転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2247話

 結局、連邦軍は約束の時間になる前に、月の前から引き上げていった。

 連邦軍のタカ派にとっては、今回の一件は大きく影響力を削ぐことになるだろう。

 ……もっとも、それでもタカ派の影響力というのは広がりやすい。

 それはサイド3の強行偵察が成功するまでジオン軍に負け続けていたにも関わらず、一度の成功で月に攻めてくる……といった真似をした事からも明らかだろう。

 今回負けた事に関しても、恐らく近いうちに何らかの手段でまた影響力を得る事はほぼ間違いないと思えた。

 

「ま、タカ派を意図的に見逃したんだから、しょうがないだろ?」

 

 そう言いながら、ムウは超包子の肉まんを口に運ぶ。

 

「熱っ! あー……けど、美味いなやっぱり」

 

 熱い熱いと言いながら、それでも蒸したての肉まんを美味そうに食うムウ。

 特に用事があった訳でもない俺は、何となくホワイトスターの中を出歩いていたところでムウとギルフォードの2人と出会い、少し腹ごしらえでもするかと超包子に入った。

 

「ふむ。私が姫様から聞いた話によると、UC世界におけるタカ派というのは非常に厄介な存在なのだろう? 後々役に立つかもしれないということで見逃したのはともかく、それによって結局大きな被害を受けるのはルナ・ジオンになるのではないか?」

「その辺りは大丈夫だろ。今の連邦軍が何をしてきても、今回のように負けるだけだし」

 

 ギルフォードにそう答えながら、俺は豚の角煮まんを口に運ぶ。

 ほんのりとした甘みのすぐ後に、豚の角煮のどっしりとした味と食感が口の中に広がる。

 うーん、豚の角煮に使われてるのって、豚の三枚肉……いわゆる、豚バラのブロック肉だ。

 脂身が多い部位なのだが、長時間煮込むことによって、その脂身からは脂っぽさが消え、プルプルとした食感になる。

 これは幾らでも食える。……いや、実際俺の場合は文字通りの意味で幾らでも食えるのは間違いないんだけどな。

 

「ふーん。さすが月の大魔王は言う事が違うね」

「エンデュミオンの鷹の異名も、UC世界では広がってるけどな」

「お前達……」

 

 俺とムウのやり取りに、ギルフォードが若干呆れの視線を向けてくる。

 他人事みたいに……と思わないでもなかったが、考えてみればこの一件にギルフォードは別に関わっていない以上、当然なのか。

 

「アクセル」

 

 ムウが意味ありげな視線を俺に向けてくる。

 その視線を見れば、ムウが何を言いたいのかは大体分かった。

 シャドウミラーではそこまで有名ではないが、ギルフォードも何気に帝国の先槍という異名をギアス世界で持っている。……もうブリタニア帝国所属ではないので、持っていたという方が正しいのだろうが。

 なら、その異名をUC世界において広げて……いや、けど、帝国ってどこだよ?

 UC世界にある国家というのは、連邦、ジオン公国、ルナ・ジオン……後、一応サイド6も入れてもいいのか?

 ともあれ、その程度だ。

 つまり、ギルフォードの異名となる帝国の先槍の、帝国がない。

 もしかしたらそのうちジオン公国のようにひょっこりと何とか帝国って国が出てくる可能性は、決して否定出来ないのだが。

 ともあれ、ギルフォードは何気にその辺は鋭いので、今はその一件を表に出すような真似はせず、秘密裏に進めた方がいいだろう。

 

「とにかく、だ」

 

 俺と同じ結論に達したのか、ムウが何かを誤魔化すようにそう告げる。

 

「現在UC世界においては、大きな動きがある……って訳じゃないんだろ?」

「そうだな。地球とかを含めれば、結構動きはあるけど……艦隊を率いて月に攻めてくる、なんて感じの大きな動きは今のところない。少なくても俺にそういう情報は入っていない」

 

 半ば膠着状態になりつつあるUC世界。

 これも、俺達が介入した結果だったのか?

 そんな風に思いつつ、蒸し餃子をタレ……酢に黒胡椒をたっぷりと入れたタレにつけ、口に運ぶ。

 超包子で何気に流行っているこの食べ方は、本来なら焼き餃子で食べる時に使われるタレなのだが、蒸し餃子で食べても十分に美味い。

 

「現在が膠着状態って事なら、それこそルナ・ジオンが……もしくは、シャドウミラーが事態を動かしてもいいんじゃないか? ……そう言えば、ルナ・ジオンのお姫様、MSとか生身での戦闘訓練をしてるって話だけど、どうなったんだ?」

 

 いきなり話題を変えたムウだったが、それが誰の事を言っているのかというのはすぐに想像出来た。

 

「ああ、セイラのMS操縦訓練か。……そうだな、まぁまぁといったところか」

 

 そう返すも、正直なところセイラのMSに対する適性は俺が思っていた以上のものだったりする。

 だが、考えてみればセイラは赤い彗星の異名を持つシャアの妹なのだから、MSの操縦センスが高くてもおかしくはない。

 もしかして、原作ではセイラはエース級のMSパイロットとして活躍していたのかもしれないな。

 あ、でもセイラと接した時に一瞬だけ見えた、シャアが小惑星を地上に落とそうとしていた時の光景。

 あの光景では、アムロとシャアはいたが、セイラの姿はどこにもなかった。

 そう考えると……原作であの時のセイラは一体何をやってたんだろうな。

 

「ふーん。アクセルの口から出るまぁまぁなら、結構期待出来そうだな。で、機体はどうするのか考えてるのか?」

「いや、まだだ。……正直なところ、一体どんなMSに乗せればいいのか迷ってすらいる。いっそ、アプサラス計画で開発されているアプサラスに乗せてみるのもいいかもしれないとは思うんだが……」

 

 恐らく、現時点でUC世界最高のニュータイプ能力を持ってるだけに、MAで後方から援護射撃……ってのは、勿体ないような気もするんだよな。

 ニュータイプ能力を活かすのなら、やっぱりMSだろうし。

 もしくは、マリオンの為に現在開発中……というか、まだどういう仕様にするのかすら決まっていないが、ニュータイプ用の射撃装置とかそういうのがあれば、アプサラスとかでも十分にニュータイプの能力を発揮出来るかもしれない。

 ただ、その類の装置を作るには、それこそニュータイプ研究所から奪ってきたデータとかだけでは足りない。

 ……いやまぁ、シャドウミラーの技術班に任せれば、そういうのも作ってくれるかもしれないが……それだと、UC世界の技術の発展という点でこっちの色が混ざってしまう。

 

「姫様であればともかく、普通の女……それこそニュータイプだったか? それであっても、結局は素人が前線に出るというのは、あまり良い事ではないと思うがな」

 

 器用に箸を使ってシュウマイを食べながら、ギルフォードが告げる

 コーネリアの騎士という立場にあるギルフォードだけに、セイラのような素人が戦場に立つのは好ましくないと理解しているのだろう。

 

「一応凛や綾子に鍛えて貰ってはいるんだけどな。……そう言えば、この前コーネリアにも褒められてたぞ?」

 

 基本的に講師役は凛と綾子の2人だが、そこにゲストが参加する事は珍しくない。

 そんなゲストの1人が、この前はコーネリアだった訳だ。

 

「何!? ……そうか、姫様が……」

 

 一瞬驚きの表情を浮かべるギルフォードだったが、次の瞬間には感心したような表情を浮かべつつ、口を開く。

 

「姫様が褒めたという事は、それなりの技量を持っているという事だろう。姫様は駄目なものはきちんと駄目と言うし、お世辞の類を言ったりも……しない事はないが、それでも戦いに関する事で、そのような真似はしない」

「だろうな。……まぁ、ニュータイプってのはそれだけ戦いでは有利なんだよ」

 

 もっとも、本来ならこの場合のニュータイプと、ジオン・ズム・ダイクンが口にしたニュータイプというのが同じという保証はどこにもないのだが。

 とはいえ、他に言い表す単語もないので、取りあえずニュータイプという呼称はそのまま使うけど。

 

「でもよぉ、俺がナタルから聞いた話によると、ニュータイプってのは言ってみればアクセルの持つ超能力……念動力だっけ? それの下位互換って感じなんだろ?」

 

 ナタルから聞いたというムウだが、その情報源は恐らくマリューか。

 技術班のマリューであれば、当然ニュータイプ能力についても詳しく知っている。

 ましてや、ニュータイプ能力は念動力の下位互換だという認識も、技術班で検証されたものだし。

 

「それは間違ってないけど、全てが念動力の下位互換って訳じゃないぞ。感応能力……とでも言うべき能力は、同レベルなら恐らくニュータイプの方が高いかもしれないらしいし」

「いや、らしいって何だよ」

「そう言われてもな」

 

 俺が以前失った、相手のステータスを認識出来る能力があれば、向こうのニュータイプ能力がどれくらいのレベルなのかというのを、しっかりと確認出来ただろう。

 ……いや、それ以前の問題として、俺の念動力がレベル11になってるってのが大きい。

 本当の意味でニュータイプ能力と念動力を比較するのなら、レベルは同じにする必要がある。

 あるんだが……ニュータイプのレベル11なんて、一体どうやって見つければいいのやら。

 それこそアムロやシャアなら、今はともかく将来的にニュータイプレベルが11になるのか?

 そもそもニュータイプレベルってのは、一体どうやれば上がるのかも分かっていない。

 ……いや、一応ニュータイプ研究所から得たデータには、強いストレスとかを与えるとニュータイプとして覚醒するとあったし、それを思えばレベルもそれで上がる可能性は決して否定出来ない。

 

「ニュータイプって能力そのものが、まだ研究中の代物なんだ。であれば、当然ながらその辺はまだしっかりしてないのが正直なところだな。そもそも……そういう感応能力という事なら、ムウだってクルーゼとあっただろ」

「うげ」

 

 俺の言葉に、心底嫌そうな表情を浮かべるムウ。

 まぁ、ムウとクルーゼの間にある因縁を考えれば、それも当然だろう。

 もっとも、ムウはもう1人のクルーゼ……いや、自分の父親のクローンたるレイを養子として引き取り、育てているのだが。

 ともあれ、ムウにとってレイとクルーゼは別人という認識なのだろう。

 実際、それは決して間違っている訳ではない。

 例え同一のクローンであっても、それこそ育った環境で性格が大きく違うのは当然の事なのだから。

 

「まぁ、そんな訳で……ニュータイプ能力に関しては、色々とあるんだよ」

「……ふーん。まぁ、そういう事にしておくよ」

 

 完全に納得した様子のないムウだったが、これ以上何を言っても俺からニュータイプについて聞き出す事は出来ないと判断したのか、その視線が俺からギルフォードに向けられる。

 

「で、ギルフォードの方はどうなんだ?」

「む? どうとは、何がだ?」

「女関係だよ、女関係。お前だって成人している立派な男だ。当然、女に興味がないって訳じゃないだろ?」

「ぶほっ!」

 

 ニュータイプ云々の話から、何故か突然話題が女関係に移る。

 その話題転換についていけなかったのか、ギルフォードは食べていたシュウマイを吹き出しそうになり……咄嗟に手で口を押さえ、それを防ぐ。

 にしても、ギルフォードでも吹き出しそうになるんだな。

 それだけ、ムウの話題転換が上手かったって事なんだろうけど。

 そんな風に思いながら、俺もまたギルフォードの恋愛関係が気になるのは事実だ。

 客観的に見て、間違いなくギルフォードは顔立ちが整っている。いわゆるイケメンに入るのは間違いない。

 それでいて、性格も決して悪くはなく、シャドウミラーに所属しているというのも大きい。

 その辺の事情を考えると、間違いなく女達がギルフォードを放っておくような事はしないだろう。

 ましてや、結婚しているムウや、11人以上の恋人を持っている俺と違って、そういう相手は一切いないのだから尚更だ。

 勿論シャドウミラーに所属している男という点では、アウルやスティング、レイ……もしくはムラタといった者もいる。

 だが、ムラタはともかく、アウル達はまだ若い。……いやまぁ、実際の年齢ではもう十分に成人してるんだが、それでも色々と若いというのは間違いない。

 また、ムラタは……うん、まぁ、好きな奴は好きかもしれないが、需要そのものは決して多くはないだろう。

 それに比べると、ギルフォードはまさに女達にとっては狙い目の獲物となる訳だ。

 

「げほっ、げほっ……ムウ、いきなり何を……」

「いや、いきなりって事はないと思うけどな。さっきも言ったけど、ギルフォードだって健康な大人の男だろ? なら、そういうのに興味がない訳じゃないだろ? ほら、言えよ」

 

 そう告げるムウに、ギルフォードは何とか誤魔化そうとするものの……結局抗しきれず、何人かから告白されたという事を白状するのだった。

 もっとも、その全員を断ったというのは、ギルフォードらしいと言えばらしいのだが。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S

海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435

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