転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2270話

 結局すぐにどこに向かうかというのは決められず、ブリッジでの集まりは一度解散する事になった。

 幸い……という言い方はどうかと思うが、サイド7から各種補給物資を集めるという作業ははまだ完了していない。

 また、サイド7でまだ避難していないような者を探すという意味も込めて、有志の何人かがホワイトベースから出ている。

 これからどこに向かうにしろ、食料や水……それ以外にも、幾らでもあった方がいい物というのは多い。

 パオロからのアドバイスもあって、ブライトは限界まで補給物資やら何やらを集めようとしていた。

 あるいは、ここで補給物資を最大限集めて、ルナツーや月、サイド6に寄るといった事はせず、そのまま地球に向かうつもりなのかもしれない。

 その辺りの考えはまだ分からないが、ブライトがその選択肢を選んだ場合、俺はメリルと一緒にホワイトベースを抜けてルナツーに向かう事になるだろう。

 素直に月に戻ってもいいのだが、あっちの結果がどうなったのかは気になるし。

 ホワイトベースで入手出来なかったMSの情報も入手出来る可能性は非常に高い。

 そして何より、ルナ・ジオンの面々があの演説に怒っていない訳がない。

 連邦軍のタカ派の面々には、その事をしっかりと教えてやる必要があった。

 ともあれ、ブリッジを出た俺は案内につけられた人物に案内されて、通路を移動していた。

 ちなみに案内をしているのは、ブリッジにいた女だ。

 

「そう言えば、まだ自己紹介してなかったわね。私はミライ・ヤシマ。よろしくね」

「ああ、イザーク・ジュールだ。よろしく頼む。……それにしても、あんたは軍人じゃないだろ? 軍服も着てないし」

 

 ミライと名乗った女が着ているのは、まさに私服だ。

 残念ながら俺にはその服が良い物なのかどうかは分からないが、それでもミライ本人はどこか育ちの良さを感じさせる。

 いわゆる、お嬢様って奴か?

 それだけに、軍人の集まっているブリッジにいるのは違和感があった。

 

「ええ。ただ、パオロ中佐とは前々から顔見知りだったというのもありますし、何より今のホワイトベースでは人手が足りないというのもあります。なので、クルーザーの資格を持っていた私がホワイトベースの舵を任されることになりました」

 

 そう告げるミライの様子に、ふーん……と頷きを返す。

 強制されて行われている訳じゃなく、自分から望んでホワイトベースの操縦に協力しているというのであれば、俺が何かを言う必要はない。

 

「そうか。……この先、ホワイトベースがどこに向かうのかによっては、かなり厳しくなりそうだな」

「ええ」

 

 ミライは俺の言葉に短く頷く。

 実際、もしルナツーに向かってルナ・ジオン軍と戦うといったことになれば、例えまだルナツーが陥落しておらず、戦いの最中であっても、ホワイトベースは大きな被害を受ける事になるのは確実だ。

 そもそも、ルナ・ジオン軍との戦いになれば俺は参加する気はないし。

 いや、寧ろルナ・ジオン軍側として参加する事になる筈だ。

 ブライト達も俺がルナ・ジオンの人間だと知っている以上、そのような真似はそう簡単にさせないとは思うが。

 そんな風にミライと会話をしながら移動していると、やがて通路の先に見覚えのある人物の姿があった。……ただし、1人ではなく2人。

 1人はメリル。

 そしてもう1人……そのメリルに話し掛けているのは、ライ? いや、違う。カイだな。確かそういう名前だった筈だ。

 メリルの外見を考えれば、口説きたくなるのは分からないでもないが……年齢差を考えれば、カイがメリルを口説くのは難しいだろう。

 メリルは20代半ば……いや、20代前半か? 女に年齢を聞くのは色々と問題が大きいので正確には分からないが、ともかくそんな感じだ。

 それに比べると、カイは10代半ばでアムロと同じくらいの年齢。

 これでアムロがメリルに声を掛けているのなら、ハニートラップ的な意味でその誘いに乗る事もあるのだろうが……カイじゃな。

 勿論、世の中には10代半ばで20代後半の女と付き合っている男とかもいるから、口説くのが絶対に成功しないという訳じゃない。

 訳じゃないんだが……こうして見る限り、メリルにはカイに対する興味が一切ないらしい。

 それでも何かを言っているカイに対して、不意にメリルは素早く手を振る。

 周囲に響いたのは、パァンッという音。

 そしてカイは、ビンタされた左の頬を押さえながら呆然とメリルに視線を向けていた。

 ……一応カイが逆上したらすぐに間に入ろうかと思っていたのだが、予想外な事にカイはそんなメリルに対して仕返しに手を出すような真似をせず、肩を竦めると大人しくその場から退いていった。

 というか、フラれてすぐに退くのなら、ビンタされる前に退いていればよかったのにな。

 そんな風に思いつつ、俺はメリルに声を掛ける。

 

「強烈なビンタだったな」

「……見られてましたか」

 

 少しだけ恥ずかしそうに言ってくるメリル。

 先程カイを殴った……いや、ビンタだし叩いたって表現の方が相応しいのか? ともあれ、そんな事をしたとは思えないような女らしさだ。

 

「……2人は、どういう関係なの?」

 

 俺の近くにいたミライが、不思議そうに声を掛けてくる。

 まぁ、その気持ちも分からないではない。

 今の俺は10代半ばの姿で、言ってみれば先程のカイと同じような年代だ。

 だというのに、メリルが俺に取る態度はカイとは全く違っていて、どこか目上の者に対するような態度なのだから。

 実際には俺の立場が上なので決して間違ってはいないが、今の俺はシャドウミラーのアクセル・アルマーではなく、ルナ・ジオンのイザーク・ジュールだ。

 だからこそ、ミライは疑問に思ったのだろう。

 

「まぁ、色々とあるんだよ。それより、メリルも無事に拾えた事だし、早く俺の部屋に行かないか?」

 

 MSパイロットの特権としての個室ではあるのだが……正直なところ、ホワイトベースにいつまでいられるか分からない以上、その特権もいつまで享受出来るのかは微妙なところだ。

 ……だからこそ、せめて享受出来る間は存分に使わせて貰うとしよう。

 そんな風に思いつつ通路を移動してると、当然のように避難民から視線を向けられる。

 ホワイトベースに避難している者にしてみれば、メリルとミライという女2人を侍らせているように見えるのは、思うところがあるのだろう。

 ミライは決して人目を引くような派手な美人という訳ではないが、それでも見ているとどこかほっとさせられる……いわば、癒やし系の顔立ちをしている。

 現在のようなホワイトベースの状況を考えると、ミライの人気は当然のように高いだろう。

 メリルも、本来の性格はともかく若干垂れ目気味なところもあってか、外見だけなら癒やし系という風に見られてもおかしくはない。

 俺に向けられる視線が厳しくなるのは、当然の事だった。

 不幸中の幸いなのは、避難民の中には大勢の女がいる事か。

 これが普通の軍隊なら、どうしても女の軍人というのは少なくなってしまうのだが……そういう意味でなら、そこまで運は悪くないと思う。

 ただ、俺がMSパイロットであるというのはそれなりに知られており、何より月の人間であるというのも知られている為か、妙なちょっかいを出してくる奴がいないのは、正直なところ助かる。

 もしここで俺に対して何か攻撃をした場合、どのような反撃をされるのか分からない……というのがあるのだろう。

 実際には、現在ルナ・ジオンにおいて魔法を使えるような者はほぼ皆無に近い。

 クレイドルとホワイトスターはゲートで繋がっているが、向こうに行ったり、向こうから来たりという事はほぼ行われていないのだから。

 シャドウミラーのメンバーに関しては、その例外となるが。

 そんな訳で嫉妬の視線を向けられながらも通路を進み、やがて周囲に人の数が少なくなってきたところで、ミライは一つの部屋の前に止まる。

 

「ここよ。隣はアムロが使ってるわ」

「……分かった」

 

 隣がアムロの部屋と聞き、ちょっと思うところがなかった訳でもないが……ただ、考えてみれば俺もアムロも今はMSパイロットという点では一緒だ。

 ましてや、個室を与えられるような場所は決して多くはない。

 それを考えれば、俺とアムロの部屋が隣同士になるのはおかしな事ではないのだろう。

 

「じゃあ、私はこれで」

 

 そう言い、ミライは去っていく。

 そんな後ろ姿を見送ると、俺はメリルと共に部屋の中に入る。

 個室とはいえ、部屋の中はそこまで広い訳ではない。

 ベッドに机、冷蔵庫……それと幾つかの棚。

 これが、個室の中にある全てだ。

 ……仮にもホワイトベースは最新鋭の軍艦なんだから、もう少しどうにかしても良かったと思うんだが……まぁ、MSパイロットの数を考えると、これもしょうがないのかもしれないな。

 取りあえず、冷蔵庫の中からストロー付きのボトルに入っている水を椅子に座っているメリルに軽く放り投げ、俺は同じボトルを手にベッドに座る。

 基本的に1人用の部屋だからか、部屋の中はあまり広くないんだよな。

 そんな訳で、こうして人を招待して……となると、座る場所に困る。

 いやまぁ、これが男同士なら、その辺に適当に座ってろと言えばいいんだが、相手がメリルのような相手となると、話が違ってくる。

 妙齢の女だけに、迂闊に扱えずその辺について考える必要があるのだ。

 そんな訳で、こうしてメリルには離れた場所に座って貰っている。

 

「それで、ホワイトベースがこれからどうするのかは決まりましたか?」

「正確にはまだ決まっていない。ブライトに幾つか選択肢を与えたが、それをどう判断するのか、だな。取りあえずルナツーに行くという選択肢は存在しないと思う」

 

 現在のホワイトベースがルナツーに向かえば、間違いなく戦いに巻き込まれる。

 その上、俺がルナ・ジオンの人間であるというのは当然のように知っている以上、当然ルナツーの連邦軍に味方をするという選択肢は存在しない。

 ……いやまぁ、もし戦いになった理由がルナ・ジオンの領土的な野心だったりしたら、ホワイトベースも無理を承知でこの戦いに参加した可能性はあるが。

 そもそも、戦いの原因がタカ派のルナ・ジオンを侮辱する演説ともなれば、それに協力したいとは心情的に思わないだろう。

 もっとも、心情的に思わなくても本来なら連邦軍の戦力やら何やらを考えれば、ルナツーを助けに行ってもおかしくはない。ないのだが……ルナツーは後で返すとしっかり言ってあるしな。

 だからこそ、連邦軍にとって最重要機密であるホワイトベースとMSは出来るだけ人目に晒したくないというのも、ブライトも考える筈だ。

 特にルナツーが危機の場合、タカ派の性格を考えればホワイトベースを最前線に向かわせるといった事を普通にしそうだ。

 

「有力候補は、やっぱり月ですか?」

「まぁ、そうなる。実際、それが一番安全だろうし」

「そうですか? でも、このホワイトベースも連邦軍の所属ですよね? そんな軍艦が月に行けば……」

「その辺はこっちで何とかするつもりだ。そもそもの話、ホワイトベースに乗っている者の多くは、連邦軍の軍人じゃなくてサイド7の民間人だからな。月としては、ホワイトベースその物に対しては色々と思うところがあるかもしれないが、避難民を受け入れるくらいなら問題ないと思う。……怪しいところがないのか、チェックはするだろうけど」

 

 一応今でも様々なコロニーや地球から、クレイドルを含めて月に移住してくる相手を募集はしている。

 それも今は一段落したが、それで集まった住人の数を考えても、クレイドルにはまだまだ空間的な余裕があった。

 北海道以上の広さを持つというのは、伊達じゃないよな。

 そんな訳で、現在ホワイトベースに乗っているくらいの避難民程度であれば、容易にクレイドルに受け入れる事は可能だ。

 もしくは、クレイドル以外の月面都市……フォン・ブラウンとかでも問題はない。

 もっとも突撃機動軍に貸しているグラナダに住みたいというのは、無理だろうが。

 とはいえ、ジオン軍に攻撃されてサイド7を追われる事になった者達にしてみれば、自分からわざわざ突撃機動軍の本拠地に住みたいとは思わないんだろう。

 寧ろ、そのような場所に住みたいと思うのであれば、ジオン軍に対する何らかの報復行動をしようとしている相手だとして、警戒する必要があった。

 

「そうですね。クレイドルは自然豊かな場所も多いと聞いています。コロニーの住民にしてみれば、本当の自然を体験出来るという意味で、素晴らしい場所になるかと」

 

 笑みを浮かべてそう言うメリルだったが……一応クレイドルも人工的な自然なのは間違いないんだよな。

 コロニーとかに比べれば、本来の自然に近いのだが。

 そんな風に思いつつ、俺はメリルと会話を楽しむのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435

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