転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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一応、今回出てきたバリソンはスパロボOGのキャラです。


0009話

「これが士官学校か」

 

 目の前にあるのは、つい1週間前まで通っていた幼年学校に比べて数倍の大きさを誇る建物だった。

 考えてみれば当然なのだが、この士官学校は幼年学校からの繰り上がり組だけではなく、一般からの入学者もいる。

 そして、シミュレーションだけで幼年学校では使う事が出来なかったPTやらAM、その他にも戦車や航空機等の実機もたっぷり置いてある。

 

「そりゃあでかくなるか」

 

 納得しながら、校門を通り抜けパイロットコースの校舎へと向かう。

 この士官学校はコースごとに校舎が別れており、学校行事もコースごとに行われる事になっている。

 正直、入学式や卒業式くらいは全コース合同でやってもいいと思うんだが、コースごとの連帯感を高める為にこのような形式になっているらしい。

 また、士官学校は基本的に授業料が免除されるどころか、逆に小遣い程度だが給料が出る。他にも各種資格も無料で取る事が出来るし、食堂で出される食事も無料となる。

 士官『学校』という名前ではあるが、既にここは連邦軍なのだ。

 

「えっと、ここがパイロットコースの校舎だな」

 

 入学案内の書類を確認しつつ、ようやくパイロットコースの校舎を見つける。

 ぱっと見ただけでもかなり広い敷地を持っているのが分かる。

 まあ、それもそうだろう。なにせここは『パイロット』コースなのだから、PTを動かす場所が近くにあって当然か。

 変な感心をしつつ校舎に入り、1年の教室へと向かう。

 校舎の中の案内板を確認すると、どうやら3階に教室があるらしい。

 

「各学年1クラスで、1年から3年の教室は全部纏めて3階にあるのか」

 

 階段を上がり、1年の教室へと入る。

 既に中には10人程度の人数が揃っていたが、時間的にはまだ30分程余裕があるしこれで全員という訳でもないだろう。

 

 ちなみに幼年学校と違い、ここでは出席番号順に座らなくても良いらしい。

 ただし俺の場合は既に廊下側の一番前が自分の席と言う認識だったので、大人しくいつもの席へと向かう。

 いつもの席に着き、近くにいる同期へと声を掛けてみる。

 

「よう、俺はアクセルだ。よろしく」

「ん? ああ、俺はバリソンという。よろしく」

 

 寡黙そうな感じで、がっしりとした体格。まさに縁の下の力持ちといった感じの男だった。

 

「にしても、まさか1クラスしかないとは思わなかったな」

「そうだな。でも食うに困る事はない職場だ。贅沢は言えんさ」

「ん? ……あぁ、なるほど」

「ま、そういう事だ」

 

 バリソンはどうやら復興が遅れている場所の出身らしい。

 そういう場所があるとは知っていたが、実際にそこ出身の人間と会うのは初めてだ。

 インスペクターとの戦争で破壊された地域は多い。

 そしてその復興は当然だが都市区画から優先して始まり、田舎になればなるほど順番が後回しになる。

 いくら安定期に入ったとは言え、地球全土の復興が完璧に完了した訳ではない。

 まだ復興されていない地域は当然仕事も少なく、食うに困って出稼ぎやらなにやらで都会に出てくる訳だ。

 そう考えると、確かに士官学校に入学というのは良い選択肢かもしれない。

 なにせ、士官学校の中で生活するには殆ど無料なのだから。

 

「そっか。ま、お互い色々とあるだろうけど頑張って卒業しようぜ」

「そうだな」

 

 バリソンと話をしていると、段々と人が集まってくる。

 1列10人で、5列の合計50人がこのパイロットコースの同期生なんだろう。

 男女の割合は大体6:4くらいか。

 幼年学校のAクラスやBクラスで見た事のある顔もちらほらと混じっている。

 

「っと、来たようだな」

 

 バリソンの声を聞き、姿勢を前へと戻す。

 数秒後、教室のドアが開き教官が入って来た。

 強面の顔を見るに、いわゆる鬼教官という奴だろうか。

 

「注目しろ。まずは入学おめでとうと言っておく。この御時世、しかも人手不足でいつも苦労しているパイロットコースに入学して来るのは余程の物好きだけだと思っていたが、中には幼年学校を主席で卒業したにも関わらずパイロットコースを選ぶなんて酔狂な奴もいたようで何よりだ」

 

 教官、あからさまに俺を見ながらそんな事を言わないで欲しいんだが。

 教室にいる生徒達の視線が痛すぎる。

 

「まぁ、いいだろう。今日はこれからパイロットコースでどのような授業や訓練を受けていくのかを説明する。この説明が終わった後は解散して宿舎に戻るなり、学校内を見学するなりして構わん。ただし、見学者は注意しろよ。ここは士官学校と言っても一応軍施設だ。そうそうないと思うが、変な場所に入って機密なんかを見てしまったらどんな目にあっても知らないぞ」

 

 強面の割には意外に愛嬌のある様子を見せる教官だな。

 と言うか、士官学校にある機密って何だ? 卒業した人が派遣された先とかそういうのか?

 

「さて、授業の事に入る。先程も言ったが、PTパイロットは基本的に常に人手不足と言ってもいい。つまり、即戦力が求められている訳だ。よって授業も実習をメインに行われる」

 

 インスペクターとの戦争で多くの人命が失われたが、当然と言うか何と言うか一番危険なのはやっぱり実際にインスペクターと戦っていた兵士な訳で。

 飛行機やら戦車、生身の兵士に比べるとPTやらAMなんかは目立つ。それはもう目立ちまくる。

 結果的にインスペクターのバイオロイドに優先的に狙われる事になり、損耗が加速度的に激しくなっていく訳だ。

 

「ざっと説明すると、これから半年は学科2割、射撃・格闘訓練1割、シミュレータ5割、実機実習2割となる。もちろんこの比率は半年間だけのものだ。それが過ぎたらシミュレータと実機実習の比率が逆になる。半年で基本的な事は覚えておけよ。でないと実機演習が本格的なものになった時に事故を起こす事になるからな。特に、一般入学組。お前達は殆どゼロからの勉強となる。死ぬ気で頑張らないと付いてこられないぞ。そして幼年学校組、お前達も下地があるからと言ってぼけっとしてるなよ。このコースは基本的に連帯責任だ。一般入学者組が事故を起こしたらお前達にもペナルティが行く事になる。そうなりたくなかったら、今まで習ってきた事を教えるなりなんなりする方がいいぞ」

 

 なるほど、これも士官教育の一環なんだろう。

 幼年学校組は、その知識をいかに効率よく部下――いや、今回は同期の仲間だが――に教える事が出来るか。一般組は逆に効率よく教えて貰った事を理解出来るか。

 

「成績の付け方もそれに準じる事になる。また、半年の基礎訓練が終了した後はシミュレーションによる模擬戦、実機による模擬戦等も行われるので忘れないようにしておけ」

 

 教官の話を聞く限り、かなり実践的な授業になるらしい。

 ただ、実際にゲシュペンストとかに乗れるのはかなり楽しみだ。

 アクセル・アルマーとしてこの世界に転生したのは、正直もの凄く不本意ではあったが、人型ロボット兵器のゲシュペンストに乗るなんて前世ではまず不可能だっただけにちょっとだけ嬉しさを感じる。

 

「さて、とりえあえず1年時における授業の大まかな所はこんなものだ。後は、そうだな……お前達も知っての通り、この士官学校は金を貰って勉強が出来る素晴らしい場所だ。それだけに、規則なんかも厳しくなっている。それに違反した時には退学や逮捕という事もあるから十分自覚を持って行動するように。では、初日の授業はこれで終了とする。明日は0830時にはこの教室で待機しているように。さっきも言ったが、ここは基本的に連帯責任だ。自分が遅れたら仲間にも迷惑を掛けるという事を肝に銘じておけ。以上、解散」

 

 解散を聞き、俺達生徒は立ち上がり敬礼をする。

 幼年組や一部の一般組は素早く敬礼が出来たが、大多数の一般組は俺たちから遅れる事数秒で敬礼をした。

 その遅れた一般組をジロリと見てから教官は教室を出て行った。

 

「なるほど、まずはそこからか」

 

 これが先程言っていた、幼年学校組が一般組に教えると言う事の最初の1歩なんだろう。

 

「アクセル、悪いが教えて貰えるか」

 

 俺と同じ事を感じ取ったらしいバリソンが、後ろから声を掛けて来た。

 ふと周りを見てみると、俺とバリソンのように幼年学校組と一般組が交じり合って固まっている。

 連帯責任が基本である以上、他の面子のミスで自分までペナルティを受けるのが嫌なのだろう。

 その辺の教育制度は、さすがに士官学校の中でも屈指の歴史を誇るジュネーブ士官学校だけの事はあると感心してしまう。

 バリソンの問いかけに頷き、敬礼の仕方やいつするかなどを教える。

 幸いバリソンは理解が早くすぐに要領を掴んでくれたので教える方としても非常に楽だ。

 

「なるほど、助かった」

「いや、連帯責任でこっちもいらないペナルティは受けたくないしな」

 

 気にするな、と軽く肩を叩く。

 と、唐突に真面目な顔をして俺の方を見るバリソン。

 

「アクセル。聞いて良い事かどうか分からないので率直に聞かせて貰うが、先程教官が言っていた幼年学校を主席で卒業したというのはお前の事なのか?」

「ん? ああ、そうだな。確かに俺だ」

 

 真面目な顔をして聞いてくるから何を聞かれるのかと思いきや、そんな事だったのか。……と思ったのはどうやら俺だけだったようで、教室の中が一気にざわめきに包まれる。

 驚いた様子を見せていないのは、俺と同じ幼年学校組だけだ。

 

「なんでまた、主席卒業のエリート候補がパイロットコースに? 普通参謀や4軍コースに行くって話だが」

「いや、それはまぁ、そうなんだが。……と言うか、お前も良くそんな事を知ってるな?」

 

 幼年学校というある意味閉鎖的な場所の情報なんて、そうそう知る機会は無いと思うんだが。

 

「さすがに士官学校に入学するんだ。それくらいの下調べくらいはしてくるさ」

 

 ……そういうもの、なのか?

 俺自身、最初から幼年学校に進む事を決めていただけにその辺は疎い。

 ただまぁ。

 

「小さい頃からバーニングPTにはまっててな。幼年学校に入る前からパイロットになる事は決めてたんだ。幸い、そこそこの才能はあったみたいだし」

 

 結局、いつものを志望動機を話せば騒ぎは収まってくれる。

 それよりも、そろそろ寮にでも行った方がいいか? と思った丁度その時、突然教室のドアが開けられる。

 

「ん?」

 

 見ると、入って来たのは1人の男。

 メッシュの入った髪と鋭い目つき、寡黙な表情が印象に残る。

 と言うか、あれってどう見ても。

 

「すまない。皆、ちょっと聞いてくれ。俺はパイロットコース3年主席のキョウスケ・ナンブだ。色々と連絡事項があって来た」

 

 ……え? マジ?




名前:アクセル・アルマー
LV:7
PP:10
格闘:134
射撃:152
技量:144
防御:141
回避:169
命中:191
SP:198
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:A
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
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スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.4
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撃墜数:4

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