転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2189話

 ギニアスの病気を調べるという事は、当然のようにホワイトスターに行く必要がある。

 まぁ、ルナ・ジオンのメンバーはそれなりにホワイトスターに行っている者もいる訳だが……そういう意味では、政庁のすぐ横にシャドウミラーの基地を作ったというのは、正解だった。

 ……実際には、月に設置したゲートを中心に基地を作ったのだが。

 

「これが、ホワイトスター……」

 

 ホワイトスターの中をエアカーで移動していると、ギニアスが好奇心に満ちた視線で窓から外を眺める。

 ちょっとキャラに似合わないんじゃ? と思わないでもなかったが、ギニアスは技術者だ。

 当然のようにホワイトスターに存在するUC世界とは違う技術、もしくはより進んだ技術を少しでも多く得たいと思うのは、当然だった。

 ちなみに、外の様子を見て驚いているのは、ギニアスだけではない。

 ギニアスの妹のアイナと、その護衛として一緒にやってきたノリスも、当然のように興味津々といった様子で視線をホワイトスターの外に向けている。

 とはいえ、アイナの方は興味深いといった様子だったが、ノリスの方はギニアスやアイナに何らかの危害が加えられないかといった意味での視線だったが。

 そんな感じで視線を向けつつ……俺も改めてホワイトスターの中を見る。

 本来なら、ギニアスの健康状態を調べる為、すぐにでもレモンに会いに行けばよかった。

 それこそ影のゲートを使えば、瞬く間に転移が可能なのだから。

 だが、ギニアス達は初めてホワイトスターに来るのだから、と。

 折角なので、ホワイトスターの中を見せてやりたいと思ったのだ。

 ギニアスの宇宙線の件についても、余裕がある訳ではないが、それでも1秒2秒を争う事態という訳ではない。

 ……何より、ギニアス本人がそれを望んだというのもある。

 

「アクセル代表、あれが魔法……ですか?」

 

 アイナの言葉に、視線を窓の外に向ける。

 そんな俺の視界に入ってきたのは……風の精霊で作られた戦乙女が空を飛んでいるという光景だった。

 あの魔法は、確か……

 

「そうだな。ネギま世界で使われている魔法だ。風の魔法として、結構メジャーな魔法だな」

 

 以前、ネギが使っているのを見た事がある。

 とはいえ、ネギは十人――数え方が人でいいのかどうかは分からないが――を超える戦乙女を作り出していたのに対して、視線の先にいる魔法使いが生み出している戦乙女は5人程度だったが。

 

「あれが、魔法……」

 

 興味深そうな様子を見せているアイナ。

 どうやら、魔法に興味を持っているらしい。

 ……そんなアイナとは裏腹に、ノリスの方は一体どうやれば魔法を使ってくる相手からギニアスやアイナを守れるのかといった事を真剣に考えている。

 まぁ、UC世界の人間の場合、基本的にMSがあってこそだしな。

 生身での戦闘力という点で考えれば、普通の一般人にすぎない。

 ホワイトスターで戦闘訓練を行えれば……それもエヴァに教えて貰えれば、また話も別だったのだろうが。

 ともあれ、そんな風にしているうちに俺達はホワイトスターの中心部分……レモンの研究室がある場所に到着する。

 前もってレモンには連絡を入れておいたので、魔法球から出てきて俺達を待ち受けていた。

 

「レモン。悪いな、わざわざ来て貰って」

「あら、気にしなくてもいいわよ。私とアクセルの仲で遠慮なんかしたら、それこそ怒るわよ?」

 

 そう告げるレモンの笑みは、女らしい艶やかさを持っていた。

 とはいえ、ここにいるのは俺だけではない以上、そんなレモンの表情も一瞬にしていつもの気怠げな笑みに変わる。

 

「さて、じゃあ行きましょうか。調べるのは……そっちの彼でいいのよね?」

「……頼みます」

 

 ギニアスは、短くレモンにそう言って頭を下げる。

 そんなギニアスの横では、アイナとノリスの2人が驚きを見せていた。

 ……この2人の様子を見る限り、本来ならギニアスはこうして頭を下げるといった真似をするような人物ではない、といったところか。

 だが、ギニアスにとって今回の一件は、まさに藁をも掴むかのような思いといったところだ。

 サハリン家を名家として存続させるというギニアスの願いは、そんな態度をギニアスに取らせる程のものなのだろう。

 

「ええ、任せておきなさい。完治出来るかどうかまでは、きちんと調べてみないと分からないけど、少なくても今よりはマシな状況に持っていけると思うわ。それに……」

 

 レモンがこちらに意味ありげな視線を向けてくる。

 その視線が何を意味しているのかは、それこそ考えるまでもなく明らかだ。

 もしレモンの技術でもギニアスの身体を侵してる宇宙線の回復が出来ない場合、俺の持つイクシールを使ってはどうかと、そういう視線だろう。

 イクシールは非常に高価な代物だ。

 勿論シャドウミラーが得られる収入を考えれば、ある程度纏め買いは出来る代物ではある。

 あるのだが……それでも、そうほいほいと使う訳にいかないのは、事実だ。

 ネギま世界でイクシールが高価なのは、それこそ作るのに必要な材料が非常に希少だから、というのも大きい。

 つまり、金を出せば幾らでも購入出来るという代物ではないのだ。

 そうである以上、当然ながら数は限られる訳で……実際、シャドウミラーがイクシールを多く購入している影響で、ネギま世界でもイクシールの値段は以前より上がっているって話だし。

 その辺を考えれば、ギニアスが具体的にどれくらい優秀で、ルナ・ジオンやシャドウミラーに対して貢献してくれるのかといったことを調べて、それで問題ないようならイクシールを使ってもいいんだが。

 もっとも、ペルソナ世界で何本かイクシールを使った俺が言うべき事じゃないが。

 ともあれ、ギニアスが提案してきたアプサラス計画。

 それが本当に実現可能なのであれば、間違いなくその基準は満たしていると言ってもいい。

 後は、レモンが宇宙線の治療を出来るかどうかといったところだが……

 

「俺はレモンを信頼してるからな」

 

 そう、告げる。

 そんな俺の言葉に、何故か横で話を聞いていたアイナの頬が赤くなる。

 ……初心な貴族のアイナには、ちょっと刺激が強すぎたか?

 

「あら、嬉しいわね。なら、今夜にでもそれを証明……いえ、いつも通りで十分かしら」

 

 続けられたレモンの言葉に、アイナの頬は更に赤くなった。

 そのようなアイナを面白そうに見ていたレモンだったが、側に控えていた量産型Wに服を持ってくるように告げる。

 

「まずは、貴方の現状がどのような状態なのかを調べる必要があるわ。それで、治療出来るようなら早速治療するけど……その為には、治療用のポッドに入って貰う必要があるの」

 

 ……正確にはあのポッドは治療用という訳ではないのだが、それを敢えて治療用と口にしているのは、ギニアスやアイナ、ノリスといった面々を不安にさせない為だろう。

 実際にあのポッドに入って治療する以上、治療ポッドという言葉も決して間違ってる訳じゃないしな。

 

「だから、まずは治療ポッドに入るのに相応しい服装に着替えて貰うわ。……はい、その服に着替えてちょうだい。そっちの方なら誰にも見えないから」

 

 量産型Wが持ってきた服をギニアスに渡し、レモンがそう告げる。

 ギニアスも、シャドウミラーの治療技術に期待を抱いているのだろう。特に何か文句を言う様子もなく、レモンに指示された方に向かう。

 

「レモンさん、兄の治る可能性はどのくらいでしょうか?」

「そう言われてもね。兄妹なんだから気になるのは分かるけど、まだ何も調べていない状況で治るかどうかと言われても、そう簡単には答えられないわ。でもまぁ、今よりも悪くなるということだけはないでしょうから、安心してちょうだい」

 

 そう告げるレモンの言葉は、いつものように気怠げな様子ではあったが……それでも、自信に満ちていた。

 実際、これまでに何人もギニアスよりも酷い状態だった連中の病気なり怪我なりを治した経験があるだけに、その言葉には強い真実味がある。

 それをアイナも感じたのだろう。数秒前までの思い詰めた表情ではなく、少しだけ力が抜けた様子を見せていた。

 ノリスがそんなアイナの様子に、笑みを浮かべて頷いている。

 ……こうして見ると、ノリスはギニアスやアイナの護衛なのではなく、むしろ親代わりといった風に見えない事もない、か?

 まぁ、そう言われて本人が納得するのかどうかは別の話だが。

 

「着替えたが……これでいいのかな?」

 

 手術着に近い服装になったギニアスが、そう言いながら姿を現す。

 美形というのは、どういう格好をしていてもそれなりに様になるというが……ギニアスの場合は元々が線が細く、病弱な様子を見せている。

 だからこそ、手術着のような服装でも、似合ってしまうのだろう。

 

「ええ、問題ないわ。後は治療ポッドの中に入ってちょうだい。その後は、中に特殊な溶液を流して、ギニアスの身体を調べて……治療が可能なら、一気に治療をするという事でいいのよね?」

「お願いします」

 

 ギニアスではなく、妹のアイナがそう答える。

 ギニアスがちょっと困ったような表情なのは……アイナに自分の言葉を奪われていると判断したからだろう。

 

「分かったわ。じゃあ、早速だけど入ってちょうだい。ただ、まだ彼の身体がどんな様子なのかは分からないから何とも言えないけど、場合によっては治療に数日……もしくは十日以上掛かる事もあるわよ。その辺は問題ない?」

「ええ、その辺については前もってアクセル代表に聞いてるので、アイナとノリスに任せておく事にしていますので」

 

 ギニアスのその言葉にアイナとノリスの2人は頷く。

 サハリン家の現在の当主はギニアスなんだろうが、短期間であればアイナやノリスといった面々でも仕事は可能なのだろう。

 ……とはいえ、サハリン家に連なる者が全員クレイドルまでやってきて、その住居やら何やらを手配する必要があるのを考えると、結構な仕事量な気もするが。

 ああ、でもすぐに大勢がハワイに行くと考えれば、そっちの準備も必要になるのか?

 ともあれ、ギニアスはアイナとノリスの2人に暫くサハリン家を頼むと言ってから、治療ポッドの中に入っていく。

 そうしてポッドが閉じられると、早速液体が投入される。

 ギニアスはそんな液体を若干驚いた様子で見ていたものの……やがてポッドの中がその液体に満たされると眠りにつく。

 

「さて、後はこっちでやるけど……貴方達はこれからどうするの? 別にここで待っていてもいいけど、それだとちょっと暇なんじゃない?」

「いえ、出来ればここで……」

 

 そう言うアイナに、ノリスも無言で同意するように頷きを返す。

 そんな態度を取られる事は、前もって予想していたのだろう。

 レモンはそれ以上は特に何を言うでもなく、自分の仕事に戻っていく。

 

「じゃあ、俺はそろそろ行くぞ。アイナとノリスが何か分からない事だったり、やりたい事だったりがあるのなら、量産型Wにでも命じてくれ。もしくはコバッタでもいいけどな。ただ、言うまでもないが……妙な真似はしないようにな。ジオン公国や連邦、もしくはそれ以外の勢力だったりから、結構な数のスパイが入り込んでいる。もっとも、そういう連中は結局何も出来ないままで捕まって収容所に送られているんだが」

 

 まぁ、その収容所というのも普通に考えられる収容所じゃなく、農地にする予定の場所なんだが。

 今でも、毎日のように農業に汗をし、作物を植えたり、地面を耕したり、草を抜いたりしている。

 ああ、それと農薬ではないが虫除けとかに効果のある液体……いわゆる、無農薬農薬と呼ばれている物を散布したりもしてるな。

 肉体労働的には結構厳しいが、収容所とかで尋問をされるよりは待遇は悪くない筈だ。

 ……もっとも、相変わらず食事はマブラヴ世界の合成食、それも俺達が改良するよりも前の奴なので、その味はお察しの通りだが。

 

「そんな事はしません」

 

 俺の言葉に、アイナは即座にそう言ってくる。

 自分がスパイをすると、そんな風に受け止めてしまったのだろう。

 今のは俺の言い方も悪かったから、しょうがないが。

 

「そうしてくれれば、こっちも助かる。ただ、出来れば紛らわしい行動は取らないでくれると、こっちとしても誤解しないで済むから助かるんだけどな」

「……分かりました。その辺は十分に気をつけます」

 

 若干気分を害してしまった様子のアイナ。

 てっきり大人しい性格かと思っていたんだが、その見掛けとは違って結構気が強いらしい。

 

「そうしてくれ。ああ、けど普通にホワイトスターの中を見回るのなら問題はないから、シャドウミラーがどんな国なのかというのを、自分の目で見て回るのも面白いかもしれないな」

 

 そう告げ、俺はその場から立ち去るのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435

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