転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2277話

 アムロとの会話をした翌日、格納庫でMSの操縦訓練をする面々の様子を見ていると、クルー……この場合は避難民ではなく、ホワイトベースの運用に関わっている者は第2艦橋のオペレーションルームに集まるようにと放送が流れる。

 で、当然のように俺達もそっちに向かうのだが……その際、アムロは俺を強く睨み付けながら移動していった。

 やっぱり昨日の一件が気にくわなかったのだろう。

 

「どうしたんだよ、イザーク。あのアムロにあんなに睨み付けられて」

 

 俺の近くを通ろうとしたカイが、どこかからかうように言ってくる。

 元々アムロとは知り合いだったカイにしてみれば、内向的な性格をしているアムロに俺が睨み付けられるというのが、信じられなかったのだろう。

 

「昨日ちょっと言い争いをしてな。その関係だよ。……それより、俺達も遅れるとブライトに何を言われるか分からないから、さっさと行くぞ」

「分かってるよ。……ちなみに、そのブライトさんってのは、どんな人なんだ? 生憎と俺は話した事がないんだけど」

「だろうな」

 

 サイド7でのゴタゴタから今まで、それこそブライトは殆ど休む暇もないくらいに忙しかった筈だ。

 もっとも、ブライトはまだ士官候補生という立場……士官学校の生徒という立場でありながら、艦長代理を任されているのだ。

 少し話した限りでは、本人も生真面目な性格をしているし、間違いなく現状には強いプレッシャーを感じてるだろう。

 MSのパイロットを任された面々も同様に強いプレッシャーを感じてはいると思うが、ブライトの場合は艦長代理ということで、ホワイトベースにいる全員の命を預かっている形だ。

 だからこそ、余計にプレッシャーが強くなってしまうのだろう。

 

「取りあえず真面目な性格をしているのは間違いない。悪く言えば、融通が利かないって感じだけどな」

 

 第2艦橋に向かいながら、カイと話をする。

 ちなみに、予想外……非常に予想外な事に、カイはそれなりにパイロットとしては優秀だった為か、ガンキャノンの操縦はそれなりに出来るようになっていた。

 もっとも、それはあくまでも素人としてはという感じで、シャア……ではなくても、普通のジオン軍のMSパイロットと戦えば、勝つのは非常に難しいだろうが。

 とはいえ、ルナ・チタニウムの装甲があるので、向こうに撃破される可能性が少ないのは、不幸中の幸いだろう。

 少し離れた場所では、メリルが一緒に組むガンナーの女と一緒に話している様子が見える。

 意外な事に、それなりに仲良くやれているらしい。

 ともあれ、そんな感じで歩いていると、やがて目的地に到着する。

 部屋の中には俺が予想していたよりも多くの者が集まっており、第1艦橋ではなく、この部屋に集めた理由がよく分かる。

 

「イザーク、カイ! こっちだ!」

 

 そう言って俺達を呼ぶのは、正式な連邦軍の軍人としてパイロット達の兄貴分的な役割をしているリュウ。

 まぁ、パイロットの殆どが10代、もしくは20代前半というのを考えれば、それも自然な事なのだろう。

 今はまだ実際に戦闘が始まっている訳ではない以上、そこまで重要ではないが……シャアとの戦闘をくぐり抜け、敵を倒すといった事をした後であれば、リュウのような人物は重要になってくる筈だ。

 少なくても、軍人としての教育を受けていないアムロとかにしてみれば、非常に重要な相手になるのは間違いなかった。

 

「リュウ、こうして呼び出されたって事は、今後の事についてか?」

「だろうな。シャアのムサイ級を見つけたらしい」

「……マジか」

 

 いやまぁ、ミノフスキー粒子を散布していなければ、普通に観測機器のレーダーとかは使えて、このホワイトベースは連邦軍の中でも新鋭艦である以上、ムサイ級を見つけるのは難しい話ではない。

 問題なのは……

 

「シャアだって、ミノフスキー粒子を散布しなければ、自分達が見つかるというのは分かってる筈だろ? なのに、何でこっちに見つかるような真似を?」

「それについては、ブライトが話してくれるだろうさ」

 

 そうリュウが言ったのと同時に、タイミング良くブライトが口を開く。

 

「皆、聞いてくれ。ホワイトベースを追撃してきたシャアは、これまでの戦いで受けた被害……具体的に言えばMSだが、そのMSを補給しようとしている。もしこの補給を許せば、サイド7の戦いでシャアに与えた損害は無意味となり、同時にまたシャアがこちらを攻撃してくる機会を与える事になる」

 

 ブライトの言葉に、話を聞いていた者達がざわつくが……正直なところ、何を今更というのが俺の素直な気持ちだ。

 シャア・アズナブル……赤い彗星ともあろう者が、連邦軍の開発したMS運用艦やMSを見つけておきながら、そのまま放っておくなどといった真似を容易に許すとは思えない。

 また、同時にシャアは俺が……キャスバルとシャアが同一人物であるという事を知っている俺がホワイトベースに乗っているのを知っている。

 当然、俺はその一件について喋るつもりはないが、シャアは俺がその一件を話さないとは思っていないだろう。

 いや、今は黙っていても、いずれはそれを口にする可能性があるかもしれないと、一度でもそう思ってしまえば、シャアが俺を放っておける筈はない。

 ともあれ、シャアが再度ホワイトベースに攻撃を仕掛けてくるというのは、半ば確定事項だった筈だ。

 にも関わらず、今更それを言うのは……まぁ、この様子を見る限り、その一件を知らない者も多かったのだろうから、間違いではないのか?

 

「現在、ルナツーの方はどうなってるんですか? 少し前は戦闘中だという話を聞きましたが、その戦闘はもう終わってるのでしょうか? もう終わってるのなら、避難民とかをそちらに下ろしてから戦闘した方が……現状ですと、避難民は邪魔ですし」

「避難民は月に行くのを希望してる人が多いんですよ? 何より、ルナツーに行って避難民を降ろしてからとなると……」

「それでは遅い。そのような真似をしていれば、シャアの補給が終わってしまう。それこそ、今だからこそ、奇襲出来るのだ」

 

 軍人の1人が、難民を降ろせといった相手にそう告げる。

 実際、その意見は決して間違っている訳ではない。

 シャアにすれば、補給中という最悪の状況は少しでも早く終わらせたい筈だ。

 もしこっちがルナツーに入る事が出来て避難民を降ろせたとしても、その間に補給は終えるだろう。

 もっとも、それはあくまでもルナツーが連邦軍の手の中にあるというのが前提の話である以上、そう簡単にはいかないだろうが。

 

「そうだ。今なら向こうの戦力はあくまでもシャアのMS1機だけとなる。そして、私達にはシャアと互角に戦ったイザークがいて、アムロを始めとしたMS隊もいる。であれば、今この状況で攻撃を仕掛けないという事は有り得ない。違うか?」

 

 ブライトの言葉に、全員がやる気を見せる。

 ……恐らく内心では不安だったのだろう。ブライトは少しだけほっとした様子を見せ、その視線をこっちに向ける。

 

「リュウ、イザーク、アムロ。MSの準備はどうなっている?」

「取りあえずガンタンク隊は問題なく動かせる。イザーク、アムロ、そっちはどうだ?」

 

 リュウの言葉に、俺は頷く。

 

「ガンキャノン隊……まぁ、2機しかいないけど、取りあえず問題ない」

「ガンダムの方も、前回の戦いで被害はあまり受けてないので問題ありません。出来れば、もう少し調整したいところですけど……」

 

 アムロがブライトに対してそう告げる。

 その言葉通り、アムロの乗っているガンダムは前回の戦いで被害らしい被害を受けていない。

 そういう意味では、シャアとまともに戦った俺のガンキャノンの方が問題はあるのだが……ガンダムよりも厚い装甲のおかげで、機体構造に特に問題はない。

 もっとも、アムロが言ってるように機体の調整とかなら、まだ出来る事は残っているんだろうが……ただ、その辺は些細な事だ。

 出来れば低反動キャノンを使った時に砲身が動いて精密狙撃が出来ないというのを、どうにかして欲しいのだが、その辺は構造上の問題なので、ホワイトベースにある設備だけでやるのは難しい。

 ましてや、メカニックの数が限られているのにMSが6機もある現状では、そんな無理を言える筈もない。

 

「そうか。ワッツ少尉、無理をさせてしまったな」

「いえ、それが小官の仕事ですから」

 

 ブライトにそう言われたワッツという人物は返事をする。……ああ、何度か格納庫で見たな。

 メカニックの纏め役といったところか。

 そんなワッツの言葉にブライトは笑みを浮かべるも、すぐに表情を真面目なものに変えて言葉を続ける。

 

「シャアのムサイはルナツーの監視網をかわし、表面にあるこのクレーターの中で補給作業をすると思われる」

 

 そう言い、ブライトは映像モニタに表示されたルナツーのとある場所を示す。

 ……ルナツーって宇宙で唯一連邦軍に残った軍事基地って扱いだった筈なんだが、監視網の隙間とかあるのか?

 いやまぁ、ルナツーの大きさを考えれば、それもしょうがないのかもしれないが……それでも、正直なところどうかと思う。

 俺なら監視網の隙間があると分かれば、それに対処するんだが。

 

「えっと、ルナツーでは戦闘が行われているって話だったんですが、それはどうなってるんですか?」

 

 リュウと組む事になったハヤトが、ブライトにそう尋ねる。

 尋ねられた方は、苦虫を噛み潰したかのような表情を浮かべ、口を開く。

 

「……少なくても、現在は戦闘による爆発の光といったものは見えていない」

「でも、もしまだルナツーの近くにジオン軍が残っていた場合、向こうは戦力の補充云々が関係なく戦力が残ってる可能性がありませんか? ルナツーを攻めていた部隊と合流されたら……」

 

 一体何を言ってる? と思ったが、すぐに納得する。

 どうやら、ここに集まっている軍人……いや、俺やアムロを含めれば軍人じゃないのもいるが、ともあれそのような者達の中でも、ルナツーを襲っていたのがルナ・ジオン軍であるという事を知らない者もいるのだろう。

 まぁ、ルナ・ジオン軍……というか、正確にはその背後にいるシャドウミラーがどれだけの力を持っているのかというのは、UC世界でならその多くが知っている。

 そうである以上、当然の話だがルナ・ジオンが攻めているルナツーに近づくというのは、絶対にごめんだと思う者もいる筈であり……その辺りの事情を考えれば、事情を知っている者を最小限にしたいと考えてもおかしくはない。

 いや、この手回しの良さを考えると、この考えはブライトじゃなくてパオロか?

 ブライトはまだ士官候補生という立場である以上、普段ならともかく、現在のような状況でその辺りの事にまで考えが回らない可能性がある。

 そうなると、それを思いついたのはブライト以外の者となり、一番可能性が高いのはその年齢から長年の軍人生活を送っており、その上でホワイトベースの艦長を任されたパオロが一番可能性が高い。

 

「その辺は心配しなくてもいい。既にこちらに情報は入っており、私達が相手にするのは、あくまでもシャア達だけだ。……少なくても、向こうとそう話はついている」

「ちょっ、ちょっと待って下さい! 向こうと話が付いているって……一体、どういう事ですか!? もしかして、ジオン軍と何か取引でもしたって言うんですか!?」

 

 軍人の一人が叫ぶと、他の者達もそれに同意するように頷く。

 だが、ブライトはそんな視線を向けられても決して怯むことはないまま、首を横に振る。

 そんなブライトを見て、俺は感心する。

 士官候補生だという事で甘く見ていたのだが、実際にはこうして見る限り、大勢から向けられる、自分に対する疑惑の視線を真っ向から受け止めている。

 それは、ブライトに艦長としての才能が……そして、人を纏め上げるだけの才能と胆力があるという事を意味していた。

 

「違う。……以前はしっかりと把握出来ていなかったが、ルナツーに攻撃を仕掛けていたのは、ジオン軍ではなく、月だ」

「月って……ルナ・ジオン軍!?」

 

 ブライトの言葉に、ジオン軍と取引をしたのかといった風に叫んだ軍人は一瞬驚くが、それで終わる。

 てっきりもっと驚かれると思ったんだが……やっぱり普通の連邦軍の軍人にとっても、あの演説はやりすぎだと思ったのだろう。

 他に騒いでいた者も、不思議に納得したような表情を浮かべ……それを見ていたブライトは、やがて口を開く。

 

「そのような訳で、ルナツーを占拠したルナ・ジオン軍から通信があった。ホワイトベースがルナツーに来るのなら、それも良し。もしくは、来ないのなら追撃を仕掛けるような真似もしない。だが、ジオン軍……シャアとの戦いにおいて、助力をするような事はない、と」

 

 そう告げるブライトの言葉に、再び軍人達はざわめくのだった。

 どうやら、取りあえずルナツーはルナ・ジオン軍の手によって占拠出来たらしいと知り、俺は安堵する。

 出来れば、ルナ・ジオン軍の被害は少ないといいんだが。

 そう、思いつつ。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435

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