転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0195話

 アークエンジェルから飛び出た次の瞬間にはPS装甲を展開し、ブリッツの機体色が灰色から黒と赤へと変わる。

 最初はミラージュコロイドを展開して、不意打ち・奇襲で効率よく敵を片付けていこうかとも思ったのだが、それだと敵を多く撃破出来るかもしれないが敵の最優先目標がアークエンジェルやその僚艦であるのは変わらない。それなら連合軍のMSとして行動してブリッツに敵の目を引きつけた方がいいだろう。

 

「来たな」

 

 アークエンジェルの甲板へと降り立ったブリッツに早速目をつけたジンが、重斬刀を振りかぶりながらグゥルに乗ったまま突っ込んでくる。

 そのモーションを見やり、機体を数m程横に移動させて振り下ろされた重斬刀の一撃を回避――アークエンジェルの甲板に軽い傷が付いたが――して同時にトリケロスに内蔵されているビームサーベルでその胴体を上下に分断する。

 振りかぶった攻撃を回避されて機体を斬り裂かれたジンは下半身はグゥルに固定されたまま、上半身は明後日の方向へと飛んでいき爆発する。

 

「次!」

 

 そのまま爆発したジンは無視し、下方向へとビームライフルを3発放つ。放たれたビームはアークエンジェルの下にいたイージス艦へ襲い掛かろうとしていたディン3機編隊相手に上空から突き刺さり、攻撃に移る前に爆散する。

 

「っと!」

 

 次に目をつけたのは先程のイージス艦近くの揚陸艦だ。2機のジンが放つ突撃機銃の射撃により撃沈寸前だが、まだ何とか持ち堪えている。

 

「食らえ」

 

 トリケロスからランサーダートを2本発射。ジン2機に突き刺さったランサーダートはその内部で爆発し、ジンは木っ端微塵になり部品を海へと撒き散らす。

 そうこうしているうちに、アークエンジェルが前進を開始する。通信で言っていたように、サイクロプスが発動する前に敵の前線を突破してこの戦場を抜け出すつもりなのだろう。

 そしてマリューによる説得は成功したらしく、たった今俺が助けたイージス艦や揚陸艦、その他の周囲にいた艦船もアークエンジェルの後を追うようにして移動を開始する。

 

「って、そうそう甘くはないか!」

 

 グゥルに乗って突っ込んで来たシグーに向かい、グレイプニールを発射。その鋭い爪先がジンのコックピットへと命中し、コックピット以外は五体満足なままグゥルに乗ってあらぬ方へと飛んでいった。

 

「アクセル、待たせた!」

 

 アークエンジェルの左舷カタパルトデッキから発進したスカイグラスパーからムウの声が聞こえてくる。ランチャーストライカーパックを装備しているので、この場での戦力としては十分だろう。

 

「取りあえず戦場の離脱は開始されたが……問題はどのくらいの艦が生き残れるか、だな!」

 

 海の上を飛ぶアークエンジェルの後方から追いすがってきたディンへとトリケロスのビームライフルを発射、撃破する。同時に、ムウのスカイグラスパーも俺が撃破したディンの後方にいたジン2機をアグニを使って同時に撃破している。

 そして次の瞬間、後方から巨大な爆発音が戦場へと響き渡った。

 そちらを見ると、アークエンジェルがアラスカ基地入港時に使用したメインゲートへと多数のジンやディン、シグーが突っ込んで行っている。

 

「ムウ、メインゲートが落ちた」

「ああ。本部まで進入されるのは時間の問題だ。そうなると……」

 

 最後まで言う必要はなかった。サイクロプス発動までのタイムリミットが迫っているのだ。

 

「ちっ、アクセル、敵を囲い込むぞ!」

 

 囲い込む? 一瞬首を傾げるが、すぐにムウの言葉を意味を理解する。アークエンジェルやイージス艦等の戦場を離脱しようとしている俺達を逃がすまいと、包囲網を敷いている潜水艦から出撃して来る10機以上のMS。その集団を一ヶ所に集まるように、その周囲へとギリギリの位置を狙ってビームライフルを発射する。ムウのスカイグラスパーも俺と同じようにアグニを発射して敵を一ヶ所に集め……アークエンジェルから放たれたゴットフリートにより全てのMSが一網打尽に撃破された。

 

「よし、取りあえずMSは片付いたから暫くは大丈夫だろう。後はこの包囲網を突破すれば……ちぃっ!」

 

 あくまでも俺達を逃がしたくないのか、その潜水艦からタイミングを合わせて連続で発射されるミサイル群。空を飛んでいるアークエンジェルやスカイグラスパーはなんとか回避する事に成功するが、僚艦のうち何隻かは回避する事が出来ずにミサイルの直撃を受けて轟沈する。

 

「くそっ!」

 

 視線の先にいる潜水艦に向かってビームライフルのトリガーを引こうとしたその時、管制のミリアリアから緊張感に満ちた声で通信が入った。

 

「アクセルさん、フラガ少佐、後方にデュエルです!」

「ちぃっ、この時間の無い時に……ムウ、デュエルは俺が引き受ける。スカイグラスパーで奴の相手をするのは厳しいだろう。潜水艦の方は任せた」

「分かった。ここで時間を取られる訳にはいかないからな、お互い早い所片付けるぞ」

 

 ムウの言葉に頷きながらも、今まで立っていた右舷カタパルトデッキの上から後方の甲板へと向かう。同時に放たれたデュエルのビームライフルをトリケロスで防ぎ、ミサイルやグレネードをアークエンジェルに設置されているイーゲルシュテルンとトリケロスのビームライフルで迎撃する。

 グゥルで通り過ぎざまにビームサーベルを振り下ろしてくるが、それをトリケロスで防御し、そのまま後方へと向かったデュエルへとビームライフルで追撃を掛ける。その時、横合いから10機近いジンがグゥルで近づいてくるのが目に入った。

 

「アラスカ基地はくれてやったんだから、あっちに集中すればいいものを!」

 

 アークエンジェルから放たれる雨の如き弾幕で次々に撃破されていくジンだが、諦めるという事を知らないかのようにアークエンジェルへと攻撃を集中させる。

 スレッジハマーを回避したジンへとビームライフルを叩き込んで撃破し、そのままトリケロスをアークエンジェル上空で反転しようとしていたデュエルへと向け、ビームライフルを発射する。

 くそっ、フリーダムはまだかっ!

 その時。それを発見したのは運が良かったとしか言いようがないだろう。ジンがアークエンジェルの弾幕を潜り抜けたのだ。そしてグゥルでブリッジに至近距離まで近づき、突撃機銃を……

 

「させるかよ、愛!」

 

 精神コマンドの愛を使用し、その中の効果の一つである加速の効果で素早くジンへと近寄る。そのまま左腕のグレイプニールを発射し、熱血と必中の効果で鋭く尖った鉤爪がジンのコックピットを貫く! そのままジンへと体当たりをしてグゥルから吹き飛ばし、ジンの乗っていたグゥルを足場に再度跳躍。スラスターを全開にして直上からアークエンジェルへと突っ込んで来ているデュエル目掛けてビームサーベルを一閃する。

 

「くそぉっ、また貴様かブリッツ!」

 

 グゥルごと脚部を切断されたデュエルだったが、そのまま海に落下するかと思いきや近くを飛んでいたディンに回収され母艦の方へと戻っていった。

 

「無事だな!」

 

 その様子をみながらアークエンジェルの甲板へと着地してブリッジへと通信を送る。

 

「は、はい。ありがとうございます」

 

 ミリアリアからの感謝の言葉を聞きつつ、再び弾幕を潜り抜けて来たジンを相手にビームライフルを発射しようとして……上空から数条のビームが降り注ぐ。そのビームは次々とジンの手足やグゥルを破壊していき、数秒後には既に周囲に五体満足なザフト側のMSは一機も残っていなかった。

 ようやく、か。

 内心で安堵の息を吐きつつ、上空から舞い降りてくるMSへと視線を向ける。左右併せて10枚の青い翼を広げたその機体の名はフリーダム。ザフトが造ったこの時代の中でも最高性能を誇るガンダムタイプのMSだ。

 そしてそのフリーダムとブリッジでしばしのやり取りをした後にオープンチャンネルでキラが通信を流す。

 

『ザフト、連合、両軍に伝えます。アラスカ基地は間もなくサイクロプスを作動させ……自爆します。両軍ともただちに戦闘を停止し、撤退して下さい。繰り返します、アラスカ基地は間もなくサイクロプスを作動させ自爆します。両軍ともただちに戦闘を停止し、撤退して下さい』

 

 さて、一皮剝けたと言うべきか……敵を撃墜しないというのは甘い以外の何物でもないが、少なくても今は助かってるんだし黙認すべきか。後で矯正の必要はあるだろうが。

 

「マリュー、脱出を」

「え? あ、ええ。僚艦にも打電を。すぐにこの場を離脱します!」

 

 まるでその言葉が合図であったかのように、アラスカ基地が鳴動を始める。いよいよサイクロプスが起動したのか!?

 アラスカ基地の周辺に集中していたザフトのMSは次々と爆破され、まるで円を描くかのように破壊の輪が広がっていく。その破壊の輪は戦場から大分離れた場所にいるアークエンジェルの甲板の上からでも確認できた。

 その破壊の輪から逃れるように、アークエンジェルは最大速度で戦場を離脱していく。また、ここまで共に行動してきたイージス艦や揚陸艇も全速でアークエンジェルへと続き、その場から退避している。

 原作では助かったのはアークエンジェルのみだったのだが、幸いこの世界では俺という異分子のおかげで敵の攻撃がブリッツに集中し、結果的に他の艦への攻撃が薄くなった為にフリーダムが登場するまでの時間で相当の距離を稼ぐ事が出来ており、そのおかげでアークエンジェル以外にも5隻の艦を救う事に何とか成功していた。

 

 

 

 

 

 アラスカ基地から脱出し、取りあえずという事で近くの島に集結する。そこにはアークエンジェルの他に、共にアラスカから脱出してきたイージス艦や揚陸艇等の5隻の艦も停留している。

 マリュー達も人心地付き、ある程度艦内の雰囲気も落ち着いてきたという事でアークエンジェルから降り、同じくフリーダムから降りてこちらへと向かって歩いてくるキラを出迎える。

 ちなみに僚艦からフリーダムについての説明を求められたらしいが、取りあえず待ってくれるように頼んだらしい。その事もあり、この島に上陸しているのはアークエンジェルのクルーのみとなっている。

 ただ、沈黙したままこちらへと近づいてくるキラ。ザフトレッドのパイロットスーツを身に纏っている事もあってか、マリューとムウの表情には困惑の色がある。

 

「間に合って良かったです」

 

 微かに笑みを浮かべながら、キラが話す。その言葉を聞き、ようやく目の前にいるキラが本物だと納得したのだろう。マリューが信じられないように口を開く。

 

「本当に、キラ君なのね?」

「はい」

 

 キラが頷くと、トールやミリアリア、ブリッジクルーや整備員達がキラへと駆け寄る。周囲から質問攻めにされているキラだったが、やがてゆっくりと自分に近づいてくるサイとカズイに気が付きどこかぎこちないながらも言葉を交わす。

 だが、それも一言二言で終わりキラはマリューの方へと近づいていく。

 

「お話しなくちゃならない事がたくさんありますね」

「ええ」

「僕もお聞きしたい事がたくさんあります」

「そうでしょうね」

 

 マリューがキラの言葉に頷くと、ムウが割ってはいる。

 

「ザフトにいたのか」

「そうですけど、僕はザフトではありません。そしてもう地球軍でもないです」

 

 キラのその言葉に、周囲にいた人々がざわめく。マリューは頷きながら再び口を開く。

 

「分かったわ。取りあえず話をしましょう。あの機体はどうすればいいの?」

「整備や補給の事を仰っているのなら今の所は不要でしょう。あれにはNジャマーキャンセラーが搭載されていますから」

「つまりは核動力か」

「はい。データを取りたいと仰るのならお断りして僕はここを離れます。奪おうとするなら敵対してでも守ります。あの機体、フリーダムを託された僕の責任です」

「分かりました。機体には一切手を触れない事を約束します。まずはブリッジでお互いの情報を交換しましょう」

 

 マリューの言葉に従い、取りあえずフリーダムをアークエンジェルの格納庫へと運び入れて俺達はブリッジへと移動した。

 

 

 

 

 

「なるほど。それでサイクロプスを……」

「ああ。恐らく連合軍の上層部はザフトの攻撃目標がパナマじゃなくてアラスカだって事を知ってたんだろう。でなきゃ前もってあの規模のサイクロプスを用意は出来ない」

 

 キラの言葉にムウがそう呟く。何しろ実際にサイクロプスをその目で見ているだけに説得力がある。

 

「それで、アークエンジェル……いえ、マリューさん達はこれからどうするんですか?」

「どうって言われても……」

「オーブだな」

 

 マリューの戸惑ったような声を聞き、口を出す。その瞬間、ブリッジにいたクルーの目が俺へと集中する。

 

「オーブ?」

「ああ。まさかサイクロプスによる自爆の生き証人である俺達がパナマに行ける訳もないだろう。……いや、行くというのなら行ってもいいが、まず間違いなく敵前逃亡の罪で銃殺刑か、それがなくても口封じする為に今回のような作戦に参加させられる事になる。それならオーブに行った方がいいだろう」

「でも、オーブが受け入れてくれるかしら? 前回と違って今回はこの艦だけじゃなくて僚艦もいるのよ?」

「その点は大丈夫だ。この前オーブに寄った時にウズミ代表からいざという時の約束は取り付けてある」

「アクセル、貴方いつの間に……」

 

 マリューが信じられないといった様子で俺の方を見てくるが、苦笑を浮かべながら答える。

 

「オーブにいた時に夜の外出許可を貰った事があっただろう? あの時にウズミ代表と面会してな。いざという時の事を頼んでおいた」

「夜の外出許可って……あっ!」

「そう、俺がエリカ相手にちょっかいを出しているんじゃないかと邪推してたあの時だよ」

「ちょっと、何もこんな所でその話を持ち出さなくても……」

 

 嫌な話題が続いた事でブリッジの雰囲気が暗くなっていたが、マリューのその言葉で多少なりとも明るくなる。

 結局パナマに向かうよりはオーブへと行った方がマシという事になり、周囲にいた5隻の艦もこのままパナマへ行くという事に身の危険を感じたのか、アークエンジェルに同行する事になった。




名前:アクセル・アルマー
LV:36
PP:165
格闘:254
射撃:274
技量:264
防御:264
回避:294
命中:314
SP:446
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:288

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