不安を感じさせるように、声を震わせて告げているのはハヤト。

 いやまぁ、これが2度目……いや、1度目はルナツーのクレーターにいる敵を一方的に攻撃するだけだったので、実際に敵からの反撃のある戦闘ではこれが初めてという事になれば、緊張するのも当然だった。

 

「ハヤトにとっては残念な事だろうが、恐らく……いや、間違いなく来るだろうな。ジオン軍にしてみれば、ホワイトベースを月に向かわせるといった事は、絶対にしたくない筈だ」

 

 月は、ルナ・ジオンの管轄下だ。

 そしてジオン軍は、ルナ・ジオン軍が……そして背後にいるシャドウミラーがどれだけの強さを持っているのか、身を以て理解している。

 ……まぁ、シャア本人は月を巡る戦いだったり、それ以外の戦いにも参加していなかったという事もあり、自分の体験としてルナ・ジオン軍の実力は分からないかもしれないが。

 

『そう、ですか』

 

 残念そうに呟くハヤト。

 ハヤトにしてみれば、出来れば来て欲しくない相手であるというのは、間違いのない事実だ。

 とはいえ、どこかでシャアの部隊を叩いておかないと、いつまで経っても追跡されてしまう。

 そういう意味では、月の側で戦いを行うというのは決して悪い話ではない……と思う。

 そんな感じで、それぞれがパイロットスーツに身を包み、MSに乗って話をする事、十数分……

 

『シャアの部隊が仕掛けてきた。MS隊、出撃してくれ』

 

 ブライトの通信が入る。

 まず、真っ先にカタパルトデッキから出撃していったのは、当然のようにガンダムに乗るアムロ。

 続いて、ガンキャノンに乗るカイが出撃し、ガンタンク隊もそれに続くが、ガンダムやガンキャノンとは違って、キャタピラでカタパルトデッキを移動していく。

 まぁ、ガンキャノン隊はホワイトベースの上に乗ってそこで移動砲台的な役割をするのだから、カタパルトデッキで射出されても困るだろう。

 そんな状況を見ていた俺も、ガンキャノンを移動させる。

 とはいえ、カタパルトデッキで射出される訳ではなく、MSの足を使って歩いて行くのだが。

 そうしてホワイトベースの外に出ると、スラスターを使ってホワイトベースの甲板に上がる。

 今回の戦いはアムロ以下ホワイトベースのMS部隊に任せるつもりだったが、もし本当にホワイトベースが撃破されるような事になった場合、即座に対応出来るように用意しておく必要がある。

 そういう意味で、俺はこうしてホワイトベースの甲板上で待機している訳だ。

 映像モニタに表示されているのは、ビームライフルの光と思われる光景。

 間近での戦いとなっている訳ではなく、かなり離れた場所での戦いとなっている。

 それでも3機のガンタンクは、低反動キャノンを発射してアムロとカイの援護射撃を行っている。

 また、ホワイトベースの方でもメガ粒子砲や主砲を使っての攻撃を行っていた。

 こうして見ると、ホワイトベースの戦力ってかなり高いよな。

 もっとも、それはあくまでもホワイトベースが色々と特殊な軍艦だからだろう。

 実際にホワイトベースがそのまま連邦軍で量産されたりは……どうだろうな。

 サラミス級やマゼラン級と違って、見るからに複雑な形状をしている。

 その辺の事情を考えれば、大々的に量産するのは難しいだろう。

 考えられる可能性としては、それこそ精鋭部隊や特殊部隊といったような者達が使う旗艦として製造される……といったところか。

 いっそルナ・ジオンでホワイトベースの設計データを入手して……いや、そういう意味なら、グワジン級の設計データ……正確には、ジオン軍から譲渡されたグワジン級を詳細にデータを取って作り上げた、普通とは一味違った意味での設計データがある。

 グワジン級とホワイトベース……ペガサス級だったか。どっちが使いやすく高性能なのかは……ただ、グワジン級はザビ家の旗艦という印象が強いのも事実なんだよな。

 いっそSEED世界のミネルバをベースにして……いや、そうなると色々と不味い点もあるか。

 そう言えば、近いうちにルナ・ジオンに所属する技術者達や、クレイドルに来ているジオニック社、ツィマッド社、MIP社といった者達を集めて、1つの兵器メーカーとして統合するという話があったな。

 ジオン公国からこっちにやって来ている3社の兵器メーカーの規模そのものはそこまで大々的といった訳ではないので、総合的に見れば国営メーカーであってもそこまで大きな兵器メーカーではないだろう。

 問題なのは、ジオン公国時代の対立感情がどうなるかといった事や、ルナ・ジオンで得られた技術がジオン公国側に流出しないかといった事だろう。

 特に後者は、ルナ・ジオンがそもそも多くのMSを兵器メーカーから譲渡されている為に、他人事とは思えない。

 その辺は、もっとしっかりと考える必要があるだろう。

 ……まぁ、量産型Wやコバッタがいる以上、情報漏洩の類をやるにはかなり難しい事であるのは間違いないのだが。

 

「お」

 

 そんな風に考えていると、不意に映像モニタに爆破光が表示される。

 つまりそれは、MSが撃破されたという事なのだろうが……さて、一体どこのMSが撃破されたのやら。

 連邦軍で一番危ないのは、当然のようにカイだろう。

 アムロはニュータイプ能力があって、機体もガンダムだ。……シャアと戦う事になっているのが、若干心配だが。

 それに対して、カイは敵が反撃してくるという意味では、これが本当の意味での初陣となる。……ルナツーは数にいれないでおくとして。

 そんな訳で、カイが一番心配なんだが……多分大丈夫だと、そう思っておく事にしよう。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:240
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1436

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