転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2231話

 あやかから連絡があってから、数日……俺は、クレイドルにあるヅダの研究施設で目の前にあるMSを眺めていた。

 そこにあるMSは、シャドウミラーとお近づきになりたいジオニック社から送られたMSで、悪く言えば賄賂……のような代物だった。

 それも、賄賂は1機ではなく複数ある。

 S型、R1-A型の2つは俺にとっても見覚えのある機体なので分かるが……残る3機のうち、1機はMS-06Eザク強行偵察型。

 F型をベースに改良された機体で、強行偵察型という名前の通り偵察に特化した機体。

 ミノフスキー粒子のある戦場では当然レーダーの類も使えないので、こうしたMSで直接偵察し、敵の情報を持ち帰る必要がある訳だ。

 ……正直、偵察するだけならMSじゃなくて戦闘機とかを改良した方がいいと思うんだが。いや、でもパイロットの生存性という意味では、こっちの方がいいのか?

 ともあれ、ベース機よりもモノアイを高性能な物に変更したり、スラスターを強化したりといった風になっている訳だ。

 そして、もう1機はMS-06E-3、ザクフリッパー。

 ザク強行偵察型をベースに改造した機体らしいが、既にその原型は殆ど残っていない。

 ……というか、ザクフリッパーの形式番号がE-3なら、E-2ってのはないのか?

 ともあれ、ザクフリッパーは頭部に3つのカメラが剥き出しになるように装着されており、もはやザクと言われても納得出来ないような機体だ。

 その頭部にある3つのカメラを含め、この手の情報機器は非常に高価で、それがコストを上げる理由になっているのだろう。

 強行偵察型もそうだが、ミノフスキー粒子の散布が前提となっているこのUC世界において、この手の偵察用の機器というのは非常に貴重で有用だ。

 もっとも、シャドウミラーでは基本的にフォールド通信を使っているので、ミノフスキー粒子で通信が出来ないという事はない。

 その辺の事情を考えると、もしかしたらこの偵察用の2機種はルナ・ジオン軍に渡した方がいいのかもしれないが……その辺、どうなんだろうな。

 ただ、技術班にしてみれば興味深い調査対象なので、そう簡単に譲渡するといった風にはならないと思う。

 で、残る最後の機体が……

 

「グフ、か」

 

 MS-07B、グフ。

 ザクをベースにして開発された機体で、陸戦型MS。

 この機体とドムの中間に当たるのが、俺がツィマッド社から受け取ったイフリートだ。

 そういう意味では、イフリートの先祖と言ってもいいのかもしれない。

 ただ……指がバルカンの砲身になっているってのは、ちょっとどうかと思う。

 そのせいで左腕はまともに腕として使うのは無理……とは言わないが、面倒な事になっているのは間違いない。

 ザクとかイフリートのように、普通の腕だと駄目だったのか?

 それ以外の武器としてはイフリートが使ってるのと似ているヒートサーベルに、ヒートロッド。……ニーズヘッグの尻尾の件といい、エピオンといい、何気にこの手の武器って人気があるよな。

 後はシールドもあるけど……客観的に見て、色々と使いにくそうな機体に思える。

 いや、勿論性能という点ではザク、それも地上用のJ型やJC型なんかよりも高いんだろうけど。

 イフリートもそうだが、地上用のMSって何でこういう極端な奴が多いんだろうな。

 ともあれ、ジオニック社からの贈り物のMS5機。

 技術班的には嬉しいんだろうし、ここを使っているヅダの改修チームにしても、ジオニック嫌いはいるだろうが、それでも自分の独断だけで使える技術を使わないといった真似はしない。

 そんな訳で……

 

「解析するのはいいけど、最終的にこの機体はシャドウミラーの技術班が受け取る事になるんだから、その辺を忘れるなよ。それと、解析したデータはMIP社を始めとした他の技術者に、そして地上のハワイでアプサラス計画をしているギニアスにも送るのを忘れるなよ」

 

 その言葉に、声が聞こえてきた技術者達は了解したといった合図を送ってくる。

 にしても、偵察型か。……基本的に得た情報を持ってくる必要がある為に、偵察型の機体というのは高い機動力が必要とされる。

 そう考えると、意外とヅダってそっちの方に向いているのかもしれないな。

 もっとも、ヅダは元々ザクよりもコストが高かった上に、改修作業によって更にそのコストは上がっている。

 シャドウミラーから安く資源を入手しているからこそルナ・ジオンでは許容されてるが……もしこれがジオン軍であれば、採用はまずなかっただろう。

 あ、でもエース専用機といった意味でなら採用されていた可能性があるか?

 ……無理か。

 S型とかはそんな感じの機体ではあったが、それはあくまでもベース機がザクだから出来た事だ。

 ヅダとザクとでは、それこそ共通して使えるパーツがかなり少ない。

 元々資源の類……そして国力に不安のあるジオンとしては、そんな真似は出来ないだろう。

 出来る限り部品の供用率を上げ、いざという時には味方機のパーツを流用する……いわゆる、共食い整備が出来るようにしておきたいというのが本音だろう。

 

「ともあれ、他の機体はともかくとして、強行偵察型とザクフリッパーの方はヅダの新たなバリエーションの1つとして、検討してもいいんじゃないか?」

 

 そう告げて後ろを振り向くと、そこにはジャン、クスコ、マリオン3人の姿があった。

 ヅダの教導隊的な役割を任されているこの3人――特にヅダに強い思い入れを持つジャン――にしてみれば、ジオニック社から送られてきたプレゼントというのが気になり、こうして見に来たのだろう。

 

「そう、ですね。戦闘機を改良しても偵察には十分だとは思いますが……いえ、生き残って確実に情報を持ち帰る為には、やはりMSの方が……」

 

 悩む様子のジャン。

 ジオニック社に対して敵意に近い感情を持つジャンにしてみれば、役に立つのはほぼ間違いないとはいえ、ジオニック社が作ったザクのバリエーションの真似をするというのは面白くないのだろう。

 もっとも、ヅダのバリエーションの中で現在は高機動型を検討しているという風に聞いているので、そういう意味ではザクの真似をしていると言ってもいいのかもしれないが。

 

「アクセル、それでこの機体は一体どうなるの?」

 

 悩んでいるジャンを放っておいて、クスコが俺に尋ねてくる。

 ヅダを操縦する事で、若干ではあってもMSに興味を持ったのか、クスコは興味深そうにグフを眺めていた。……いや、グフ?

 

「言っておくが、クスコが見てる機体……グフは地上用の機体だぞ。それに、ここで一通り調べた後は、シャドウミラーの方で解析をする事になる」

「えー、あの機体は宇宙じゃ使えないの?」

「そうだ。元々地上で使う為に、ザクをベースにして開発された機体らしいからな」

 

 とはいえ、改修すれば宇宙で使えるようになるとは思うが……そこまでする意味があるのかといった思いの方が強い。

 そもそも、グフの射撃武器はフィンガーバルカンのみで、遠距離、中距離での戦いには向いていない。

 いやまぁ、一応ザクマシンガンとかは使えるので、絶対に無理という訳ではないが。

 ともあれ、MSでの戦闘となる場合、近接戦闘用の武装というのは必要ない……というのはちょっと大袈裟だったが、実際にその能力はそこまで必要ではない。

 精鋭やエースという事になってくれば、近接用の武装も重要視されてもおかしくはないが……基本的に軍の中でそのような存在は一握りでしかない。

 だからこそ一般兵士に限ってではあるが、武器の類は射撃武器を重要視した方がいいと思う。

 そういう方面から考えると……ああ、でもクスコはニュータイプなんだし、エースや精鋭と呼んでもいいのか?

 もっとも、純粋な操縦技術という点ではいまいちだけど。

 

「アクセル代表、その……あちらの偵察用の機体も、シャドウミラーの方で持っていくのでしょうか?」

 

 マリオンが自分から俺にそう話し掛けて来たのが意外ではあるが、同時にザクフリッパーに興味を示したのもまた、驚く。

 ミノフスキー粒子散布下では重要な役割を持つ偵察機だが、言ってみれば……そう、地味な機体なのは間違いない。

 とてもではないが目立つといった事は出来ない以上、ニュータイプが乗るような機体には思えないのだが……ああ、でもマリオンは自分が目立つのは好きじゃないし、そう思えばザクフリッパーに興味を持ってもおかしくはないのか?

 それに、高性能なカメラで情報を収集し、敵が自分に気が付いたり、偶然であっても近づいてきたのをニュータイプ能力で察知出来、逃げる時もニュータイプ能力を使って敵との接触を可能な限り回避して逃げてくる。

 何気に、敵にすれば致命的なまでに厄介な相手だろう。

 普通なら、ニュータイプの使い方としては論外な選択なのだが、マリオンの性格はとてもではないが戦闘には向いていない。

 模擬戦とかは普通にこなす事が出来たが、本当に命のやり取りをする事になったらどうなるか……それは、ちょっと考えたくなかった。

 それでいながら、ニュータイプとしての能力は相応に高く、操縦技術そのものも最近は上がってきているのを考えると、偵察に専念するというのは決して悪い選択肢ではないように思える。

 ただ、偵察というのは基本的に少数で行われる事が多い。特にそれがMSともなれば、見つかりにくいように1機だけで行動する事も多くなるだろう。

 そうである以上、当然の話だがしっかりと自分だけいざという時に判断出来るようにし、その上で一定の水準以上の技量も必要となるのは間違いない。

 

「そうだな。取りあえずシャドウミラーの技術班で色々と解析する予定だ。気になるのか?」

「えっと……はい」

 

 俺の言葉に、若干照れくさそうにしながらも、マリオンはそう頷く。

 マリオンにしてみれば、そこまでザクフリッパーを気に入ったのだろう。

 ただ、この様子を見る限りでは自分が偵察に向いてる云々じゃなくて、普通に外見が気に入ったといった感じか?

 ……まぁ、ザクフリッパーは普通のザクと比べると外見がかなり違うが、頭部に3つのカメラがあるような状況で、それが気に入るというのは趣味的にどうなんだろうな。

 そんな風に思いつつ、俺はジャンを連れて離れた場所に移動する。

 

「な、何ですか、アクセル代表」

 

 悩んでいた状況でいきなり格納庫の隅に連れてこられた事に戸惑っていた様子のジャンだったが、俺はそれに構わずに言葉を続ける。

 

「ザクフリッパーを見て、どう思った?」

「……どう、と急に言われても……」

「偵察用の機体として、欲しいとは思わなかったか? ミノフスキー粒子が散布されている状況では、ああいう機体も必要だろ?」

「それは……」

 

 俺の言葉に、戸惑った様子を見せるジャン。

 否と言いたいところなのだろうが、ここでそのような事を言えば俺に呆れられると分かっているのだろう。

 それを承知の上であっても、素直に頷くことが出来ないのを見ると、ジオニック社に対する反発は未だに感じているといったところか。

 

「ジャン、言っておくが俺はジオニック社の技術者をもっと積極的に受け入れるつもりだぞ。当然ジオニック社だけじゃなく、ツィマッド社、MIP社も同様にな。そんな時に、テストパイロットを務めているお前がジオニック社の人間に隔意を抱いたままであれば、お前の席はそのうちなくなると覚えておけ」

「……はい」

 

 その言葉に、不承不承頷くジャン。

 本人の操縦技術は高いし、それでいて部下にも決して厳しい訳ではない。

 いやまぁ、訓練中には厳しいが、それは当然の事だろう。

 それでいながら、宴会とかをやる時には部下におごったりといった真似も普通にするのを考えると、部下には慕われていると言ってもいい。

 そんなジャンにとっての最大の問題が、ジオニック社に対する敵愾心だ。

 それと、ザクにもか。

 今までにも何度かそれとなく注意はしてきたが、こうしてジオニック社がシャドウミラー宛とはいえMSを譲渡したという事は、これからは仲良くやっていきたいと向こうは考えている筈だった。

 そうである以上、ジャンの態度はこれから色々と問題になってくる可能性がある。

 

「取りあえず、お前がジオニック社やザクを思う気持ちを否定する気はない。けど、それを態度に出すな」

 

 そう言ってから、ヅダにザクフリッパーのようなバリエーションを作り、マリオンをそれに乗せてみてはどうかという提案をする。

 それを聞いたジャンは、俺の言葉に色々と思うところはあったのだろうが……それでも、やがて頷くのだった。

 これでジャンのジオニック社に対する敵意が消えたとは思わない。思わないが……少しはマシになってくれるといいんだけどな。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S

海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435

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