転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2274話

 シミュレーションが終わると、当然のようにその場でどこが悪かったのかといった事が話し合われるのだが……

 

「取りあえず、俺から言うのは1つだけだ。こいつらを戦場に出せば、それこそただの的だぞ。まぁ、全機がルナ・チタニウムで出来ている以上、そう簡単に撃破されたりはしないだろうけど」

 

 考えようによっては、囮としてなら使えるかもしれないか?

 ザクマシンガンを食らっても、撃破されるような事はない。

 ああ、でもガンタンクとかだとキャタピラの辺りを攻撃されるような事になれば、動けなくなるか。

 そう思うも、戦争について殆ど素人の連中を囮にして敵の攻撃に耐え続けるというのは、かなり難しい。

 ましてや、ザクマシンガンなら恐らく問題ないだろうが、ザクバズーカの類は砲弾の速度は遅いものの、威力は非常に高い。

 であれば、その一撃を食らっても本当に無事であるのかどうかは、分かりようがない。

 

「そうだな。俺が見てもそう思った」

 

 リュウも苦々しげな様子で、俺の言葉に同意する。

 MSのパイロットとしてホワイトベースを守る戦力として期待していたリュウにしてみれば、まさかここまで何も出来ないとは思ってもいなかったのだろう。

 ましてや、俺とシミュレータをやる前にはある程度動かせていたのだから、尚更だ。

 

「やっぱり敵がいるのといないのとでは、その辺は大きく変わってくるんだろうな」

「……ジョブ・ジョン」

 

 俺の言葉を聞いたリュウが声を掛けたのは、金髪の男だ。

 年齢としては、俺よりも少し年上くらいか。……勿論、今の俺の外見年齢という意味でだが。

 つまり、大体20歳前後といったところ。

 ジョブと呼ばれたその人物は、『はい』と口にして立ち上がるも、表情は冴えない。

 

「他の、一般人だった連中がMSの操縦に苦戦するのは分かる。だが、仮にもMSの予備パイロットのお前までもがあんな有様でどうするんだ?」

 

 へぇ。

 このジョブという男、MSパイロットの候補なのか。

 ……にしては、どのMSに乗っていたのかは分からないが、操縦が色々と拙いとしか言いようがなかったが。

 少なくても、他の連中よりはシミュレータをきちんとやってるんだよな?

 にも関わらず、あの有様だったのは……

 

「すいません」

 

 結局ジョブは謝ることしか出来なかった。

 まぁ、パイロット候補生という訳ではなく、あくまでも予備パイロットという扱いだ。

 その操縦技術が未熟でもおかしくはないし……いや、違うな。

 

「ジョブだったか? お前が乗っていたのは何だ?」

 

 年下に見える俺に呼び捨てにされた事に驚いた様子を見せるジョブだったが、それでもすぐに答える

 

「ガンタンクのガンナーです」

「あー……うん、なるほど。どうせなら機体を動かす方に乗れば良かったのにな」

 

 恐らく、少しでもこちらに攻撃を命中させたくてガンナーを選択したんだろうが、結果としてガンタンクは適当な方向に向かって進んでしまった。

 だからこそ、あんな状況だった訳だ。

 

「そうなると、リュウとジョブが一緒に組むのが最適なんだが……」

「いや、この場合、それは駄目だな」

 

 俺の言葉に、リュウが即座に却下する。

 何でだ? と疑問を口にするよりも早く、リュウが口を開く。

 

「確かに、俺とジョブがガンタンクに乗れば、それは問題なく動くと思う。だが、そうなると残り2機のガンタンクはどうなる? それこそ素人を操縦させれば、移動するのもやっと。下手をすればホワイトベースに被害を与える事になりかねん。なら、俺とジョブはガンタンクの身体、下半身の移動に専念して、ガンナーは志願者の中から集めた方がいい」

 

 なるほど。リュウの意見には、強く納得出来る事がある。

 だが同時に、今回の一件を考えると疑問も出る。

 それは、即ち……

 

「リュウとジョブで2機のガンタンクの下半身部分を操縦する。それはいい。けどそうなると、もう1機のガンタンクはどうするんだ? ガンタンクは3機あるんだぞ?」

 

 そう、それが大きな問題となる。

 あんな動きしか出来ないようなパイロットにガンタンクの操縦を任せたりすれば、それはホワイトベースに大きな被害が出かねない。

 そうならない為には、いっそ1機のガンタンクはどこかに固定して完全に砲台として使うか、そもそも出撃させないか。

 それに、問題なのはガンタンクだけではない。

 俺が乗っている以外の、もう1機のガンキャノンをどうするかといった問題も出てくる。

 現在パイロットとして有望なのが、リュウとジョブの2人だけである以上、このガンキャノンを使わないというのは痛い。

 ガンタンクは両肩の低反動キャノンが主武器だからそれでもいいが、ガンキャノンの場合はガンダムよりも威力の高いビームライフルがある。

 そうなると、それが使えない……いや、使えなくもないが、一方向だけにしか撃てないといった事になれば、ホワイトベースの戦力は大きく低下する事になる。

 だとすれば、やっぱり誰かパイロットを乗せた方がいいと思うんだが……いっそ、リュウかジョブをガンキャノンに乗せるか?

 けど、そうなるとガンタンクは……メリルに任せるのがいいか?

 一応ザクには乗れるし……

 

「ガンキャノンに誰が乗るか、だな」

 

 そう呟いた俺の言葉に、リュウが頷き……

 

「ガンキャノンって、あの2機あるMSだろ? なら、俺ちゃんがパイロットに立候補してもいいぜ」

 

 不意に聞こえてきたその声に、俺とリュウ、そして少し離れた場所にいたジョブも声のした方に視線を向ける。

 その視線の先にいたのは……カイだった。

 どこかで聞き覚えのある声だと思ったら。

 

「お前は、確かカイだったか?」

 

 リュウの言葉に、カイは頷きを返す。

 何だか妙に自信があるように見えるけど、本当に乗れるのか?

 ……当然、カイだって今までMSに乗った事なんかはない筈だろうし。

 そんな俺の視線に気が付いたのか、カイはどこか得意げな笑みを浮かべて、口を開く。

 

「こう見えて、俺は大型の免許を持ってるんだ」

 

 そう言ったカイだったが……正直、それがどうしたというのが素直な俺の気持ちだった。

 いやまぁ、周囲で何人かがカイの言葉に驚き。尊敬の視線を向けている奴もいるとなると、多分このUC世界……もしくはサイド7においては、カイの言葉には大きな意味があるのだろう。

 

「どう思う? カイだったか。あいつに任せてもいいと思うか?」

 

 大型の免許というのがどのくらいの意味があるかは分からないので、取りあえずリュウに尋ねてみる。

 リュウは少し考えてから、口を開く。

 

「そうだな。何も資格を持ってない奴よりはいいだろ。それに、本人もやる気だし」

 

 やる気っていうか……カイの視線の先にいるのがメリルなのを考えると、そのやる気の原因は考えるまでもなく明らかなんだが。

 にしても、アムロしかり、カイしかり。

 メリルってやっぱりモテるんだよなとしみじみ思う。

 これでここにいるのがルルーだったりしたら、どうなっていたのやら。

 いや、ルルーも別に美人ではないとは言わない。

 だが、垂れ目ということでどこか癒やし系のように受け止められるメリルとは違い、ルルーは見るからに気の強そうな顔立ちをしている。

 美人ではあるが、近寄りがたい美人。

 ルルーはそんな印象を周囲の人間に与え……それは決して間違っている訳ではない。

 少なくても、俺に対する態度を見る限りでは、そんな感じに思える。

 ともあれ、カイ本人がやる気だという事で、ガンキャノンのパイロットはカイに決まる。

 正直なところ、こんな適当に決めていいのか? という思いがない訳でもないのだが、そもそも、MSのパイロットとして出来る者が少ない以上、それはしょうがない事なのだろう。

 

「じゃあ、イザーク。お前がカイにガンキャノンの操縦について教えてやってくれ。俺はこっちでガンタンクについて説明したり、パイロットを選んだりするから」

「あー……まぁ、いいけど」

 

 正直なところ、ガンキャノンはともかく、ガンタンクの類、SEED世界のザウートやW世界のトラゴスのようなタイプには乗った事がないので、その運用方法とかはあまり分からない。

 そういう意味では、きちんとシミュレータとか連邦軍で行われた講習会とかでガンタンクの運用とかそういうのを習っているリュウの方が向いているのだろう。

 

「よろしく。イザークだっけ? 以前会ったよな?」

「ああ。ハンバーガー屋でな。……そう言えば、あの時一緒にいた連中は?」

 

 そう尋ねると、カイは首を横に振る。

 それが、ホワイトベースには乗っているが、MSの操縦は希望しなかったのか、そもそもホワイトベースではなく別のシェルターに避難したのか、もしくは……ザクが暴れたあの戦いで巻き込まれて死んだのか。

 それは分からない。

 何と言っても、あの戦いではザクがコロニーの中で好き放題にザクマシンガンを撃ったりしていた。

 連邦軍の軍事基地での戦いが主だったが、その後はそれ以外の場所でも戦いになった

 それこそ、ガンダムを始めとするMSを運んでいるトレーラーが移動している時に、その辺が顕著になった。

 また、ザクのパイロットが新人で興奮していたのか、もしくは一般人であっても容易に殺そうと思っているのか、その辺は分からないが……とにかく、一般人にすら発砲しようとしたのだ。

 それに巻き込まれて死んだ奴がいても、おかしくはない。

 取りあえずカイが気にしてない、もしくはその悲しみを表に出していないのなら、わざわざそれを聞く必要もない。

 

「そうか。なら、まずはガンキャノンの操縦で注意する事だな。ガンキャノンの最大の特徴たる両肩の低反動砲。これはかなり威力の高い実弾の武器で、更に連射も出来る優れものだ。ただし、構造が甘いのか、もしくは単純に設計ミスなのか……その辺は分からないが、撃つ時に砲身ががたつくから注意が必要だ」

「……それって、大丈夫なのか?」

 

 俺の言葉に、カイは少し離れた場所にあるガンキャノンの1機に視線を向けてそう言う。

 

「まぁ、その辺は使い方次第だろ。精密射撃をするのには向いてないけど、逆にそういうのを殆ど考えないで広範囲に弾幕を張るというのなら、問題はないと思う」

 

 というか、恐らくだが本来はそっちの使用方法が正確なものなのだろう。

 そういう意味では、俺の使い方が単純に間違っていたものだと思われる。

 

「そういうものか。……他に注意は?」

「後は、ビームライフルの威力や精度という点では、間違いなくガンダムのビームライフルより上だ。……代わりにガンダムのビームライフルよりも大きいから、取り回しは注意が必要だが」

「なるほど。アムロのガンダムよりも……」

 

 ん? アムロの名前が出たって事は……

 

「もしかして、アムロの事を知ってるのか?」

「ああ、同じ学校だからな。それなりに話したり、一緒に遊びに行ったりもするよ。もっとも、アムロの奴はああいう性格だから、あまり自分から好んで遊びに行ったりしないし、親父さんの影響で何かあっても優遇されてたけどな」

 

 そう告げるカイの言葉には、嫉妬の類も少し混ざっているのが分かる。

 にしても、父親ってのはテム・レイだよな?

 その影響で優遇されるって……何かって、一体何をしたんだ?

 そんな疑問を抱くが、今はカイを少しでも生き残らせる為に、ガンキャノンについて説明する方が先だろう。

 

「両肩の低反動キャノンと、ガンダムよりも射程や威力の高いビームライフル。こんな武器を装備している事から分かるように、ガンキャノンは基本的に中距離での戦いを得意としている。近距離用の武装になると、頭部バルカンしか武器はないから、接近された場合は速やかに距離を取れ。……まぁ、ガンキャノンの装甲はザクマシンガンを至近距離から食らっても防いだガンダムの装甲より、更に厚い。そういう意味では、敵に至近距離まで近づかれてもそこまで気にする必要はないという事だ」

 

 出来ればガンダムが使っているようなビームサーベルの類があれば良かったんだが、残念ながら現在のガンキャノンではビームサーベルを使う事は出来ないと言われている。

 一応格闘の類は出来るのだが、まさかMSを操縦する素人のカイに、ガンキャノンで殴ったり蹴ったりしろというのは無理がある。

 そんな訳で、もしカイが本当にガンキャノンで戦場に出るとすれば、接近されたらすぐ後方に退避して間合いを取る必要があった。

 まぁ、頭部バルカンで牽制する事を考えれば、そこまで難しい話ではない……と、そう思いたいところだ。

 

「アムロのガンダムよりも上なのか。……大体分かった。後は、本番で俺が実力を発揮出来るかどうかだな。なぁ、イザーク。ちょっと模擬戦で相手をしてみてくれよ」

 

 そう告げるカイの言葉に俺は頷き、ガンタンクについての説明をしているリュウやジョブをその場に残し、シミュレータに向かうのだった。 




アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435

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