転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2203話

 その報告が入ったのは、俺がハワイでギニアスやアイナ、ガトーと話をした数日後だった。

 いつものようにホワイトスターからクレイドルにやって来ると、すぐにルルーがやって来て、俺を連れて政庁に向かったのだ。

 ゲートが設置されている場所は政庁のすぐ側なので、移動するのにそんなに時間は掛からなかったのだが……

 

「それで? 急に俺を呼んで、何の用件だ?」

 

 俺が連れて行かれた場所には、ルナ・ジオンの女王たるセイラ、ルナ・ジオン軍の元帥アンリ、政治家として活動しているジェーンといった者の他に、ラルやシーマ、ダグラス……それ以外にも様々な者達が集まっていた。

 言ってみれば、ルナ・ジオンの幹部全員が揃っている状況だと言ってもいい。

 

「うむ。実はつい先程儂の手の者から連絡が入ったのだが……宇宙要塞ソロモンが、完成したらしい」

「へぇ……ようやくか」

 

 ラルの言葉に、そう頷く。

 宇宙要塞ソロモン。それは、資源採掘用の小惑星を運んできて、MSを含めた兵器の製造工場や生活施設を始めとした各種設備を整え、組み合わせて作っていたジオン軍の……それも、ドズル・ザビ率いる宇宙攻撃軍の拠点とも言うべき場所だ。

 それを作っているというのは、結構前から……それこそ俺がシーマ艦隊のMSパイロットとして働いていた時から、既に知っていた。

 だが、小惑星にそのような各種施設を組み込むといった真似をするのは、当然のようにそう簡単に出来る事ではない。

 いや、本当の意味でただ組み込むだけなら、特に問題はないだろう。

 しかし、組み込んだ上で電気系統やら空気の循環システムやら……それ以外にも様々なライフラインとかを問題ないようにしっかり稼働させるとなると、当然のように大きな手間が掛かる。

 その辺りを全く問題なくするには、やはり相当の時間が必要となるのは当然だろう。

 結果として、ソロモンの改修に今まで掛かったのは……寧ろ、早かったと言える。

 何しろ、元からそれだけ難しい作業であったのに比べて、ジオン軍では現在突撃機動軍の立て直しが急速に進められている状況だ。

 俺がグラナダを占拠する時に消耗した戦力は相当なもので、それをどうにかする必要もある。

 まぁ、俺の攻撃で死んだパイロットがいないのは、ステータスの撃破数で確認してあったので、パイロットの育成を考えなくてもいいのは、キシリアにとって不幸中の幸いだったかもしれないが。

 だが、MSや宇宙戦闘機、軍艦……それらの多くは、基本的に使い物にならなくなっている筈なので、そちらをどうにかする必要があった。

 それでも、ルナ・ジオンを通してシャドウミラーが資源を安く譲渡してるからこそ、ジオン軍も破綻はしてないんだろうが……

 ちなみに、突撃機動軍がここまで被害を出したのは、当然のように連邦軍も知っている。

 宇宙では基本的に戦力を温存する為に、そこまで激しい戦闘が連続して起こったりはしなかったが……その辺りの影響が出たのが、地球となる。

 それを援助する必要があり、宇宙攻撃軍の方も色々と割を食った形となり……結果として、ソロモンの建設にも影響を与えていたらしい。

 まぁ、普通なら……シャドウミラーのような例外を除いて、要塞を建設するのには資源やら労働力やらが大量に必要になる。

 キブツで資源を、メギロートやバッタ、コバッタ、量産型Wで労働力を賄っているシャドウミラーとは違い、ジオン公国にはそういうのもないしな。

 しかもジオン公国は、戦争の最初に他のサイドにも攻撃をして、大勢殺している。

 そのような状況であれば、他のサイドから労働力を連れてくる……などといった真似も出来ないだろう。

 その辺りを考えれば、それこそよくこの短期間でソロモンを完成させたと言ってもいい。

 

「で、そのソロモンだけど……宇宙要塞って事は、俺達が使っている月の周辺にある機動要塞と違って、基本的に移動しないと考えてもいいのか?」

「うむ。基本的にはサイド3を守る為の防衛線を形成する一角だと考えてもいい。……とはいえ、その防衛線を形成する一角のグラナダが今のような状況ではな」

 

 そう言い、苦笑を浮かべるラル。

 微妙に分かっていない様子の俺に向かい、ラルの代わりにシーマが説明する。

 

「いいかい? ジオン公国は、サイド3を守る為の絶対防衛線とでも呼ぶべきものを形成しようとしてるのさ。で、それを形成するのが、月のグラナダとサイド3の最終防衛線にして現在建設中のア・バオア・クーと今回完成したソロモン。けど、ア・バオア・クーとソロモンの2つはともかく、グラナダは突撃機動軍の本拠地ではあるけど、同時に月はルナ・ジオンの手の内にある。そんな状況で絶対防衛線……なんて、とてもじゃないけど、言えないだろ?」

「……まぁ、それはそうだな」

 

 絶対防衛線を形成するうちの1つの拠点が、別勢力の……それも基本的には敵対している相手の手の内にあるというのでは、それこそ洒落にしかならない。

 

「そんな訳で、恐らくだけど現在のジオン軍では絶対防衛線の3つめをグラナダじゃなくて別の場所にしたいと思ってる筈だよ。まぁ、そんな余裕はないだろうけどね」

「寧ろ、私からしてみればソロモンを完成させたことが既に驚きなのだがな」

 

 ダグラスのその言葉に、何人かが頷く。

 それだけ、突撃機動軍が壊滅した影響は大きかったという事なのだろう。

 

「ともあれ、ソロモンってのは基本的に動かない普通の要塞って認識でいいんだな?」

「……寧ろ、あたし達にしてみれば要塞ってのは動かないのが普通な訳で、シャドウミラーが用意した機動要塞みたいに、かなり自由に移動出来るってのがちょっと異常なんだけどね」

 

 呆れた様子で告げるシーマだったが、そのソロモンにしても、ア・バオア・クーにしても、別に決して動かせないって訳じゃないだろうに。

 それこそ、核融合炉を使った移動システムを用意すれば、普通に動かす事は可能になる筈だ。

 その辺の違いは、元から動かす事を前提にして作ったかどうか……というのが影響しているのだろう。

 それこそ、ソロモンとかが移動する事を前提にして設計されていたのであれば、恐らく、まだ完成にはもう少し時間が掛かった……という風に思わないでもないのだが。

 

「ジオン公国みたいに本拠地があるのならまだしも、シャドウミラーの場合は本拠地が次元の狭間にあるしな。それなら、移動出来るようにした方が色々と便利なのは間違いない」

 

 とはいえ、俺の空間倉庫があれば、ソロモンのような普通の要塞でも、自由に運んだりといった真似が出来るのだが。

 実際、バルジを始めとして月の周辺にある機動要塞群は俺が空間倉庫で運んできたんだし。

 

「ともあれ」

 

 俺達の話を聞いていたセイラが、そう呟く。

 その瞬間、その場にいた全員がセイラに視線を向けた。

 少し見ない間に、随分とセイラのカリスマ性が高くなっているな。

 いやまぁ、それは悪い事ではなく、寧ろ良い事なのだが。

 上に立つ人間が無能でカリスマ性も何もなければ、待っているのはお飾りでしかない。

 それを考えれば、有能でカリスマ性の高いセイラというのは、ルナ・ジオンという国の女王としては最適の存在だと言ってもいいだろう。

 ……本人としては、兄のシャアが小惑星を地球に落とすような真似を止める為に、こうした事をやっている、というのが正確なのだが。

 

「ジオン軍がソロモンという要塞を完成させたのは間違いありません。そうなると問題なのは、これからジオン軍がどう動くかでしょう。……アンリ元帥、どう思いますか?」

 

 セイラの視線が、ルナ・ジオン軍の最高責任者たるアンリに向けられる。

 その視線を向けられたアンリは、少し考えてから口を開く。

 

「そうですな。まず以前からの予定通り宇宙攻撃軍はソロモンを拠点とするでしょう。建設途中から既に拠点として使っていましたし。ただ……ここからジオン軍が全面攻勢に出るかと言われると……それは少し疑問かと」

「何故です? 折角ソロモンという要塞が出来たのだから、それを有効利用してもいいのでは?」

「いえ、先程シーマ中佐も言ってましたが、ソロモンというのはあくまでもサイド3を守る絶対防衛線の1つとして作られた要塞です。それに……攻めるにしても、現在宇宙に残っている連邦軍の軍事施設は、ルナツーだけになります。そのルナツーも、現在は基本的に閉じこもっている事が多く、宇宙で戦闘になるのは偶発的な遭遇戦が殆どです」

 

 アンリの説明に、セイラはなるほどといったように頷く。

 勿論、ソロモンが何の役にも立たないという訳ではない。

 それこそ、アンリやシーマが言っていたように、防衛線として考えれば、かなり強固な要塞となるだろう。

 ……シャドウミラーにしてみれば、バルジ砲とかの主砲を遠距離から連続して発射すれば、それこそ何もさせないままで完封する事が出来そうだが。

 

「そうなると、宇宙において暫くの間は平穏な状況が続くと、そういう認識でいいですか?」

「はい。……ただし、それはあくまでも宇宙での話です。ルナツーしか拠点のない宇宙と違い、地球では連邦軍には大きな拠点となるべき基地が幾つもあります。そして、ジオン軍もまた既に占拠した北米やオデッサを始めとして幾つもの拠点を有しており、結果として……地球では激戦が予想されるかと」

「だろうな」

 

 地球に何度も行ってるだけに、俺もアンリの言葉には賛成する。

 実際、ハワイの近くで戦闘が起きた……という話も、聞いてはいる。

 とはいえ、あくまでもハワイの領海の外である以上、月に近づいてきた時のように、こっちから強制的に手を出すような真似は出来ないのだが。

 それに、水中用MSを使える者も、まだそんなに多くはないし。

 ……水中用MSは、やっぱり地上用のMSとかと比べると、色々と違うらしいんだよな。

 水深とかも、きちんと確認する必要があるし。

 でないと、最悪の場合は水圧によってMSが破壊されるという事にもなりかねない。

 そういう意味では、ズゴックにすぐに順応したヴェルナーって凄い。爺さんが漁師をやっていただけの事はある。

 

「なるほど。では、宇宙は膠着状態のままだと考えてもいいのかしら?」

「はい。ソロモンが出来た以上、余計に連邦軍も手を出しにくくなるでしょう。かといって、ジオン軍の方でも、今はルナツーを攻略するような余裕はない筈です」

 

 そう言いながら、アンリはこっちに視線を向けてくる。

 それが何を言いたいのかは、考えるまでもなく明らかだ。

 アンリにしてみれば、俺がグラナダを攻略した際に出た突撃機動軍の被害から、ジオン軍も迂闊な行動には出られないと、そう言いたいのだろう。

 とはいえ、本当にジオン軍がルナツーを攻略するつもりなら、やってやれない事もないと思うんだが。

 だが、それをやらないという事は、ルナツーはジオン軍にとってそこまで重要な代物ではないという事なのだろう。

 ……純粋に、どれだけの戦力があるのか分からないというのも、大きいと思うが。

 

「なるほど。では、ルナ・ジオンとしては……ソロモンに何かちょっかいを出す必要があると思いますか?」

 

 セイラのその言葉に、この場にいる者が様々な表情を浮かべる。

 

「アルテイシア様、一応の確認ですが、我らルナ・ジオンとジオン公国は現在戦争中にある。それは間違いありませんか?」

 

 そうセイラに尋ねたのは。アンリが連れてきた政治家の1人。

 その政治家の言葉に、セイラは頷きを返す。

 

「ええ。その認識で間違ってはいません。一応資源を売るというので、商売相手という風に見る事も出来ますが、実質的には敵だと思いなさい」

「では、いっそソロモンを攻め落とすというのはどうでしょう? ルナ・ジオンとしては、敵対している勢力の要塞を奪うという行為は問題ないかと」

 

 なるほど、と。

 そんな風に頷く者が何人かいるが……セイラは、その政治家の言葉に首を横に振る。

 

「却下します」

「却下……ですか? ルナ・ジオン軍の戦力を考えれば、無理ではないと思いますが」

 

 若干不満そうな様子で尋ねる政治家。

 まぁ、ソロモンを奪うというのは、不可能じゃない。

 ソロモンも出来たばかりで、まだ100%完璧に機能している訳ではないだろうし、ルナ・ジオン軍が精鋭揃いだというのは、ジオン軍も当然知ってるだけに、今の状況で攻めるような真似をすれば、士気も低くなるだろう。

 そう、攻略する事だけを考えているのであれば、難しい話ではないのだ。

 だが……攻略した後はどうするのかという問題が、ここでは重要になってくる。

 

「ソロモンを手に入れたとして……どうするのです? 現在の位置にそのまま置いておくとなると、当然ジオン軍に奪い返されます。そうなると、月に持ってくる必要があり、それはアクセルの力を借りるのですか? ましてや、月に持ってきても、どう運用するのです? 今の私達では、持て余すだけです。それとも、ソロモンを運用する人材もシャドウミラーから借りるのですか?」

 

 その言葉に政治家は何も答えられず……結局、ソロモンに関しては様子見という事になる。

 正直なところを言わせて貰えば、人員の派遣はしても特に問題はないんだけどな。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435

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