転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2146話

 ルナ・ジオンの建国宣言をしたその日の夜……俺達、つまりシャドウミラーの幹部陣とルナ・ジオンの幹部陣は、クレイドルにある政庁……いや、城の中でパーティーをしていた。

 建国宣言をした日のパーティーなのだから、当然のように盛大に祝っている……という訳ではない。

 勿論、ラルを始めとした面々は喜んでいるのだが、今は喜ぶよりも実際に話し合うべき内容が幾つもあった。

 

「それで? ルナ・ジオンに接触してきてるのは?」

「……今はまだ0ね。もっとも、接触しようにも伝手がないんだから、それが当然かもしれないけど」

 

 レモンの問いに対するエザリアの言葉に、なるほどと納得する。

 普通であれば、どこかしらでルナ・ジオンと接触しようとする者が出てくるのは間違いない。

 連邦はジオン軍に対する戦力としてルナ・ジオンを使いたいだろうし、ルナ・ジオンに……セイラに目の敵にされているジオン公国にしても、表向きはともかく裏では接触を持ちたいと思っている筈だ。

 だが、接触するにしても連絡先が存在しない。

 今の状況で連絡をとるのであれば、直接ルナ・ジオンの首都たるクレイドルまでやって来る必要がある。

 だが、そのような真似はそう易々と出来る事ではなく、少なくても今のところやって来る様子はない。

 

「となると、やっぱり本格的な接触は明日のグラナダ攻略戦以後か」

「そうね。だからこそ、セイラもこっちの力を見せる必要があると思ってああいう事を言ったんでしょうし」

 

 エザリアのその言葉に、セイラは笑みを浮かべてスープを口に運ぶ。

 四葉が作ったこのスープは、当然のように非常に美味い。

 

「ともあれ、今のところは計画通りに進んでいるな。……千鶴、住居の手配はどうなっている?」

 

 マハルの住人や首都防衛大隊の家族、ケン達の家族。

 何だかんだと、結構な人数がクレイドルの住人としてやってきたのだが、当然それらの住人には住居を与える必要がある。

 まぁ、クレイドルの、特にこの城の周囲には最初からある程度建物が準備されているので、住む場所に困るという事はない。

 ないのだが……どこに住むのかといった感じで喧嘩をする可能性もあるのを考えると、やはりその辺は警戒して貰う必要があった。

 

「ああ、その辺は大丈夫よ。幾らか騒動もあったみたいだけど、バッタや量産型Wの方で無事に仲裁したらしいから」

 

 量産型Wはともかく、バッタはどうやって仲裁するんだ?

 一瞬そんな疑問を抱くも、取りあえず問題がないというのであれば、俺もそれ以上突っ込む必要はないだろう。

 

「なら、いい。……取りあえずクレイドルの住人には仕事を与える必要もあるが……その辺もちょっと難しいな」

 

 クレイドルに住人を集めたのはいいが、今の状況では特にやるべき仕事はない。

 なら、もう暫くはクレイドルという環境に慣れて貰う必要があるだろう。

 

「それは駄目よ」

 

 だが、そんな俺の言葉に異を唱えたのは、エザリアだった。

 

「駄目? 何が駄目なんだ?」

「仕事を与えないという事がよ。数日程度はいいわ。このクレイドルに慣れる為にもね。けど、それ以上にそんな日々が続くとなれば、間違いなく働く気力をなくしてしまうわ。それに、食料とかも配給するんじゃなくて、自分で買わせるようにした方が、後々は楽になるわ」

「そうか? マブラヴ世界の、あの不味い合成食だろ? それなら自然と仕事をするようになると思うけど」

 

 実際、あの不味さというのは尋常ではない。

 特に四葉の料理を始めとして、美食と呼ぶべき料理を食べ慣れてしまった俺にとって、あの合成食はとてもではないが食べたいとは思わない。

 シャドウミラーやマクロス世界が協力した合成食であれば、まだ何とか食べるのは不可能ではないんだけど。

 もっとも、それはあくまでも俺だけであって、マハルで暮らしている者達にとっては、それこそ食べられるだけでも十分だと、そう思うのかもしれないが。

 

「グラナダの制圧が終われば、月の近くにあるデブリ帯からデブリを持ってくるといった真似も出来るんだがな」

 

 そう言ったのは、スレイだ。

 なるほど。普通の奴にしてみれば、スペースデブリはゴミでしかない。

 だが、俺達に限っては、その質量がそのままキブツで元素変換が可能となる。

 実際、他の世界でもゴミの類を処理費用を貰ってまで引き受け、それをキブツでこちらの資源としてるしな。

 このUC世界では、いわゆるジャンク屋ってのがそれなりに活発らしい。場合によっては、それなりの企業もそんな仕事に参加してるとか。

 考えてみれば当然なのだが、コロニーとかを使っている場合、そういう、いわゆるスペースデブリの類は天敵に等しい。

 ましてや、今までのコロニー建設やら何やらで出て来たスペースデブリの類もかなりの量になるが、今はジオンの独立戦争中だ。

 1週間戦争やルウム戦役のように、宇宙で行われる戦いも多いし、それ以外でも細かい遭遇戦は起きているらしい。

 であれば、スペースデブリの数は加速度的に増えているだろう。

 そうである以上、そういうのを回収するジャンク屋ってのは重要な存在となるのは間違いない。

 

「月の近くにあるデブリ帯はかなり大きいらしいから、取りあえずどうしても仕事がない場合はそっちに回るのも手だな。……もっとも、宇宙空間での作業だけに、色々と危険はつきものだが」

「そうね。他には……このクレイドルはかなり広いんだし、やっぱり農業とかそっち系も育てた方がいいと思うわ。ホワイトスターの方で食料の類を用意する事は出来るけど、いざという時……それこそ、何らかの理由でゲートが使えなくなった時の事を考えておいた方がいいわ」

 

 千鶴の言葉に、セイラを含めた他の面々も頷く。

 シャドウミラーはルナ・ジオンをバックアップしているが、それが永遠に続く訳ではない。

 ましてや、いつ何が起きるか分からず、場合によってはゲートが封鎖されるといった事態になりかねない事もある。

 その辺を考えると、食料に関しては可能な限り自給する必要があるだろう。

 幸い、クレイドルはマクロス世界の技術により、水や空気に関しては基本的に循環がきちんとされている。

 それこそ、故意に宇宙空間に酸素や水を大量に流出させない限りは、それらが足りなくなるという事はないし、いざとなればそれをどこかから調達する事も可能だ。

 ……この辺、マクロス世界で移民船団として動いている者達に比べると、恵まれていると言ってもいい。

 とはいえ、結局食料は自分達でどうにかする必要があるのだが。

 ただし、クレイドルは北海道以上の広さを持つ都市であり、当然農地として使える場所も大きい。

 少なくても、農家として働く分には仕事がなくなるという事はないだろう。

 食糧自給率100%というのは……今の人数はともかく、将来的に住人が増えると、ちょっと難しいだろうが。

 あー、ただ肉とかは……

 

「コロニーの住人の中……いや、今回クレイドルにやってきた者の中で、牧畜の経験があるような相手は……いるのか?」

 

 多分駄目だろう。

 そう思いながら、それでももしかしたらと思って尋ねるが、ルナ・ジオンの関係者は全員がそんな俺の言葉に反応しない。

 

「となると、誰かしらには牧畜の類をやって貰わないと、肉が食えなくなるな。いや、普段はホワイトスターから渡す事も出来るけど、自給自足ってのを考えると……」

「あれ? じゃあ、肉だけじゃなくて魚もじゃないか?」

 

 オルガがそう呟く声が聞こえてきたが、確かにそれも間違いないんだよな。

 いや、寧ろ牧畜よりも魚……漁師の方が難しそうな気すらする。

 ああ、でもヴェルナーがいるのを思えば、漁師はそっちに任せてしまえばいいのか?

 爺さんから、漁をやる上で色々と聞いてるみたいだし。

 もっとも、ヴェルナー自身はサイド3育ちだ。

 爺さんから漁についてのアドバイスはされているだろう。

 だが、実際に漁をやった事がない以上、そのアドバイスは本当に使えるのかどうかは分からないし、また同様にもしそのアドバイスが正しくても、本当にその通りに出来るのかといった問題もある。

 であれば、やっぱり知識だけで漁師の仕事を知っているヴェルナーに頼るだけではなく、実際に漁師をやってる人物を連れてくる必要があるだろう。

 

「漁師か。取りあえず経験者がいないとどうしようもないから……いっそ、どこか他の世界から連れてくるか?」

「いいのかい?」

 

 ヴェルナーの話題だったからだろう。自分の部下についての事だからこそ、シーマは黙って話を聞いてる訳にはいかなかったといったところか。

 

「ああ。もっとも、最善なのはこの世界の地球で漁をしてる奴を連れて来られる事なんだけどな。ただ、今の状況で地球からルナ・ジオンに移住したいと考える奴がどれだけいるのか……いやまぁ、そういう奴がいるのは、分かってるんだけどな。それでも、すぐにって訳にはいかないし」

 

 ホワイトスターがどのような場所かは分からないが、現在の状況よりはマシになると考えて、移住したいと思う者や、異世界という言葉に魅力を感じるような者は絶対にいる。

 

「結局は、明日の戦いが終わってからだろうな。……セイラ、エザリア、そっちの準備はいいんだよな?」

「ええ、こっちは問題ないわ」

「勿論政治班の方も、準備は整ってるわ。……ふふっ、明日は面白くなりそうね」

 

 少し離れた場所で明日の打ち合わせをしていたセイラとエザリアの2人が、揃って俺にそう言ってくる。

 特にエザリアは、珍しく興奮しているように笑みを浮かべていた。

 ……今までシャドウミラーの政治班として色々と活動してきたのは間違いないが、ルナ・ジオンは今まで関わってきた件とは大きく違うからな。

 大きな動きという意味では、例えばマクロス世界で宇宙生物のバジュラと行った生存競争……いや、あれは結局シャドウミラーが来たのが最後の最後だったから、そこまででもないのか?

 そうなると、マブラヴ世界か。

 あれは、正真正銘世界の危機だったが、シャドウミラーと他にも色々な世界の協力もあって、マブラヴ世界は生き残る事が出来た。

 それどころか、様々な世界からの技術のおかげもあって、地球上からBETAのほぼすべてを排除する事に成功し、今ではマブラヴ世界にとってのBETAというのは、シャドウミラーと取引をする上で重要な資源でしかない。

 後は……ああ、ギアス世界では一応国作りに協力はしたな。

 ただ、地球のユーラシア大陸の一部という事で、やはり今回に及ばない。

 そう考えれば、やはり今回のルナ・ジオンの一件は色々と大きいという事なのだろう。

 

「一応確認しておくけど、明日の戦いでは可能な限り人を殺さない。それでいいんだな?」

「ええ、それでお願い。……甘いと思う?」

 

 確認するように尋ねたセイラに、俺は首を横に振る。

 もしこれが、単純に殺したくないからという理由であれば、俺はセイラに甘いと言っただろう。

 だが、今回出来るだけ殺さないようにしてほしいというのは、勿論人死にが少ない方がいいというのもあるが、それ以上にジオン軍……特に明日戦うべき相手となる、突撃機動軍を相手に、俺の力を見せつけるというのがある。

 当然ながら、相手を殺さないというのは殺すよりも何倍も手間が掛かる。

 それだけに、突撃機動軍の全ての戦力を殺さずに無効化する事が出来れば……更に、その光景が全世界に生中継されるとなれば、当然のように俺が……そしてシャドウミラーがどれだけの力を持っているのかというのを、これ以上ない形で示す事になるだろう。

 そうなれば、攻撃を仕掛けられたジオン軍にしても、連邦軍にしても……俺達に対して、強く言えなくなる。

 セイラがそれを狙っているというのは、以前からの相談で分かっている。

 

「必要な行動なら、俺だって別に不殺を否定はしない。それに……幸いって言い方はどうかと思うが、ニーズヘッグの改修が終わった事で、相手を無力化する手段も増えたしな」

 

 ニーズヘッグの尾の、電気を流して相手の機体をショートさせるという効果や、ウルドの糸を使ったハッキング能力。

 これらを使えば、相手の無力化はそう難しい話ではない。

 ……今までニーズヘッグの弱点は、手加減的な攻撃が苦手だった事なんだよな。

 そう思えば、今回の尻尾で弱点はなくなったようなものだ。

 新型のT-LINKフレームのお陰で、水中でもビーム兵器が使えるようになったし。

 

「そう? ……ありがとう、アクセル。明日の戦いでは私は何も出来ないけど、アクセルなら必ず勝つと信じてるわ」

「勝利って点では問題ないだろ。俺がどれだけの強さを持っているのかってのは、それこそ俺と初めて触れあった時に、分かった筈だろ?」

「……そうね。でも、やっぱり心配なものは心配なのよ。それくらいはしてもいいでしょう?」

 

 そう告げるセイラに、俺は好きにしろという意味も込めてお茶の入ったコップを掲げる。

 

「ルナ・ジオンの勝利に乾杯」

「ちょっと気が早いわよ。……乾杯」

 

 俺とセイラの持つコップが、心地良い音を立てるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435

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