転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0192話

 バスターのパイロットであるディアッカをアークエンジェルから来た保安要員へと引き渡し、ブリッツでアークエンジェルのMS格納庫へと移動する。エネルギーと推進剤が共に残量ほぼ0の為、地道に歩いてアークエンジェルまで戻る事になった。

 

「ムウか、無事だったらしいな」

 

 格納庫に戻るとどこか呆然としているムウへと声を掛ける。

 

「あ、ああ。アクセルも無事で何よりだ」

「……どうした?」

「さっき島の向こう側でかなり大きい爆発があっただろう?」

「ああ。バスターのパイロットを見張っている時にいきなりだったな」

「あの爆発以降、坊主と連絡が取れないらしい」

 

 イージスがストライクを巻き込んでの自爆は確定、か。

 

「……そうか」

「ああ」

 

 ムウとしてはキラの死を理解はしても認めたくはないのだろう。苦虫を噛み潰したような表情をしている。

 そんなムウの様子を見て話を変えるように周囲を見回す。

 

「整備員の数が少ないな」

「あ、ああ。マードック曹長達はアークエンジェルの修理に取り掛かっている。もう少し頑張ればアラスカの防空圏だから、騙し騙しでも艦を動かしたい所なんだろう」

「なるほど。なるべく早くここから離れた方がいいのは事実だしな。……ん?」

 

 格納庫と外部を繋ぐ貨物搬入口から、バスターを積んだトレーラーが入ってくるのが見える。……仕事が早いな。

 確かにここにバスターを放置していけば、またザフトに使われる可能性がある以上はこちらで確保しておくのがベストだろう。俺としても、3隻同盟時にディアッカと共にこちらの戦力になってくれる機体なのでアークエンジェルの手元に置いておくというのは悪い選択肢ではない。……トールの生存でディアッカとミリアリアのフラグを叩き折ってしまった為、味方になるかどうかは未知数だが。

 

「お、取りあえず動くようにはなったか」

 

 整備班の優秀さ故だろうか、不時着していたアークエンジェルが浮かび上がるのを感じる。

 

「アクセル、フラガ少佐、ディンが3機接近していますが出撃出来ますか!?」

 

 唐突に通信画面が開き、焦ったマリューの顔が飛び込んでくる。……この状況で多少の無理をしてでも艦を浮上させたのは敵が近づいてきているからか。

 マリューのその言葉にムウが首を振り、俺もそれに続く。

 

「スカイグラスパーはようやく修理が始まったばかりだ。まだ出られない」

「ブリッツは修理の必要は無いが、バッテリーも推進剤もほぼ0だからそっちの充電に時間が掛かる。ムウと同じくすぐには無理だ。グゥルもデュエルとの戦いで失ってしまったしな」

 

 とにかく整備員の人数が足りない。マードックを始めとする大多数は艦の修理に出ている為にどうしても手が足りないのだ。特に修理の必要の無いブリッツは充電も含めて後回しにされており、帰投した時のまま放っておかれているのだから。

 俺とムウの返事を聞き、マリューは無言で通信を切った。

 

「……弱り目に祟り目って奴だな」

「何だ、それ?」

「困っている時に追加でどんどん不運な出来事が重なるっていう意味だよ」

「へぇ、詳しいな……おい、アクセル」

 

 ムウの視線の先を追うと、そこには走って格納庫に入ってくるミリアリアと、それを追って来たのだろうトールの姿があった。周囲を見回し、こちらへと近づいてくるミリアリア。そしてその後を追ってくるトール。

 

「フラガ少佐、アクセルさん。キラは、キラはどこに?」

「おい、ミリィ! ……すいません」

「でも、おかしいわよ。キラはいつだって私達の側にいたじゃない。なら今回だってすぐに戻ってくるわよ! MIAだなんてそんな事!」

 

 自分の感情を叩き付けるように、トールの胸を叩きながら泣きじゃくるミリアリア。そしてミリアリアを落ち着かせるように何度も背中を撫でているトール。

 そんな2人の様子を痛ましげに見るムウ。俺はそんな3人の様子をただ眺める事しか出来なかった。だが、ここでキラの生存を教える事は出来ないのだ。ここでそれを言えば、どこからどうブルーコスモスの連中に話が伝わるか分からないのだから。

 

「くそっ、何がエンデュミオンの鷹だよ!」

 

 ムウがそう吐き捨て、近くにあった壁を思い切り殴りつけた。自分のやりきれない思いを叩き付けるかのように。

 

 

 

 

 

 バスターの収容やアークエンジェルの応急処置等、ようやく人心地ついた時には既に夜も更けていた。キラがMIA、戦闘中行方不明となってからほぼ丸1日が過ぎ、ようやくアークエンジェル内も多少ではあるが落ち着きを取り戻していた。

 友人であるキラがMIAとなった事で興奮していたミリアリアも、今はトールのおかげである程度落ち着いているらしい。

 アラスカの防空圏に入った事により護衛部隊として戦闘機も駆け付けてくれたおかげで艦内にも安堵の雰囲気が広がっている。

 そんな状況の中、俺は第2戦闘配備で部屋に戻る事は出来ない為にパイロット控え室の椅子に寝転がっていた。

 疲れを取るつもりで横になっているのだが、これからの事を考えるとどうしても眠れないのだ。アラスカまで到着するのはいいだろう。だが、そこで待っているのはザフトを引き入れてアラスカ基地ごと自爆させるという連合軍上層部の愚行だ。いや、それはいい。……正確には良く無いが、その流れは一介の傭兵である俺がどうこうしたって変えられる物ではないのだから。俺に出来るのはアラスカで生贄とされた戦力を少しでも多く引き連れてオーブへと戻る事だ。

 その手筈を考えているうちに、気が付けば午前5時を過ぎ夜が明けていた。

 

「兄ちゃん、いるか?」

 

 アラスカでの手筈を考えていると、突然パイロット控え室に声が響く。通信装置を見ると、そこにはマードックの顔が映し出されている。

 

「ああ、何かあったか?」

 

 もしかしてディアッカが脱走してバスターなりブリッツなりを奪っていったか? ふとそんな事が思い浮かんだが、マードックの様子からは切羽詰まった様子は見受けられない。

 

「ちょっとフラガ少佐を止めるのに手を貸してくれ」

「ムウを?」

 

 ……その言葉を聞いて思い出す。そう言えば、原作でも確かこんなシーンがあったな。そっちでは俺じゃなくてマリューがムウを説得していたんだが。いや、待てよ。なら……

 

「ああ。機体を修理しろの一点張りだ。増槽つけて坊主を捜しに行くって聞かないんだよ」

 

 やっぱりな。ならこの場合の説得役は……

 

「分かった。すぐに行く。それとブリッジに連絡をしてナタルを回して貰え。俺の言う事はともかく、ナタルの話なら聞くだろう」

「分かった。早めに来てくれ」

 

 マードックの返事を聞くと、通信を切って格納庫へと向かう。

 

 

 

 

 

「ほら、頼むよ」

 

 格納庫ではムウがスカイグラスパーの隣で整備員達に修理をするように頼んでいた。だが整備員達は格納庫で倒れ込むように眠っている者も多く、既に限界といった様子に見える。

 

「ムウ、周囲を良く見てみろ。整備班達に余力があるように見えるか?」

「オーブに救援を要請したって話は聞いたか?」

「ああ、聞いている」

「けどまだ連絡は来ない。つまりはあの爆発から脱出している可能性だってあるんだ。それに、連合軍の勢力圏に入ったんだし、もうザフトの攻撃を警戒する必要もない。なら俺が行ってもいいだろう? お前のブリッツはともかく、スカイグラスパーなら増槽を使えばまだあの島まで戻れるんだ」

「だから……」

「少佐!」

 

 俺が何かを言う前にナタルが格納庫へと到着し、こちらへと走ってくる。

 

「……アクセル、お前の入れ知恵か?」

「さて……な。だが、お前は男の俺よりも女の言う事の方を聞くだろう?」

 

 こちらへと近づいてきたナタルの肩を軽く叩いて、その耳元でボソっと呟いてやる。

 

「後は任せた。恋人の無茶は責任を持って止めてくれ」

「ア、アクセル・アルマー、お前知って……」

「さて、な。後は任せたから2人でゆっくり話し合ってくれ」

「待て、アクセル・アルマー。第2戦闘配置は終了した。以後は半舷休息だから部屋で休んでも構わない。……その、呼んでくれて助かった」

 

 どこか照れくさそうに顔を赤くしながら礼を言ってくるナタルに軽く手を振り、格納庫から出て自分の部屋へと向かった。

 あの様子ならムウに関してはナタルに任せておけば大丈夫だろう。

 

 

 

 

 

 ムウとナタルの事件(?)があってから2週間程。ようやくアークエンジェルはアラスカ基地へと辿り着いていた。周囲を護衛の艦艇に囲まれ、上空には哨戒機の姿もある。

 

「……ここまで長かったな」

 

 ブリッジの空いている席にムウと共に座りながら、思わず呟く。

 

「ああ。何せヘリオポリスからアラスカまでざっと4ヶ月の旅だったしな」

 

 そう話すムウの顔には、キラを捜索しに行くと言い張っていた時のような切羽詰まった感じはもうない。ナタルがどうにかしてくれたのだろう。

 それはキラを失ったサイ達学生組も似たようなものだった。チラリと、自分の席で仕事をしているサイ、トール、カズイ、ミリアリアへと視線を向ける。まだ完全に明るさを取り戻したとは言えない状況だが、それでも普通に自分の仕事が出来るようになっているだけ落ち着いたと言える。

 

「ほら、アークエンジェルが入港するぞ」

 

 ムウの言葉に、外の様子が映し出されているモニタへと視線を向けると、滝のようになっている場所をアークエンジェルが通り過ぎて行く所だった。滝の中はドックになっているらしく、周囲にはイージス艦や潜水艦、駆逐艦等の姿が見える。

 そしてドックの中でアークエンジェルが係留されるのと同時に、ブリッジへと通信が入ってくる。

 

「統合作戦本部より、第8艦隊所属艦アークエンジェルへ通達。軍令部、ウィリアム・サザーランド大佐発。長きに渡る歴戦の労をねぎらう。事情聴取せねばならぬ事態でもあるので貴艦乗員は別命あるまで現状のまま艦内待機を命じる」

「え? 現状のまま、でありますか?」

 

 通信を送ってきた軍人へとマリューが尋ねる。確かに考えられない事態だからだ。普通なら乗員を艦から降ろして休息させるだろう。

 

「そうだ。パナマ侵攻の噂のおかげでここも忙しくてな。ま、取りあえずは現状のまま休んでくれ。……あぁ、それとそちらの艦で雇用したアクセル・アルマーという傭兵は?」

「え? あ、ちょっと待って下さい。アクセル」

 

 マリューに呼ばれ、通信モニタの前に出る。

 

「アクセル・アルマーは君かね?」

「ああ」

「君にはサザーランド大佐が傭兵としての雇用契約について話したいとの事だ。悪いが君だけは至急こちらへ来て貰えないか?」

 

 ……俺だけ、だと? どういう理由だ? 雇用契約云々についてはまず名目だけの話だろう。俺をコーディネーターではないかと疑った? いや、それにしたってアークエンジェルやオーブですでに検査を受けているだけに考えにくい。となると……待て。サザーランド大佐というのは確かアズラエルの腰巾着だったな。まさか俺をブルーコスモスに引き込もうというつもり、か?

 正直、非常に断りたい。俺はブルーコスモスなんて異常者集団に入るつもりは全く無いのだから。だが、ここでそれを言っても何らかの理由を付けられて呼び出される事は確実だろう。そうなるとまだ相手がこちらを敵視していないうちに行った方が無難だな。

 

「分かった。すぐか?」

「ああ。すぐに迎えの者を出させてもらう」

 

 それだけ言うと、通信が切れる。

 

「アクセル……」

 

 どこか心配そうなマリューへと苦笑を浮かべる。

 

「何、気にするな。それこそ報酬についての話がメインだろう。一応迎えに来る相手が軍人という事もあるし付いてきて貰えるか?」

「ええ、そうね。分かったわ」

 

 頷いたマリューと共に、ブリッジを出てランチが発着できるアークエンジェルの左舷デッキへと向かう。

 その途中のエレベータで、マリューがそっと俺の手を握ってくる。

 

「アクセル」

「ブリッジでも言ったように、問題は無いと思っていいだろう。数日程時間が掛かるかもしれないが……何、いざとなったら自力で脱出するさ」

「そう……ね。私達がアラスカまで無事に辿り着けたのは貴方のおかげですもの。……ありがとう」

 

 そう言って、ゆっくりと顔を近づけてくるマリュー。エレベーターが止まるまではしっかりとその肉感的な身体を抱きしめて、唇を重ねていた。




名前:アクセル・アルマー
LV:36
PP:115
格闘:254
射撃:274
技量:264
防御:264
回避:294
命中:314
SP:446
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:278

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