転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2001話

 電線ケーブルを乗っ取る……などという真似をしたイレギュラーシャドウを無事に倒す事に成功し、俺達はクラブを出て山岸の待っている場所まで移動する。

 そうして移動した先には山岸がおり、他にも荒垣から聞いた通り、コロマルの姿があった。

 

「わん! わんわん!」

 

 俺達の姿を見ると、コロマルが嬉しそうに吠えながら近寄ってくる。

 そんなコロマルに、空間倉庫の中からドッグフードを取り出し、与える。

 今回はコロマルにちょっと頑張って貰ったという事もあり、少し高めのドッグフードだ。

 

「結局、順平は来なかったわね」

 

 ゆかりの言葉に、そう言えば……と、全員がようやく順平の事を思い出す。

 勿論、俺達がこうして影のゲートで移動した以上、もし順平が何らかの理由でまだ寮の近くにいた場合、追ってくるのが難しいというのは分かる。

 だが、それでも……何かがあったのは間違いないと、そう思ってしまうのも事実なのだ。

 

「どうする? 順平を探すか?」

「いや、でも……探すって言ってもどうやって?」

 

 その言葉に、俺は山岸の方を見る。

 

「え? 私ですか!?」

「ああ。シャドウの反応を捉える事が出来るのなら、ペルソナの反応も捉える事も出来るんじゃないか? そして順平がもし何かに巻き込まれているのであれば、間違いなくペルソナは順平にとっての切り札になる筈だ」

 

 問題なのは、順平がペルソナを召喚するよりも前に殺されるなり気絶させられるなり、無力化されるかもしれない……といったところか。

 一番怪しいのは、やはりあのジンとかいう男だろう。

 タカヤを取り戻す為であれば、人質交換といった真似は普通にやる筈だ。

 ただ、順平は俺に食って掛かってきた頃に比べれば、大分その力を増している。

 それこそ、S.E.E.Sの主力の1人として数えられるくらいには。

 そうである以上、順平が簡単に後れを取るとは思えない。

 もっとも、鍛えられて戦力としては期待出来るようになっているが、迂闊なところが完全に治ったかと言われれば、そちらは微妙だ。

 性格というのは、どうしてもそう簡単にどうにか出来るものではない以上、あっさりと罠に引っ掛かったりしてもおかしくはない。

 ……色仕掛けとか、そういうのを使われれば、あっさりと引っ掛かりそうだよな。

 ああ、でも順平は恋人が出来たんだっけ? それとも、まだ告白をしていない片思いだったか。

 でも、俺が言うのもなんだが、順平くらいの年齢であれば、それこそ思春期まっただ中という事で、好きな相手でなくても、美人な女に誘われればほいほいとついていってしまいそうだ。

 

「分かりました」

 

 山岸は俺の言葉に頷き、ルキアを召喚して順平を探す。

 だが、結局順平の姿は見つかるような事はなく、黙って首を横に振る。

 

「駄目です」

「……そうか。となると、美鶴。これからどうする? 順平が何か不味い事に巻き込まれてるのは、殆ど確定事項だと思ってもいいと思うんだが」

「そうだな。正直、伊織の事は心配だが……伊織を探すにも、結局ここにいては意味がない。巌戸台分寮まで送ってくれないか?」

「分かった。……全く、折角イレギュラーシャドウを倒したってのに、手間を取らせてくれる」

「ふふっ、そう言うな。……伊織には、後でしっかりと補習を受けさせるからな」

 

 ふふっ、ふふふふふ。と笑い声を上げる美鶴。

 そんな美鶴からは、ペンテシレアを召喚していないにも関わらず、何故か……そう、何故か冷気のようなものが吹き出ているような感じすらした。

 勿論、実際に冷気が吹き出している訳ではなく、美鶴の反応からそんな風に感じているだけなのは間違いないだろう。

 だが、それでも……いや、だからこそ、美鶴がかなり怒っているのは間違いなかった。

 

「あっちゃー。順平ってばご愁傷様」

 

 ゆかりもそんな美鶴の様子に、これ以上何を言っても無駄と判断したのか、美鶴に取りなすような態度を取る訳でもなく、ただ大人しく順平の冥福を祈る。

 それはゆかりに限った話ではない。美鶴と付き合いの長い真田は、以前に同じように美鶴を怒らせた事でもあったのか、まるで真冬の吹雪の中に放り出されたかのように身体を震わせている。

 荒垣や有里、山岸といった面々も、美鶴の迫力に何か言えるような状態ではない。

 

「アルマーさん、寮に戻るんですよね?」

「わん!」

 

 そんな中、怖い物知らずというか、美鶴の怖さをまだ殆ど知らないからか、ともあれ天田は俺にそんな風に言ってくる。

 ちなみに、コロマルも天田の言葉に同意するように鳴き声を上げていた。

 

「そうだな。なら寮に戻るか」

「うむ、そうしてくれ。ふふふ……これで寮に戻った時、伊織が何も気にした様子がなくこちらを待っていたら……」

 

 いや、怖いって。

 美鶴がなまじ美人なだけに、怒った姿はもの凄い迫力を醸し出していた。

 

「ほ、ほら。落ち着けって美鶴。もしかしたら理事長が何か情報を掴んでいるかもしれないだろ?」

「……そうだな。理事長であれば、あるいは……」

 

 そう告げ、ようやく落ち着いた美鶴に視線を向けられた俺は、影のゲートを展開するのだった。

 

 

 

 

 

「……順平はやっぱりいない、か」

 

 巌戸台分寮に戻ってきて周囲を確認するも、当然のようにそこに順平の姿はない。

 それどころか、幾月の姿もなかった。

 

「多分、理事長は作戦室だろう。ちょっと待っててくれ。イレギュラーシャドウを倒したと報告してくる」

 

 美鶴がそう告げ、寮の奥に向かう。

 

「理事長も、色々と忙しい人だからな。恐らく、伊織を探していたり、何かシャドウの研究をしてたりしてるんだろうな」

 

 そう真田が告げるが……本当にそうか?

 いや、勿論幾月がシャドウや影時間についての研究者として有能だというのは、俺も理解している。

 だが、それと同様に裏で色々と動いているというのも、当然のように理解しているのだ。

 限りなく黒に近い灰色。

 それが、俺の幾月に感じている印象だった。

 そして今日は月に1度のイレギュラーシャドウの現れる日。

 つまり、もし何か行動を起こすのであれば、それこそ今日が最善だった訳だ。

 そんな俺の疑問は、作戦室から戻ってきた美鶴の戸惑った表情を見て、半ば確信に変わる。

 

「幾月はいなかった。そうだな?」

「うん? ああ、作戦室にもいなかった。そうなると……屋上で何らかの調査でもしてるのか?」

「さて、どうだろうな。俺は違うと思うが。……まぁ、いい。なら、この寮の中を思う存分探してみるといい。そうすれば、幾月がいるかどうか、分かると思うし」

「アクセル?」

 

 俺が何を言いたいのか分からないといった様子の美鶴だったが、それでも俺の態度から、何か尋常ではない事が起きているというのは理解したのだろう。

 顔を引き締め、素早く階段を上って屋上に向かう。

 

「おい、アルマー。一体どういう事だ?」

 

 不審そうな様子で荒垣が俺に尋ねてくる。

 実際に尋ねてきたのは荒垣だったが、他の面々も不思議そうに俺に視線を向けてくる。

 

「取りあえず待ってくれ。寮に幾月がいなくても、もしかしたら武治の方でその辺りについては知ってる可能性があるからな」

 

 可能性としてはそこまで大きくないが、武治が幾月に何かを頼んでおり、その用事で幾月が寮を出ていった……という可能性もない訳ではないのだ。

 勿論、今の状況を考えれば、その可能性は非常に少ないのだが。

 

「アクセル、屋上にも理事長はいなかった」

 

 屋上から下りてきた美鶴が、そう告げる。

 さすがに今のような状況になれば、美鶴も不安がこみ上げてきたのだろう。

 若干ではあったが、その表情には動揺が見える。

 取りあえず屋上にもいなかったとなると……ほぼ確定、か。

 

「一応念の為だ。この寮のどこにも幾月の姿がないかを探してくれ。……まぁ、この状況で風呂に入ってるとか、そういう事はないと思うけどな」

 

 この状況を見る限り、既に幾月の姿はもう寮の中にはないだろう。

 そもそも、寮の中の気配を探ってみれば、俺達以外に誰もいないし。

 それでも、俺がここで誰も寮にはいないと口で言うよりも、実際に寮のメンバー全員で寮を調べた方が納得出来るのは事実だ。

 そんな訳で、俺の言葉に従って俺とゆかり、コロマル以外の全員が寮の中を探しに行く。

 ちなみに俺達が寮の中を探さなかったのは、結局のところ俺達は美鶴達S.E.E.Sとは違う勢力だから、というのが大きい。

 俺達に見られてはいけないものが、色々とあるだろうと……そう考えての対応だ。

 

「ねぇ、アクセル。理事長がどこかに雲隠れしたって、そう思ってるの?」

 

 美鶴を含めた寮のメンバーがいなくなると、ゆかりがそう尋ねてくる。

 その言葉に、俺はコロマルの頭を撫でながら頷く。

 

「そうだな。恐らく自分が怪しまれているというのを、気が付いたんだろうな。それに……」

「それに?」

「いや、これはまだ何の確証もない、俺の勘に近いから言わない方がいいと思う」

 

 幾月が姿を消したのと同時に……正確には、その少し前に順平も姿を消したのだ。

 これは本当に偶然か?

 偶然だとすれば、随分とタイミングの良い偶然だと思う。

 それに、影時間になる前に幾月は俺達と一緒にここにいたのだ。

 つまり、何かを順平に直接仕掛ける……といった真似は出来なかった筈だ。

 いや、夕方くらいから、何かを順平に仕掛けておいたという可能性は否定出来ないが。

 

「ちょっと、不安になるような事を言わないでよね」

「そう言われてもな。取りあえず、今は他の連中が戻ってくるのを待つとしよう」

「……分かった」

「わふ」

 

 俺の言葉に、ゆかりとコロマルがそれぞれ了承の返事をし……やがて10分も経たないうちに、寮の中を探索していた全員が戻ってくる。

 戻ってきた者達の表情にあるのは、不安そうな色だ。

 そして当然の如く、集まってきた中に幾月の姿はない。

 

「これって……一体、理事長はどこにいったの?」

 

 山岸が有里にそう尋ねているが、まさか有里がそれを知ってる訳ではない。

 そして、この状況で何らかの情報を持っている可能性があるのは、当然のように最初に幾月がいないかどうかを探すように言った、俺な訳だ。

 

「アクセル。詳しい事情を話してくれるか?」

 

 尋ねてきたのは美鶴だが、他の者達も俺に視線を向けて説明を待っている。

 さて、どうしたものか。

 ……いや、こうなってしまった以上、もう隠しても意味はない。

 となると、ここでしっかりと話しておいた方がいいのも事実だ。

 もしここで幾月が怪しいとか何とか言っておきながら、実は影時間が終わったら何事もなかったかのように幾月が戻ってくる……という事になれば、色々と……そう、本当に色々と不味いような気もするが……そうなったら、それはまぁ、そういう事だと諦めて貰う必要があるだろう。

 向こうが何を考えようと、幾月が怪しいと思っているのは間違いないのだから。

 

「順平に関しては、まだどうなっているのかは分からない。だが、幾月は……何か独自の行動を取るべく、美鶴達から離れていった可能性がある」

「独自の行動? それは……?」

「さてな。だが……」

 

 そこで一旦言葉を切り、視線をゆかりに向ける。

 

「え? 私?」

 

 まさかここで自分に視線が向けられるとは思ってなかったのか、ゆかりは戸惑ったような視線をこちらに向けてきた。

 

「そうだ。……屋久島で見た、ゆかりの父さんの映像を覚えているか?」

「……ちょっと、それってもしかして……」

 

 それだけで俺が何を言いたいのかが分かったのだろう。

 ゆかりは数秒前の戸惑ったような表情ではなく、視線を鋭くして俺を見てくる。

 

「ああ。あの映像を加工したのは、恐らく幾月だ」

「馬鹿なっ!?」

 

 そんな俺の言葉に真っ先に反応したのは、当然のように美鶴だ。

 美鶴にとって、幾月というのは何年もの間……それこそ、下手をすれば小学生の頃から、自分と一緒に影時間に立ち向かってきた相手だ。

 そんな幾月が自分を……自分達を裏切るような行動をするとは、全く思わなかったのだろう。

 

「美鶴がそう言いたくなる気持ちも分かる。だが、幾月が怪しい……それも限りなく黒に近い灰色であるという事は、武治も認めている」

「お父様が?」

「ああ。武治の指示で、現在桐条グループの内部監査室だったか? そんな連中が幾月を調べていた筈だ。もっとも、すぐに証拠が出てくるような事はなかったみたいけどな」

 

 もし幾月の怪しいところを探していて証拠が見つかっていたのだとすれば、武治の性格を考えると既に捕まえていただろう。

 親馬鹿気味なところがあるとはいえ、武治はそれを上回る程に影時間をどうにかしなければならないという使命感があった筈だ。

 いや、既に使命感ではなく強迫観念に近いと言ってもいい。

 それだけに、影時間について大事な場所にいながら裏切っているのが間違いないのであれば、それこそ幾月をそのままにしてはおけない。

 武治がそう判断しても、おかしくなかったのだから。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389

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