転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2113話

『ガトー!』

 

 通信からそんな声が聞こえてくる。

 その通信を送ってきたのは、リリー・マルレーンの周囲でガトーを待っていた2機のMSのうちの1機。

 自分達もリリー・マルレーンの格納庫に入れて欲しいと要望してきたが、元々所属の12機に俺の1機、そしてガトーの1機で合計14機のザクがいる状態で、更に2機を追加するのは無理だったので、こうしてリリー・マルレーンの側で待ってて貰ったのだ。

 で、メカニックにFS型がちょっと邪魔だと言われた事もあり、俺はガトーを送るついでに一緒に格納庫から出たのだが……

 結果として1時間近くも艦の中にいただけに、こうして外に出て来たガトーを心配して通信を送ってきたのは当然かもしれない。

 いやまぁ、ガトーと通信で話していた俺にもガトーの機体経由でその声が聞こえてくるのは、ちょっと迂闊というか、声が大きいというか……そんな感じだが。

 

『落ち着け、ケリィ。私は特に何もされていない。ただ、ムウ少尉と少し話しただけだ』

『……本当に何も問題はないんだな?』

『ああ』

『なら、いい。今はこれ以上何も言わん。だが、艦に戻ったらしっかりと何があったのか聞かせて貰うぞ。カリウスの奴もガトーを心配していたんだ』

 

 カリウスというのは、この話の流れから考えると恐らくもう1機のザクだろう。

 ガトーの性格を考えれば、部下に慕われてもおかしくはない、か。

 

『では、ムウ少尉。私はこれで失礼する』

「ああ。お前も俺が言った事をしっかりと考え……それで、どうすればいいのか、最善の選択肢を選んでくれ」

『うむ。……む?』

 

 俺の言葉に頷いたガトーがそのまま去ろうとするが、不意にその動きを止めて誰かと話し始める。

 大声が聞こえてこないことからすると、さっきのケリーとかいう奴ではないのだろう。

 となると、もう1人名前の出ていたカリウスとかいう男か?

 

『馬鹿なっ! 何故そのような事になるのですか!』

 

 と、不意に聞こえてくるガトーの声。

 その怒声は、明らかに強い苛立ちが混ざっている。

 つまり、誰かが何らかの手段でガトーを怒らせたと、そういうことなのだろう。

 具体的にどのような真似をしたのかは分からないが、それでも何となく予想出来てしまうのは……痛いよな。

 ともあれ、その後も何分か話をしていたガトーだったが、やがてそれも終わったのだろう。苦虫を噛み潰したような顔をこちらに向けてくる。

 

『ムウ少尉……すまん』

 

 俺に謝ってくるという事は、今回の戦いに関して何らかの理由があったのは間違いない、か。

 

「何があった?」

『私とムウ少尉で倒した、敵のサラミス級やマゼラン級、コロンブス級……それを鹵獲するのは全て宇宙攻撃軍で行う事になった』

「あー……なるほど。つまり、鹵獲した軍艦の所有権についても全てそちらのものになったと」

 

 何となく話の流れが理解出来たので、そう告げる。

 俺とガトーの2人の操縦するザクにより、サラミス級とマゼラン級、コロンブス級は全てが航行不能となった。

 だが、そうなっても修理すれば使えるし、軍艦というのは資源としても十分に有用だ。

 ムサイ級やザンジバル級を始めとして、他に幾つもあるジオン軍の軍艦やら、それ以外にも予備部品の類を流用出来たりもするだろうし、最悪潰して資源にするという手段もある。

 場合によってはサラミス級やマゼラン級、コロンブス級を修理して使う事も可能かもしれない。

 それを思えば、航行不能になっているサラミス級やマゼラン級、コロンブス級を確保するというのは、大きな……大きすぎる利益となるだろう。

 

『……そうだ。その、少し言いにくいが、この艦隊を仕切っているシーマ中佐の上司から話があったらしい』

「アサクラ大佐、か」

 

 シーマから、その名前は聞いている。

 本来なら、そのアサクラという人物こそがシーマ艦隊を指揮していなければならないのだが、そのアサクラは部隊の指揮を完全にシーマに投げている、と。

 ちなみに、コロニーに催眠ガスと称して毒ガスを使わせたのも、直接の命令はこのアサクラとやらがしてきたらしい。

 正直なところ、ここまで腕利きのシーマ艦隊を捨て駒とか厄介者扱いをしている理由は、理解出来ない。

 普通なら、精鋭部隊として厚遇してもおかしくはないだろうに。

 そのおかげでシーマはジオン公国を見捨ててルナ・ジオンにつくと決めたのだから、こちらとしてはアサクラとやらに感謝してもしたりないんだが。

 

『うむ、そうらしい。何を考えてそのような真似をしたのかは分からんが……』

「これが、ジオン軍の現実だ。上が自分の私利私欲の為に、部下の功績を売り払う。そんな真似を平然とする者が多いんだよ」

 

 勿論、どんな組織だって大きくなれば相応にそのような人物は増えてくるのは当然だった。

 幸いにもシャドウミラーは基本的に気心の知れた少人数の国で、労働力やら何やらの大半を自我のない量産型Wやバッタ、メギロートといった存在が行っている事で、腐敗というのは今のところない。

 だが、このままシャドウミラーが大きくなっていけば、いずれはそのような者も……いや、シャドウミラーの場合はバッタや量産型Wとかがその辺をチェックしてるから、不正をしても隠す事は出来ないか?

 

『ムウ少尉の撃破記録は誤魔化されないようだが、それでもこのような……』

 

 余程アサクラの仕打ちが腹に据えかねているのだろう。ガトーは不満を口の中で押し殺したかのような、そんな呟きを漏らす。

 潔癖な性格をしているガトーだけに、アサクラのやりようが気にくわないのだろう。

 

「まぁ、そんなに気にするな。上にしてみれば、まさか俺が……シーマ艦隊がここまで活躍するとは思ってなかったんだろ。その意趣返しってところか」

 

 もしくは、アサクラが艦隊の運営をシーマに丸投げしていたのが周囲に知られてしまい、それを何とか隠しておく為の工作か? そう考えても、特に不思議はない。

 

『だが!』

「落ち着けって。それに、これは俺達にとっては決して悪い事だけな訳じゃないしな」

 

 アサクラにとっては完全に予想外だったのだろうが、この判断は今回に限っては俺にとってもシーマ艦隊にとっても、決して悪い事ではない。

 航行不能になって拿捕したサラミス級やマゼラン級、コロンブス級は、それこそ自分達で使う為に曳航するにも相応の労力と時間が必要となる。

 勿論その労力と時間をどうにかする事により、最終的に得られる利益は大きくなるのだが……正直なところ、近々ジオン軍を抜けてルナ・ジオンに所属する事が決まっている身としては、サラミス級やマゼラン級はそんなに欲しくはない。コロンブス級は輸送艦として少しだけ魅力的だが。

 技術標本的な意味でそれぞれ数隻ずつは欲しいが、それはルナ・ジオンを建国した後でも入手は出来るだろう。

 ルナ・ジオンの建国を公表すれば、間違いなく連邦はちょっかいを出してくるのだから。

 それに、今のところの狙いとして、フォン・ブラウンを始めとした各種月都市は、連邦に貸すという形になる訳だし。

 その際に受け取る報酬を考えれば、サラミス級やマゼラン級、コロンブス級程度、それこそダース単位で渡してきても不思議はない。

 

『……本当に、よいのか?』

「ああ。寧ろこっちとしては後処理をしなくてもいい分、助かると言ってもいいしな」

『分かった。ムウ少尉がそこまで言うのであれば、私もこれ以上は何も言わん』

「そうしてくれ。今ここでガトーが騒いだりしても、色々と怪しまれるだけだしな」

 

 そうして短く言葉を交わし終えると、ガトーは2機の仲間と共に去っていく。

 さて、上手い具合にガトーを味方に付ける事にも成功したし、今回の目的は大体成功したと言ってもいい。

 そうなると……これから俺達はどうするんだろうな。

 そんな風に考えつつ、俺は格納庫に戻るのだった。

 

 

 

 

 

「……は? 帰る?」

 

 機体を格納庫に戻した後、シーマが呼んでいるという伝言を受けた俺は、そのままブリッジにやって来た。

 そうして、何の用件なのかと聞いてみた俺にシーマが言ったのは、マハルに帰るという事だった。

 

「そもそも、このシーマ艦隊は突撃機動軍の所属だろ? だとすれば、帰るとなったらサイド3じゃなくてグラナダじゃないのか?」

「今回の一件で、アサクラも色々と危険な状況になってるんだろうね」

 

 嬉しそうに……それはもう、本当に嬉しそうに笑っている顔を扇子で隠すシーマ。

 それで大体の事情は理解出来た。

 俺達にグラナダに戻ってこられると困ると、そういう事なのだろう。

 出来れば一度、直接自分の目でグラナダを見てみたかったんだけどな。

 現在のジオンが有する最重要拠点の1つにして、ルナ・ジオンの建国宣言が終わった翌日には俺がニーズヘッグだけで攻め入る都市、それがグラナダだ。

 

「まぁ、でも……あたし達にとっては、その方がいいだろう? ラルと連絡も取りやすいし」

 

 そう告げるシーマの言葉に、俺は頷きを返す。

 実際、その方が色々と便利なのは間違いないのだ。

 俺達がこうして動いている間に、ラルもまた色々と動いている筈なのだから。

 

「そう言えば、今更……本当に今更の話だけど、地球降下作戦って成功したんだよな?」

 

 慣れないザクでの戦闘、しかも初の実戦であれだけの敵との戦いという事もあり、地球降下部隊の方にはあまり意識を集中していなかった。

 ガトーが近くにいた、というのも影響はしてるだろうが。

 

「ああ、問題ない。ただ、あたし達の場所はともかく、他の場所からはある程度抜かれたらしくて、全く被害が出なかったとはいかなかったみたいだけどね」

「……闇夜のフェンリル隊は?」

「そっちは真っ先に降下していったよ。こっちに流れてくる通信から考えると、かなり活躍しているらしい」

 

 シーマの言葉に、ゲラート、ニッキ、シャルロッテという顔を知っている面々を思い出す。

 ルナ・ジオンを建国する際にも、こちらに協力してくれる有能な部隊は、多ければ多い程にいい。

 そういう意味では、闇夜のフェンリル隊には出来るだけ被害がないといいんだが。

 もっとも、一番始めに地球に向かって降下していったのを考えると、被害が出ないようにと考えるのは甘いかもしれないが。

 

「無事に地球に降下したのなら、何よりだ。後は、ゲラート率いる闇夜のフェンリル隊を信じるしかないだろうな」

 

 ラルの親友なのだから、間の抜けた事はしないだろうと信じておく。

 

「で、俺達はここから出るって話だったけど……地球上空の警戒はしなくてもいいのか? 北米での戦いはまだ始まったばかりなんだろ?」

「アクセルの気持ちも分かるけど、その辺はきちんと担当する者がいるから心配はいらないらしいね。……もっとも、今回の戦いでも連邦軍は大きな被害を受けた。どれくらいの戦力がルナツーに残っているのかは分からないけど、もう潤沢に戦力が残っているなんて事はない筈だよ。それこそ、下手をすればルナツーの防衛もままらない程……というのは、少し大袈裟かもしれないけどね」

「そこまでダメージを受けたのか?」

「あのね……」

 

 俺の言葉に、シーマだけではなく他のブリッジにいた面々までもが、どこか呆れの視線をこちらに向けてくる。

 

「サラミス級やマゼラン級、コロンブス級を合わせて10隻単位で失ってるんだよ? 幾ら連邦軍でも、そう簡単に戦力を補充は出来ないさ。もっとも、時間があれば容易に補充出来るという事でもあるんだけどね」

「その辺り、ジオン公国にはどうしようもないよな」

 

 幾ら必死に戦って連邦軍の戦力を減らしても、多少時間が経てばまたそれは復活するのだ。

 そして連邦軍との戦いでは、ジオン軍だって無傷という訳にはいかない。

 そうなると、ジリジリと戦力差は開いていく事になり……結果として、ジオン軍は時間が進めば進むだけ不利になっていく訳だ。

 ジオン軍が勝つとすれば、戦艦や戦闘機といったハードウェアを狙うのではなく、それを操縦するソフトウェア……軍人を減らすという方法しかないだろうな。

 これがシャドウミラーなら、それこそ物量で迎え撃っても質と量、両方で勝てるのだが。

 だが、連邦軍の軍人を育てているのが地球である以上――当然ルナツーでもある程度育てているだろうが――ジオン軍はソフトウェアたる軍人をどうにかする事は出来ない。

 これが、国力の差って奴か。

 

「まぁ、ジオン軍には精々頑張って貰えばいいさね。それこそ、ルナ・ジオンが形になるまでは……いや、建国宣言をしてからも、三つ巴という争いに持っていくのが最良だろうし」

「連邦とジオンが組んでルナ・ジオンに攻めてくるなんて事になったら、月の周囲に配置される要塞群が活躍する事になるだろうな」

 

 一応ジオン軍でも、小惑星を使って現在ソロモンとかいう名前の要塞を作っているらしいが……何だかそういうのは、ジェネシス1発で破壊されてしまう事になりそうなんだよな。

 そんな風に思いながら、俺はシーマと会話を続けるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435

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