転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2147話

 運命の日……の翌日。

 俺はクレイドルの格納庫にいた。

 昨日の放送でセイラが言った通り、今日はこれからグラナダに攻め込むのだ。

 それも、実質的な戦力は俺1人だけで。

 ちなみにバッタやメギロートも連れていくが、そちらは俺の戦闘を全世界に中継する為で、戦闘に参加する予定はない。

 ……ちなみに、なぜバッタやメギロートが1機でないのかと言えば、単純にジオン軍の攻撃によって被弾する可能性を考えての事だ。

 メギロートであれば、そうそう被弾はしないだろうし、もし被弾してもそこまで致命傷は受けないだろう。

 だが、カメラ機能の方に被害が出ないとも限らないし、何よりもバッタの方はザクは勿論、歩兵の攻撃でも普通に撃破される可能性がある。

 だからこそ、複数の機体を引き連れていくのだ。

 複数のアングルから見るというのも、この場合は臨場感を高める意味で効果はあるだろうし。

 

「にしても……また、随分と人が多いな」

 

 格納庫に集まっている者達に視線を向け、思わず呟く。

 何故なら、そこにはシャドウミラーの面々は勿論、ルナ・ジオンの主要メンバーもその殆どが揃っていた為だ。

 ラルやシーマ、黒い三連星、ダグラス、アンリ。

 それぞれの部下達も揃っており、それこそシャドウミラーとルナ・ジオンの首脳陣大集合といったところか。

 

「あたし達との模擬戦で使った機体……ミロンガ改だったかい? あの機体も尋常じゃない性能だと思ったけど、アクセルの専用機ってのは、それよりも凄いんだろ? なら、それを見る機会を逃す筈がないじゃないか」

 

 そう告げるシーマだったが、どうやら他の面々も同じ気持ちらしい。

 それどころか、シャドウミラーの面々ですら興味深げにしているのを見れば……まぁ、しょうがないか。ニーズヘッグはシャドウミラーのフラッグシップにして、最強の象徴だ。

 そのニーズヘッグが改修されたのだから、一度はそれをしっかりみたいと思っても不思議ではなかった。

 

「アクセル、あまり勿体ぶらないで、さっさと見せてくれよ!」

 

 アウルのその声に、他の者達も声に出したり出さなかったりはするが、概ね同意の意見だと言ってくる。

 そうだな。こうしている間にも、グラナダではこっちの到着を今か今かと待っている筈だ。

 であれば、こちらとしても向こうを待たせないように、そろそろ向かった方がいいか。

 

「じゃあ、出すぞ」

 

 少し離れた場所に移動し、俺は空間倉庫からニーズヘッグを出す。

 あまりにあっさりとした行為ではあったが、それでもしっかりとニーズヘッグが空間倉庫から姿を現したのは間違いない。

 

『おお』

 

 ざわり、と。

 そんな声が聞こえてくる。

 ニーズヘッグから放たれる迫力は、それこそ軍人ではなく、戦いに身を置いていない者であっても理解出来るだけのものがある。

 特に、俺の宝具となって魔力属性を得てからは、より一層その迫力を増していた。

 

「ザクよりも小さい。小さいが……この機体から感じる、圧倒的なまでの迫力は一体何だ?」

 

 ラルがニーズヘッグを見ながら呟いている。

 まぁ、ニーズヘッグは15m程度の小型機だからな。ザクに比べれば、どうしても小さくなってしまう。

 それでいて、その迫力はザクとは比べものにならないのだから、驚くのは当然だろう。

 ……そして、今のニーズヘッグを見て驚いているのは、シャドウミラーの面々も同様だった。

 ニーズヘッグを見慣れているシャドウミラーの者達にとっては、それこそ尻尾が生えた程度の違いしかない。

 だが……ただでさえニーズヘッグはラスボス系の見た目をしているのだから、そんなニーズヘッグに尻尾が生えてしまうと……

 

「なぁ、アクセル。お前……一体、どこを目指してるんだ?」

「いや、どこって言われてもな」

 

 ムウの呆れたような声に、そう言葉を返す。

 実際、別に俺がニーズヘッグをラスボスっぽくして欲しいと要望した訳ではなく、気がついたらいつの間にかこういう形になっていたというのが、正しいとこだ。

 ……ん? そうなると、俺の本性がやっぱりラスボスとか、そういう風になるのか?

 取りあえずその辺を考えるのはやめて、俺はそのまま空中に浮かび上がってニーズヘッグのコックピットに向かう。

 いきなり空中に浮かんだ姿に、俺が空を飛べるという事を知らなかった者達が騒いでいるのが聞こえてきたが、それはスルーしておく。

 そうしてニーズヘッグのコックピットに乗り込むと、すぐにT-LINKシステムによって俺だと認識される。

 機体が起動し、ツイン・ドライブの力によって空中に浮き上がる。

 そんなニーズヘッグの周囲には、映像を中継する為のメギロートやバッタが存在していた。

 新しく増えた尻尾の状態を確認するように、動かしてみる。

 既に最終調整が終わっているとはいえ、やはり新しく繋がれた尻尾というのは、まだ完全に馴染んでいる訳ではない。

 もっとも、そういう意味でも今日のグラナダ攻略作戦はちょうど良かったのかもしれないが。

 そんな風に思いながら尻尾を動かしていると、格納庫の隅にルリとラピスの姿を見つける。

 2人もこの尻尾の開発に協力したのを思えば、やはり今の状況に色々と思うところがあるのだろう。

 心配そうな視線をこちらに向けてくる2人に、心配はないと軽く尻尾を振る。

 ……そんな行動であっても、ルリとラピスはそれが自分達に向けられたものだと理解したのだろう。少しだけ安心した様子を見せた。

 そんなルリとラピスをその場に残し、俺はメギロートやバッタを引き連れてクレイドルの外に出る。

 すると、当然のように月面が周囲には広がっており……その事に、若干新鮮な感覚を覚える。

 今までにも拠点を――このような大きさではなかったが――作った事はそれなりにあったが、それは地球上だったり、もしくは地球でなければ火星だったりとする事が多かった。

 そういう意味では、月に拠点を作ったのは……多分、初めてと言ってもいい。

 数分の間月面を見て、それから今度はグラナダに機体を向ける。

 昨日の時点ではシステムXNを使おうかと思っていたのだが、今回の目的は突撃機動軍を完璧に倒す事だ。

 つまり、恐らく……いや、ほぼ間違いなく、グラナダに向かう途中で俺達を待ち伏せている部隊がいる筈だった。

 こっちがグラナダを攻めると言ってるのだから、突撃機動軍にしても大人しくグラナダで待っているような真似はしないよな。

 クレイドルがどこにあるのか分かっているのだから、その道中で待ち伏せして、可能なら奇襲を仕掛けるというのは、普通に考えて十分に有り得る話だ。

 いや、常道と言ってもいい。

 わざわざ、グラナダという自分達の本拠地で戦いを行い、周辺に被害を出そう……などとは、普通なら思わないだろうし。

 そして、俺を待ち伏せているというその光景もまた、今回に限っては全世界に生中継される事になる。

 

「さて、一体どんな歓迎の仕方をしてくれるのやら。……まさか、戦力の逐次投入なんて真似はしないと思うけど」

 

 向こうにしてみれば、俺がどんなコースでグラナダまで来るのかは分からない。……とはいえ、あれだけ自信満々にグラナダを潰すと宣言した以上、回り道をして……とは、まず考えたりはしない筈だ。

 月の地形を調べておけば、具体的にどの辺りでこっちを待ち伏せするのかという事を予想も出来るのだが、ルナ・ジオンが建国した翌日ともなれば、まだそこまで情報は集まっていない。

 もっとも、メギロートやバッタのおかげでクレイドルの周辺は既にほぼ全ての地形を把握したのだが。

 そうなると、いずれ他の場所もしっかりと地形を把握するようにする必要があるが……さて、どうなるんだろうな。

 そんな風に思いながら地球の6分の1という重力の中を移動していると……

 

「っ!?」

 

 T-LINKシステムによって、こちらへの敵意を感知。すぐに機体を移動させる。

 次の瞬間、バッタ1機が放たれたビーム……メガ粒子砲によって、消滅した。

 やっぱりな。予想した通りこっちを待ち伏せしていたか。

 とはいえ……いきなりここでバッタが1機撃破されるというのは予想外だった。

 いや、それ以前にまさか待ち伏せ部隊に軍艦を用意するというのも、更に予想外だったのは間違いない。

 言うまでもなく、軍艦というのはMSよりも建造コストは高い。

 そうである以上、当然のようにそう簡単に使い捨てられる代物ではないのだ。

 だが……今のジオン軍において、メガ粒子砲というのは軍艦でなければ撃つ事は出来ない。

 勿論ジオン軍でもMSに持てるメガ粒子砲……いわゆる、ビームライフルの類は開発してるらしいが、その開発には難航しているとか。

 ちなみに、ジオン公国の中で一番ビーム兵器に対して優位を得ているのが、俺達にとってもお馴染みのMIP社だ。

 恐らくMAを開発していると思われるだけに、ビーム兵器は命綱的な存在なのだろう。

 ともあれ、レーダーを使って軍艦の場所を見つけ……ちっ、見つけたと思った次の瞬間にはミノフスキー粒子のせいでロストした。

 とはいえ、ミノフスキー粒子を散布するのが少し遅かったな。

 これがMSであれば、こっちが向こうの反応を感知した後で逃げるといった真似も出来ただろう。

 だが、それが軍艦であれば違う。

 どうしても軍艦はその巨体故に、鈍重になってしまう。

 ……もっとも、システムXNの類いを積んでいたりすれば。話は別だろうが。

 そんな風に思いながら、メギロートとバッタがそれぞれニーズヘッグの行動を中継しているのを確認しつつ、反応のあった方に向かう。

 ツイン・ドライブの速度を全開……という訳にいかないのは、メギロートやバッタを置いていく訳にはいかないからだ。

 この辺、ちょっと面倒だな。

 ただまぁ、グラナダの中に入ってしまえば、どのみちそこまで速度を出すような真似は出来ない。

 そうなると、面倒なのは今だけだろう。

 それに、バッタはともかくメギロートはかなりの速度で移動できるので、少なくても移動速度が遅くて敵に狙い撃ちされるといった真似はないだろう。

 事実、今もメガ粒子砲が放たれているが、向こうは完全にこっちの姿を見失っているのが分かる方に向かって飛んでいったのだから。

 そうして進んでいった俺に見えてきたのは……ムサイ級が2隻とパプア級が3隻。そして指揮を執っていると思われるチベ級が1隻。

 それらの艦から、何機もの戦闘機が姿を現す。

 その戦闘機がどのような機体なのかは、俺もジオン軍にいただけあって知っていた。

 ガトルにジッコ。ジオン軍の宇宙戦闘機だ。

 正確には宇宙爆撃機だったり、突撃艇だったりするのだがこの場合は纏めて宇宙戦闘機でいいだろう。

 そんな宇宙戦闘機が50機近く……真っ直ぐニーズヘッグ目掛けて襲いかかってくる。

 

「厄介だな」

 

 思わず呟く。

 撃破するだけであれば、宇宙戦闘機の相手はそう難しい話ではない。

 だが、今回のグラナダ攻略作戦においては、相手を出来るだけ殺さないという戦闘方針がとられている。

 つまり、このまま宇宙戦闘機を撃破するといった真似は絶対に出来ない。

 キシリアがそこまで狙っていたのかどうかは、俺には分からない。分からないが……それでも、今の状況が面倒な事になっているのは確実だった。

 

「まぁ、ニーズヘッグの慣らしと考えれば、そこまで悪くはないか?」

 

 ニーズヘッグの性能が高性能なだけに、それこそ楽な相手との戦いでは慣らしと呼ぶには不足してしまう。

 そんな訳で……

 

「ファントム!」

 

 あえてT-LINKシステムはフル稼働させず、普通の状況のままでヒュドラからファントムを発射する。

 基本的にニーズヘッグに搭載されている武器はどれも威力が強いが、このファントムの場合はT-LINKシステムによって操作されていて、なおかつ本体――という表現が正しいのかどうかは分からないが――が小さいこともあり、相手のコックピットに直撃を与えるような真似をせず、推進機関だけを狙うといった事が出来る。

 T-LINKシステムによって、ファントムは俺の思った通りに動き……やがて次の瞬間、こちらに向かってきていた宇宙戦闘機の多くの推進器が突然爆発するといったことが起きる。

 それでいながら、この推進器の爆発でコックピットそのものに被害が出ないようにコントロールしていたので、寧ろそちらの方に気を遣ったが。

 続いて他の宇宙戦闘機も次々に損傷していき……残ったのは、軍艦だけ。

 MSの類を積んでいないのは、グラナダでの戦闘に使えるからか。そして戦闘機はグラナダでの戦闘で使えないからこそ、ここへ投入してきた訳だ。

 放たれるメガ粒子砲を回避しつつ、ファントムを使って軍艦の推進器やメガ粒子砲、対空砲座、主砲、ミサイル発射管……といった武装を次々に破壊していく。

 そうして気がつけば、戦闘開始から数分と経たずに敵は全滅――死者は出ていない筈だが――となっていたのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435

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