転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2123話

 周囲を見回したガイアは、ラルの声が聞こえてきたのがシーマのいる方だと知って、そちらに近づいていく。

 一応階級としてはシーマが中佐でガイアが大尉らしいのだが……正直なところ、お互いにそういうのを気にするタイプじゃないんだよな。

 

「ラル大尉?」

『うむ、久しぶりだな』

「ええ、まぁ。俺としては、ラル大尉が色々と噂の絶えないこの連中と親しくしているのが驚きですがね」

 

 ん? シーマの持っている通信機を見ても特に驚く様子がないな。

 一応あの通信機もシャドウミラー製で、ジオンの技術とは違うんだが……まぁ、映像を出していない限りは、普通に通信機にしか見えないのか。

 

『色々とあってな。今回の件も、最初から見させて貰っていた。アク……ムウの見掛けに騙されたな。この男は見掛けに拠らず相当の強さを持っている。そういう意味では、この結果は見えていた事だ。だが……そうだな。儂から1つ提案をしよう。エンデュミオンの鷹も黒い三連星も、その異名は生身での戦いではなくMSでの戦闘で得られたものだ。そうである以上、戦いの決着はMSの模擬戦で行ってみてはどうかな?』

「へっ、模擬戦ですかい。それはこっちとしても助かりますけどね。……どうだ?」

 

 ガイアがラルの言葉を聞き、俺に尋ねてくる。

 だが、俺の返事は決まっている。

 

「分かった、模擬戦で勝負を付けよう。ついでにハンデだ。そっちは黒い三連星3人全員で、こっちは俺1人でいい」

 

 その言葉に、ガイアが言葉に詰まる。

 まさか、そんな事を言われるとは思っていなかったのだろう。

 いや、それはラルも同様なのか、通信機の向こう側で絶句している様子が窺えた。

 それだけ黒い三連星は強いという事なんだろうが……だからこそ、こっちの力を思い知らせる事により、反発を出来るだけ抑えられるのだ。

 もっとも、力の差を理解してもこっちに噛みついてくる奴とかもいるのだが。

 

「……本気で言ってるのか?」

「ああ。……言っておくけど、別に黒い三連星を甘く見ている訳じゃない。アナンケを沈めてレビル将軍を捕らえたその力は、間違いなく一流と言える。ただ……それでも、俺はお前達3人を揃えたよりも、自分の力の方が上回っていると思う」

 

 ガイアにそう言葉を返すと、やがて向こうも別に俺が侮っている訳ではないと理解したのだろう。獰猛な笑みを浮かべる。

 

「いいだろう、エンデュミオンの鷹がそこまで言うんだ。こっちは3機……黒い三連星勢揃いで相手をしてやろう」

「おい、ガイア!?」

 

 オルテガの口から、戸惑ったような声が上がった。

 血の気の多いオルテガにしても、まさか自分達のリーダーのガイアがそんな事を言うとは思ってもいなかったのか。

 だが、折角話が纏まりつつあるのに、それを覆すような真似はして欲しくはない。

 出来るだけ早く、話を纏めてしまうべきか。

 

「ただし、こっちが1機、そっちが3機なんだ。当然のようにこっちが勝ったら、俺がオルテガに言ったように、こっちの命令を1つ絶対に聞いて貰うぞ。それこそ、お前達がどう思おうと、問答無用でだ」

「ふっ、いいだろう。オルテガ、マッシュ、こいつは本気で自分だけで俺達に勝つ気らしい。こっちも真剣にやらせて貰うぞ」

 

 こうして、エンデュミオンの鷹VS黒い三連星という、場合によっては金を取る事が出来る模擬戦が行われる事になるのだった。

 

 

 

 

 

 模擬戦は以前シーマ達とミロンガ改を使って行った宙域でやる事になった。

 ……下手にサイド3から確認出来るような場所で戦ったりした場合、間違いなく軍の上層部や、場合によってはザビ家からちょっかいを掛けられる可能性がある為だ。

 特に近い将来にはルナ・ジオンを建国する俺やシーマとしては、出来るだけザビ家との接触は少なくしたい。

 その為に、こうしてわざわざ離れた場所までやって来たのだ。

 尚、ラルは当然ズム・シティのエデンに残っているが、セイラ含めてエデンにいるメンバーは通信機越しに俺と黒い三連星の映像を見る事が出来ている。

 ゲートを使った通信はフォールド通信の技術が組み込まれているという事もあり、ミノフスキー粒子とかがあっても、普通に通信出来る……どころか、映像とかも送れるのは大きいよな。

 もっとも、その映像は通信機を通してリリー・マルレーンの映像を見る、という形になっているのだが。

 ちなみに、リリー・マルレーンのMS搭載数は12機で、無理に俺のFS型を入れて、色々と作業に支障があるが、13機だ。

 そこに更に黒い三連星のMSを搭載する訳にもいかず、結局リリー・マルレーン所属のMSの中でも4機はマハルに残してくる事になった。

 当然の事ながら黒い三連星が使っているMSは、S型だった。

 いやまぁ、ルウム戦役では連邦軍の旗艦を撃破し、レビルを捕らえるなんて大手柄を上げたんだから、現在の最高品質のS型を与えられるのは当然だったが。

 おまけに、シーマのS型にしてもそうだが、S型を受け取ってもそのままって事は基本的にはない。

 大抵が自分に合うように改造してるのだ。

 もっとも、改造しているという意味では俺のFS型も十分に改造されているのだが。

 

『こっちの準備は終わった。そっちはどうだ?』

 

 通信を送ってきたのは、当然のようにガイア。

 パイロットスーツを着ているその様子は、まさに歴戦の勇士といったところか。

 

「問題ない。模擬戦のシステムも上手く動いている」

 

 そう告げ、FS型のシステムを念の為にチェックする。

 ちなみに黒い三連星のS型は、リリー・マルレーンのメカニックは誰も手を出していない。

 この模擬戦はただの模擬戦ではなく、勝った方が負けた方に何でもいいから命令出来るという賭けでもあるのだから、それを考えれば当然だろう。

 ……そう言えばメカニックのことをメカニックマンと呼ぶ事もあるけど、整備員には女もいる。その場合もメカニックマンなのか? それともメカニックウーマン?

 ふとそんなどうでもいい事を考えるが、すぐに機体のチェックをしていく。

 とはいえ、今回は前回の作戦の時のようにシュツルムファウストを装備したりはしていない。

 あれは、あくまでも対艦用に持ち出した武器なのだから。

 相手が黒い三連星ともなれば、シュツルムファウストを大量に持っているというのは、向こうにとって良い的でしかない。

 操縦技術という一点で考えれば、俺は黒い三連星の面々よりも上回っている自信がある。

 だが、純粋に機体の性能となると、S型はFS型よりも上になるのだ。

 それが3機相手にするとなると、当然のようにこっちが不利だ。

 勿論こっちには幾つも奥の手が存在している。

 特に精神コマンドなんかは、その最たる例だろう。

 しかし……俺はこの戦いで精神コマンドを使うつもりは一切なかった。

 黒い三連星というのは、間違いなく強力なエースパイロット達なのだろう。

 それは分かる。分かるが……だからといって、このような場所で奥の手を使わなければならないというのでは、これから先、恐らく長く続くだろう戦いで勝ち続ける事は出来ない。

 いや、勿論シャドウミラーの機体を使えば当然のように勝つ事が出来るだろう。

 だが、それではあくまでも機体性能で勝っているのであって、俺の操縦技術ではそこまで意味をなさないという事になりかねない。

 である以上、やはり俺はここでその力を見せる必要がある。

 

『そうか。では……シーマ中佐。合図を頼む』

『あいよ。いいかい、お互いに無様な真似は見せるんじゃないよ』

 

 この場合の無様というのは、卑怯な真似という意味とも取れる。

 もっとも、その卑怯なというのは、戦術とかそういう意味ではなく、相手のMSに何らかの仕掛けをしたりといったような事を意味しているのだろうが。

 

『じゃあ……始め!』

 

 その言葉と共に、俺は一気に前に出る。

 黒い三連星との距離はそれなりに開いているが、FS型よりも機動性が上の向こうに、先手を取らせるような真似はしたくない。

 その為、まずはこっちから一気に前に出る必要がある。

 黒い三連星が得意としているのは、その名前通りに3人揃っての一糸乱れぬ連係プレイ。

 であれば、こっちが機先を制して向こうをまずは落とす必要がある。

 そんな俺の狙いに、映像モニタに表示された向こうは一瞬……一瞬だけ動揺したように見えた。

 だが、すぐ我に返ると、動揺した状態から精神的に立て直す。

 そうして、次の瞬間には他の2人が先頭の機体の後ろに隠れるように、こっちに向かってくる。

 普通の……それこそ、その辺の腕の奴がこのような行為をすれば、前との距離が開きすぎて意味がないだろう。

 かといって近すぎると、今度は前の機体にぶつかってしまう。

 特に真ん中の機体がこの場合は一番技量を必要とする。

 そうなると、もしかして真ん中にいるのは黒い三連星を率いてるガイアだったりするのか?

 そんな風に思っている間にも、俺と黒い三連星の間合いは縮まっていく。

 さて、そこからどう動く?

 向こうの動きを見る為に、特にこっちからは何も行動を起こさず、真っ直ぐに黒い三連星との間合いを詰めていく。

 向こうもこのチキンレースに付き合う気になったのか、こちらを攻撃する様子がないまま距離が縮んでいき……このままでは俺の機体にぶつかると思ったのか、もしくは勝負に勝つ方が先決だと判断したのか。

 その辺りの理由は分からなかったが、先頭のS型は俺に向けてザクマシンガンを撃ちつつ……不意に横にずれる。

 その挙動を感じた瞬間、俺も相手が撃ってきたザクマシンガンのペイント弾を回避しつつ、FS型を先頭の機体の動きに追従させる。

 機体の反応は当然の如く鈍いのだが、それでも何とかこっちの予想通りの動きにはなってくれて……まさか自分の行動を先読みされたとは思わずに驚いたらしい先頭の機体に向け、ザクマシンガンを撃とうとするが……それよりも前に背後から真ん中の機体がこっちに向かってザクバズーカを撃ってくる。

 ちっ、こっちの動きに合わせて柔軟に対処するというのは、さすが異名持ちといったところか。

 咄嗟にスラスターを使い、先頭の機体を狙うのを止め……バズーカの砲弾を回避する。

 当然ながら俺の機体が回避した以上、バズーカの砲弾はFS型のすぐ横を通り抜け……そこに、俺は頭部バルカンを撃ち込む。

 これが模擬戦である以上、頭部バルカンの弾丸も当然のようにペイント弾ではあるのだが、そのペイント弾であっても砲弾を破壊するには十分な威力があった。

 そうして砲弾が爆発した事によって周囲に散らばったペイントは、先頭の機体に幾つかの汚れを作る。

 本来なら、もっと盛大にペイントによって汚される筈だったのだが、そうならなかったのは俺が砲弾を回避している間に多少なりとも距離を取っていたからだろう。

 それでも小破……とまではいかないが、損傷の判定は下され……それを確認するまでもなく、俺はFS型の機体をAMBACとスラスターを使って動かしながら、最後の3機目に向かってザクマシンガンの銃口を向ける。

 3機目のS型は、ちょうどこっちに向かって距離を詰め、ヒートホークを振り下ろそうとしているところだった。

 恐らく特注品なのだろうそのヒートホークは、一般的にザクが使っているヒートホークよりも一回り近く刃の部分が大きい。

 本来ならヒートホークというのは熱で相手を溶かし切るといった攻撃をする武器なのだが、これは模擬戦である以上、当然ヒートホークも本当の意味で使われている訳ではない。

 刃の部分にペイントが詰まった入れ物を付けており、ヒートホークがぶつかればペイントによって相手にダメージ判定が下るといったシステムとなっている。

 機体を動かしながら、こっちに急速に近づいてくる巨大なヒートホークを持った機体に、ザクマシンガンを連射する。

 向こうもこの状況で自分が攻撃されるというのは完全に予想外だったのか、特に何か反応をするまでもなく、幾つもペイント弾が命中して撃破扱いとなる。

 そのまま最終的にヒートホークを振り下ろすことなく、その場から離れていったのは、潔いと言えるだろう。

 そうしてザクバズーカを撃ってきた機体に対しても頭部バルカンを撃って撃破扱いとなる。

 ……けど、システム上はともかく、この頭部バルカンにそこまでの威力があるとは思えないんだけどな。

 ともあれ、2機目のS型も撃破判定ということで大人しくその場を去っていく。

 そうして残ったのは、小破には届かないながらも機体を損傷しているS型と、全くの無傷たる俺のFS型。

 2機は向き合い……どちらからともなく同時に相手との距離を縮める。

 当然その際にもお互いに武器を使って相手を牽制する事は忘れない。

 ザクマシンガンのペイント弾が行き交い、頭部バルカンのペイント弾も放たれ……そうして距離が縮まったところで、ザクマシンガンを放り投げ、ヒートホークを抜き……すれ違いざまに振るわれたその一撃を回避し、俺は相手のコックピットにヒートホークによるペイントを付けるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435

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