転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2171話

「連邦が動き出してから、すぐにこれか。いやまぁ、連邦の顔色を窺っていたってのは分かってるんだけどな」

 

 連邦から視察団を派遣したいという連絡を貰って、数日。ルナ・ジオンの政治を担当しているジェーンやルルー、セイラといった面々や、そのフォローとしてシャドウミラーから派遣されている政治班の面々が何とか話を纏めたと思ったら、今度はサイド6からもクレイドルを見てみたいという要望が来た。

 サイド6というのは、このUC世界において極めて特殊な地位を持っている。

 具体的には、ジオン公国と連邦がお互いの窓口として使う為に、サイド6を中立として扱っているのだ。

 サイド6自体には、独自の戦力という物はない。

 いや、あるにはあるが、あくまでも自警団程度の代物で、とてもではないがMSとかに対応出来る代物ではない。

 つまり、名目上は中立ではあるが、実質的にはジオンと連邦にいいように利用されているだけな訳だ。

 そのおかげで、サイド6全体で見てもかなり儲けているらしいんだが。

 そんなサイド6がルナ・ジオンに接触してきたのは、純粋にルナ・ジオンが自分達の利益になると、そう思ったからだろう。

 なら、何故もっと早く接触してこなかったのかと言えば……連邦が俺達と接触するのを待っていたといったところか。

 サイド6にしてみれば、ルナ・ジオンと接するのは絶対に連邦よりも後である必要があった。

 中立とはいえ、実質的に連邦の支配下にあるも同然である以上、連邦よりも先に動くというのは色々と問題になったのだろう。

 

「それで? 結局サイド6の扱いはどうするんだい? あたしとしては、そういう日和見的な態度はあまり面白くないんだけどね」

「……シーマ中佐の言いたい事は分かるが、それでも引き受けざるを得ないだろう。それに、上手くいく可能性は非常に小さいが、もしかしたら……本当にもしかしたらだが、俺達の行動によってサイド6が偽りではなく、本当の意味で中立になるという可能性も否定はしきれない。そうなれば、こちらにとっても色々と有利になるのは間違いない」

 

 ダグラスの言葉に、それを聞いていた者達もなるほど、と頷く。

 実際、サイド6が本当の意味で中立になってくれるのであれば、それはルナ・ジオンにとって……そして、ルナ・ジオンの後ろ盾たる俺達シャドウミラーにとっても、非常にありがたい。

 とはいえ、言ったダグラスも恐らく自分で言った内容は厳しいと判断しているのだろう。本人ですら、その辺はあまり本気にしてるようには見えない。

 

「とりあえず、出来ればいいや程度の話か」

「そうなるな」

 

 俺の言葉に、ダグラスも素直にその件を認める。

 

「それで、サイド6を受け入れるとして……具体的には、どういう対応にするつもりだ? まさか、連邦軍と一緒の対応って訳にもいかないだろ?」

「そうですね。一段……いえ、もう少しランクを落とした対応になるかと。もっとも、そのような対応であっても、サイド6の使節団の方々が驚くのは確定でしょうが」

 

 自信に満ちた笑みを浮かべるジェーン。

 その気持ちは分からないでもないんだけどな。

 向こうにしてみれば、それこそバッタやコバッタといった無人機を直接見る事になるのだから。

 この世界、MSを開発するだけの能力はあるのに、無人機の類はないんだよな。

 それこそ、マクロス世界のゴーストとか、そういうのを開発してもおかしくないと思うんだが。

 それとも、その辺りもミノフスキー粒子が関係してるのか?

 まぁ、何をするにしても、接触する相手は多ければ多い方が色々と手札は増える。

 それを考えれば、やはり今回の一件はルナ・ジオンにとってありがたいと言ってもいい筈だった。

 とはいえ、こちらで手加減をするような事は考えていないのだが。

 

「で、連邦とサイド6がこっちに接触してきたとなると……ジオンの方はどうなっている? ああ、この場合はクレイドルの視察という意味で」

 

 もしかして、密かに話が進んでいるのではないか。

 そんな思いでジェーンとルルーに尋ねるが、帰ってきたのは首を横に振るという行為のみだ。

 

「残念……もしくは、幸いにもと言うべきでしょうか。現在のところ、ジオン公国からの視察の要請は入っていません。ただし、クレイドルに住んでいる人達がジオン公国にいる知り合いに連絡をしたりしてるので、その辺りから情報を入手している可能性はありますが」

「……聞くまでもないけど、暗号とかそういうのでこっちの重要な情報は流されたりしてないよな?」

 

 なんだかんだと、現在クレイドルにはかなりの移住希望者がいる。

 もしくは、マハルのようにサイド3のコロニー出身の者もいるので、それらの中には間違いなくスパイの類が入っている。

 勿論、そのスパイの出所がジオン公国だけとは限らないのだが。

 いや、こっちの情報を少しでも多く知りたいと思うのは、当然のようにジオン公国よりも連邦だ。

 であれば、寧ろ連邦からのスパイの方が多いと言われても、俺は寧ろ納得出来るだろう。

 

「その辺は大丈夫です。こちらで色々と手を打っていますので」

 

 ジェーンが自信満々にそう告げるのを見ると、正直なところ微妙な感じに思ってしまう。

 キシリア機関仕込みの、何らかのえげつない方法を使っていると、そう思えてしまうのだ。

 もっとも、味方になってくれれば、これ程に心強い存在もそうないのだが。

 

「そうか、なら俺からはこれ以上言う事はないな。……何だかんだと、こっちでも大分人材が揃ってきたな。……ジェーンの教育の成果か?」

「いえ、そんな事はありません。皆で協力した結果ですよ」

 

 ふふふ、と。どこか千鶴を思わせるような笑みを浮かべるジェーン。

 その笑みを怖いと思ってしまうのは、俺が千鶴を知っているからか?

 とはいえ、今のジェーンの笑みを怖いと思っているのは俺だけではないらしく、他に何人もジェーンからそっと視線を逸らしている。

 それこそ、ジェーンを秘書として使っていたダグラスですらそんな感じなのを思えば、そんな風に思う俺の思いは決して出鱈目でも何でもない筈だ。

 

「あー……それで、だ。まず1つ聞きたいのは、スパイへの対応についてだな。今のところは農場に突っ込んでマブラヴ世界の食料を食べさせて適当にやってるけど」

『ああ……』

 

 俺のその言葉に、皆が心底嫌そうな表情を浮かべていた。

 まぁ、直接マブラヴ世界の合成食、それも改良されていない不味い方を食わされたのだから、それも当然だろう。

 UC世界においても、食事というのは当然のように大きな意味を持つ。

 コロニーの中では、マブラヴ世界程ではないにしろ、食料を食えない者というのはいる。

 そういう者達にしても、マブラヴ世界の合成食は食べたくないと思うのだから、その威力は凄まじい。

 皆が嫌そうな表情をしているのを見て、俺は無理矢理話を戻す。

 

「とにかくだ。適当にやってるけど、その連中はどうなんだ?」

「……どうって? 具体的にどういう意味?」

 

 俺の言葉の意味が分からなかったのか、そう告げてくるセイラ。

 

「あー、例えばだ。農業をやっていてそれが楽しくなってきたから、スパイじゃなくて本格的に農業をやろうとするようになったとか、そういう感じで」

 

 俺達は優しかった――正確には食料の為に農業をやる奴が出来るだけ多く欲しかったのだが――から、スパイだと判明しても殺したりといった真似はしなかった。

 これが、もしジオン公国や連邦であれば、恐らく即座に殺される……といった真似はしなかっただろうが、代わりに自白剤とかを散々に使われて、結果として薬物中毒になっていた可能性は否定出来ない。

 それを考えれば、ルナ・ジオンの対応は優しいといえる。

 もっとも、中にはあの合成食を食うくらいならいっそ殺してくれと言ってくる奴がいる可能性も十分にあるのだが。

 ともあれ、今の状況で俺達がやるべき事は、とにかくクレイドルに居住したいと思う者を出来るだけ増やす事だ。

 もっとも、だからといって、スパイとか破壊工作員とか、そういう存在はいらないのだが。

 

「どうなの?」

 

 俺の問いに、セイラの視線がルルーに向けられる。

 それを受けたルルーは、少し考えてから口を開く。

 

「そうですね。全くいないという訳ではないでしょうが、それでも人数としては多くないかと。……勿論、合成食には嫌気をさしている者も多いようですが」

 

 ルルーの言葉に、皆が納得しつつ、同時に驚きもする。

 あの合成食を食べて、それでも尚そのような事を言うとは……と。

 

「こっちに転んだ奴の懐柔は?」

「ラル大尉の部下の、タチ少尉にやって貰っています。彼も色々と忙しいのでしょうが、今の状況を考えると、あまり悠長にもしていられないので」

 

 あー……タチか。

 仮にも情報部にいただけあって、今は色々と忙しいと聞いている。

 何だかんだと、ルナ・ジオンの中で情報部のように動ける者はどうしても少ないんだよな。

 だからこそ、その経験のあるタチに、その辺りの皺寄せがいく。

 もっとも、タチはその件をそこまで苦には思っていなかったらしく、寧ろ嬉々として働いているという話を聞いているが。

 

「それで、タチの仕事ぶりは?」

「何人か、といったところですね。……スパイといっても、ようは諜報員、情報部の一員です。それだけに、タチ少尉とも馬が合うのでしょう」

 

 ジェーンのその言葉に、ラルが自慢げに笑みを浮かべる。

 ラルにしてみれば、タチは自分の部下だ。

 今は所属が違うようになったが、それでもよくタチが現れては色々と話をしているのを、俺も見ている。

 だからこそ、ラルは嬉しそうなのだろう。

 ……ハモンが微妙に困ったような笑いを浮かべているのが気になるが。

 もしかして、ハモンはタチを嫌ってるのか?

 いや、2人が会話しているのを見たことがあるけど、そんな感じではなかった。

 であれば、それ以外に何かあると、そう考えた方がいいだろう。

 もっとも、それで俺が思いつくような事はないが。

 下世話な感じだが、タチも男だ。間違いなく美人と呼んでもいいハモンに、何か思うところあるのかもしれない……と、そう思うのはどうなんだろうな。

 とはいえ、男女間の事は他人には分からない。

 であれば、その辺りの可能性があってもおかしくはない。

 ……ちなみに、男女間の事となると、実は俺はルナ・ジオンの面々――ただし初期メンバー以外――からは、かなり嫉妬の視線を向けられていたりする。

 いやまぁ、毎日のように連れている女が違い、更には連れている女の誰もが美人と呼ぶに相応しい人物なのだから、その辺は当然なのだろうが。

 とはいえ、その件で自分と付き合えと強引に言い寄った男も何人かおり……まぁ、結果として数人が多少の怪我を負ったり、ガンドによって病気となる事になったのだが。

 

「情報部、か。……ルリとラピスはともかく、長谷川に連絡を取ってみるか? 向こうが承知すれば、バイトとして雇っても構わないぞ?」

 

 バイトという言葉に何人かが笑みを漏らすが、実際に長谷川の能力を考えれば、バイトであっても非常に強力なのは間違いない。

 ネットワークを支配する女王……というのはちょっと言いすぎかもしれないが、長谷川は実際にそれだけの能力を持っているのは間違いないのだ。

 もっとも、本人はあまり仕事をやる気がなく、それこそニート生活を楽しんでいるのだが。

 ただ、ニートではあっても金を稼がなければ生活はしていけない。

 そうである以上、当然どこかで働く必要はある。

 もっとも、長谷川が本当に金を稼ぐ気になれば、それこそ幾らでもそのような手段はある。

 それをやらないのは、長谷川の中にも矜持とでも呼ぶべきものがあるからなのだろう。

 ……本人に言えば、そんなのは面倒くさいだけだと、そう言われそうではあるが。

 ともあれ、そんな長谷川だが、言えば多分面倒臭がりながらも協力してくれるのは多分間違いない。

 ルナ・ジオンの面々も、そんな長谷川の能力については当然のように知っている。

 何しろ、ルナ・ジオンの建国宣言の時にルリやラピスと共に長谷川も協力してその能力を見せつけたのだから。

 ただ、それでも笑みを浮かべたのは……やはり、そこでバイトという言葉が色々と対照的だったからだろう。

 

「とにかく、そんな訳で長谷川を雇うのなら、俺は止めない。いや、寧ろ積極的に雇って欲しいとすら思っている。……どうだ?」

「そう言われても……前向きに検討する、としか言えないわね」

 

 結局セイラは長谷川を雇わないかという俺の言葉に、それだけを返すのだった。

 ……出来れば、長谷川にはシャドウミラーに就職して欲しいとは思うんだけどな。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435

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