転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2124話

 模擬戦を終えてリリー・マルレーンに戻ってくると、機体から降りる。

 幸い俺のFS型は何ヶ所かペイントの飛沫が付着しているだけで、これを取り除くのはそう難しい話ではないだろう。

 だが……と、俺の視線は黒い三連星が使っていたS型に向けられる。

 黒い三連星という異名に相応しく、そのパーソナルカラーは黒。

 黒なのだが……その機体には黄色いペイントが派手に付着している。

 一番ペイントのついている量が少ないのは、ヒートホークで倒された先頭の機体だ。

 もっとも、その機体も2機目のS型が撃ったザクバズーカの砲弾を俺が迎撃した時にペイントが付着していたのだが。

 俺の機体に微かに付着しているペイントも、この時のものだ。

 俺の場合は十分に離れていた事もあって、損傷らしい損傷と模擬戦のシステムに認識される事はなかったが。

 ともあれ、FS型から降りると近くで唖然とした表情でこちらを見ているメカニックに声を掛ける。

 

「どうした、そんなに唖然とした表情で」

「いや、だって……お前、相手は黒い三連星だぞ? それを相手に1機だけで挑んで、その上で殆ど無傷って……」

「そこまで驚く事じゃないだろ。俺はこの艦に搭載している12機のザクを相手にしても勝ったんだぞ? なら、3機くらいには勝ってもおかしくない」

「いや、それはお前。あの時お前が乗ってたのはザクじゃなかったし」

「ああ、そう言えばそうだったな。とはいえ、その後もヴェルナーとシミュレータとかやってたし、降下作戦の時に連邦軍を思い切り叩いたんだから、納得出来ない……って訳じゃないんじゃないか?」

「それは……」

 

 メカニックが何かを言おうとするが、ふと俺の後ろの方を見てその動きを止める。

 後ろを見なくてもそれが誰なのかというのは、容易に想像出来た。

 

「機体の方はもういいのか? ガイア」

 

 そう言い、振り向いた視線の先には予想した通りガイアの姿があり、オルテガとマッシュ2人の姿もあった。

 ただし、その3人の俺を見る目は明らかに模擬戦を行う前とは違う。

 勿論俺が生身でどれだけの力を持っているのかというのも見せた以上、こっちを侮るつもりは向こうもなかっただろう。

 だが逆に言えば、それは向こうも本気でこっちに戦いを挑み、それで正面から完全に力負けしたという事なのだ。

 それも、自分達3機は撃破扱いで、俺のFS型は小破すらせずに。

 

「お前……何者だ?」

 

 ガイアから返ってきたのは、そんな言葉だ。

 その目には、若干だが畏怖の光すらある。

 ……まぁ、黒い三連星って異名を持っているだけあって、当然のようにガイア達も高いプライドを持っていただろうし、そのプライドに見合うだけの実力も示してきた。

 そんなガイア達だけに、俺の実力を信じられないと思っても当然だろう。

 いや、寧ろあからさまに怯えたりしないだけ、さすがと言うべきか。

 

「何者、か。そうだな。俺もその辺を説明したいところだが……」

 

 そう言い、この場で話す事ではないと気が付く。

 実際、現在メカニック達は揃って機体に付着したペイントを除去しており、かなり忙しいのが目に見えて分かる。

 そんな時にわざわざ格納庫で話をしていたりすれば、それこそメカニック達に邪魔者扱いされてもおかしくはない。

 

「場所を移すぞ。幸い、このリリー・マルレーンは広いからな。俺の為の部屋もある」

 

 一応ムウ・ラ・フラガ少尉は、リリー・マルレーンに所属するMSパイロットだ。

 士官だけあって、当然のように個室は用意されていた。

 ……とはいえ、実際に俺がシーマ艦隊の一員として動くのは、もうそう多くはないんだろうが。

 ルナ・ジオンを建国すれば、当然シーマ艦隊もこっちに来るんだが……その時、恐らくリリー・マルレーンから乗り換えるという事を許容出来るかがちょっと疑問だ。

 何だかんだと、シーマはこの艦に対して強い愛情を持っているからな。

 かといって、この艦をそのまま使うのは性能的にどうかと思うから、改修作業は必須なのだが。

 そんな風に思いながら、俺は無言で俺の後ろについてくるガイア達を引き連れて、俺の部屋に向かう。

 ちなみに、途中でシーマにも俺の部屋に来るように伝言を頼む。

 お互いに好意――男女間のものではないが――を抱いている女を自分の部屋に呼ぶというのは、色々と誤解されかねないものではあるが……ガイア達が一緒なら、特に問題はないだろう。

 もっとも俺が欲したのは、シーマもそうだが通信で繋がっているラルの方だったが。

 ともあれ、個室に入るとそれぞれに座って貰う。

 あくまでも個室である以上、男が4人もいると狭く感じる。

 特にオルテガはかなりの巨体だし。

 

「さて、取りあえずシーマが来るまでに多少は話しておくか」

 

 そう言いながら、部屋にある冷蔵庫からお茶を取り出してガイア達に渡す。

 ……お茶といってもペットボトルとかそういうのではなく、無重力でも飲めるようにストロー付きの容器に入ってる奴だが。

 

「悪いな。……それで、話ってのは何だ? お前が勝ったら俺達に何でも1つだけ命令する事が出来るって話だったが、その件か?」

 

 お茶を受け取りながら言葉を返してきたガイアに、少しだけ驚く。

 どうやら格納庫からこの部屋にやって来るまでの間に、ある程度精神を立て直したらしい。

 

「そうだな。その件にも関わってくる。詳しい説明はラルからして貰うが、お前達3人には俺達が現在計画している作戦に協力して貰う。結果として、ジオンという国を裏切る事にはなるだろうがな」

「……何?」

 

 やはりジオンを裏切るという言葉が引っ掛かったのか、ガイアが鋭い視線をこちらに向けてくる。

 黒い三連星にとっても、ジオンという国は愛すべき故郷といったところなのか?

 もしくは、それ以外にも別の理由があるのか。

 

「その作戦ってのは、具体的にどんな代物だ? ラル大尉が絡んでるとなると、よっぽどの事だろうが」

「そうだな。よっぽどの事ってのは間違いない。お前達にとっても、そして俺にとってもな」

「具体的にはどんな事をするんだ? 細かい内容はラル大尉に聞くから、大雑把な内容でいいから教えてくれ」

「構わないが、その前に1つ聞かせてくれ。お前達は、本当にさっきの模擬戦で行われた賭けの内容に従う気があるのか?」

 

 そう言いながら、ガイア、オルテガ、マッシュの順に視線を向ける。

 そんな俺の言葉に、ガイアが口を開く。

 

「あれだけの啖呵を切って模擬戦をやって、その上で3人掛かりで負けたんだ。その上、賭けの内容を反故にするなんて真似は、とてもじゃねえけど出来ねえよ。だろ?」

「ああ」

 

 ガイアの言葉に真っ先に頷いたのはマッシュ。

 オルテガの方は、一瞬言葉に迷うも……やがて、不承不承ながらも無言で頷いた。

 オルテガは最初に俺と揉めただけに、素直に認める事も出来ないのだろう。

 それでもしっかりと頷いた辺り、信用してもよさそうだ。

 

「もしこちらの命令を裏切ったりした場合、当然相応の覚悟をして貰う事になる。それでもいいな?」

「……嫌だと言っても、ここで抜ける事は出来ないんだろうが」

「そうだな」

 

 実際、まだ軽くではあるが事情を説明している以上、こちらとしてはガイア達が嫌だからと言っても、それを許容する訳にはいかない。

 それこそ、最悪の手段としては模擬戦で岩塊にぶつかって死亡……という、最悪の事故を起こさなければならなくなる。

 ガイア達はその辺の事情を知っているのか、いないのか。

 ともあれ、こっちの命令をしっかりと聞くと断言したのは、俺としても助かったと言える。

 

「なら、聞く必要はないだろう。……ムウだったか。お前が外見とは全く違う存在であるという事は理解出来ている。そうである以上、ここでは大人しく話を聞いた方がいい」

 

 そう言い、ガイアは黙るとお茶を口に運ぶ。

 オルテガとマッシュの2人も、ガイアが自分達のリーダーだというのは理解しているのだろう。それ以上は何も言わず、黙り込む。

 そうして数分が経過し……

 

「何だい、男同士で黙り込んで。辛気くさいね」

 

 待っていたシーマが姿を現す。

 

「そっちこそ、随分と遅かったようだな」

「ふんっ、マハルまで戻るように指示を出してきたのさ。そうなれば、当然のように遅くなってもおかしくはないだろ?」

「ああ、なるほど。ここはサイド3から結構離れてるからな。……さて、そんな訳で通信機の方はいいか?」

「ああ」

 

 俺の言葉に頷き、シーマはこちらに通信機を渡してくる。

 

「ラル、映像を出すぞ」

『うむ、構わん』

 

 そうラルが返事をしたのを確認し、通信のモードを変更する。

 空間映像スクリーンとでも呼ぶべき場所に、ラルが……そしてエデンの様子が表示された。

 

『なっ!?』

 

 そんな映像に驚愕の声を上げたのは、当然のように黒い三連星の面々。

 まぁ、本来ならこの世界にある訳ではない技術である以上、そう疑問に思っても当然か。

 いや、もしかしたら似たような技術はあるのかもしれないが、俺は見た事がないし。

 

『ふむ。久しぶりだな、兵隊やくざ共』

「ラル大尉、これは……一体……」

 

 驚愕の声を漏らすガイアに、映像の向こうのラルはニヤリとした笑みを浮かべる。

 自分が散々俺達シャドウミラーの技術に驚いたんだから、ガイア達にも驚いて欲しいといったところか。

 とはいえ、このままでは話が進まないので、ラルに声を掛ける。

 

「取りあえず、俺達が何をどうしようとしてるのか……その辺りの事情を説明するべきじゃないか?」

『そうか。……正直なところ、その辺りはアクセルが話せばいいと思うのだがな』

「アクセル?」

 

 マッシュが訝しげに呟く。

 ああ、そう言えばそうだったな。その辺の説明もしてなかったか。

 

「悪いな。ムウ・ラ・フラガってのは俺の偽名だ。……正確には、俺の仲間にムウ・ラ・フラガって奴がいるんだが、そいつの名前を借りて、俺はこうしてムウ・ラ・フラガと名乗っている訳だ。正確には、アクセル・アルマーという」

「……そんな事が……」

「まぁ、普通なら出来ないだろうね。けど、あんた達も知ってるだろう? マハルは言ってみればスラム街だ。戸籍のない奴も多い。事実、海兵隊の中にはそんな連中も多いんだ。であれば、1人くらい戸籍のない奴がいても、おかしくはないだろう?」

 

 マッシュの言葉に、シーマがそう答える。

 実際、マハルってのがどんな場所なのか……それは俺にも分からない。

 とはいえ、俺は今まで色々とスラム街に行った事はあるので、恐らくそれと同じような感じなのだろうというのは、容易に予想出来た。

 それは、シーマの部下になった海兵隊の者達の性格がはっきりと表している。

 

「それで、何を考えてわざわざ偽名でジオン軍に入ったんだ?」

 

 そう告げてくるのは、シーマとマッシュの話を聞いていたガイアだ。

 話が始まってから、妙にオルテガが静かだが……恐らく自分の役割は身体を動かす事で、頭を使うのは他の2人に任せているといったところか。

 

「何、難しい事じゃない。さっきも言ったけど、俺達は現在進めている計画がある。それを行う為には、多くの……それこそ幾らでも人材は必要となる。それこそ、ラルとかシーマとか、な」

「クーデターでも起こすつもりか?」

「惜しい」

 

 ガイアの言葉にそう返す。

 実際、ラルとシーマ……ダイクン派として冷遇されているラルと、汚れ仕事ばかりをさせられてジオン公国という国に不満を抱いているシーマ。この2人の組み合わせを考えれば、クーデターという考えを思いついてもおかしくはない。

 もっとも、幾らシーマ艦隊とラル隊が腕利き揃いとはいえ、個人としてそこまでの力もない。

 乗るMSも多少違えどザクしかないだろうし、操縦技術もジオン軍の中で高いとはいえ、ジオン軍には他にも異名持ちのエースパイロット達がいる。

 それこそ、俺の前にいる黒い三連星や、未だに行方を掴むことが出来ていない赤い彗星のシャアとか。というか飛び回っているのだから、シャアを見つける事が出来ないのは当然なのかもしれないが。

 結局今のところ、シャアがズム・シティ辺りに戻ってくるまで待つしかないんだよな。

 もしくは、建国宣言でセイラがアルテイシアだと言えば、シャアの方から接触してくる可能性は十分にあるのだが。

 

「惜しい? では……一体何を?」

 

 俺の惜しいという言葉に、ガイアは驚きの表情を浮かべる。

 ガイアも、自分が冗談で口にした言葉がまさかそう返されるとは思ってもいなかったのだろう。

 

「まぁ、そうだな。……端的に言って、ジオン・ズム・ダイクンの1人娘、アルテイシア・ソム・ダイクンが行う建国だよ。黒い三連星には、その新国家……ルナ・ジオンの建国に全面的に協力して貰う事になる」




アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435

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