転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2093話

 月の北極をセイラが選んだのは、当然理由がある。

 その最大の理由が、月の北極には地下空洞が多数存在しているという事だ。

 フォン・ブラウンやグラナダ……それ以外にも様々な都市が月にはあるが、その多くは地下都市という方法を取っている。

 UC世界の技術ではそれが最善の結果として選ばれたんだろうことは明らかだ。

 で、セイラが作る国に使うクレイドルは、次世代のマクロス級の実験艦として生み出された都市艦で、重力制御とかもマクロス世界の物だけに十分問題なく行える。

 だが、それでもその範囲内というのは限られており、北海道以上の広さを持つクレイドルであっても、より広げるとなれば他の月都市と同じく地下に広げるしかない。

 そう考えれば、空洞が多数存在するという月の北極を選んだセイラの意見は、決して間違っている訳ではない。

 ……まぁ、地下に空洞が多くあるという事は、下手に上に重量物を置けば崩落してもおかしくないという事を意味しているのだが。

 クレイドルの場合は重力制御とかそういうのがあるので、特に問題がない筈だった。

 いや、もし問題がある場合であっても、それこそ技術班の面々であればどうとでもすると思うのは、俺の気のせいではないだろう。

 ともあれ、俺、セイラ、ハモン、ラル、コズンの5人は、現在月の北極と呼ぶべき位置にやってきていた。

 普通に移動したのでは当然のように時間が掛かるので、当然影のゲートやASRS、量産型システムXNのコンボでここまでやって来た。

 ただ……ここにやって来たのはいいんだが、俺達の中に地質学の専門家と呼ぶべき者はいないんだよな。

 だから、本来ならここがいい! って場所を見つける事が出来ない。

 クレイドルを使う以上はその辺をあまり気にしなくてもいいんだが……それでも、どうせなら最適な場所にゲートを設置したいと思ってもおかしくはない。

 そんな風にしてゲートを設置する場所を探していたのだが、やがてラルが周囲を岩に囲まれている場所で手を振る。 

 何故そのような場所? と一瞬疑問に思ったが、考えてみればゲートを設置したからといって、すぐにクレイドルを持ってくる訳にいかない。

 セイラが全世界、全宇宙にジオン・ズム・ダイクンの娘として建国をすると宣言するまでは、クレイドルをこっちに持ってくるのは止めておいた方がいいのだから。

 ゲート程度の大きさであればまだしも、クレイドルのような北海道並の大きさの都市艦が姿を現せば、それが見つからない筈がない。

 そして見つかれば当然のようにそれを欲してジオン、連邦……もしくはそれ以外の第3勢力が姿を現す。

 勿論シャドウミラーの戦力があればそれはどうとでもなるのだが、やはりセイラというジオンの正当なる後継者が建国宣言をするのだから、それに合わせてジオンのMS以外の戦力を使って貰いたいところだ。

 とはいえ、最初のうちはともかくとして、出来ればMSはこの世界の技術で発展していった物を使って欲しいという思いもあるのだが。

 その辺はエザリアを始めとした政治班に任せるとして、俺はラルのいる方に向かう。

 他の面々もそこに集まってきたのを見てそれぞれに視線を向けるが、誰も異論はないらしい。

 うーん、パイロットスーツの類がなくても問題なく宇宙で活動出来るのはいいけど、通信の類が使えないのは痛いな。

 今度その辺りの対策を考える必要もあるかもしれない。

 恐らく通信で会話をしているのだろう4人を見ながらそんな風に思う。

 ともあれ、今はホワイトスターに戻るのが先である以上、余計な事を考えている暇はない、か。

 仕草で少し離れているように示すと、4人は俺から距離を取る。

 現在俺達がいるのは、それこそまるでゲートを設置する為に用意されたのではないかと思えるくらいに、丁度良い場所だ。

 ゲートを設置するのに問題ないくらいの空間があり、その四方には不格好だが幾つかの岩があって、丁度ゲートを設置する場所を周囲から覆い隠しているのだ。

 勿論この上空を飛ぶような真似をすれば、ここにゲートが……いや、見つけた奴はゲートと認識出来ないかもしれないが、ともかく何らかの機械があると認識は出来るだろう。

 ともあれ、そんな感じな訳で見つかる可能性はあるかもしれないが、この辺りには大きな都市の類もないし、その辺はあまり心配する必要はない。

 もっとも、ホワイトスターに戻ったら、ミラージュコロイドかASRSで隠す必要は出てくるかもしれないが。

 ともあれ、ゲートを設置するとコンテナ状の物体が次第に展開していくのが分かる。

 セイラ達もそんなゲートの様子を見て、どこか驚いている雰囲気を発しているように思えた。

 ……いや、でも普通に考えればこの世界ならMSとか実用化してるんだし、このくらいの事で驚くような事はないと思うんだが。

 ゲートの起動は無事に完了し、やがて空中に浮かんだ映像スクリーンに転移区画が映し出される。

 そこに映し出されたのは、いつものように何らかのミスをして罰としてここに配置されている技術班の科学者……ではなく、意外な事にムウだった。

 いや、本当に何でムウがこんなところで対応をしてるんだ?

 実働班の訓練とかはいいのか? 

 そんな風に思っていると、ムウも俺の姿に気が付いたのだろう。驚愕の表情を浮かべ、何かを言ってるようだが……月の上では特に聞くような事も出来ない。

 なので、取りあえず転移するという意味を込めて頷き――それがムウに通じている様子はなかったが――セイラ達を呼び寄せるとシステムXNを起動する。

 繭のような転移フィールドに驚いた様子を見せるセイラ達だったが、既に腹はくくっているのか、見苦しく騒いだりはしない。

 そして次の瞬間……俺達全員の姿は、ホワイトスターの転移区画に存在していた。

 今までゲートを設置したのは空気のある場所だったので、当然ながらホワイトスターに転移する時にパイロットスーツを着て転移してくるような者はいない。

 その為、現在俺達の姿は……正確にはセイラ達だが、色々な世界からやってくる者達が興味深げに眺めていた。

 

「もう、ヘルメットを脱いでもいいぞ」

 

 そう告げるが、その言葉でヘルメットを脱いだのはセイラだけだ。

 ……パイロットスーツのヘルメットを脱いだ瞬間、金髪が光によって煌めく。

 

「お、おい。あのとんでもない美人……誰だと思う?」

「誰だろうな。ホワイトスターでもあまり見ないけど……ペルソナ世界だっけ? 新しい世界。そこじゃないのか?」

「じゃあ、あの金髪美人もペルソナ世界の人間なのか?」

「いや、ちょっと待て。俺が聞いた話だと、ペルソナ世界って宇宙開発とかが全然進んでないって話だったぜ? けど、アクセル代表以外が着てるのって、どう見てもパイロットスーツだろ。ってことは、多分MSとかそういうのがある世界なんじゃないか?」

「……つまり、新しい世界の住人という事かしら。でも……ペルソナ世界と繋がってから、そう時間が経ってないのよ?」

 

 色々と聞こえてくる声があるが、今はその辺りはスルーしても構わないだろう。

 

「アクセル! お前、何でもう帰ってきてるんだよ!?」

 

 そんな中、無視する事が出来ないような声が聞こえてきた。

 声のした方に視線を向けると、そこにいたのはムウ。

 心の底から不思議そうな表情を浮かべているが、俺はそれにセイラ達の方に視線を向ける事で答えとし……

 

「何だよ、ペルソナ世界の2人だけじゃなくて、こんな可愛い子とそっちのナイススタイルのお姉さんまで引っ掛けたのか? 相変わらずだな……お……ま、え……」

 

 ムウが言葉に詰まったのは、ラルがとんでもない視線でムウを睨んでいるからだろう。

 この視線はセイラとハモンのどちらに対しての視線だろうな。……どっちもって気がするけど。

 ハモンはラルの内縁の妻だし、セイラにいたっては忠誠を尽くすべき相手だ。

 そんな2人をこういう話題のネタにされたのだから、ラルが怒るのはある意味当然だ。

 もっとも、実際に戦えば勝つのは間違いなくムウなんだが。

 それでも気圧されるのは、やはりラルの気性から来てるんだろう。

 微妙にコズンもムウを睨み付けているし。

 

「この連中はそういうのじゃない。それより、時差はどのくらいだ? 俺は向こうの世界に行った次の日に戻ってきたんだが」

 

 その言葉に、ムウはラルの視線から逃れるように口を開く。

 

「へぇ、そりゃあ珍しいな。こっちもお前さんが転移した翌日だよ」

「……そうだな、珍しいな」

 

 まぁ、同じ翌日でも、俺が昨日ここから転移したのは夕方で、向こうでは午前中だった。

 そうなると、ある程度時差があったのかもしれないが、結局1日程度だったからそれがはっきりと分からなかった……という可能性は十分にある。

 どのみちゲートでこの世界とUC世界を繋いだ以上、もう時差の心配はしなくてもいいんだが。

 

「そうか。時差がないのは何よりだ。……さて、そうだな。取りあえずレモン、コーネリア、エザリアの3人を集めてくれないか? 色々と相談する事がある」

 

 視線をセイラに向けると、セイラは無言で頷く。

 それ以外のラル達も、周囲を一瞥しただけで俺とムウの言葉に耳を傾けていた。

 ここが次元の狭間にあるということは当然知ってるんだろうが、今はそれよりも重要視する事がある、と分かっているのだろう。

 

「……本気か? それだけの出来事だってのか?」

 

 俺の言葉に、ムウが真剣な視線を向けてくる。

 少し前のふざけた態度は消えて、シャドウミラーという軍事国家に相応しい戦士としての一面。

 それが意外だったのか、コズンは少しだけ驚きの表情を浮かべていた。

 

「そうだ。俺の念動力は正解だったって訳だ。……OGs世界じゃなかったのはちょっと残念だけど……何しろ、こいつらの世界にはMSがあるんだからな」

「ふぅ、ん。……なるほど。SEED世界とW世界に続いて3つめのMSのある世界か。それはまた、興味深いな」

「だろう?」

 

 そうムウに返すが、SEED世界やW世界とUC世界で決定的なまでに違う事が1つある。

 それは、例えばSEEDとDESTNINYでは2年、Wと劇場版では1年と、次回作まではそこまで差がなかった。

 それに対してUC世界のガンダムは、アムロの年齢から考えて10年から20年くらいの間は話が続いている筈だった。

 つまり、それだけの長い間……もしくは、シャアが小惑星を地上に落とす事件よりも更に長い間、UC世界では様々な技術が発達し続け、同時に有能な人材も出続けるという事を意味している。

 そう考えれば、念動力が俺をUC世界にまで導いたのはおかしくはない……と思う。

 

「そんな訳で、もう少ししたらシャドウミラー全員、それこそ精霊の卵の連中も使って大忙しになる可能性がある」

 

 もっとも、今はまだ国作りの基礎を行う段階なので、実際にシャドウミラーが忙しくなるのは、セイラが建国をUC世界に宣言してからの話になるだろうが。

 

「……分かった。アクセルがそこまで言うんなら、あの3人もどうこう言ったりはしないと思う。ただ、レモンやコーネリアはともかく……エザリアはこっちにいたか?」

 

 ムウが疑問を抱くのも、当然だ。

 政治班には専門家が多く揃っており、当初は新人だったあやかや千鶴も、現在ではその辺の政治家よりは余程高い能力を持っているし、様々な経験を経て、政治や交渉のスペシャリストと呼ぶに相応しい人材となった。

 だが……それでも幾つもの世界を相手にするには、どうしても人数が不足しているのだ。

 美鶴なら政治班として立派に働けるようになると思うけど、まだ大学生で今はシャドウワーカーの運営で必死になって動いているから、それどころじゃないしな。

 ゆかりが高校を卒業したら、政治班に回って貰うか?

 けど、ゆかりの性格を考えると、とてもじゃないけど政治班向けじゃないんだよな。

 となると実働班向け……PTとかを使えるかどうかは試してみないといけないが、それが無理なようなら円や美砂と一緒に生身の戦闘専門で、普段はオペレーターとかそっち系か?

 もっとも、ゆかりは円や美砂と結構仲良く話していたので、相性が悪いという事はないと思うけど。

 その辺りは、もう1年経ってからだな。

 ゆかりはホワイトスターにやって来ることも多いので、そのうち適性とかがしっかりと判明するだろうし。

 ただ、ゆかりの戦力を考えると、シャドウワーカーの方に集中して欲しい気がしないでもない。

 そして、出来ればタルタロスと同じようにマジックアイテムを入手出来るようなダンジョンを見つけて欲しいと、そう思うのは我が儘だろうか。

 

「そう言えば、ペルソナの研究の方は……いや、俺が転移してから1日なんだし、まだ進んでいる筈もないか」

「そりゃあな」

 

 今までは転移してからホワイトスターに戻ってくれば、色々と研究が進んでいたので、つい今回もと、そう思ったのだが……1日で研究が進む筈もなかった。

 レモン率いる技術班であれば、意外となんとかなりそうな気がしないでもないんだが。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:5
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389

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