転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2031話

 天田の仇討ち騒動は、当然のように美鶴を始めとした他の面々にも知られる事になる。

 巌戸台駅に現れた2匹のイレギュラーシャドウは、2匹という敵の多さに若干苦戦したらしいが、それでも普通に倒す事が出来たらしい。

 ……影時間に無断で2人が姿を消した件は、そんなイレギュラーシャドウ2匹を無事に倒す事が出来たという喜びもあって、そこまで強烈に叱られるような事はなかった。

 これが順平辺りがやらかした事であれば、それこそ美鶴に処刑されていた可能性は十分にあるのだが。

 荒垣の場合は、その根の深さを美鶴が知ってるからというのもあるが……やっぱり普段の行いだよな。

 俺がそう言うと、順平は血の涙でも流しそうな表情を浮かべていたが、やがて悲しみを振り払うようにして叫ぶ。

 

「ともあれ!」

 

 そんな順平の声に、巌戸台分寮のロビーにいた者の視線が集まる。

 

「今日のイレギュラーシャドウを倒した事で、正真正銘残りは1匹となったって事は、来月の満月で影時間も解決するって事だ。……ですよね?」

「うむ。その筈だ。皆には色々と迷惑を掛けたが、それもようやく終わる」

 

 しみじみと美鶴が呟くと、他の者達……特に真田や荒垣の何年も前から影時間に関わってきた面々が感慨深そうにする。

 

「じゃあ、最後のイレギュラーシャドウを倒したら、皆でパーッとやりましょうよ。ね? ね?」

「ふふっ、それもいいな。何を食べたい?」

「うーん、寿司! やっぱりここは寿司っしょ。焼肉も捨てがたいけど」

 

 そんな風に話しているのを聞いていると、天田がこっちに近づいてくる。

 

「アルマーさん、ちょっといいですか?」

「ん? まぁ、別に俺は構わないが……お前の方こそいいのか?」

 

 仇討ちとして、荒垣を殺す事は止めた天田だったが、それでも荒垣を生かして罪悪感によって苦しめるという、別の意味での仇討ちをしたのだ。

 そういう意味では、心の整理をしっかりと付ける必要があるだろう。

 そう思っての言葉だったが、天田は問題ないと頷き……俺と一緒に、巌戸台分寮の外に出る。

 まだ影時間が終わっていない事もあり、周囲はかなり静かだ。……巌戸台分寮の中で騒いでいる声の方が、うるさいくらいに。

 

「それで、わざわざ外に呼び出してまで、何の用件だ?」

「はい。その……お礼を言わせて欲しくて」

「……別に、俺に礼を言うような必要はないと思うけどな」

「いえ、アルマーさんのアドバイスがなければ、僕はきっと……」

 

 そこまで言った天田は、言葉を濁す。

 濁すが……それが何を言いたいのかというのは、想像出来る。

 自分が荒垣を殺していただろう、と。

 その場合は、敵を取るという目的は達成出来たものの、天田の心の中には間違いなくしこりが残っただろう。

 

「それに、きっとこれが一番良い方法だったんです。……僕を見て苦しむ荒垣さんを、いつでも見る事が出来ますしね」

 

 満面の笑みと共にそう告げる天田。

 

「お前、少し性格が変わったか?」

「え? そんな事ないですよ。僕は以前からこういう性格でしたし」

「……そうか?」

 

 俺の知ってる限り、天田はもうちょっとこう……素直な性格をしていたように思うんだが。

 

「ええ。ともあれ……これからも荒垣さん共々よろしくお願いしますね」

 

 そう言った瞬間……唐突に天田のペルソナが姿を現す。

 だが、そこに現れたのは、天田が今まで使っていたネメシスというペルソナではなく、両肩が肥大化した感じになっている人型のペルソナだった。

 

「カーラ・ネミ……」

 

 小さく呟く天田。

 どうやら、そのカーラ・ネミというのが新しい天田のペルソナらしい。

 普通であれば、いきなりペルソナが変われば驚く筈だ。

 しかし、ゆかりという前例がある以上、それで驚くような事はなかった。

 

「どうやら、今回の件で天田も人間的な成長をしたらしいな」

 

 何だかんだと理由をつけても、荒垣と一緒にいたいという……そんな天田の思いが叶った形になった。そう言えばいいのか?

 ともあれ……

 

「まさか、ペルソナを進化させた2人目が、天田になるとはな」

「……そうですね。僕が言うのも何だけど、驚きです。僕って、人間的に成長したんでしょうか?」

「どうだろうな。そもそも、人間的な成長がペルソナの進化のトリガーだというのも、予想でしかないし、何か確証がある訳でもない。そうである以上、恐らくそうなんだろうなとしか言えないな」

「嬉しいような、悲しいような……何だか微妙な気がします」

「そうか? ともあれ、折角ペルソナが進化したんだ。皆に教えに行ったらどうだ?」

「はい、そうしますね」

 

 笑みを浮かべ、天田が寮の中に入っていく。

 それを見送り……俺は、寮の扉から少し離れた場所にいる相手に声を掛ける。

 

「良かったな、天田は人間的に成長したらしいぞ」

「……ふん。あれが成長って言っていいのかどうか、俺には分からねえがな。寧ろ、誰かさんの悪影響を受けているようにしか思えねえよ」

 

 そう言いながら姿を現したのは、いつもの仏頂面をしている荒垣だ。

 俺と天田が外に出て来た時から、こっちの様子が気になっていたのか、隠れて様子を見ていたのだ。

 天田は気が付かなかったみたいだが、俺から見ればまだまだ甘い。

 まぁ、天田に対する殺気とかそういうのがあれば、天田も気が付いた可能性はあるが……荒垣の性格を思えば、そんな事をする筈もない。

 

「さて、誰かさんってのは誰の事だろうな。……ああ、もしかして順平辺りか?」

「……お前、わざと言ってるだろ? まぁ、いい。取りあえず俺はお前に礼を言っておきたかっただけだしな」

「礼? 俺にか?」

「ああ。天田の件で色々と動いて貰ったようで悪かったな。正直なところ、俺は天田に殺されるのを覚悟してたんだが。まさか、俺を生かした上で罪悪感に襲わせるなんて真似をするとは思わなかったよ」

 

 ふう、と苦笑を浮かべる荒垣。

 

「そうだな。俺もイクシールを使った荒垣が生きててくれて、嬉しいよ。お前に使ったイクシールはかなりの高級品だ。それこそ、数億……数十億、場合によっては数兆円の値段がついてもおかしくないくらいに」

「……分かってる。俺に出来る限り、恩返しはさせて貰うよ。あのままだと、天田を置いて俺が死んでいた可能性もあるんだしな」

 

 こうして聞いてると、荒垣ってその外見に似合わず、つくづく世話焼きだよな。

 そんな風に思いながら、俺は頷きを返す。

 

「そうだな。精々恩に着てくれ。荒垣には、後で順平やチドリと一緒に色々と協力して貰う事になるだろうしな」

 

 まず、やっぱり一番やっておきたい事は、どうやればペルソナを召喚出来るようになるのかを解明する事だろう。

 チドリはペルソナを召喚する素質がないにも関わらず、強制的にペルソナを召喚するようになった。

 その技術を使えば、シャドウミラーの面々でもペルソナを召喚出来るようになる可能性はある。

 ……まぁ、その場合は制御剤とかが必要となり、その制御剤による副作用を抑える為にイクシールも必要となるのだが。

 だが、それは逆に言えば、制御剤とイクシールが揃っていれば、誰にでもペルソナが発現する可能性もあるという事になる。……まぁ、ペルソナがこの世界の出身の人物しか使えないとか、そういう制限があれば、どうしようもないのだが。

 例えば、ネギま世界の仮契約。これは、基本的には他の世界の人間は使用出来ない。

 その辺りの判定がどうなっているのかは分からないが、ともあれ、その件を試してみる必要があるのは間違いない。

 荒垣に言った通り、イクシールは非常に高額だ。だが……高額なだけであるのであれば、異世界間貿易を司っているシャドウミラーにしてみれば、それを入手するのは難しい話ではない。

 ……後は、本当にペルソナを強制的に発現させても悪影響がないかどうかだな。

 もしそれで大丈夫なようなら、シャドウミラーの幹部には全員に習得させておきたい。

 まぁ、その辺りは色々と前もって実験をする必要があるだろうけど。

 下手に何の実験もしないで試してみて、結果として致命的な副作用の類を残す……などという事になったら、ちょっと洒落にもならないしな。

 ともあれ、その辺はホワイトスターと自由に行き来が出来るようになってから考えればいい事だと判断し、俺は荒垣と共に寮の中に戻るのだった。

 

 

 

 

 

 10月の満月が終わり、影時間の解決についても目処が立ち始めたというのに、特に大きな騒動の類はないままに、日々はすぎていく。

 いや、山岸を苛めていた女が家庭の事情とやらで引っ越していったり、それが原因だったのか山岸のペルソナが進化したり、中間テストで1位を取ったり、順平がチドリとキスをしてペルソナが進化したり、俺と何度も模擬戦を繰り返すも、1発も命中させる事が出来なかった真田が己の不甲斐なさにペルソナを進化させたり……といったように、細々とした事はあったのだが。

 ……ペルソナの進化が細々とした事ではないとは思うが、それはそれ、これはこれだろう。

 ともあれ、本格的に秋になり、その秋も深まり……11月に突入する。

 タルタロスも164階にある封印の間まで到着し、いつものようにレポートも入手し終わった。

 明日には満月になり、最後のイレギュラーシャドウと戦うだろうという予想を皆がして、気合いを入れてる時……俺は、何故か美鶴と共に石焼き芋を食べていた。

 

「アクセル、少し行儀が悪くないか?」

 

 屋台で買った石焼き芋を公園のベンチで座りながら食べようとすると、隣に座った美鶴が不安そう……もしくは不満そうに呟く。

 

「そうか? 折角出来たて熱々の石焼き芋を買ったんだ。なら、熱いうちに食べるのがベストの選択だと思うけどな」

 

 まぁ、そうは言っても、美鶴は桐条グループのお嬢様だ。

 どこかの店で食べる買い食いならまだしも、こうして屋台で買ってベンチで座って食べる……といった真似は、あまり経験がないのだろう。

 ん? でも以前、屋台でクレープを食べたとか何とか聞いた覚えがあるような……

 美鶴的に、クレープと石焼き芋は別物という認識なんだろうか。

 ともあれ……

 

「美味いだろ?」

 

 そう言えば、美鶴は少し恥ずかしそうにしながらも頷く。

 遠赤外線とか、そういう効果もあって、焼き芋は美味いんだよな。

 実際、あの屋台の石焼き芋屋も、大勢が買いに来ていたし。

 石焼き芋、美味いのは分かるが、何故か客の大半は女なんだよな。

 別に男だからって、石焼き芋が嫌いな訳じゃないんだが。

 ともあれ、そんな風に考えつつ俺は美鶴と共に石焼き芋を食べる。

 美鶴の顔には、小さな笑みが浮かぶ。

 ……どうやら、少し元気が出たみたいだな。

 ちなみに、何故俺が美鶴と共に下校デートのような真似をしているのかと言えば、最近美鶴の元気がないからだ。

 その理由は、ペルソナ……正確には、ペルソナの進化だ。

 現在、ゆかり、順平、山岸、真田、天田の5人がペルソナを進化……つまり、人間的に成長している。

 荒垣やコロマルのペルソナは進化していないが、これは元々ペルソナの潜在能力が高い……言うなれば、最初から進化した状態だったからだと予想出来る。

 そう考えれば、荒垣がペルソナを使いこなせずに暴走させていた理由も分からないではない。もっとも、コロマルは最初からケルベロスを使いこなしていたが。

 その辺りは、人間じゃなくて動物だからこそどうにかなった……のだろう。

 有里は元々ペルソナチェンジという特殊な能力を使っているから、ペルソナの進化に関しては問題外だし、チドリは普通のペルソナ使いではなく、強引に覚醒させられたペルソナ使いだ。

 その辺りの事情を考えれば、この2人もペルソナ使いとして覚醒しなくても納得は出来る。

 アイギスはロボットなので、ペルソナが進化しない可能性の方が高いだろうし……そういう意味で、美鶴だけが明確な理由もなく、ペルソナが進化していないんだよな。

 ともあれ、そんな訳で、現在S.E.E.S……いや、ゆかりも含めるから、ペルソナ使いの中で、と表現すべきなのかもしれないが、とにかくそんな感じで、美鶴だけがペルソナ使いとして1歩遅れた状態になっていた。

 そして美鶴がそれを気にしているのも、これまでの付き合いから察するのは難しい話ではない。

 ……もっとも、ペルソナの進化には人間的な成長が前提となる以上、そう簡単にどうこうと出来る訳ではないのだが。

 そもそも、ゆかりの場合は俺とのキスの後だったが、母親との関係がある。

 だが、順平は特に何かを乗り越えた訳ではなく、純粋にチドリとのキスで進化したらしい。

 まぁ、俺が聞かされていないだけで、チドリとの会話の中で人間的に成長する何かがあったという可能性は十分にあるが……それを言えといっても、順平はまず言わないだろうしな。

 ともあれ、そんな訳で俺はこうして美鶴の気分転換に付き合っているのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389

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