転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0199話

 一月もしないうちにこのオーブが戦場になる。その言葉が俺の口から出た後、周囲は沈黙に包まれる。しかしそれを破ったのはやはりと言うか、無茶・無理・無鉄砲が信条のカガリだった。

 

「ふざけるな! 何故オーブが戦場にならなければいけない!」

「事実だ。ザフトはこの後、パナマ基地を攻撃してマスドライバーの破壊に成功する。つまり連合軍が使用可能なマスドライバーが全て無くなる訳だ。そうなった連合軍はどうすると思う?」

「今の連合軍じゃ1から建設って訳には……いかないよなぁ」

 

 ムウが溜息と共に言葉を紡ぐ。

 

「でもアクセル、パナマにはアラスカからかなりの戦力が移動していた筈よ。それだけの戦力が集まっているパナマをザフトがそう簡単に攻略出来るとは思えないんだけど」

「マリューの言ってる事は分かる。だが、ザフトにはとある秘密兵器があってな」

「秘密兵器?」

「ああ。グングニールと呼ばれる対電子機器用特殊兵器だ。簡単に言えば強力極まりないEMP発生装置だな。これの使用が前提となっているパナマ基地攻略作戦だからザフトのMSは当然それ相応のEMP対策をしているが、グングニールの存在を知らない連合軍はそのEMPをまともに食らって電子機器を使っている兵器は全滅だ。……拳銃やナイフでMSに挑んで勝てるとは思わないだろう?」

「……そう、ね」

「そうして全てのマスドライバーを失った連合軍はマスドライバーと、ついでにG兵器を開発したモルゲンレーテを手に入れる為にオーブへと攻め込んでくる訳だ」

「アクセルさんは何故そんなに確信を持ってオーブが戦場になると断言出来るんですか? その、あくまでも今のはアクセルさん自身の予想でしかないんでしょう?」

 

 キラの言葉に、俺はウズミの方へと視線を向ける。

 

「以前に同じ話を聞いたウズミ代表としてはどう思う?」

「少なくても、あの時に君が言っていた話は事実だった……としか言えないな。キラ君の質問は私の疑問でもある。その答えも教えて貰えるのかな?」

 

 ウズミの言葉に数秒考えるが、これから同盟を組もうと言うのだからこちらの力を見せつけておく必要もあるだろう。力の無い集団と見くびられては同盟を結ぶどころかこちらの技術力のみを狙ってちょっかいを出してくる馬鹿がいないとも限らない。セイラン家とかセイラン家とかセイラン家とか。そしてついでにセイラン家とか。

 

「そうだな……まぁ、いいだろう。ただ、これから見せるものはこの場にいる6人以外には秘密としてもらいたい。それが約束出来るのなら」

 

 俺の言葉に全員が頷いた事を確認し、再び口を開く。

 

「俺には生まれつき幾つかの特殊な能力が備わっている。この場合の特殊な能力というのは、キラ達のようなコーディネーターみたいにナチュラルよりも運動能力が高いとかそういう話ではなく、文字通りに『特殊』な力だ。例えば……」

 

 パチンっと指を鳴らして俺の右側に空間倉庫を展開する。同時に脳裏に浮かぶ空間倉庫のリストからスパロボの世界で購入してあったペットボトルのお茶を1本ずつ取り出してその場にいる面々へと渡す。

 

「冷たい……」

 

 渡されたペットボトルが冷えていた事に驚きの声を上げるキラの様子を見ながら話を続ける。

 

「特殊な空間を倉庫として使う事の出来る空間倉庫。あるいは……」

 

 マリューの持っているペットボトルへと意識を集中して念動力を発動。その手から逃げるように空中に浮かぶペットボトル。

 

「念動力と言われる……まぁ、ある種の超能力だな」

 

 この念動力に関して言えばスライムの吸収によって手に入れた力だから正確には生まれつきのものではないが……俺が使える力であるのは間違いないし、ここはハッタリとして生まれつきの力という事にしておく。

 

「他にも何個かあるが……」

 

 ふと思いつき、久しぶりに他者に対してのステータス閲覧能力を使ってみる。

 予想通りにキラとカガリのスキル覧にはSEEDと表示されていたが、カガリの方は俺のギアスと同じく灰色になっている。まだ発現していない為だろう。

 

「その中でも大きなもので言えば、大まかな歴史の流れを知る事が出来るという能力か」

「……何?」

 

 ピクリ、とムウの眉が動く。他の面々にしても同じような反応だ。

 

「つまり、アクセル君はその歴史の流れを知る事の出来る力を使ってこれから起こる事を私達に教えてくれたのかね?」

「そうなるな」

「ちょっと待て、アクセル。なら、お前はアラスカのサイクロプスの件も知っていたというのか?」

「……ああ。知っていた」

「つまり、中佐から聞いた云々と言うのは全くの出鱈目だった訳だな?」

「そうだな」

 

 俺が頷いたその瞬間、素早くムウが俺に近づき拳を振り上げる。それを避けるのは容易いが、ムウの気持ちを考えればここは黙って一発受けた方がいいだろう。

 ガッ!

 周囲にムウの拳が俺の頬を殴りつけた鈍い音が響く。

 

「それなら! お前なら、あのサイクロプスを使った自爆を止められたんじゃないのか!」

「可能性が無かった……とは言わない。だが、あの時の俺の状況でどうやって止める? 例えお前にJOSH-Aの地下にサイクロプスがあると言った所でどうにかなったか? 大西洋連邦にしてみれば乾坤一擲の作戦だぞ?」

「だが!」

「そうだな、俺が使えるシャドウミラーとしての力を使えば自爆を防ぐのは出来たかもしれない。だが、そうなると今度は俺が……そして、俺の部下であるシャドウミラー隊が大西洋連邦に付け狙われるんだぞ? お前達には悪いが、そこまでして助ける価値を見いだせなかっただけだ。……それに、アークエンジェルは本来の歴史でも助かる事になっていたし、いざという時にはそれこそ俺の力を使うつもりでもいたがな」

 

 俺の言葉を聞いているうちに落ち着いてきたのか、ムウは溜息を一つ吐く。

 

「……悪い。お前だって何も好きで見殺しにした訳じゃないんだよな。ちょっと頭に血が昇っちまった」

「気にするな。……さて、話を戻そうか。まず、俺が歴史の流れを知る事が出来る能力を持っているというのは今までの話で納得して貰えたと思う。そうなると、次の話だ。……ウズミ代表、率直に聞くがもし連合軍がオーブに対して攻撃を仕掛けてきた場合勝利出来る目算はあるか?」

「……無理だろう」

「お父様っ!?」

 

 俺の質問に首を振りつつウズミが答え、その様子を見ていたカガリが思わず叫ぶ。

 

「カガリ、現実を見るのだ。オーブのMSが連合のそれよりも高い性能を持っていたとしても、それはほんの僅かな差でしかない。連合の物量に対抗出来る程のものではないのだ。……せめて、アクセル君に進言された水中用MSを量産できていれば話は違ったのであろうが」

「そうなると、シーリオンの解析はまだまだという事か」

「ああ。核融合ジェネレーターにテスラ・ドライブと言ったか。あれ等はオーブの技術力を持ってしても量産どころか製造すら難しいとの話だ。M1アストレイを水中仕様機にする計画にしてもようやく開発が始まったばかりであるしな」

「そう。つまりこのままではオーブの命運は風前の灯火という訳だ。……だが、ここでよく考えて欲しい。何故そんなオーブに対して俺がここまで手を貸し、そしてシャドウミラーの内情を晒しているのかを」

「つまり、アクセルは連合軍相手に勝てる目算が立っているという事かしら?」

 

 マリューの言葉に頷いて返す。

 

「ああ、そこまで理解して貰えれば話は早い。ウズミ代表、俺はシャドウミラーとしてオーブに対する同盟を提案する。ただし、その同盟を結ぶ上での絶対的な条件が1つあるがな」

 

 同盟。この言葉に再び周囲が沈黙する。それはそうだろう。仮にも一国として認められている国に対して、一部隊でしかないシャドウミラーが同盟を申し込んでいるのだから。それも絶対的な条件を提示してまで。

 

「その条件とは?」

「オーブと俺達シャドウミラーの力を持って、この下らない戦いに終止符を打つ事だ」

「ちょっと待て。それはつまり、オーブに連合とザフトを相手にして戦えと言ってるのか?」

 

 ムウの言葉に頷く。

 

「もちろん、戦力の大半は俺達シャドウミラーが用意しよう。そちらからはオーブとしての面目を保つ人数を派遣するだけで構わない」

「ふざけるな! オーブは他国を侵略しない、他国の侵略を許さない、他国の争いに介入しないという国是があるんだ! なのにお前の言ってる事はそれを捨てろと言ってるようなものじゃないか!」

 

 我慢できなくなったという様子でカガリがそう怒鳴りつけてくる。平常運転のその様子に苦笑を浮かべながらもオーブが迎える危機を教えてやる。

 

「このまま歴史が進んだ場合、遠からず連合はNジャマーキャンセラーを手に入れる事になる」

 

 Nジャマーキャンセラー。その単語が出た途端キラの表情が強ばる。

 

「まさか、フリーダムからですか?」

「いや、ザフトも一枚岩ではないという事だ。結果的に、連合は再び核の力を手に入れる事になる。……そして、それに対抗する為にザフトは核エネルギーを使用した巨大なガンマ線レーザー砲『ジェネシス』を持ち出す」

「ガンマ線レーザー砲?」

 

 マリューの言葉に頷く。

 

「そうだ。地球にジェネシスが命中した場合は全生命体の80%以上が死滅するという大量破壊兵器だ。そしてザフトのトップであるパトリック・ザラはコーディネーター至上主義ともいえる存在でナチュラルを殺す事をなんとも思っていない。……さて、そんな状況で地球にあるこのオーブは戦争に参加していなかったので地球を撃つのをやめてくれと言った所で向こうが相手にすると思うか? 少なくても、俺は相手にしないと思う。故にオーブが消滅しない為には3つの選択肢しか残されていない」

「連合に付くか、ザフトに付くか、アクセルの言う通りにオーブが第3勢力となるか、か」

 

 ムウの呟きに頷き返す。

 

「そうだ。だが連合に付いた場合はブルーコスモスという異常者集団が。ザフトに付けばコーディネーター至上主義のパトリック・ザラがいる。本来のオーブの力ならその2つか……あるいは、敗北するのを承知の上で自分達の国是を守る為に連合に戦いを挑むしか無い。……国民を道連れにしてな。だが、今なら俺達シャドウミラーという存在がいる」

「……シャドウミラーには、それ程の戦力があると?」

「ああ。……まぁ、口だけじゃ信用出来ないか。レモン、聞いてるな?」

 

 俺がゲートの通信システムへと声を掛けると、今まで音声のみの通信状態だったのが空間へと通信ウィンドウが展開される。そこに映し出されていたのは前もって打ち合わせしてあった通りにレモン、コーネリア、エキドナの3人だった。……モニタ以外にも通信映像を出せるんだな。

 

「ええ。ちょっと待っててね」

 

 頷いたレモンが周囲へと指示を出している。

 その様子を見ながら、再び俺は目の前にいる6人へと向かい口を開く。

 

「これから俺達が提供出来る兵器と共に、あの画面に映し出されている3人がこの場に転移してくる。……まぁ、この場に及んで俺がこの世界の住人ではないというのを信じられない者はいないと思うが、念の為にという事だな。言うまでもなく、この世界では転移装置なんてものは実用化されていないな?」

「うむ。確かに論より証拠と言うべきか。それを見ればアクセル君の話を信じない訳にはいくまい」

 

 ウズミが頷いた次の瞬間、こちらのゲートシステムを中心に転移フィールドが生成され、気が付くとそこにはレモン達3人が存在しており、その隣にはレモン達を守るようにしてメギロートの姿が1機ある。

 足が六本に、角がある青い機体。傍目に見れば機械で出来た甲虫という印象だ。その全長は10m程度でジン等のMSに比べれば半分程度の大きさしかないが、虫型という異形故にかジンに勝る威圧感を発していた。

 

「おまたせ」

「いや、悪くないタイミングだった」

「それで、彼等が?」

 

 レモンがチラリと6人に視線を向ける。その視線がマリューの所で数秒止まったのは……まぁ、そういう事だろう。マリューにしても、レモンが俺に取ってはどういう存在なのかを理解したのか、目を背ける事なくレモンの視線を平然と受け止めている。そんな2人の様子に、一瞬背後に竜虎が見えたような気がした。

 そんな様子を横目に、ウズミに向かって解説を続ける。

 

「まずは紹介と行こうか。彼女はレモン・ブロウニング。俺達シャドウミラーのNo.2で技術班を取り纏めている」

 

 シャドウミラーを率いる筈の俺がほいほいと他の世界に転移しているせいか、実質No.1だったりするのだがそんなのはおくびにも出さずに笑顔で口を開く。

 

「レモン・ブロウニングよ。この交渉が上手く行けば長い付き合いになるでしょうからよろしくね」

 

 その台詞を誰に言っているのかは、レモンの視線の先を見れば一目瞭然だった。しかしその視線を向けられたマリューは先程と同じくレモンの視線を正面から受け止めている。

 

「彼女はコーネリア・リ・ブリタニア。元々は俺達の世界でも、この世界でもない別の世界の大国の皇女だったが、故あって今では俺達シャドウミラーの前線指揮官をやってもらっている。……そうだな、この世界の人間に分かりやすくいうのなら大西洋連邦くらいの勢力を持っている大国の皇女と認識して貰えばいい」

 

 コーネリアが一歩前へと出て、口元に挑戦的な笑みを浮かべながら口を開く。

 

「シャドウミラーの前線指揮官、コーネリア・リ・ブリタニアだ。レモンの言う通り長い付き合いになるのを楽しみにしている」

 

 その視線の先にはもちろんマリューの姿が。そしてここでもマリューはその視線を受け止めてみせた。

 

「最後に、俺達の副官的な役割をするエキドナ・イーサッキ」

「エキドナ・イーサッキだ。よろしく頼む」

 

 他の2人とは違い、短く挨拶をするだけに留める。

 

「この3人に俺を入れた合計4人がシャドウミラーの幹部だな」




名前:アクセル・アルマー
LV:36
PP:165
格闘:254
射撃:274
技量:264
防御:264
回避:294
命中:314
SP:446
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:288

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