転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2080話

「私は反対よ」

 

 そうレモンが告げると、他の面々もそれに従うように反対の意思を示す。

 俺が念動力によって、他の世界に行くべきという風に判断した日の翌日……の夕方。

 現在ホワイトスターの幹部陣が集まり、今後の行く末についての相談が行われていた。

 ……普通なら、それこそ念動力でそれを知った時に全員を集めた方がいいのではないかと思わないでもないが、昨夜……いや、もう朝方に近い頃合いには昨夜の行為が激しすぎて全員が体力を消耗して眠っていたし、朝に起きる時間であってもまだ眠っている者が多かった。昼間は昼間で色々と仕事があるのでどうする訳にもいかず……結果として、仕事の終わった夕方にシャドウミラーの幹部陣を集めて、こうして相談する事になった訳だ。

 ゆかりがここにいないのに、大学の入学式が終わったばかりの美鶴がいるのは……美鶴だし問題はないのだろう。

 誰かが反対するのは予想していたが、まさかレモンが反対するとは思わなかった。

 何故レモンがそんな事を言ったのかは、それこそ次の台詞で判明したが。

 

「ニーズヘッグの改修作業もまだ終わってないのよ? なのに、全く未知の世界に行くのは危険すぎるわ」

「そうね。ニーズヘッグがあれば、アクセルならそれこそ何があろうとどうとでもなりそうだけど……そのニーズヘッグがない状況で、というのは厳しいと思うわ」

 

 同じ技術班のマリューも、レモンの言葉に同意する。

 

「ニーズヘッグがないのは痛いが、一応機体としてはミロンガ改はもう完了してるだろ? それこそ、今のミロンガ改なら殆どの敵はどうとでもなると思うんだがな」

「あのね。それで殆どの敵以上の強さの敵が出てくるのが、アクセルでしょ」

 

 即座にレモンに言い返され、反論が出来なくなる。

 いや、実際には俺が敵を引き寄せている訳ではなく、単純にそういう原作の世界に転移しているだけなんだけどな。

 で、結果としてその世界の敵……主にラスボスと思しき相手と、戦う事になってしまう。

 もっとも、その辺を説明しても説得力がないのは間違いない。

 ……それどころか、だからこそニーズヘッグを持っていく必要があると言われるだけだろう。

 

「それに、アクセル。ニーズヘッグなしでいくという事は、いざという時にアギュイエウスでホワイトスターに戻ってくる事が出来なくなるが……それはどうするのだ?」

 

 そう言って俺に視線を向けてきたのは、スレイ。

 

「ゲートを幾つか持っていくし、いざという時にこっちの居場所を見つけられるようにマーカーも持っていく。それなら取りあえず何かあっても戻って来る事は出来るだろうし、戻ってこられなくてもホワイトスターでマーカーを追う事は出来ると思うが?」

「ペルソナ世界の時のように、何らかの理由でホワイトスターと行き来出来ないようなら、どうする?」

「……それでも、俺なら何とかしてみせると。そう言っても信じて貰えないのか?」

「アクセルがどれだけ強いのかは、それこそシャドウミラーに所属している者なら誰でも知ってるだろう。だが……だからといって、アクセルだけで全てを出来る訳でもないのは間違いない。違うか?」

 

 そう言われれば、俺も素直にその言葉を否定は出来ない。

 実際、俺は他の者達よりも色々な面で手札が多いのは間違いない。

 だが同時に、俺だけで全てを解決出来るかと言われれば、それは明らかに否なのだ。

 しかし……それが分かっていても、今の俺は止まる訳にはいかない。

 俺の中にある念動力がそう言ってるし、何より……

 

「可能性。これはあくまでも可能性だが、念動力が俺にそうした方がいいと示してきたという事は、今度ゲートで転移すれば……俺が到着するのは、理由は不明だが行き来が出来なくなっていた、OGs世界の可能性がある」

 

 OGs世界? まだシャドウミラーに入ったばかりの美鶴や、それ以外の者も何人かが首を傾げているが、事情を知っている者は真剣な表情を浮かべていた。

 特にそれが大きいのは、ツグミという恋人をOGs世界に残してきているフィリオだろう。

 普段は表情に出すような事もなく――というか、技術班の集まりで完全に忘れているが――恐らくOGs世界出身者の中で、一番向こうの世界に戻りたい。戻れなくてもせめて連絡を取りたいと思っているのは、間違いなくフィリオなのだから。

 勢い込んで何かを言おうとしたフィリオだったが、それを制するように俺は口を開く。

 

「言っておくが、本当にOGs世界に行ける……いや、戻れるのかは分からない。これはあくまでもそうではないかという予想にすぎないからな。くれぐれも、そう確信して暴走するような真似はするなよ」

 

 一応、そう言っておく。

 もっとも、その言葉がどこまで効果があるのかは正直分からないが。

 

「とにかくだ。今まで連絡が途絶していたOGs世界に戻れる可能性があるとなれば、これを放っておく手はない。そう思わないか?」

「ねぇ、アクセル君。アクセル君の気持ちは分かるけど……なら、せめて今すぐじゃなくて、ニーズヘッグの調整が終わってから転移するという選択肢はないの?」

 

 そう呼び掛けたのは美砂。

 ……昨日のパーティの時は、俺を君付けで呼ぶ従者組の面々に驚いていた美鶴、そしてここにはいないゆかりだったが、俺がネギま世界に転移した時は10歳の姿だったという話をすると納得して、それ以上は突っ込まなくなった。

 

「いや、念動力から感じたものによると、恐らくそんな余裕はない。それこそ、今日これから急いで転移するつもりだ」

 

 それは、提案という訳ではなく純粋に決定を伝えるという行為。

 実際のところ、仮にも俺はシャドウミラーの……軍事国家のトップという地位にいる。

 そうである以上、俺がどうしてもやると決めれば、余程の事がない限りは通るのだ。

 問題なのは、今のこの状況がその余程だという事か。

 

「……どうしても、行くのね?」

 

 そんな俺の考えを悟ったのか、レモンは真剣な表情で聞いてくる。

 それに、頷きを返す。

 

「そう。アクセルが本気でその気になったら、私には……私達には止められないもの。これ以上の問答は意味がないわね」

「だが、レモン!」

 

 美鶴がレモンの名前を呼ぶ。

 ……だが、そのような態度を取っているのは美鶴だけで、他の者達はそれ以上何も言わない。

 俺の恋人となって、そしてホワイトスターに来るようになってから、美鶴はまだ殆ど経っていない。

 それだけに、レモンの言葉を受け入れがたかったのだろう。

 シャドウミラーは、俺が代表という立場にいるのは間違いない。

 だが、その俺は他に類を見ないだけの生存能力とでも呼ぶべき能力があるだけに、シャドウミラーの国是である、未知の技術の収集や異世界間貿易で利益を上げるために他の世界を発見するという役割をこなすことになる。

 冗談でも何でもなく、俺が一番その手の仕事に向いているのは間違いないんだよな。

 そんな訳で、俺がいない事の多いシャドウミラーを実質的に纏め上げている……副代表、もしくは副大統領? とでも呼ぶべき存在がレモンなのだ。

 だからこそ俺とレモンの意見が揃えば、大体の意見は決まる。

 

「大丈夫よ。美鶴も知ってるでしょう? アクセルがどれだけの強さなのかを。それこそペルソナ世界での話を聞けば、生身の戦いでも機動兵器を使った戦いでも、アクセルの能力は突出していた筈よ。そしてアクセルがそう決めた以上、私達が出来るのは……アクセルを信じて、送り出す事だけ」

 

 そんなレモンの言葉に、美鶴はやがて無言で小さく頷く。

 自分の言葉では事態を変えられないと、理解したのだろう。

 良かった……そう思っている俺だったが、美鶴が黙ったのを見たレモンが再びこちらに視線を向けてきたのを見て、それ以上は何も言わずにレモンの言葉を待つ。

 

「いい? アクセルの事だから生きて戻ってくるというのは確信しているわ。けど、アクセルの相棒のニーズヘッグはまだ改修途中よ。だから、さっきもアクセルが言ってたように、ミロンガ改だけしか持って行かせる事は出来ないわ。一応ファブニールがあれば、問題はないと思うけど……くれぐれも、気をつけて」

 

 そう言い、レモンはそっと俺に近づいてくると目を閉じる。

 俺はそんなレモンの身体を抱きしめ、唇を重ねる。

 そうして、他の恋人達とも唇を重ねていき……

 

「アクセル」

「悪いな、美鶴をこっちに連れて来たばかりだってのに」

「いや。だが……ゆかりは、間違いなく怒るぞ」

「だろうな」

 

 ゆかりは昨夜の件で疲れきっていたので、魔法球で1時間休ませてから月光館学園に向かわせたが、昨日の今日だけに女子寮に戻ると言っていた。

 つまり、ここにはいない。

 戻ってきたら、恐らくゆかりには色々と言われる事になるだろうが……

 

「だから、ゆかりが何かを言ったら私が口添えしてやる。だから、必ず無事に戻ってきてくれ」

 

 その言葉に返すように、俺は美鶴の唇を塞ぐ。

 ちなみに当然ながら部屋の中にはシャドウミラーの幹部陣がおり、美鶴はキスをした後でそれに気が付いて顔を赤くし、アウルにからかわれてペルソナを召喚することになったが……それはそれ。これはこれといったところだろう。

 

「じゃあ、行ってくる」

 

 そうして転移区画に向かえば、夕方にシャドウミラーの幹部陣全員での移動ということもあって、当然のように人の目を集めていた。

 基本的にホワイトスターで働いている連中は、皆が自分の世界に日帰りで帰る事になっている。

 つまり、仕事先から帰る者達が大勢、今は転移区画にいるのだ。

 そんな者達の視線を向けられながら、俺はそれだけを言って転移の準備を行う。

 俺達の様子から、俺がこれから未知の世界に転移するというのを理解しているのか、こちらに向けられる視線には様々な感情が込められていた。

 まぁ、行ける世界が増えるというのは、異世界間貿易を行っている世界にとって利益に直結するからな。

 各世界だけの代物とかは、まさに垂涎の的と言ってもいい。

 

『システムXN、起動。転移フィールド生成開始……転移フィールド生成完了。アクセル代表』

「ああ、構わない。やってくれ」

 

 量産型Wにそう告げた、次の瞬間……

 

『転移』

 

 そんな声が周囲に響き、俺は光の繭に包まれたまま、転移するのだった。

 

 

 

 

 

「誰にも見られていなかった、か」

 

 転移が完了して周囲を見回すが、そこには誰の姿もない。

 つまり、俺は予定通り無事に転移が完了した訳だ。

 ホワイトスターだと夕方だったが、ここはまだ明るい。恐らく午前中くらいか?

 取りあえずどこぞの建物の陰に転移出来たのは、俺としては嬉しい出来事だった。

 俺が姿を現したのは、ビル……という訳ではなく、普通の民家といった建物の近くだ。

 俺の外見は10代半ばのものになっていたが、それは別に構わない。それこそ、いつでも変身する事が可能なのだから。

 さて、問題はここがどこの世界かだが……

 OGs世界であるのなら、ニュースか何かをみれば一発で分かる。

 それこそ、俺の知っている名前が色々と出て来てもおかしくはないのだから。

 だが……何だか街並みが俺の知ってるOGs世界と随分違うような、そんな気がしないでもない。

 いや、勿論俺がOGs世界の全てを知ってる訳ではない以上、こういう街並みはあってもおかしくはない。

 おかしくはないのだが……そう、どこか空気が違うのだ。

 そんな風に考えながら歩いていくと、やがて住宅街から抜け出し……

 

「え?」

 

 ふと、何かの違和感に誘われるように空を……正確には太陽の方を見ようとした俺は、頭上にあった物を見て、自分でも理解出来る程に間の抜けた声を上げた。

 当然だろう。本来なら空がある筈の場所……そこには、地面や建物が存在していたのだから。

 上空に地面があるという違和感。

 当然俺が立っている場所が地面ではないのも間違いはなく、つまりここは……地球ではない。

 いや、もしくは地球とかとは全く違う、ファンタジー物の原作か?

 取りあえず、ここがOGs世界ではないのは、これでほぼ確定したと言ってもいい。

 ……もしかしたら、OGs世界にもこういう天にも地上があるような世界とか、ひっそりとあった可能性はないでもないが……そう考えるのはちょっと難しいのは間違いない。

 だが、だとすれば、何故念動力は俺をこの世界に来るようにと示した?

 システムXNで未知の世界に向かうには座標の類が存在しないランダム要素、運不運の要素が強い。

 しかし、俺はこの世界こそが念動力が俺を来させたかった場所だというのを半ば理解している。

 何故ならこの世界にやって来るまでは激しく自己主張をしていた念動力が、今は非常に大人しくしているのだから。

 

「けど……ここ、本当にどこの世界だよ?」

 

 周囲を見回しながら歩いていると、やがて人の数が多くなってくる。

 どうやら住宅街を抜け、繁華街……というか、商店街と表現した方が正しいのか?

 ともあれ、そんな店が幾つも並んでいる場所に到着したらしい。

 新聞か何かを買おうと思っても、俺はこの世界の金を持っていない。

 ペルソナ世界の時と同じく、不良か何かが絡んできてくれればある程度の金は入手出来るのだが。

 それと、こちらもまたペルソナ世界の時と同様に、何とか戸籍を入手する方法を考えた方がいいかもしれない。

 となると、桐条グループのような、強い力を持っている組織と接触するべきか。

 そんな風に考えながら道を歩き、曲がり角を曲がると、不意に街頭TVが姿を現す。

 

『繰り返します。本日、ジオン軍は先日占領したオデッサに、大規模な資源採掘部隊を降下させました。司令官はマ・クベ中佐。これによりジオン軍は大量の資源を手に入れる事になり、連邦軍との戦争が長引く事が懸念されています』

『南極条約の調停直前にレビル中将が脱出した事が大きいですね。もしあのジオンに兵なしの演説がされていなければ、恐らく連邦軍はジオン公国に不利な条件での停戦条約を結んでいた事でしょう』

 

 街頭TVでは、アナウンサーとコメンテーターがそのような会話を交わしているのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:5
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389

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