転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0190話

「怪我は?」

 

 アークエンジェルのMS格納庫で、先に戻ってきていたムウへと声を掛ける。

 俺のその言葉に軽く肩を竦めるムウ。

 

「俺は無事だよ。スカイグラスパーについても多少の損傷は受けたが、もう1機あるから特に不都合はない」

「少佐、俺達の事も考えてくれませんかね?」

 

 憮然とした顔でマードックが口を開く。確かに機体を修理するのはマードック率いる整備班なのだから、ブツクサ言いたくなるのも分からないではない。

 

「悪かったよ。しっかしあのディンをキラは倒したのか」

「何だ、自分がやられた機体をキラが倒したのは悔しいか?」

「MSとMAじゃ戦力として違うから……おっ、坊主が戻ってきたな」

 

 ムウの視線の先を追うとそこにはストライクの姿があり、どこか疲れた様子のキラが降りてきていた。

 ただ、原作とは違い整備員が集まって褒め称えるといった事はしていない。……それもそうだろう、何しろ原作でニコルが乗っていた機体は今は俺の機体なのだから。整備員達にしてみれば、いつものようにキラがザフトのMSを撃破したというだけなのだろう。アスランの友人を殺したというのはキラだけが知っている事だ。

 しかし、そんなキラを見ていたムウが呟く。

 

「……坊主の様子がおかしいな。ちょっと行ってくる」

 

 軽そうに見えて気配りの出来るムウとしては放っておけないのか、パイロット控え室へと向かうキラの後を追っていった。

 

「兄ちゃんはいいのか?」

 

 そんなムウの様子を見送っていたマードックに聞かれるが小さく首を振る。

 

「ムウがいれば大丈夫だろ。……それに俺にはもうあんな繊細な気持ちは無くなってしまったからな」

 

 考えてみれば、シャドウミラーに所属してから幾多もの戦場を渡り歩いてきた。すでに敵は敵として認識するようになっている俺としては、キラのあの様子は新鮮に映らないでもない。

 

「ふーん、さすがに歴戦の傭兵ともなればそういうもんなのか。さて、俺は機体の整備にかからせてもらうよ。もう一機のスカイグラスパーもフラガ少佐用に調整しなきゃいけないしな。ストライクも結構損傷があるし……兄ちゃんのブリッツとグゥルくらいだな、補給くらいで済むのは」

「そうか、よろしく頼む」

 

 そこまで言った所でふと考える。キラにフリーダムを入手させるには、イージスの自爆に巻き込まれてマルキオ導師に怪我をして倒れているキラを発見して貰いプラントにあるラクスの家まで連れて行って貰わないとならない。正直、ゲートさえ設置する事が出来ればフリーダムがなくても戦力的には全然問題無いのだが、ザフトのパイロットにフリーダムを使わせるよりはこちらで確保しておいた方がいいだろう。それにここで原作の流れを崩してしまうと、アズラエルにNジャマーキャンセラーのデータが渡るのを阻止するのが難しくなる。

 キラとしても、この時期にラクスの所にいかないとラクスとくっつく事が出来なくなってしまう事を考えればそちらの方がいいだろう。そうなると、次にすべき事はより確実にキラを生き残らせる事だな。

 

「ちょっと待ってくれ」

「ん? 何かあったか?」

「キラのストライクだが、生存性を高めるように出来ないか?」

「は? 何でまた?」

「知っての通り、キラは今日あのディンを倒した。ヘリオポリスからずっと俺達を追って来たGと共にいたディンを、だ。そうなると……どうなると思う?」

 

 俺の言ってる事が分かったのだろう。難しい顔をして頷く。

 

「なるほど。坊主が仇討ちの対象になるか」

「恐らくな。いくらキラでも敵からの集中攻撃を受けてしまえばどうにも出来ないだろう。もちろん、俺にしろムウにしろ出来るだけのフォローはしたいと思うが、ストライクとアークエンジェルのどちらを選ぶかと言われればどうしてもアークエンジェルを選ばざるを得ない」

「……分かった。今すぐにどうこう出来る訳じゃないが、何か出来ないか整備の連中と考えてみる」

「頼む。敵にしても撤退してすぐにまた攻めてくるなんて事はないと思うが、1日、2日のインターバルを置いて攻めてくる事は十分に考えられる」

 

 マードックは俺の言葉に頷くと、早速整備員と相談する為にストライクの方へと歩いて行った。

 その後ろ姿を見送り、俺もパイロット控え室へと向かう。

 

 

 

 

 

「キラか?」

 

 ニコルの乗るディンが撃破された翌日の夜。マードックにブリッツとグゥルの補給の事を聞いた帰りに格納庫を通ると、キラが1人でストライクの前に立って自分の機体を眺めていた。その後ろ姿に何となく声を掛ける。

 

「アクセルさん」

「トリィ、トリィ」

 

 キラがこちらに気が付くのと、その肩に乗っていたロボット鳥のトリィが俺の肩に飛び移ってくるのは殆ど同時だった。

 

「これは?」

「その、僕の友達から貰ったロボット鳥のトリィです」

「トリィ?」

 

 キラの説明を聞きながらトリィを見ると、小首を傾げるような動作をしている。

 ……和むな。

 

「アクセルさん?」

「いや。それよりもこんな夜中にどうした? 昨日は激戦だったんだし、休める時に休んでおいた方がいいぞ」

「その、戦争って何で起こるのか、とか。どうやったら終わるのか、とか。そんな事を考えていたら眠れなくて」

「戦争の終わらせ方か」

「傭兵としてのアクセルさんはどう思います?」

「さて、どうだろうな……」

 

 スパロボの世界やコードギアスの世界の戦争と違い、この世界では軍需産業の会社が集まって出来た集団がブルーコスモスを結成してコーディネーターとナチュラルの間に戦争を起こしている。

 ……もっとも、現在のブルーコスモス盟主であるムルタ・アズラエルはそんなのと関係なく、コーディネーター憎しの一念で戦争を煽っているのだが。

 

「ブルーコスモスがいる以上、普通の終わり方は出来ないだろうな」

「ブルーコスモス……」

「俺の所に入っている情報によると、軍上層部にもブルーコスモスのシンパが相当数いるって話だ。そいつらが連合の意志決定をしている以上は、な」

「じゃあ、なんでアクセルさんは連合……と言うか、アークエンジェルに協力してるんですか?」

「連合も連合だが、ザフトもザフトだからな。今の最高評議会議長はコーディネーターこそがナチュラルの上位種であると公言してるような奴だ。まあ、言い方は悪いがどっちもどっちの状況だ。俺がアークエンジェルに付いたのは成り行きと言ってもいいだろうな」

 

 もっとも、今となってはマリューのいるこのアークエンジェルを見捨てる事など出来はしないが。

 

「トリィ」

 

 そんな俺の思いを汲み取った訳でもないだろうが、トリィが俺の肩からキラの肩へと移動する。

 

「小難しい事を考えるのもいいが寝れる時に寝ておけよ。奴等がこのまま俺達を見逃してくれるとは限らないんだ。ブリッジで聞いた話だともう少しでアラスカの防空圏に入るらしいが、実際にその防空圏に入るまでは安心出来ないからな」

「あ、はい。分かりました」

 

 今から眠れば、数時間は身体を休める事が出来るだろう。そんな事を思いつつ、俺も自分の部屋へと戻っていった。

 そして数時間後、艦内にアラームが鳴り響く。

 

『総員、第一戦闘配備。繰り返す、総員、第一戦闘配備』

 

 その放送が聞こえた瞬間、既に身体は戦闘準備を整えた状態になっていた。そのまま起き上がり、連合軍の軍服を羽織ってパイロット控え室へと向かう。

 

「相変わらず早いね、どうも」

 

 俺が着替えている途中でムウが入って来て苦笑を浮かべながら言う。そのすぐ後にキラも姿を現し手早くパイロットスーツへと着替えて格納庫へと向かう。

 素早くストライクへと向かうキラの様子を尻目に、近くに来たマードックへと声を掛ける。

 

「ストライクの件は?」

「さすがにこの短時間じゃ無理だ。もう少し時間があればどうにか出来たかもしれないが……」

 

 申し訳なさそうに頭を下げるマードックだが、元々無理を言ったのはこっちなので怒る事は出来ない。

 

「気にするな、元々無茶を言ったのはこっちの方だ。それより、グゥルの準備は?」

「そっちは問題無い。ミサイルにしてもオーブで補給された物があるから大丈夫だ」

「分かった。俺が出撃したらすぐにグゥルを出してくれ」

「あいよ」

 

 マードックの言葉を背にし、ブリッツへと乗り込む。

 

「アクセルさん、敵はイージス、デュエル、バスターの3機です」

「分かった。……っと」

 

 敵の先制攻撃か何かだろう。急にアークエンジェルが艦を斜めにするのを感じた。

 

「ブリッツ、アクセル・アルマー、出るぞ!」

 

 カタパルトデッキから射出され、同時に左側のカタパルトデッキからグゥルが発射される。無線誘導によりグゥルの上部へと着地成功。

 グゥル射出後、すぐにムウの乗ったスカイグラスパーがランチャーストライカーパックを装備して射出される。ストライクは空を飛ぶ手段がないので、アークエンジェルの甲板へ。

 グゥルに乗って空を飛んでいるブリッツを見つけたのだろう、デュエルがビームライフルを連射しながらこちらへと突っ込んで来た。その機先を制するかのようにアークエンジェルからスレッジハマーやヘルダートの多数のミサイルが発射されるが、その悉くを撃ち落とし、あるいは斬り裂き、回避しながらこちらへと距離を詰めてくる。

 

「この前とは違うという事か」

 

 ここが最後の攻撃のチャンスという事もあるし、ニコルの敵討ちという思いもあるのだろう。いつもより強い気迫を感じさせる。

 デュエルが執着しているブリッツに。そしてバスターとイージスがストライクとアークエンジェルへと攻撃を仕掛け、それを阻止するかのようにスカイグラスパーがバスターへとちょっかいを出す形で戦闘が開始される。

 

「だが、こちらとしてもそうそう簡単にやられる訳にはいかないんでな!」

 

 デュエルから発射されたレールガンを回避しながら、距離を詰めてトリケロスに内蔵されているビームサーベルで通り抜けざまに一閃する。しかしデュエルが咄嗟に機体の前に出したシールドで攻撃を受け止められた。

 

「貴様もニコルの仇の一人だ、絶対にここで落とす!」

 

 一瞬だけ開かれた接触通信でそんな声が聞こえてくるが、俺はそれを無視してそのままデュエルの横を通り過ぎる。だが敵もそれを許す程甘くはなく、グゥルとアサルトシュラウドに装備されたミサイルポッドから同時に大量のミサイルを発射する。

 このまま回避するか? いや、そこを狙われたらやばい。となるとまずはあのミサイルを片付けないと……

 その時、俺と同じくバスターから発射されたミサイルの群れに狙われつつも、海面スレスレを飛びながら上がった水飛沫でミサイルを迎撃しているスカイグラスパーの姿が目に入った。なるほど、同じ手を使わせて貰うか。

 10発以上のミサイルを引き連れ、海面に急降下。スカイグラスパーと同じく海面ギリギリをグゥルで飛ぶ事により水飛沫を上げて背後から迫ってきていたミサイルを誘爆させ、グゥルを急上昇させてデュエルから距離を取った。




名前:アクセル・アルマー
LV:36
PP:115
格闘:254
射撃:274
技量:264
防御:264
回避:294
命中:314
SP:446
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:278

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