転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2238話

 クレイドルに戻り、お土産としてR2型を貰ってきたと聞いた時のジャンは、何とも言えない表情を浮かべていた。

 まぁ、自分が強くライバル視していたジオニック社が、本当の意味で最新鋭機を渡してきた上に、ツィマッド社のリックドムがコンペで選ばれる可能性が高いとなれば、そのような表情を浮かべてもおかしくはないのだろうが。

 とはいえ、ジャンはヅダに対して強い拘りを持ってはいるが、別にツィマッド社の社員という訳ではない。

 ……それでも、ジオニック社よりはツィマッド社の方に親近感を持っているのは間違いなかった。

 そんなジャンだけに、今回の件に対して色々と思うところがあるのは間違いないのだろう。

 もっとも、ヅダの改修チームの面々はR2型に興味を持っている者が多く、熱心にそれを調べている。

 

「R2型を解析して、ヅダに流用出来る部分があれば、それは有用だと思わないか?」

「……そうですね」

 

 俺の問いに、ジャンは不承不承といった感じで答える。

 ジャンにしてみれば、ジオニック社の技術を使うのはあまり気が進まないのだろうが、同時にそれでヅダの性能が上がるのであれば、それに文句はない……といったところか。

 

「お前が葛藤してるのは分からないでもないが、一応言っておくぞ。お前達が所属してるのは、既にツィマッド社でもジオン軍でもなく、ルナ・ジオン軍だ。そうである以上、お前の個人的な感情に付き合うつもりはない。以前もこれと似たようなことを言ったと思うけどな」

「それは……分かっています」

 

 俺の言葉に、頷きを返すジャン。

 だが、果たして心のどこまでの部分で納得してるのやら。

 これは、セイラを含めてルナ・ジオンの上層部にいる連中に一度話を通しておいた方がいいかもしれないな。

 解決策としては、現在ルナ・ジオンにいる技術者達を再編して、ジオニック、ツィマッド、MIPのいずれでもない、全く別の会社に再編するといったところか。

 正直なところ、ジオン公国がやってるように複数の兵器メーカーを作って競合させるというのは、性能を進化させるという意味ではかなり上手い手段だ。

 だが、それが出来るのは、あくまでも技術者の数が一定数いるというのが前提での話だ。

 ルナ・ジオンにはジオニック、ツィマッド、MIP、それに連合軍からも科学者や技術者といった者達が集まってはいるのだが、その総数はそこまで多くはない。

 そうである以上、全員が個別に動いているのは無駄ですらある。

 全員を1つの会社にしてしまえば……まぁ、無茶な真似をする奴はそう多くないだろう。

 もしそのような者がいた場合は、それこそルナ・ジオンとして色々と対処する必要が出てくるだろうし。

 そんな風に思っている俺の視線の先では、ヅダの改修チームの面々が機体を分解する勢いでR2型の様子を調べ続けていた。

 一応、この機体は後でシャドウミラーの技術班に引き渡す事になってるんだが……その時には通常の状態に戻ってるよな?

 取りあえず色々とデータやら設計図の類も貰ってきたので、恐らくその心配はいらないだろうと判断し、俺は何か難しい顔をして考え込んでいるジャンをその場に残して立ち去るのだった。

 

 

 

 

 

「あれ、アクセル? どうしたの?」

 

 研究所から少し離れた場所にある、商店街。

 R2型を引き渡した後で、技術者達には付き合っていられないと判断した俺が、取りあえずちょっと何か食べ物でも……と、そう思ってやってきた場所だ。

 政庁からそう離れていないこの商店街は、それこそ毎日のように姿が変わっている場所だ。

 それだけクレイドルに移住してくる人が多いという事の証なんだろうが。

 そして、料理店の類が多いのも特徴だ。

 ……マブラヴ世界の合成食は、それだけこの世界の人間にとって舌に合わないという事なのだろう。

 いやまぁ、実際あの合成食を美味いという奴は、とてもではないがその味覚を信用出来ないのだが。

 ともあれ、そんな場所を適当に歩いている中で、そう声が掛けられたのだ。

 そして声のした方に視線を向けると、そこには予想通りにクスコの姿があった。

 ただし、いつもクスコと一緒にいるイメージのマリオンはいない。

 クスコ1人だけで、何かを買ったのか、手には幾つかの紙袋を持っていた。

 

「クスコか。珍しいな、ここで会うなんて」

「そう? そこまで珍しくもないと思うけど。だって、この商店街は研究所からそう遠くないんだし」

「そんなんものか。……で、今日は珍しく1人なのか? マリオンは?」

「ああ、マリオンならデートよ、デート」

「……デート?」

「そ」

 

 俺の言葉に、クスコは短く答える。

 マリオンのデート相手と言われ、真っ先に思い浮かぶのは当然のように黒い三連星のオルテガ。

 あの2人は一種の師弟関係に近かった筈だが……まさか、それが男女間の愛情にまで育ったのか?

 ただ、年齢的にオルテガとマリオンでは少し離れすぎているような気がしないでもない。

 

「本当なのか?」

「ええ。郊外の草原にピクニックに行ったわよ。マリオンなんか、昨日から自分でお弁当作って……まぁ、結構ボロボロだったけど」

「あー……まぁ、オルテガならそういう料理でも美味いと言って食べてくれる筈だ」

 

 マリオンが料理下手でない事を祈ろう。

 もっとも、マリオンも研究所に行く前は普通に暮らしていた筈だ。

 であれば、そこで料理をしたことがあってもおかしくはない。

 研究所暮らしで料理の腕が落ちている可能性も否定は出来ないが。

 

「そうね。少なくてもそのくらいの人じゃないと、マリオンを預けられないわ」

「料理が不味いなら不味いとはっきり言わないと、ずっと料理は不味いままになるかもしれないけどな」

 

 その場合は、どうにかして自分の料理が不味いという事を知らせる必要があるのだが、オルテガにそのような真似が出来るかどうか。

 

「その辺はいずれ気が付くでしょ。それよりアクセルは何をしにここに?」

 

 話題を逸らしたクスコだったが、別に俺もマリオンのデートについて細かく聞きたい訳じゃない。

 いやまぁ、話の種としては面白いかもしれないけど。

 一体、どっちがデートに誘ったのか、とか。

 

「俺はちょっとした暇潰しだよ。それでクスコは親友がいないから、こうして1人で買い物な訳か。ちょっと寂しいな」

「そう? たまには1人で買い物をするのもいいでしょ。……もっとも、色々と面倒な事も起きるけど」

 

 そう言い、嫌悪感たっぷりの表情を浮かべるクスコ。

 それが何を意味しているのかは、クスコについての研究所でのデータを見れば明らかだった。

 クスコは男に乱暴された経験を持ち、それ故に男に対して……いや、自分を欲望の視線で見てくる男に対して、強い嫌悪感を抱くのだ。

 そういう視線で見なければ安心なのだが、悪い事にクスコは美少女……いや、美女と呼ぶに相応しい顔立ちをしており、その身体つきも非常に女らしい。

 その上、自分の女の魅力を活かすような服装を好んでするのだから、それでいてそのような視線を向けるなという方が無理だろう。

 ……ジャンのように女? それよりもヅダだ! といった者や、仕事は仕事と考えられる奴が相手なら、特に問題はない。

 ただ、少し疑問なのが、何でそれで俺が例外になってるのかという事だろう。

 俺の場合は恋人が多い影響で、実際にその手の行動に出る事はないが、目の保養という意味で結構クスコの美貌を眺める事が多い。

 だが不思議な事に、クスコが俺に対して嫌悪の視線を向けてくる事はない。

 俺が強引に迫るような真似をしないと、そう理解しているのか?

 もしくは、俺と触れた影響であの妙な空間に行ったから……いや、視線に関しては最初からだな。

 ともあれ、クスコが俺にそういう視線を向けてこないのは助かるのは間違いない。

 クスコと関わる事がそれなりに多い俺としては、そうしてくれると助かるのは間違いないが。

 

「ふーん。まぁ、俺も今日は暇だしな。ちょっと付き合うよ。ほら、荷物を貸せ」

「え? いいの? じゃあ、お願いね」

 

 少しだけ考える様子を見せたクスコだったが、持っていた紙袋を俺の方に渡してくる。

 中に入っているのは、恐らく服か何かなのだろう。

 紙袋の重さは殆どない。

 もっとも、嵩張って邪魔になる以上、そのまま持ち歩くのも面倒なので、空間倉庫の中に収納する。

 

「便利よねぇ……」

「それは否定しない。それこそ、色んな物が入ってるし」

「どのくらいの物が入るの?」

 

 商店街を歩きながら、クスコがそう尋ねてくる。

 

「どれくらいのものか。……そうだな、取りあえずコロニーくらいの大きさなら普通に入るな。いや、このクレイドルとか、ジェネシスとか、ホワイトスターとかそういうのも入ってたし」

 

 そう考えると、ジェネシスって実はそんなに大きくないのかもしれないな。

 クレイドルとホワイトスターだと……うーん、どっちが大きいのやら。

 

「え? それ本当? ジェネシスとかホワイトスターってのは知らないけど、このクレイドルを?」

「ああ。元々このクレイドルはマクロス世界って世界で作られた、次世代型のマクロス級……移民船の試験艦なんだよ。それをこっちの世界に持ってくる時にな」

 

 もっとも、結局これは試験艦ということで終わってしまって、実際に量産される事はないらしいが。

 もしくは、どこかで誰かが量産している可能性もあるが、それは秘密裏にだろう。

 ……北海道以上の広さを持つ艦を量産する、それも秘密裏にと聞けば、普通は正気か? と叫ぶだろう。

 だが、マクロス世界の場合は銀河規模で繁栄している以上、ぶっちゃけ北海道程度の大きさはそこまで珍しいものではない。……それを異世界に持っていくというのは、非常に珍しいが。

 

「話には聞いてたけど、ホワイトスターって随分と凄いのね」

「……まぁ、クスコもそのうち自由にホワイトスターに行けるようになるから、楽しみにしてればいいさ」

 

 クスコとマリオンはニュータイプ研究所から助け出した被検者という扱いではあるが、それだけに暫くは様子見をするという事で、自由にホワイトスターにはまだ行けない。

 それでもクレイドル内部は自由に行き来出来るのだから、あの研究所にいた時に比べれば断然自由だろう。

 もっとも、誰かシャドウミラー側の人物が付き添いという形で同行すれば、話はまた別だっただろうが。

 

「そのうち、行ってみるか? 俺が一緒に付き添えば、クスコもホワイトスターに行く事は出来ると思うぞ」

「あら、デートの誘いかしら?」

「……そういうつもりじゃないんだけどな。まぁ、行かなくてもいいのなら……」

 

 そう言うと、クスコは少し慌てたように口を開く。

 

「嘘よ、嘘。アクセルが一緒にいればホワイトスターに行けるんでしょ? 別にデートとかじゃなくてもいいから、行ってみたいとは思うわ」

「全く。なら最初からそう言ってればいいものを。とはいえ、今すぐとはいかないから、その辺は色々と話を通してからだな。……クスコもどうせなら今からじゃなくて、しっかりと楽しみたいだろ?」

「そうね。……ねぇ、それにはマリオンも連れて行っていいの?」

「マリオンくらいなら、構わないぞ。ただ、付き添いが俺1人である以上、子供達は難しいだろうけど」

 

 ニュータイプ研究所の被検者の子供達は、それなりに人数が多い。

 また、子供達ということで、好き勝手に動き回る可能性もある。

 それを考えれば、やはり俺だけで全員の面倒を見る……というのは、難しい。

 量産型Wやコバッタ辺りを連れてくれば、話は別かもしれないが。

 

「そう? うーん、じゃあ今度マリオンにでも頼んでみようかしら。……あ、ところであのお店にちょっと行ってみたいと思ってたのよ。いい?」

 

 そう言ってクスコが視線を向けたのは、服屋だった。

 ……考えてみれば、この服屋の服も一体どこから仕入れてるんだろうな。

 いやまぁ、フォン・ブラウンのような月面都市とは結構頻繁に取引をやってるんだから、その辺りから入手してるのかもしれないが。

 もしくは、ホワイトスターの方から人を寄越してか。

 今はまだ一般人の類はホワイトスターに自由に行く事は出来ない。

 だが、ホワイトスターの方からこっちの世界に来るのは比較的楽に出来るので、それを考えるとそちらの方で取引を行ってる可能性はある。

 何を対価として取引を行っているのかは、俺にも分からないが。

 

「まぁ、今は暇だからいいけどな」

「あら、こんな美人のファッションショーを見る事が出来るんだから、普通なら喜んで一緒に来ると思うんだけど?」

「生憎と、俺は恋人が大勢いるから普通とは呼べないだろうな。……まぁ、クスコが美人であるというのは否定しないけど」

 

 そんな風に言葉を交わしつつ俺とクスコはその店に入って、言葉通りクスコのファッションショーを見る事になる。

 ……どうせなら、水着とか下着とかのファッションショーなら面白かったのになと思ったが、それは口にしないでおいた。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S

海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435

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